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2.(1)13.東京都武蔵野市教育委員会/武蔵野市立第五小学校

セカンドスクール

市の取組の概要について

 平成元年度に学校経営検討委員会で提言されたセカンドスクールは、翌年度からの「セカンドスクール構想委員会」「同構想策定委員会」の検討を経て、3年間の試行の結果、平成7年度から全小学校の第5学年で、また平成8年度からは全中学校の第1学年においても本格実施し、現在に至っている。
 セカンドスクールは、武蔵野市立小学校の第5学年と中学校の第1学年全員が、通常の授業(ファーストスクール)では得られない体験による学習を、授業の一部として自然豊かな農山漁村に長期滞在して実施する。
 各校は、第一学期または第二学期の期間中に、小学校は6泊7日から9泊10日、中学校は4泊5日を、総合的な学習の時間のほか、理科、社会、国語等を実地にて体験する授業として教育課程に位置付け、年間指導計画に織り込んでいる。
 セカンドスクールは、1自然との触れ合いを通して、物質的な豊かさの中で失われてきている自然と人間との共生、環境保全の必要性、自然に対する畏敬の念などについて体験し、自然を大切にしようとする態度を育てる、2長期の宿泊による生活時間を活用し、生活上の自立に必要な知識・技能や生活習慣を身につけるとともに、一人一人の子どもの創意を喚起し、情操を涵養し、個性の伸長を図る、3学習の場を移し、自然や地域の特性を活かした教材開発や学習方法を工夫し、一人一人の子どもに新たな興味・関心を喚起し、学習のつまずきを克服するとともに、体験に裏付けられた生きた学力の向上を図る、4自主的な集団生活や地域の人々との交流を通じて、子どもたちの相互の協力や子どもと教師との間の信頼関係と人間関係を深め、また保護者や地域の人々に対する感謝の念を育てる、ことを目的とし、山形県、新潟県、富山県、長野県、群馬県等で実施している。

【セカンドスクールの特色】

  • 1 教育課程に位置付けるために、実施地や体験活動内容は各小中学校で検討し、現地との調整に基づいて設定するため、既成のプログラムを利用する場合と異なり、各学校ごとに特色のある内容となっている。
  • 2 子どもたちの自主性や協調性、他者とかかわる力を培うために民泊を取り入れ、小学校ではほとんどの日程を農家または兼業民宿へ少人数で宿泊し、集団での活動以外に各宿泊先の方々の指導による、現地での生活体験を行っている。引率教員のほか、各宿泊先には教員養成課程履修中の学生等を学習・生活指導員として配置する。
  • 3 セカンドスクールでの学習効果をさらに高めることを目的とし、平成17年度からはプレセカンドスクールを全小学校の第4学年で2泊3日の日程で実施している。

 教育委員会では、年度当初に学校の担当教員に説明会を行い、実施の留意点を確認している。また、前年度に提出する実施計画及び教育課程の届出と実施年度に行うヒアリングにより、各校の予算と実施内容を把握し、調整と指導、助言を行っている。

武蔵野市立第五小学校の取組の概要について

○本校の概要

 本校は武蔵野市のほぼ中央に位置し、JR中央線三鷹駅の北、徒歩20分程の住宅街に位置している。学校の西側には畑が点在し、なし・ブルーベリー・栗などの栽培農家もある地域である。しかし、農業を営む家庭の児童は現在在籍していない。

○本校の取組について

 平成15年度から本校では、現在実施している群馬県利根郡川場村で、7泊8日(現在は5月の下旬から6月初旬)のセカンドスクールを実施している。
 川場村は、世田谷区と健康村協定を結び、20年以上前から小学校5年生を対象にした移動教室を実施している地域である。また、地域に根ざした民宿が古くからあり、村役場や観光協会の協力を得ることができる環境にある。
 また、村の名前のように、身近に手頃な川があったり、りんごやブルーベリーなどの果樹栽培が盛んであったり、手頃な範囲の中で様々な自然体験活動が可能な場所である。本校では、1自ら進んで、活動したり学習したりする力を育てる、2ファーストスクールで学習した事柄を、自然の中で検証したりさらに深めたりする、3家庭を離れて生活することを通して、自立心を養う、4長期に渡る集団生活の中で、一人一人のよさを認め、互いに協力し合うことの大切さを学ぶ、の4つを「ねらい」として、長期宿泊体験教室を実施している。

取組の実施に際して

(1)セカンドスクールへ向けての事前学習

○4年生の1学期

 セカンドスクールを終了した5年生の報告会に参加する。(4年の2学期に、同じ川場村で実施するプレセカンドスクール「2泊3日」への興味関心を高める)

○4年生の2学期

 プレセカンドスクール(10月中旬)の実施
 りんご狩り体験、稲刈り体験、乳搾り体験 など

○5年生の1学期(実施前)

 川場村の詳しい場所や地理的な特徴を調べる。川がたくさんあることや、果樹栽培が盛んなことを知り、自分で調べたいことを明確にしていく。
 調べたい課題を中心に、活動班を編成し「学習テーマ」を決めていく。その後、川場村との比較をしたりするために、農協や学校近くの畑に行ってインタビューをしたり、図書室で参考図書を活用し調べたりしながら、学校付近の様子について調べ、まとめたことを発表する。

(2)保護者との連携

  •  保護者説明会を開催し、充分に活動内容や指導体制について、前年度実施の記録ビデオ等を活用して周知する。また、個人的な心配事等についても「セカンドスクール連絡カード」を通じて行い、緊急時の連絡先等複数記入してもらう。また、必要に応じて直接面談等を実施する。
  •  事前に宿泊先での献立一覧表(全民宿共通献立)を配付し、アレルギー等による除去や代替え等の調整を実施し、宿泊先民宿と事前協議を実施する。特に、そばアレルギー児童等には、そば打ち体験やそば枕の使用などを細かくチェックする必要がある。
  •  また、心疾患や夜尿症等の既往症がある児童に対しても、各宿泊先と充分に連携・協力を得なければならない。

(3)実地踏査による現地との連携

  •  川場村観光協会を窓口にし、実地踏査以前に本年度の計画を送付し、検討課題を明確にし、双方で事前に調整可能な項目については調整を行う。
  •  実地踏査当日は、まず、事前に調整が進まなかった事柄等について確認を行い、実地に確認しなくてはならないポイントを整理する。
  •  各宿泊施設にあいさつを兼ねて回り、施設の改善点や変更点を確認する。また、各宿泊施設の方々に、宿泊予定日・人数や顕著な児童の実態等をある程度伝え、受け入れ体制を整えていただく。
  •  緊急時搬送先となる、病院等との連携も重要事項である。
  •  実地踏査時に、解決できなかった課題については、帰校後しっかり連携し速やかに準備できるよう調整する。


(4)セカンドスクール学習・生活指導員等との指導・調整

  •  指導員の選任は、各学校に任されている。本校は、前年度参加してくださった方々に連絡し、参加可能か確認することからスタートする。
  •  指導員の選任にあたっては、教職課程履修者や地域キャンプ行事指導員等を中心に進めている。
  •  事前に学校に2回来てもらい、関係書類を作成してもらうとともに、打ち合わせ資料をもとに、ねらいや仕事内容や実施期間中「先生」と呼ばせる等の注意事項を確認する。また、担当する宿舎の特徴や学習内容や共に生活する児童の健康面を含めた情報を提供している。
     実際に担当する児童との顔合わせを兼ねて、食事会等を実施し、交流を図っている。

活動内容等について

(1)活動内容について

 セカンドスクールの活動内容は、大きく分けて「テーマ別班活動」「全体での体験活動」「宿舎での活動」の3つの活動がある。

【テーマ別班活動】

 事前学習で各個人の課題を元に活動班を編制し、班ごとに大きなテーマを設定し課題探求活動を実施する。
 各班のテーマは「川場村のブルーベリーのつくり方」「川場村の川棲むに生き物」「川場村のりんごはどんなりんごなのか」「川場村の名産(野菜・山菜)を調べる」「果物の川場村ならではの育て方を調べる」「川場村の川の生き物」計6つのテーマは、民宿ごとに分かれている。
 現地では、これらのテーマに造詣の深いインストラクターや各民宿の方々にご支援いただき、テーマに沿った課題解決に向けた活動が、午前または午後(1回3時間程度)に合計5回程実施している。自分たちが調べたいことを膨らませながら、インストラクターの協力をいただき、いきいきと追求している。

≪活動例1「川場村の名産(野菜・山菜)を調べる」≫
  • 1桐木平で山菜を採取しながら、インストラクターに山菜の種類、生育場所などを教えていただく。
  • 2田園プラザで野菜の販売価格を調べた。事前学習で、JA東京むさしのに行き、調べておいた野菜の値段と比べ、どうして安値で売ることができるのかを調べた。その後、農園に行き、現地で栽培している農家の人にインタビューして、栽培方法などについて調べた。
  • 3マルチ農法について話を聞き、実際に自分たちも畑で体験してみた。体験を通して、時期をずらして出荷できるのか、その理由や工夫を学ぶことができた。
  • 4こんにゃく芋から、こんにゃく作りを体験した。
  • 5報告会に向けて、まとめの活動を行った。



≪活動例2「川場村の川に棲む生き物」≫
  • 1清流公園(薄根川下流)で川に棲む生き物を採集
  • 2桜川中流で、川に棲む生き物を採集
  • 3桜川上流で、川に棲む生き物を採集
  • 4図鑑などを使って、採集した生き物のことを調べたり、上流から下流にかけて、棲む生物がどのように変化しているかをまとめた。
  • 5報告会に向けて、まとめの活動を行った。

【全体での体験活動】

≪活動例1 ぞうり作り体験≫

 昔ながらのわらぞうり作り体験をした。インストラクターの方から、ぞうりの作り方を丁寧に教えていただいた。
 限られた時間の中で一足作り上げることは無理であろうとの判断から、半分以上を事前に作っておいていただき、最後の仕上げを子どもたちが行うように工夫し実施した。器用な子どもは、小さいながらも見よう見まねで一足完成させる者もいた。自分のぞうりをその場ではき、嬉しそうに歩き回っている姿が印象的だった。

≪活動例2 田植え体験≫

 お世話になる民宿から田んぼを借りて、全員で田植えを行った。昨年稲刈りをした場所でもあるため、実りの秋をイメージしながら活動することができた。
 田植えを初めて経験する子どもがほとんどで、苗の持ち方から一つ一つ教えていただいた。また、川場村の米がおいしい理由などを教えていただき、充実した活動となった。

≪活動例3 りんごの摘果作業体験≫

 2つのりんご栽培農家に分かれ、りんごの摘果作業を体験した。
 直径2〜3センチメートルほどに成長した小さなりんごの実を、中心果だけを残し、周りの実を専用のハサミで摘んでいく作業で、子どもたちは「なぜわざわざ育ちかけの実を切り落とすのだろう」という疑問があった。農家の方から、大きくおいしいりんごを作るために必要な作業であることを教えていただいた。
 おいしいりんごを収穫するための、工夫や努力を学ぶことができた。

≪活動例4 雨乞山ハイキング≫

 自分たちが生活・活動している川場村や周辺の地形などを、一望することができる雨乞山に全員で登った。
 頂上からは、赤城山・榛名山などの山々や沼田市の地形、赤城山麓の土地の利用、4年の時に散策した村内の場所などを確認し、有意義な体験を行った。

≪活動例5 薄根川での活動(自然体験・釣り体験)≫

 川の水を利用している釣り堀で、一人一匹ニジマス釣りを体験する。
 そのニジマスをすぐに、塩焼きにして食べるとき「さっきまで生きていたのにかわいそう」と言う子どももいた。普段学校給食などでは聞かれない感想で、改めて「いただきます」の意味を考えるいい機会となった。

【宿舎での活動】

≪活動例1 郷土料理作り(そば打ち・うどん打ち・餅つき)体験≫

 各民宿ごとに、お父さんやお母さんに教えていただきながら、昔から地域などで行っていたそば打ちなどに挑戦した。ほとんどの子どもが初めての経験で、そばを恐る恐る切ったり、機械から出てくるうどんに歓声をあげていた。どの民宿でも、自分で作った食事はおいしかったと報告してくれた。

≪活動例2 状差し作り体験≫

 民宿のお父さん方に講師役になっていただき、状差しを制作した。普段なかなかゆっくりとふれ合う時間がなかった、民宿のお父さんやお母さんとふれ合いながら、釘の打ち方や紙やすりのかけ方などを教えていただいた。その後、それぞれの思い思いに、マーカーペンなどを利用して絵やメッセージを描き、思い出に残る作品を仕上げた。

(2)教職員のかかわり方

 基本的には、本部宿舎(ホテルSL)で生活する。全体活動では、集合場所に各民宿から送ってもらう子どもたちと合流できるようにし、インストラクターの方と協力して活動を支え、記録等をする。
 テーマ別班活動は、事前に活動場所を確認しておき、教員は手分けをして活動記録や行動観察をし、必要に応じて指導員などに助言をする。
 夜回りの実施については、夕食後各民宿を回り、今日の反省や活動記録のチェックを行うとともに、健康カードの確認等を看護師ともども毎晩行う。
 また、指導員からの連絡に応じて、必要物品を届けたり児童の指導に当たっている。

(3)事後の学習指導等

○1学期

 実施後、6月半ばにはテーマ別班活動のまとめをし、4年生児童並びに保護者向けて、セカンドスクール報告会を実施している。

○2学期

 お世話になった民宿の方々を学校にお招きし、4年生が収穫した米を使って、餅つきなどを行う、川場交流会を実施している。

(4)反省と課題

 7泊8日と長期になるので、身の回りの片付け等がしっかりとできるかが大きな問題となる。また、1学期中の実施については、指導員の確保が年々難しくなってきている状況もある。






-- 登録:平成21年以前 --