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平成23年度教職課程認定大学実地視察について

中央教育審議会初等中等教育分科会
教員養成部会

1.実地視察の目的

 教職課程認定大学実地視察の目的は、教職課程認定大学実地視察規程(平成13 年7月19 日教員養成部会決定)に基づき、教員の免許状授与の所要資格を得させるための大学の課程(以下「教職課程」という。)の認定を受けた大学について、認定時の課程の水準が維持され、その向上に努めているかどうかを確認することである。

2.概要

(1)総括的事項

  • 全体として、多くの大学の教職課程は、教育職員免許法、教育職員免許法施行規則及び教職課程認定基準を満たしていた。
  • 特に、以下のように、各大学又は学部の特色を活かした取り組みも確認された。
     

【大阪芸術大学】

  •  芸術学部という専門性の高い学部において教員養成を行っているが、学長を中心として教員養成課程の質の向上に対する努力の姿勢が伺われ、各学科における教職指導では、教職に関する科目を担当する教員のみならず教科に関する科目を担当する教員も含めて、教職を志す学生に対して、教員として必要な最低限の知識技能を身に付けさせる観点から、特定の専門分野だけでなく幅広く専門分野を修めるよう履修指導を行っている。

【関西外国語大学】

  •  大学の特色を活かしたカリキュラム編成、授業内容及び教員組織等が十分に機能しているほか、全学的組織である教職英語教育センターが、学生はもとより卒業生に対しても手厚く履修指導及び就職サポートを行っており、免許状取得者数226 人の47%にあたる106 人が教職に就いている。
  • また、教職課程の学生に対し年次ごとにTOEFL の必要最低点を設けているほか、英語教育地域貢献事業や海外の学校での教育現場体験等、多様な機会を学生に積極的に提供し、質の高い教員養成を目指している。

【慶應義塾大学】

  • 教職課程センターを中心に教職課程に関するカリキュラム、シラバス、教員人事等について、各部局と協議・連携を図っており、全学的な組織として十分に機能している。
  • 大学独自の教職指導のためのシステムである「教職ログブック」により、教職を志す学生同士が授業内容・評価等を共有できるほか、個別の学生の学修状況を学生と教員・事務担当者の間で、又は教員間で把握することが可能となっており、きめ細やかな履修指導が行われている。
  • 学生に対し、教育実習前に実力テストを課すことにより、学生が教育実習を受けるにあたって最低限の教科専門の知識及び技能を有しているかを厳しく確認している。

【高松大学(発達科学部)】

  • 教育実習にあたっては、遠方の学生に対しても担当教員が必ず訪問指導をすることとしており、大学が責任を持って教育実習に関する指導を行おうとする姿勢が伺われるなど、教職を希望する学生の自己実現を、履修指導・就職支援を通じ力強くサポートしている。
  • また、学校の教員としての勤務経験がある、いわゆる実務家教員の登用について、当該教員の知見の理論化や一般化に係る業績が十分でない場合、まずは講師等として採用をし、その後研究業績を積んだ上で専任教員として登用しているなど、計画的な教員人事配置に努めている。

【都留文科大学】

  • 現場の課題を理論化させるための「研究力量」をベースにして教員養成を担うという大学全体の教員養成の理念を明確にしつつ、地元学校と緊密に連携を図り、理論と実践の往還及び個々の学生の課題に対応可能な教職カリキュラムの改革を行っている。また、これら取り組みが小学校教員養成課程のみならず、中等教育教員養成の課程を置く学科においても強く意識され、各々の教員組織、教育課程において具現化されている。
  • 図書館には、最新の教科書が揃えられており、かつ、学生が手に取りやすい場所に置かれているなどの工夫が見られるほか、教職を目指す学生に必要な図書及び雑誌類が十分に揃えられている。
  • 一方で、以下の例に示すように、教職課程を運用する全学的組織が存在しない、又はマネジメントが不十分であり、大学として養成したい教員像も不明確な結果、教職課程及び教職指導体制が確立されていない大学も多く見られた。

 

  • 教職課程が全学的に機能しておらず、大学として養成したい教員像が各学科等まで共有されていない。このため、教職を志す学生が少ない学科等においては、教職指導がほとんど行われていない。
  • 教職に関する科目の多くが1名の専任教員に集中しており、当該担当教員の専門性に疑義が生じかねない状況となっている。
  • 「各教科に含めることが必要な事項」の内容が授業計画に含まれていない。
  • 教職関係の図書について最新のものが揃えられておらず、また、雑誌類がほとんど備えられていないため、学生が近年の教育理論や教職を巡る種々の課題等について情報収集することが困難となっている。
  • 小学校の教員養成を担っているにも関わらず理科の実験室が整備されていない、並びに中学校及び高等学校教員(理科)の養成課程を有しているにも関わらず理科の実験(物理・化学・生物・地学)全てを同じ実験室で行っているなど、実践的指導力を身につけるための設備が十分でない。
  • 教育実習について、母校実習を原則とし、大学として実習校の確保及び実習生への指導を行っていない。

(2)個別的事項(個々の具体的評価、指摘・指導等)

【教員養成に対する理念、設置の趣旨等の状況】

  • 平成18 年7月の中央教育審議会答申「今後の教員養成・免許制度の在り方について」(以下「中教審答申」という。)は、教職課程の質の維持・向上を促すため、教職課程の認定に係る審査について、大学の教員養成に対する理念や教職課程の設置の趣旨、責任ある指導体制等を審査対象とすることが適当である旨提言している。
  • このことを踏まえ、実地視察大学の運営状況を確認したところ、多くの大学において、教員養成に対する理念等を掲げているものの、その理念等を具現化するための具体的な組織体制及び履修指導体制が整備されている大学は、決して多いとは言えなかった。
  • 特に、複数の学科等において教員養成を行っている場合に、
    • 一部の学科等では学校現場体験等種々の取組を積極的に行っているにも関わらず、その取組が他学科等にまで広まっていない
    • 教職に関する科目を共通に開設しているにも関わらず、それぞれの学科等において扱う内容が異なっている

などの事例があった。

【教員養成カリキュラム委員会等の全学的組織の状況】

  • 中教審答申では、教職課程の運営や教職指導を全学的に責任を持って行う体制を構築するため、「教員養成カリキュラム委員会」等の全学的組織の機能の充実について提言している。
  • この点、既に多くの大学では全学的組織を整備しているが、学部学科等における組織化にとどまっている大学も一部あった。また、全学的組織は整備されているものの、実質的に機能しているとは言えない大学もあり、その運営状況については、大学によって差が見られた。
  • このため、一部の大学には、全学的組織の役割として、各学部・学科間の調整だけでなく、教科に関する科目を含めた教職科目の内容の確認、教職科目担任教員間の連絡調整、教職科目の履修時期の検討など、その機能強化を求めた。

【教育課程(教職に関する科目等)、履修方法、シラバス及び教員組織の状況】

  • 教職課程における科目の開設状況及び教員組織については、全体的に、法令や認定基準を満たしていた。しかし、基準上開設することが必要とされている科目数や必要専任教員数を満たしていないため、早急に改善するよう求めた大学も一部あった。
  • また、本年度も、昨年度に引き続き、中学校又は高等学校の教職課程を有する大学の「教科に関する科目」の共通開設状況について、いわゆる「全学共通科目」や「学部共通科目」を免許法施行規則第4条及び第5条に定める科目区分の半数を超えて「教科に関する科目」に充てている大学に対し、改善を求めた。
  • また、「教職に関する科目」については、同一名称の授業科目を複数開講し、それぞれ担当する教員が異なる場合に、担当する教員によって授業内容が大きく異なる大学が多数見られた。
    この点、教員免許状を授与する課程が、大学における養成としての多様性と資格課程としての標準性の両面が求められていることを踏まえると、各科目内容は、授業担当教員の専攻分野によるのではなく、公教育の直接の担い手である教員を養成するという観点から、各大学の教員養成の理念等も踏まえて構成される必要がある。
  • その他、「教職に関する科目」の具体的科目内容については、例えば、以下のような改善すべき状況が見られた。
  • (「教育の基礎理論に関する科目」について)

    • 「幼児、児童及び生徒の心身の発達及び学習の過程」の科目において、「障害のある幼児、児童及び生徒の心身の発達及び学習の過程」が含まれていないものが見られた。

    (「教育課程及び指導法に関する科目」について)

    • 学習指導要領に掲げる事項に即し、包括的な内容を含むことが法令上求められているが、徹底されていない大学が見られた。
    • 「教育の方法及び技術(情報機器及び教材の活用を含む。)」の科目においては、情報機器の活用又は教材の活用が含まれていないものが見られた。

    (「生徒指導、教育相談及び進路指導等に関する科目」について)

    • 「教育相談(カウンセリングに関する基礎的な知識を含む。)」の科目においては、カウンセリングの専門的な理論に特化した内容を取り扱っているものが見られた。このため、カウンセリングに関する基礎的な知識を学んだ上で、応用的な内容を学ぶような構成にすることを求めた。
  • また、シラバス(講義概要)については、各科目の様式が統一されていないもの、担当教員によって記載内容が統一されていないもの、各回の授業計画が記載されていないものなどが見られた。特に、教職課程の場合、各科目で最低限修得すべき内容が定められていることに鑑み、シラバスは、学生に対してわかりやすく丁寧なものとなるよう、科目のテーマ、学生が身に付けるべき資質能力、到達目標、各回の内容等を明記するなど、改善を図るように指摘した。

【教育実習の取組状況】

  • 教育実習については、教育実習先の確保にあたり、地元教育委員会・学校や附属学校等と連携・協力をしている大学や、学生が最低限の知識技能を有していることを確認した上で実習に送り出しているような取組を行っている大学が見られた。
  • 一方で、実習校の選定にあたって、依然として、大学として実習校の確保を全く行わず、母校実習を原則としているような大学もあった。
  • 母校実習については、中教審答申で、「大学側の対応や評価の客観性の確保等の点で課題も指摘されることから、できるだけ避ける方向で、見直しを行うことが適当である。」と提言されているところである。このため、
    • 教育実習の実施にあたっては、課程認定大学は、教育実習の全般にわたり、学校や教育委員会と連携しながら、責任を持って指導に当たることが求められること

    • 大学による教育実習指導体制や評価の客観性の観点から、可能な限り大学が所在する近隣において実習先を確保し、学生が出身地の学校への就職を希望する等により、遠隔地における教育実習を行う場合においても、大学が、実習先の学校と連携し教育実習に関わる体制を構築するとともに、公正な評価となるように努めること

    など、中教審答申に即して指摘した。

【学校現場体験・学校ボランティア活動等の取組状況】

  • 中教審答申では、学生が、教職についての理解を深め、教職への適性について考察するとともに、主体的に教員として必要な資質能力を統合・形成していくことができるよう、「インターンシップなど学校現場を体験する機会や、学校外における子どもとの触れ合いの機会、現職教員との意見交換の機会等を積極的に提供することが必要である」ことなどについて提言している。
  • 多くの大学では、地元教育委員会が実施する学校ボランティア活動等に関する情報を、学生に提供するなどの取組を行っていたほか、地元教育委員会と多数の事業を実施し、学生が学校現場を体験する機会を積極的に設けている大学もあった。
  • 他方、教育委員会が実施する学校ボランティア活動等の機会の紹介はしている一方、実態としては教職課程履修者のごく一部しか参加者がいないなどの大学も少なからず見受けられた。
  • 今後、引き続き、学生が学校ボランティア活動等に積極的に参加できるような仕組みを構築する取組が求められる。これら取組を推進するためにも、教育委員会や附属学校と大学が定期的に連絡協議会を開催するなど、両者の連携を更に進めることが必要である。

【教職指導及びその指導体制の状況】

  • 大学によって、学生が恒常的に履修相談等を行えるような設備や人員を整備している大学もあれば、全体的なガイダンスのみで終わらせている大学・学部もあるなど、学生に対するケアが大学ごとに大きく異なっていた。
  • ほとんどの大学において履修カルテが整備されており、また一部の大学においては、履修カルテの記入・確認と個別指導を通じて、目指す教員像に向けた意識の明確化や課題の認識など、教職指導に活用している大学もあった。今後、各大学において、履修カルテを通じて、教職課程の全期間を通した教職指導が実施されること期待したい。

【施設・設備(図書等を含む。)の状況】

  • 各大学において、教員養成に必要な施設・設備、教育機器等は、学生数の規模に応じて概ね整備されていた。
  • ただし図書館については、各大学の教員養成の理念等を踏まえた集書計画がなされていない大学が見られた。また、蔵書が古いものばかりで構成されている大学が見られたため、教育の最新事情等に関する図書を充実させるように求めた。

3.まとめ

  • 教職課程については、平成22 年度から「教職実践演習」が教職課程の総まとめの科目として導入され、また、免許状を取得しようとする者に対する教職指導の努力義務が定められたことにより、今後はより一層、教職を志す学生が体系的に教職課程を履修することが求められている。また、課程認定の際には、教職課程を置く学科等の目的・性格と免許状との相当関係について、より厳密に審査を行うこととしている。
  • 現在、中央教育審議会において、教職生活の全体を通じた教員の資質能力の総合的な向上方策について検討を行っているところであるが、平成23 年1月に出された審議経過報告では、「課程認定審査や設置審査をより厳格化すると同時に、質保証を担保する新たな事後評価システムの構築を検討し、教員養成の質の保証を図る必要がある。」と提言されている。
  • 今回、教職課程実地視察を受けた大学の中には、実地視察への準備を通じて、教員養成の現状、カリキュラム・各科目の現状等について評価・分析をし、十分実施できている点、課題・改善点及び今後の検討課題点の洗い出しを行うなど、自大学の教員養成の在り方の自己検証・改善方策の検討の契機とした大学もあった。
    本部会としては、このように、教職課程実地視察が各課程認定大学における教員養成の質的水準の向上の契機となるような仕組みとしていくことが重要と考えている。
  • 一方、教職課程に係る各種改革が進められている中で、各課程認定大学が、自ら、法令や認定基準に照らして教職課程を適切に運営することは、教員養成を担う大学の当然の責務であり、社会に対する最低限の約束であることを、全ての課程認定大学が十分に認識することが必要である。
  • 各課程認定大学においては、学長及び各学部長はもとより、教職課程に関係する担当教員・担当職員全員が、自己的に各種答申で提言されている内容を再度確認し、教職課程の改善を不断に行い、責任を持った教職指導体制を構築することを強く望みたい。
  • 今年度の視察の対象とならなかった大学も含め、全ての課程認定大学が、本実地視察報告書の指摘内容を理解し、教職課程の質的水準の維持と向上を図るための取組を進めていくことを期待する。

平成23年度実地視察大学

平成23年

6月14日

二松学舎大学

6月17日

明治大学

6月21日

熊本県立大学

6月22日

尚絅大学・尚絅大学短期大学部

6月27日

ノートルダム清心女子大学

6月28日

岡山商科大学

7月6日

浜松学院大学・浜松学院大学短期大学部

7月7日

聖隷クリストファー大学

7月11日

千葉商科大学

7月12日

相模女子大学

7月13日

成城大学

7月14日

弘前大学

7月15日

弘前学院大学

7月19日

作新学院大学・作新学院大学女子短期大学部

7月20日

白鴎大学

10月6日

神奈川大学

10月14日

武蔵野大学

10月28日

愛国学園短期大学

11月7日

東京理科大学

11月10日

神戸芸術工科大学

11月11日

大阪商業大学

11月15日

大阪芸術大学・大阪芸術大学短期大学部

11月16日

四天王寺大学・四天王寺大学短期大学部

11月18日

南山大学・南山大学短期大学部

11月24日

日本大学(通信制)

12月8日

高松大学・高松短期大学

12月9日

香川大学

12月19日

関西外国語大学・関西外国語大学短期大学部

12月20日

京都産業大学

12月20日

慶應義塾大学

平成24年

1月11日

広島文教女子大学

1月12日

尾道大学

1月17日

山梨県立大学

1月18日

西南女学院大学・西南女学院大学短期大学部

1月18日

都留文科大学

1月19日

北九州市立大学

(計45大学)

 

お問合せ先

初等中等教育局教職員課

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-- 登録:平成24年03月 --