ここからサイトの主なメニューです

京都市教育委員会 「子どもたちに確かな学力を」

はじめに

 これまで京都市では,「一人一人の子どもたちを徹底的に大切にする」という理念のもと,確かな学力の客観的な把握,指導の改善,自学自習の確立など,一人一人の子どもたちの学力向上に向けて以下のような取組を進めてきた。

○全市立小中学校に全国最高水準である205日以上の年間授業日数の設定
○教科・領域毎の独自の詳細な年間指導計画・評価計画「京都市スタンダード」の作成と実践
○全市立小中学校に「学力向上チーム」を設置・全市立小中学校で「学力向上プラン」を策定
○戦後一貫して実施してきた学力調査による学力の実態把握と授業改善
○自学自習による学習意欲向上・弱点克服・ステップアップ支援を目的に「復習・確認・補充」の循環型学習サイクルを教材化した「学習確認プログラム」の導入

 一方,平成19年度から実施された「全国学力・学習状況調査」は,教科に関する学力調査とともに質問紙調査が実施され,教科書に載っている知識の量だけではなく,子どもたちの学習意欲の低下,道徳性の欠如など,生活習慣や学習習慣等に関する課題を国民全体が共に考えることの出来る絶好の機会とされており,また,昨今,各家庭の教育力・経済力格差の進行や,教員の世代交代が進む中で若年教員の経験不足による授業力低下など,子どもたちの学びを支える環境に様々な課題が生じていることが指摘されている。
 こうしたことをふまえ,本市では,これまでの取組を基礎に,市民ぐるみで大切にされてきた理念や実践,成果を充分に踏まえ,様々な取組を総合的に検証しつつ,学校・家庭・地域の教育力を互いに高めるための改善策を学力向上という視点から検討してきた。
 学識経験者の他,『人づくり21世紀委員会』,『京都「おやじの会」連絡会』,『PTA協議会』,体験・奉仕活動の分野の代表者などで構成した「京都市検証改善委員会」では,「一人一人の子どもを徹底的に大切にする」京都市教育の伝統と「教職員の熱意と専門性の向上」「保護者・地域の参画」を礎として,これまで積み上げてきた教育実践の下に,地域性もふまえた各学校独自の課題に適切に対応する支援策を構築し,全市立小中学校の教育力のさらなる向上を図るため,大きく次の4点を中心に『学校改善支援プラン』を策定した。

  1. 学校が自校の学力を捉える基盤を明確にする。
  2. 義務教育をつなぐ学習システムを開発する。
  3. 課題別・グループ別の学校支援を行なう仕組を構築する。
  4. 家庭学習の充実に向けた働きかけを行う。

 「確かな学力」の定着に向けた実践サイクル

 このプランをもとに,現在,本市では,学力向上に向けた取組の一層の実践と充実を進めている。

1.本市における学力向上に向けた取組 ‐「全国学力・学習状況調査」を受けて

1.取組内容について

(1)概要

 過去の「全国学力・学習状況調査」では,全国的な傾向として,知識を活用する応用力に課題があるという傾向が示された。本市平均においても同じ傾向が見受けられるが,加えて,基礎的・基本的な学力の定着にも課題が認められることが,本市における確かな学力の定着に向けての根本的な課題・原因の一つとして留意すべきであると考えている。「学力」の捉え方は様々あるが,「全国学力・学習状況調査」の結果を一つの全国的指標と捉え,学校教育の充実・改善はもとより,基本的な学力の定着の基盤となる学習習慣づくりの全般について家庭・地域とともに見直していかなければならないと考え,以下の取組に重点的に取り組んでいる。
○全国学力・学習状況調査の結果概要の保護者への周知に加え,家庭啓発パンフレットを作成し,全国調査の結果として報告された生活習慣と学習との相関について保護者・家庭に資料提供。子どもたちの生活習慣・学習環境の改善に向け啓発。
○中学校に導入している「学習確認プログラム」に加え,同様の仕組みによる「ジョイントプログラム」を小学校に導入し,両取組の連携によって,小中一貫した基礎・基本の定着学習(「復習・確認・補充」の循環型学習システムによる自発的な学習意欲向上・弱点克服等の支援)を進め,9年間を通した学力の積み上げに向けたシステムを構築。
○「学力向上フォローアップシステム」を構築し,課題別・グループ別に学校を的確に支援。
○学力を把握する指標として本市「学力定着調査」に到達目標を設定し,学校毎の課題を分析するとともに,「全国学力・学習状況調査」の結果もふまえ,各校「学力向上プラン」の内容を検証。
○自然体験,ボランティア体験や産学公連携の下での勤労体験・職場体験により,自律的生活態度や望ましい勤労観や職業観を育む,京都ならではの「生き方探究教育(キャリア教育)」を基盤とした取組の推進。5泊6日の長期宿泊体験事業を小学校に導入。

(2)実施体制

 上述「京都市検証改善委員会」(学識経験者の他,『人づくり21世紀委員会』,『京都「おやじの会」連絡会』,『PTA協議会』,体験・奉仕活動の分野の代表者などで構成)において,子どもたちの実態の詳細な分析のもと,出された貴重な提案をもとにして,上述のような取組の実践に繋げてきた。
 また,各学校においては,従来から実施している多岐にわたる取組の一層の充実と推進,また,新しい取組の実践を精力的に進める中で,一人一人の子どもたちに「生きる力」を育む教育活動を展開している。
 一方,教育委員会においては,各課を横断する「学校経営支援チーム」を組織し,各校の課題に応じて的確な支援にあたる体制を整えている。特に21年度は学力向上をテーマに,あらゆる側面から各校のデータ収集,検証,支援にあたっている。

(3)課題

 本市においては,基礎的・基本的な学力が不十分なことが,「確かな学力」の定着に向けての根本的な課題・原因の一つと捉えており,その解決に向けては,学習のPDCAを確立し,家庭学習の習慣化と学習意欲の高揚を図りつつ,日々の授業における学力の定着に努めねばならない。そうした地道な取組が,すぐに効果として現れにくい知識・技能を「活用する力」にも必ず繋がるものと考えている。
 それには,学校教職員や教育関係者の意識改革・行動改革に加え,家庭・地域,社会全体の協力も不可欠であり,子どもたちの生活環境・学習習慣の整備に向けて,さらなる啓発に努めなければならない。
 また,国による目標設定と達成に向けた支援・補助なども求められるところである。

2.普及啓発と今後の取組について

(1)成果の普及啓発に関する取組

 本市が進める学力向上に向けた取組の成果については,「全国学力・学習状況調査」の結果等も含めて,以下のような広報印刷物を通じて,普及啓発に努めている。

○「子どもたちに確かな学力を」(学力向上啓発パンフレット)
 全国調査の結果として報告された生活習慣と学習の相関について保護者・家庭に資料を提供し,規律ある生活と家庭学習の定着が子どもたちの学びに大きな影響を与えていることの再確認を促すとともに,家庭学習にも効果的な「学習確認プログラム」や「ジョイントプログラム」をはじめとする本市の「確かな学力」定着・学習意欲向上に向けた実践内容を広く周知し,保護者の自覚や協力を促す。

○「家庭学習の手引き」(家庭学習啓発パンフレット)
 「確かな学力」の土台となる基本的生活習慣確立の大切さを啓発するとともに小1から中3までの各段階における家庭学習のねらいや目安を紹介。全国学力・学習状況調査の結果もふまえ,家庭・地域の役割を再確認し,保護者の意識向上を図る。

○「あしたのために」(家庭教育新聞)
 全国学力・学習状況調査の結果から見た学力と生活習慣等との相関などを例示し,課題意識の共有を図るとともに,生活習慣や学習習慣の大切さを呼びかける。

 「あしたのために」(家庭教育新聞)

(2)来年度以降の取組

 子どもたちの学力向上はもとより,生きる力(「確かな学力」「豊かな心」「健やかな体」)を育み,主体的に自己の進路を選択・決定できる能力など,一人一人の可能性を最大限に伸ばすためには,そもそも上述の取組の基盤として,激しい社会の変化や子どもたちの心身の発達状況の変化に的確に対応した信頼される学校づくりを進めることが必要であると考えている。そのために,本市では,まず,小学校の6年間と中学校の3年間を義務教育9年間という大きな枠でとらえ直し,児童・生徒個々のもつ資質や能力・適性を十分に引き出す効果的な仕組の構築を急務と考え,小中一貫教育を推し進め,独自の教育スタイルを築いている。
 今後とも,「確かな学力」の定着,知識・技能を活用する力の育成,主体的な学習意欲の向上に向け,義務教育9年間の「学び」と「育ち」を一層充実させる効果的な実践を重ね,家庭や地域と情報・課題・目標などを共有しながら,それぞれの学校や地域の特色を活かした取組を進めていく。
 同時に,家庭・地域が積極的に学校運営に参画いただく「地域ぐるみの学校づくり」を推進し,ふるさとを誇りに思う心の育成,さらには,知識基盤社会に生きるたくましい心身と知恵をもち,グローバルな視野で果敢に人生を切り拓く人材の育成に向け,独自の「生き方探究教育」(キャリア教育)の視点もふまえた学校教育活動をさらに推進していく予定である。
 特に21年度は,義務教育9年間の中で家庭・地域と学校が協力しながら子どもたちの学びを支える仕組みとして,小中一貫教育の充実に取り組んでいる。教職員の意識改革と行動改革を徹底し,これまでの小学校と中学校の良さも継承しつつ,柔軟な発想による学校現場の小中一貫教育の意欲的な取組を推進している。

2.京都市立学校における特色ある取組事例

 学力向上のためには,子どもたちの意欲を高める授業や取組の計画・実践,とりわけ,「家庭学習」などを通し,学校と家庭・地域が協力して子どもたちの「学ぶ力」を育てていくことが大切である。
 ここでは,特に現在本市が充実に向けて取り組んでいる小中一貫教育の観点から,家庭・地域と学校が協力しながら,子どもたちの義務教育9年間の「学び」と「育ち」を支える実践に取り組んでいる学校の事例を紹介する。

取組事例1.「学びの里づくり」をめざして  京都市立大原小学校・大原中学校

(1)概要

 大原三千院でその名を知られる「大原」は,京都市の中心部から北東へ15km,周りを山に囲まれた小さな盆地にあり,三千院や寂光院などの社寺が点在し,美しい自然に彩られた大原は,日本の里山の良さを残している。しかし,近年,少子化,過疎化,若者の流出により地域文化の継承が困難になってきており,大原小・中学校の在籍児童・生徒数は,ここ10年間で約3分の1に減少した。
 このような状況に危機感を抱いた大原住民は,平成19年,学校の存続について真剣な討議を行った。その結果,8割の住民の賛成により「大原に学校を残し,小中9年間で地域の子どもたちを育てていく」ことが決定された。「大原」は,学校の存続も危ぶまれる困難な状況の中,「小中一貫教育」を通して「学びの里づくり」を進めることを選択したのである。
 そして「子どもたちを「京都の大原」で育てる。」「そこで「タフでたくましい子」に育てていく。」ために,「1.しっかり学力をつける」,「2.しっかりしつけをする」,「3.立派なおとなにすること」ことを,新たに「大原が目指す教育」として,地域と共に新しい学校づくりに取り組むこととなった。
 去る平成21年4月3日には開設式が行われ,施設一体型小中一貫校としての「大原小・中学校」の新しい歴史が始まった。保護者・地域住民の学校運営への力強い参画のもと,地域の特性を活かし,義務教育9年間の子どもたちの「学び」と「育ち」を保障する,言わば「コミュニティスクール型小中一貫教育校」としての新しい出発であった。

(2)教育実践のねらい

 学校教育目標を『大原のゆとりある心を自信を持って伝えられる子に!』とし,目標達成のために3つの「つけたい力」が決められた。

1.社会とつながる力 ~思いやりをもち,自ら汗のかける子の育成~

  • 礼儀や規律・自立心を身につける
  • 縦割り集団で清掃するなど異年齢集団を活かした活動
  • 地域に根ざしたキャリア教育の実施

2. 探究する力 ~科学的思考のできる子の育成

  • なぜ?どうして?を大切にする日常生活
  • 大原の豊かな自然を活かした学習プログラム
  • 3年理科専科~7年早期工学育成事業~9年大原提言への系統的な学習

3.人間関係をつくる力~ コミュニケーション力を発揮できる子の育成~

  • 教え合い・学び合い学習の実施
  • 1年生から中学校教員による英語学習の実施
  • 地域ALTやKCJSとの連携による生きた英語の学習

 同校が考える「学力」は高等学校や大学への進学に必要な学力だけでなく,社会へ出て,時代のさらなる発展を担い,未来を創造できる人間として成長していく力である。
 同校を巣立った子どもたちが,地元の大原で活躍をし,また,京都の輝かしい歴史と伝統,進取の精神を受け継ぎ,日本をリードする若者になり,そして,小規模校のハンディをはねのけ,たくましく伸びていく人間となることを目指している。

(3)小中一貫教育における学力向上のメリット

 同校は,新たに小中一貫教育を導入するにあたって,以下の点を小中一貫教育における学力向上のメリットとして考えている。

ア 9年間という長いスパンでの取組
 9年間の長いスパンにより,同校・地域が目指す教育を,より一層時間をかけて取り組むことができる。特に,大切にしている「探究心」を,じっくりと時間をかけて育てることができる。
 また,3年生からの理科の専科教育や1年生からの英語活動などは,好奇心を刺激しながら系統立てた学習が行うことができる。
 すべての取組において,9年間の出口を意識した長期的な見通しを踏まえた身近な目標設定が可能となる。

イ 年代を超えた情報の共有
 9年間を通じて,児童生徒の1.生活の様子2.学習の達成状況3.将来の展望などの情報の共有を行うことにより,一人ひとりの子どもたちをより正確に理解することができる。これによりどの時点で学習のつまずきがあったのかを知り,適切な手立てに役立てることができる。
 多くの教員の目で1人の児童生徒を見ることは,効果的な学習指導につながり,教員にとって9年間の学習を把握する上で重要なことであると考えている。

ウ 笑顔と緊張感のある学習環境
 上級生にとって下級生と一緒の生活は,緊張感を持ちながら,心が優しくなる毎日が送れる。学習に対しても手が抜けず,「下級生の見本」としての緊張感の中で生活することとなる。
 また,9年間の前期にある児童(1~4年)にとっても,「自分の将来のモデル」が身近にいることで,安心して学校生活が送れる。
 学力向上は,適度の緊張感と安心感から生まれるものだと考えている。

(4)取組の成果

 小中一貫校の要となる9年間の中期にある児童(特に5・6年生)に注目し,特に以下の取組を行っている。

  1. 中学校籍教員による教科担任制,専科教科の導入(社会,家庭,理科)
  2. 中学校籍教員と担任によるTT授業の実施(国語,算数,体育,音楽,図工,英語活動)
  3. 50分授業の実施(4年生までは45分授業)
  4. 土曜学習への参加(自学自習システム)
  5. 児童生徒会活動,合同部活への参加
  6. キャリア教育(生き方探究教育)の開始

 特に成果として見られるのは教科担任制である。5・6年生の児童の中には「1時間1時間の授業を大切にするようになった」という感想が多く見受けられる。
 また「自学自習力」をつけるために教科担任制を有効に使い,各教科担任から家庭学習の仕方についてアドバイスを受け,それを実行に移す中で,学力向上につながっていると考えている。
 近年,いくつかの大学や大学院による里山研究や実験農場,オオムラサキの保護活動など,大原地域を研究対象にした取組が行われており,また大原の魅力に惹かれて,多くの人が集まっている。大原の子どもたちはこの魅力と教材の宝庫に包まれた中で生活している。
 今後は,子どもたちから地域への働きかけをコーディネートしながら,学校だけでなく大原全体を「学びの場」とする実践を続けて行きたいと考えている。

取組事例2.科学教育に重点を置いた小中高連携による学力向上の取組 京都市立朱雀第四小学校

(1)概要

 京都市立朱雀第四小学校では,理科という教科を足がかりに,現在もこれからもずっと自然に親しみ,自然や生命を大切にできる子どもを育てたいと,数年来考えてきた。また,科学することを楽しみ,探究心や思考力,課題発見・追究力といった,将来に渡って大切な学力を培いたいと考えてきた。
 そのためには小・中9年間を通して子どもを育てる学びの連続性を意識することが大切であり,さらに高等学校とも連携を進める中で,将来展望の拡大につなげたいと考えてきた。
 こうしたねらいのもと,同校と,同校の卒業生が進学する朱雀中学校・西ノ京中学校,そして理科教育を先進的に取り組んでいる堀川高校との4校で,14年前から理科を通しての連携を図ってきた。そして,連携を進める中で,単発的な取組に終わるのではなく,日々の授業や年間を通した取組に活かしていくことが大切であると考えるようになった。
 さらには,児童生徒が学校で学んだこと以外にも様々な自然の不思議や神秘があることに気付き,自ら追及・解明していこうとする意欲や態度を一層育てたいと考えるようになった。
 その視点から昨年度より総合的な学習の時間に,理科の発展的な内容で個別に課題追究する「探究活動」や,全校あげて「私の好きな木」に取り組むなど,連携してきたことの深化を図れるようにしている。

(2)取組の内容

ア ミニ「青少年のための科学の祭典」
 身近な地域社会で,科学をやさしく・おもしろく・楽しく紹介するイベントが開けないかという願いから始まったものであり,中学生・高校生・教員が実験ブースを開き,同校児童(約220人参加)が自分の行きたい実験ブースを順に回るという取組である。
 昨年度は9月27日(土)朱雀中学校で第12回目の科学の祭典を行った。年々規模も大きくなり,昨年度は全部で10ブースが開かれた。
 児童は身の回りの自然の不思議さに目を開き,科学実験のおもしろさに触れ,夢中になって追究したり,ものづくりに打ち込んだりしていた。また,回を重ねるうちに,高学年の児童の中には,ブースを担当する者も出てきて,より主体的な活動に変わってきている。
 中学生も小学生のことを考えて分かりやすく説明しようとする姿が見られ,コミュニケーションが図られてきている。地域の方々や保護者の参加も増え,大人も科学の魅力に触れる場になっている。

イ 理科チャレンジスクール
 昨年度は1月31日(土)に本校で第13回目の理科チャレンジスクールを行った。内容としては以下の3点である。

  • 小・中学校の自由研究の優秀作品や「探究活動」の成果の発表
  • 堀川高等学校生徒による実験,科学に対する思いや将来の夢などについての話。
  • 堀川高等学校教員による実験教室。

ウ 小・中学校理科合同授業(フレンドリーサイエンス)
 小学生・中学生が共に学ぶ「理科合同授業」を同校と西ノ京中学校との間で数年来実施してきた。両校の指導者で学習内容を検討し,小学校にとっては発展的な内容・中学生にとっては補充的な内容での学習活動を行った。
 昨年は中学校2年生と小学校6年生,中学校1年生と小学校5年生の間で行った。前者では「水溶液の性質」に関係する2つの学習活動,後者では「ものの溶け方」「物質の姿」に関係する3つの学習活動を考え,それぞれ小中学校教員が授業した。
 小学生2人と中学生1人又は2人でグループを組み,協力して課題追求していく学習活動であるが,力を合わせて一つの課題を解決していくことによって,お互いの交流を深めることができることに大きな意味があると考えている。特に朱雀第四小学校卒業の中学生は自らの経験を活かし,主体的にリーダーシップをとってかかわり,小学生は中学生の支援を受けて,より意欲的に取り組む姿が見られた。

エ 「私の好きな木」
 自然を見る目をより育てることを目標に,昨年度より全校をあげて,自分が決めた好きな木を1年間通して観察する活動に取り組んでいる。朱雀中学校の先生より具体的な取り組み方を本校教員が教わり,実践へと移した。児童は実際に四季を追って変化する木の様子をじっくりと観察・記録する中で,木も生きていることを実感し,生命のつながりをより意識することができた。

(3)取組の成果と課題

 こうした取組を継続してきた中で,児童・生徒の科学への関心は確実に高まっている。特に理科に関心をもって主体的に取り組んでいる中学生や高校生の言動には説得力があり,児童は大きな刺激を受けている。また,取組を進めるにあたっての学習内容の連続性・子どもの発達状況などについて話し合う指導者の研修も校種間の違いを超えて互いを理会し合う良い機会となっている。
 これらの取組は保護者や地域の方が自由に参加できるようにしており,同校の科学教育の取組に多くの賛同の声を得ている。これからも児童・生徒の健やかな成長と学力向上には家庭や地域の支えと協力が不可欠であると考える。また,取組がマンネリ化することのないように連携の在り方を年々見つめ直すことが重要である。今年度は同校の「探究活動」をより深めていくため,堀川高校生から児童が学んだり,教員同士が研修を深め合ったりする場を計画している。

お問合せ先

初等中等教育局参事官付学力調査室

(初等中等教育局参事官付学力調査室)

-- 登録:平成22年03月 --