学校教育法施行規則の一部を改正する省令等の施行について(通知)(令和元年文科初第637号)

元文科初第637号
令和元年8月21日

各都道府県教育委員会教育長
各指定都市教育委員会教育長
各都道府県知事
附属中学校を置く各国立大学法人学長
附属義務教育学校を置く各国立大学法人学長                殿
附属中等教育学校を置く各国立大学法人学長
附属特別支援学校の中学部を置く各国立大学法人学長
構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた各地方公共団体の長

文部科学省初等中等教育局長
丸山 洋司


学校教育法施行規則の一部を改正する省令等の施行について(通知)


 本日,「学校教育法施行規則の一部を改正する省令」(令和元年文部科学省令第12号)【別添1】及び「学校教育法施行規則第77条の2の規定に基づき,授業を,多様なメディアを高度に利用して,当該授業を行う教室等以外の場所で履修させることができる場合を定める件」(令和元年文部科学省告示第56号)【別添2】(以下「告示」という。)が公布,施行されました。
改正及び制定の趣旨,概要及び留意事項については下記のとおりですので,事務処理上遺漏の無いようお願いします。また,当該制度による遠隔教育特例校の指定に係る事項は,「遠隔教育特例校実施要項」(令和元年8月21日文部科学大臣決定)【別添3】のとおりですので,こちらも併せて御確認頂きますようお願いします。
 なお,制度の対象となる学校種は,中学校,義務教育学校後期課程,中等教育学校前期課程及び特別支援学校中学部(以下「中学校等」という。)ですので,都道府県教育委員会におかれては,所管の中学校等及び域内の指定都市を除く市区町村教育委員会に対して,指定都市教育委員会におかれては,所管の中学校等に対して,都道府県知事及び構造改革特別区域法(平成14年法律第189号)第12条第1項の認定を受けた地方公共団体の長におかれては,所轄の中学校等及び中学校等を運営する学校法人等に対して,附属中学校等を置く国立大学長におかれては附属中学校等に対して周知を図るようお願いします。




第1 制度改正の趣旨
 Society 5.0時代の到来を見据え,すべての児童生徒にこれからの時代に求められる資質・能力を育成するためには,質の高い教育を実現するための先端技術の活用を推進していくことが重要であり,文部科学省が本年6月に取りまとめた「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)」においても,希望する全ての学校が遠隔教育を実施することができるよう,必要な施策を実施していくこととしている。その具体策の一つとして,多様なニーズに応じた中学校等における遠隔教育に関する新たな特例校制度(遠隔教育特例校制度)を創設するために,制度改正を行うものである。
 具体的には,中学校等において,地域の実態に照らし,より効果的な教育を実施するために必要がある場合であって,生徒の教育上適切な配慮がなされているものとして文部科学大臣が定める基準を満たしていると認められる場合には,授業を,多様なメディアを高度に利用して,当該授業を行う教室等以外の場所で履修させることができる規定を,学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号。以下「施行規則」という。)に位置付けることとする。
 これにより,中学校等が必要と判断し,文部科学大臣が定める基準を満たしていると認められる場合には,受信側の教員が当該教科の免許状を有していない状況でも,遠隔にて授業を行うことを可能とするものである。なお,受信側の教員が当該教科の免許状を有している場合には,申請等を行う必要はなく,従来どおり,各中学校等の判断で実施可能である。


第2 制度改正の内容
1.中学校等は,当該中学校等又は当該中学校等が設置されている地域の実態に照らし,より効果的な教育を実施するために必要がある場合であって,生徒の教育上適切な配慮がなされているものとして文部科学大臣が定める基準を満たしていると認められるときは,文部科学大臣が別に定めるところにより,授業を,多様なメディアを高度に利用して,当該授業を行う教室等以外の場所で履修させることができることとすること。(施行規則第77条の2の新設)
2.「文部科学大臣が別に定めるところ」とは,文部科学大臣が,中学校等において,生徒の教育上適切な配慮がなされているものとして次に掲げる基準を満たしていると認めて,当該中学校等を指定する場合とすること。(告示の制定)
 1 当該授業が,通信衛星,光ファイバ等を用いることにより,多様なメディアを高度に利用して,文字,音声,静止画,動画等の多様な情報を一体的に扱うもので,同時かつ双方向に行われるものであって,対面により行う授業に相当する教育効果を有するものであること。
 2 当該授業を,当該授業を行う教室等以外の場所で履修させることが,当該授業の内容や教科等の特質に照らして適切であること。
 3 当該授業を行う者は,当該授業の教科に相当する中学校の教員の免許状を有する当該中学校等の教員であること。
 4 生徒が当該授業を履修する場所に中学校の教員の免許状を有する当該中学校等の教員が配置され,前号の教員と十分に連携し,生徒の学習の状況の把握に特に意を用い,適切な指導を行うこと。
 5 電子計算機その他の機器の故障により学習に支障を生じないよう適切な配慮がなされていること。
 6 教科等の特質に応じ,対面により行う授業を相当の時間数行うこと。
 7 前各号に掲げるもののほか,当該授業の内容及び形態を踏まえ,教育上必要な配慮がなされていること。


第3 留意事項
1.学校教育法(昭和22年法律第26号。以下この節において「法」という。),施行規則及び中学校設置基準(平成14年文部科学省令第15号),公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律(昭和33年法律第106号),中学校学習指導要領等の関係法令等に基づく授業とすること。特に,以下のような事項に留意すること。
 1 中学校,義務教育学校後期課程及び中等教育学校前期課程にあっては,中学校設置基準第4条の規定等に基づき,同時に授業を受ける一学級の生徒数は原則として40人以下とすること。この場合,受信側の教室等のそれぞれの生徒数が40人以下であっても,それらを合わせて40人を超えることは原則として認められないこと。
   特別支援学校の中学部にあっては,施行規則第120条第2項の規定に基づき,同時に授業を受ける一学級の生徒数は,原則として,視覚障害者又は聴覚障害者である生徒に対する教育を行う場合は10人以下,知的障害者,肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。)である生徒に対する教育を行う場合は15人以下を標準とすること。この場合,考慮すべき生徒数は配信側及び受信側の教室等の合計数であることに留意すること。
 2 法第34条第1項の規定を準用する法第49条等の規定に基づき,文部科学大臣の検定を経た教科用図書等を使用しなければならないこと。ただし,同じく法第49条等で準用する法第34条第2項及び第3項の規定等により,学習者用デジタル教科書を使用することも可能である。また,特別支援学校の中学部にあっては,施行規則第131条第2項,特別支援学級にあっては,施行規則第139条の規定にも留意すること。
 3 学習評価は,当該授業を行う教員たる配信側の教員が,必要に応じて,受信側の教員の協力を得ながら行うこと。
2.告示に規定するとおり,授業の実施に当たっては,対面により行う授業に相当する教育効果を有するよう行うことが必要であり,各中学校等においては,以下のような事項について配慮すること。
 1 授業中,配信側の教員と生徒及び生徒同士が,互いに映像・音声等によるやりとりを行うこと。その際,配信側と受信側の教員の協力により,配信側の教員の示す板書や資料等を生徒が見やすくなるよう工夫するとともに,配信側の教員が受信側の教室等における生徒のノート等の記述を確認したり,生徒同士のやり取り等の状況等を把握したりしやすくなるよう工夫すること。
 2 生徒の配信側の教員に対する質問の機会を確保すること。
 3 受信側および配信側の教室等に,必要に応じ,機器の管理・操作を行う補助員を配置すること。
3.告示に規定するとおり,実施する授業は,授業の内容や教科等の特質に照らして遠隔で行うことが適切であるものに限ること。例えば,保健体育科の実技や,技術・家庭科の調理実習の授業など,配信側の教員が受信側の生徒や生徒がいる場所にある器具に直接触れることができないことにより,安全上の問題等が発生しうる内容の授業は原則として認められないこと。
4.告示に規定するとおり,配信側の教員は,当該授業の教科に相当する中学校の教員の免許状を有する者である必要があること。また,配信側の教員は受信側の中学校等の教員としての身分を有する必要があること。具体的には,配信側の教員が受信側の中学校等の本務の教員ではないときは,兼務発令等により受信側の中学校等の教員の身分を配信側の教員に持たせる等の必要があること。
5.机間巡視や安全管理等を行う観点等から,告示に規定するとおり,受信側の教室に当該中学校等の教員を配置すること。特に,特別支援学校の中学部にあっては,当該生徒の障害の状態等に応じた十分な配慮が求められること。なお,受信側の教室に配置すべき教員は,当該教科の免許保有者であるか否かは問わないこと。
6.告示に規定するとおり,授業の実施に当たっては,機器の故障や回線の障害等により学習に支障を生じないよう行うことが必要であり,各中学校等においては,以下のような事項に配慮すること。
 1 配信側および受信側の教室等に,ICT支援員などの技術補助者を配置すること。
 2 必要に応じて,授業実施用回線の他に,配信側と受信側を繋ぐ緊急連絡手段を別途設けておくこと。
7.施行規則第77条の2の規定の,「授業を行う教室等」には,当該中学校等の教室のほか,当該中学校等以外の学校の教室,スタジオ等が含まれるため,授業を行う場所には教員のみがいて,履修を行う生徒がいない場合も遠隔教育に含まれること。
8.病気療養児に対する遠隔教育については,「小中学校等における病気療養児に対する同時双方向型授業配信を行った場合の指導要録上の出欠の取扱い等について」(平成30年9月20日初等中等教育局長通知)にあるとおり,受信側に保護者や医療・福祉関係者等がいれば,受信側に必ずしも教員がいなくても,遠隔授業を行った場合に指導要録上出席扱いとすること及びその成果を当該教科等の評価に反映することができることとなっており,本制度改正後も,引き続き指導要録上の例外として認めること。
9.市区町村(指定都市を除く。特別区及び一部事務組合を含む)が設置する中学校等においては,県費負担教職員の任命権者である都道府県教育委員会と適切に連携して行うこと。
10.その他各中学校等における遠隔教育の導入に当たっては,「遠隔学習導入ガイドブック」,「遠隔教育の推進に向けた施策方針」(平成30年9月14日遠隔教育の推進に向けたタスクフォース)も参照されたいこと。

別添

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課 教育制度改革室

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(初等中等教育局初等中等教育企画課 教育制度改革室)