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第2章 3国内及び海外の公共図書館の先進事例

3. 国内及び海外の公共図書館の先進事例
(1)  国内公共図書館の先進事例の調査方法
 公共図書館が、地域の情報拠点として、どのように地域課題の解決に寄与しているのか、文献調査を行った。下記資料を基に先進的サービスを実施していると思われる公共図書館を抽出した。
社団法人日本図書館協会が発行する「図書館雑誌」及び「現代の図書館」における記事全般(2001年1月~2003年12月)
公共図書館サービスの定量的項目からの抽出
貸出密度(人口1人当り貸出冊数)が高い自治体(市区町村)
資料費予算額が高い自治体(都道府県)
第1回研究会後、有識者(本研究会委員)からの推挙
   また、最近、新たな公共図書館サービスの取組を始めた、以下の公共図書館については、インタビューも実施した。
東京都立中央図書館:医療情報サービスの展開について
品川区立大崎図書館:ビジネス支援サービスの展開について

(2)  国内公共図書館の先進事例サンプル調査の傾向
先進事例における全体的な傾向のあるサービス
市川市、袖ヶ浦市、豊中市等の学校教育支援においては、情報システム面(目録情報の共有化)だけでなく、図書館資料の相互貸出や人的面(学校における施策である司書教諭の配置とも連動)も含め、一体的な施策として取り組んでいる事例が多い。
県立図書館及び市立図書館とも、利用者からの問い合わせを基にした資料・情報検索(レファレンス・サービス)事例を、事例集やデータベースの形でホームページに掲載し、運用する動きが広がっている。
県立図書館においては、地域資料、地域の行政情報、観光情報、及び地域の文化情報を電子化し、体系的に整理して、利用者に提供しているデジタルアーカイブの事例が多い。
 
先進事例における特徴的サービス
サンプル調査全体を見ると、ビジネス支援サービスは、一部の自治体において取り組まれているが、まだ少数派となっている注釈14
ビジネス支援サービスの最新事例として、平成16年7月に開館した品川区立大崎図書館がある。同図書館では、図書館内に区の産業振興担当部署の嘱託職員が駐在することにより、利用者からの専門的問い合わせへの迅速対応を実現している。同時に、地域NPO法人によるビジネス支援講習会の開催や商用データベースの開放等、幅広い図書館サービスを提供している。
医療分野のサービス事例は、これまで殆どなかったが、東京都立中央図書館にて平成16年6月から始められている。図書館特有の分類手法(NDC分類)に関わらず、医療・医学関係の資料や行政機関・病院のパンフレットを集中的に配架することによって、利用者の利便性向上を図っている。

注釈14  「ビジネス支援図書館推進協議会」が、平成14年度事業報告としてビジネス支援サービスの国内図書館事例の提示自治体数は、全部で、20強である。(出典/日本の公共図書館におけるビジネス支援の現状/平成15年7月11日政策シンポジウム「アメリカ公共図書館のビジネス支援」にて発表)これは、公共図書館設置自治体数1,726(出所/平成14年度社会教育調査報告書/文部科学省生涯学習政策局調査企画課)の1パーセント強に過ぎない。

(3)  海外公共図書館の先進事例の調査方法
 国内先進事例と同様に、欧米諸国、中国、韓国等の海外において、公共図書館が、地域の情報拠点として、どのように地域課題の解決に寄与しているのか、文献調査を行った。下記資料を基に先進的サービスを実施していると思われる公共図書館を抽出した。
国立国会図書館発行のメールマガジン及びホームページ情報
「カレントアウェアネス」(2001年1月(ナンバー257)~2004年6月(ナンバー38))
「カレントアウェアネス-E」(2002年9月(試行版)~2004年6月(ナンバー280))
「国立国会図書館月報」(2004年4月~2004年6月)
社団法人日本図書館協会が発行する「図書館雑誌」における連載記事
「海外図書館事情を探る」(1996年4月~2003年12月)
第1回研究会後、有識者(本研究会委員)からの推挙

(4)  海外公共図書館の先進事例サンプル調査の傾向
先進事例における全体的な傾向のあるサービス
公共図書館と学校図書館、公共図書館と大学図書館等の共同利用型図書館による、図書館間での連携範囲の運用レベルの広がりが見られる。
北欧を中心に、ウェブ情報の収集・保存が始まっている。
 
先進事例における特徴的サービス
市場情報探索や特許情報検索等のリサーチを行う有料サービスや24時間対応等、レファレンス・サービスの範囲に広がりが見られる。
例えば、ニューヨーク公共図書館の中の1つである科学産業ビジネス図書館(SIBL)には、マーケティング、広告、バイオ・テクノロジー、コンピューター等の幅広い分野にわたり、図書・定期刊行物だけでなく、ビジネス関連の視聴覚資料や、最新のビジネスニュースをチェックできるようにケーブルテレビの経済専門チャネル等も資料として扱っている。更に、同図書館における「電子情報センター」では、150種類の商用データベースが館内コンピューター端末や24時間接続可能なインターネット上にて開放され、ニューヨーク市(地域)の主要産業であるファッション、インテリア、出版、金融等における中小企業に対する情報提供や起業・創業を企画・検討している個人への情報提供に貢献している注釈15

注釈15  (出典)「未来をつくる図書館-ニューヨークからの報告-」(菅谷 明子著)

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