親子サークルの代表者たちの会「子育てよもやま交流会」(和歌山県橋本市)

親子サークルの代表者たちの会「子育てよもやま交流会」

1  自治体・団体名: 和歌山県橋本市,橋本市中央公民館

2  自治体・団体の概要
 橋本市は,和歌山県の北東端,紀伊半島のほぼ中央に位置し,北は大阪府,東は奈良県に接する。市の中央を東西に紀の川が流れ,高野街道と伊勢(大和)街道が交差する交通の要衝地である。平成18年3月高野口町との合併後,人口は約7万人(約25,000世帯)となった。
 中央公民館は,昭和51年2月に開館し,その翌年から,中学校区に1館の方針で地区公民館の建設をすすめてきた。現在,8館の地区公民館と1館の分館がそれぞれの地区の特色を生かしながら,住民のニーズに対応したさまざまな活動を展開している。中央公民館は,各地区公民館の連絡調整の中心的な役割を果たしつつ,市内全地域の活動の拠点となり独自の各種事業に取り組んでいる。

3  地域の特徴
 職住近接の衛星都市として昭和51年頃から大規模な住宅開発がスタートして30年。古い町並みと新しい町並み,地元住民と新住民,伝統の歴史文化と新しい暮らし文化,新旧のコミュニケーションを生み出す緑豊かな田園都市である。
 人口は,平成12年までは増加の傾向にあったが,0~14歳の年少人口は平成7年をピークに減少している。また,世帯数は増加しているが一世帯当たりの人員は減少し,母親の就業率は増加している。このように,少子化や子どもを抱える世帯の核家族化が進み,都市化ともあいまって,子育て支援の必要性が高まっている。

4  連携の取組状況
1 連携に至るまでの経緯等
 昭和58年,隅田地区公民館において,一人ぼっちの子どもや一人ぼっちのお母さんをなくすことを目的に,地域で子育てをする場として自主運営の親子サークルが誕生した。その後,各地域からの要望もあり,保健師と公民館が連携し全ての地区公民館を拠点とした親子サークルが次々とできていった。現在,12の親子サークルがあり,300組以上の入園前の親子が参加している。
平成10年,中央公民館では,ネットワーク作りのため,親子サークルの代表者たちの会『子育てよもやま交流会』を発足させ,“寄り合い・語り合い・学びあい”を合言葉に現在も活動を続け交流を深めている。

2 連携した取組の具体的内容・方法・実施状況
内容方法: 月1回・中央公民館に集まり,交流会・講習会・相談等を行なう
開始年度: 平成10年10月
対象: 橋本市内各地域で活動する親子サークルの代表者とメンバー
実施状況: 毎月1回,中央公民館で交流会を行ない,さまざまな意見交換や情報交換を行なっている。子育ての悩みやリーダーとしての課題や問題点を話し合い,それぞれのサークルの質の向上に取り組んでいる。また,講習会などで子育てについて学び,それらの学びをサークルに伝達し実践するきっかけ作りをしている。

3 連携した取組に至る過程での課題や工夫した点・対処法
ア. 情報提供
 各地域の親子サークルに協力を求め,子育て支援情報がより広範囲に伝達できるよう配慮した。また,他サークルの行事や運営方法の情報交換をし,互いの行事に参加し合うことによりサークル活動の活性化につながるよう工夫した。さらに,地域の特色やサークル内の取組の違いを知り,独自の取組方法を見つけ出せるよう,意見交換の充実を図ってきた。
イ. 交流と連携
 よもやま交流会OBメンバーが,サークル活動を通して培ったリーダーの資質を活かし地域のリーダーとして活躍できるよう,よもやま交流会へ講師として参加している。バルーン教室や絵本の読み聞かせ教室などを通じて,子育てネットワークのつながりが深まるとともに,現役メンバーにとっては,OBたちの子育ての経験談から,わが子に必要な実体験や遊びについて考えるよい機会となっている。
 
「バルーン教室」
ウ. 協働で作り出す活動
 おかあさんたちからの要望で,リズム体操の講習会や市内すべての親子を対象にした「大運動会」を計画した。その際,当事者主体で活動できるよう配慮し,企画や運営,プログラム作りまでみんなで協力して開催に至った。その後も,子どもたちが動き回れる機会をもっとたくさん作ってほしいという声が高まり,月1回,県立体育館においてリズム体操をする『それいけ!わんパーク』という企画ができた。現在,『それいけ!わんパーク』については,健康福祉部こども課が担当し,大運動会での協力団体である民生児童委員協議会児童部会が運営し,毎回たくさんの親子が参加している。
 また,市主催事業『健康まつり』にも参加し,リズム体操やバルーン教室などを開催した。多くの一般参加者が集まる場において,それぞれの親子サークルを紹介することで,サークル活動への参加を呼びかけた。
 
「あつまれちびっこ!大運動会」
エ. 相談事業
 各地区担当の保健師が,よもやま交流会や親子サークルに参加することにより親と保健師との間に相談をしやすい身近な関係を築き,安心して子育てができるよう配慮した。

4 連携した取組の成果
ア. 地域を越えた人と人のつながり
 各地域の状況を知りあう情報交換は,他サークルの運営方法を知ることができ,互いのサークルの活性化に役立った。また,サークル内の悩みやリーダーとしての悩みを語り合い,意見交換をすることで対処方法を見つけることができた。地域のすべての子どもたちが健やかに育つことが,わが子の健やかな育ちにつながるという子育てに対する共通意識をサークルのメンバーたちへ広く伝達し互いに学びあう大切さに気付くきっかけとなった。
イ. 行政や他の団体とのつながり
 行政とのつながりをもつことにより,親の率直な声が行政に届けやすくなり,行政側としては全地域からの声を聞く機会となった。また,子育て支援団体との交流を深め,多くの団体と連携したサークル活動ができ,活動の幅を広げることができた。
ウ. 地域の子育て・親育ちのリーダー育成
 サークル卒業後,子育て支援のための活動に関わり,地域ぐるみで子育てをするために力を発揮する活動ができた。子育て講習会や趣味のサークルを作り,親同士が交流を深めている。幅広い地域や年齢層の違うお母さんたちが交流を持つことで,互いに学び合い心豊かな子育てにつながっている。

5 連携した取組の課題
 近年,サークルの参加人数が減少する傾向である。特に3歳児から幼稚園などに入園する子が増えサークル内に3歳児が少ない。数年前までの3~4歳児が多くいた頃は,大きい子が小さい子の面倒を見るなどの関係が成り立っていたが,今では,1~2歳児が中心となり,異年齢の子供たちと交流するというサークルの意味が変化しつつある。ベテランの親も減り,昔に比べサークル自体の活気がない。何年も続けて代表をしていた人は,地域のリーダーにもなっていたし,よもやま交流会の活動も活発に取り組んでいた。しかし,現在,代表者のほとんどが一年交代のため,4月当初は,よもやま交流会の参加の意識も低い。1年の終わる頃には交流も深まり,積極的に取り組むようになるので,せめて代表を2年間継続ができたら効果的ではないかと考える。また,代表者は,親子サークルに入っていない地域のお母さんに声をかけ,進んでサークルに参加を呼びかけられる地域のリーダーとしても活躍できるよう配慮したい。

5  今後の方向性や展望
 人と人をつなぎ,地域の親子が互いに支えあい地域ぐるみで子育てすることが子どもたちの健やかな育ちにつながる。「子育てよもやま交流会」の存在は,地域全体で子育てをすることの大切さを伝達する場としても重要である。リーダーの育成の場としての機能も発揮できるよう,また,親子サークルが更に充実したものとなるよう親のニーズに合った学びの提供と相談体制の充実を図らなければならない。サークルの状況や親のニーズの変化を受け止め,「子育てよもやま交流会」の運営のあり方にさらに工夫が必要であり,支援の質の向上に努め子育て支援のネットワークの強化を図っていきたい。

6  担当者連絡先
 橋本市中央公民館 藤田 ひとみ
  所在地: 〒648-0072 和歌山県橋本市東家1丁目6番27号
電話: 0736-32-0034

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