小・中学校等への就学について

民法等の一部を改正する法律の施行について(通知)

                                                    23文科初第1342号
平成23年12月16日

各都道府県教育委員会教育長
各指定都市教育委員会教育長
各都道府県知事
附属学校を置く各国立大学長        殿
構造改革特別区域法第12条第1項の
認定を受けた各地方公共団体の長

文部科学省初等中等教育局長
 山中伸一
 (印影印刷)

民法等の一部を改正する法律の施行について(通知)

    民法等の一部を改正する法律(平成23年法律第61号。以下「改正法」という。)については、本年3月4日に第177回国会に提出され、5月27日に成立し、6月3日に公布されたところです。改正法は、一部の規定を除き公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行されることとなっています。
   このたび、改正法の施行期日を定める政令が公布され、平成24年4 月1日から改正法が施行されることとなりました。
   改正の趣旨、初等中等教育関係の改正内容及び留意事項等は下記のとおりですので、十分に御了知の上、各都道府県・指定都市教育委員会におかれては、所管の学校及び域内の市町村教育委員会に対して、各都道府県知事部局及び小・中学校を設置する学校設置会社を所轄する構造改革特別区域法(平成14年法律第189号)第12条第1項の認定を受けた地方公共団体の首長部局におかれては、所轄の学校及び学校法人等に対して、各国立大学長におかれては、附属学校に対して、周知を図るようお願いします。 

第1 改正の趣旨

   児童虐待の防止等を図り、児童の権利利益を擁護する観点から、親権の停止制度を新設し、法人又は複数の未成年後見人を選任することができるようにすること等の措置を講ずるため、民法等の改正を行うものである。

第2 学校教育法の一部改正関係(改正法附則第7条)

イ   改正法により、未成年後見人として複数の者や法人を選任することができることとされた。(民法第840条第2項及び第3項関係)
    これにより、複数の者や法人が学校教育法(昭和22年法律第26号)第16条に定める保護者になり得ることとなること。            

ロ   複数の者が未成年後見人として選任された場合、学校教育法第17条第1項及び第2項に定める義務(以下「就学義務」という。)は未成年後見人全員に課されること。就学義務の履行の督促を受け、なお履行しなかった(以下「就学義務不履行」という。)場合、各未成年後見人に対し、10万円以下の罰金が科されること。(学校教育法第144条関係)
   なお、子の就学について未成年後見人間で意見の相違がある場合、未成年後見人間で相談の上、就学の意思決定を行うこととなること。

ハ   法人が未成年後見人として選任された場合、就学義務は当該法人に課されること。就学義務不履行があった場合、法人に対し、10万円以下の罰金が科されること。

※   今回の学校教育法改正においては、法人が未成年後見人として選任された場合に、法人にも罰金を科すようにするため、以下のとおり同法第144条に第2項(下線部)を追加。


学校教育法(抄)

   第144条 第17条第1項又は第2項の義務の履行の督促を受け、なお履行しない者は、10万円以下の罰金に処する。

(2) 法人の代表者、代理人、使用人その他の従業者が、その法人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対しても、同項の刑を科する。

 
第3   その他の改正について

   上記第2以外の民法等の改正点については、別添の法令のあらましを参照されたい。


第4 施行期日

   学校教育法の一部改正の規定は、平成24年4月1日から施行する。

(別添) 

法令のあらまし

◇民法等の一部を改正する法律(法律第61号)(法務省)

一 民法の一部改正関係

1   離婚後の子の監護に関する事項の定め等
   父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定めるものとし、この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならないこととした。(第766条関係)

2   15歳未満の者を養子とする縁組
   15歳未満の者を養子とする縁組について、その法定代理人が養子となる者に代わって縁組の承諾をするには、養子となる者の父母で親権を停止されているものがあるときは、その同意を得なければならないこととした。(第797条第2項関係)

3   親権の効力
   親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負うこととするとともに、懲戒に関する規定について所要の見直しを行うこととした。(第820条及び第822条関係)

4 親権の喪失
   (一)父又は母による虐待又は悪意の遺棄があるときその他父又は母による親権の行使が著しく困難又は不適当であることにより子の利益を著しく害するときは、家庭裁判所は、子、その親族又は未成年後見人等の請求により、その父又は母について、親権喪失の審判をすることができることとした。ただし、2年以内にその原因が消滅する見込みがあるときは、この限りでないこととした。(第834条関係)
   (二)父又は母による親権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、子、その親族又は未成年後見人等の請求により、その父又は母について、2年を超えない範囲内の期間を定めて親権停止の審判をすることができることとした。(第834条の2関係)
   (三)父又は母による管理権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、子、その親族又は未成年後見人等の請求により、その父又は母について、管理権喪失の審判をすることができることとした。(第835条関係)

5   未成年後見
   未成年後見人に複数の者又は法人を選任することができるようにするための所要の規定の整備を行うとともに、その選任に当たり家庭裁判所が考慮すべき事情を明記することとした。(第840条、第842条及び第857条の2関係)

6   その他
   民法の改正に伴い、家事審判法及び戸籍法について所要の改正を行うこととした。


二 児童福祉法の一部改正関係

1   一時保護
(一)都道府県児童福祉審議会の意見の聴取
     引き続き一時保護を行うことが児童の親権を行う者又は未成年後見人の意に反する場合においては、児童相談所長又は都道府県知事が引き続き一時保護を行おうとするとき、及び引き続き一時保護を行った後2月を経過するごとに、都道府県知事は、都道府県児童福祉審議会の意見を聴かなければならないこととした。ただし、当該児童に係る施設入所等の措置の承認の申立て又は当該児童の親権者に係る親権喪失若しくは親権停止の審判の請求がされている場合は、この限りでないこととした。(第33条第5項関係)
(二)児童相談所長の権限等
  (1)児童相談所長は、一時保護を加えた児童で親権を行う者又は未成年後見人のないものに対し、親権を行う者又は未成年後見人があるに至るまでの間、親権を行うこととした。(第33条の2第1項関係)
  (2)児童相談所長は、一時保護を加えた児童で親権を行う者又は未成年後見人のあるものについても、監護教育及び懲戒に関し、その児童の福祉のため必要な措置をとることができるものとし、当該児童の親権を行う者又は未成年後見人は、当該措置を不当に妨げてはならないこととした。(第33条の2第2項及び第3項関係)
  (3) (2)による措置は、児童の生命又は身体の安全を確保するため緊急の必要があると認めるときは、その親権を行う者又は未成年後見人の意に反しても、これをとることができることとした。(第33条の2第4項関係)

2   児童相談所長による親権喪失の審判等の請求
   児童又は児童以外の満20歳に満たない者(以下「児童等」という。)の親権者に係る親権喪失、親権停止若しくは管理権喪失の審判の請求は、一の4の(一)から(三)までに定める者のほか、児童相談所長も、これを行うことができることとした。(第33条の7関係)

3   児童相談所長による未成年後見人の選任の請求
   児童相談所長は、親権を行う者のない児童等について、その福祉のため必要があるときは、未成年後見人の選任の請求をしなければならないこととした。(第33条の8第1項関係)

4   養育里親の欠格条項
   養育里親の欠格条項から、本人の同居人が成年被後見人又は被保佐人であることを除くこととした。(第34条の19第1項関係)

5 児童福祉施設の長等の権限等
   (一)児童相談所長は、小規模住居型児童養育事業を行う者又は里親に委託中の児童等で親権を行う者又は未成年後見人のないものに対し、親権を行う者又は未成年後見人があるに至るまでの間、親権を行うこととした。(第47条第2項関係)
   (二)児童福祉施設の長、小規模住居型児童養育事業におけるその住居において養育を行う者又は里親((三)において「児童福祉施設の長等」という。)は、入所中又は受託中の児童等で親権を行う者又は未成年後見人のあるものについても、監護、教育及び懲戒に関し、その児童等の福祉のため必要な措置をとることができるものとし、当該児童等の親権を行う者又は未成年後見人は、当該措置を不当に妨げてはならないこととした。(第47条第3項及び第4項関係)
   (三)(二)による措置は、児童等の生命又は身体の安全を確保するため緊急の必要があると認めるときは、その親権を行う者又は未成年後見人の意に反しても、これをとることができることとした。この場合において、児童福祉施設の長等は、速やかに、そのとった措置について、都道府県又は市町村の長に報告しなければならないこととした。(第47条第5項関係)

三   この法律は、養育里親の欠格条項に関する改正規定等を除き、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとした。

お問合せ先

初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室

電話番号:03-5253-4111(内線2007)

(初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室)

-- 登録:平成23年12月 --