コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)

平成19年度コミュニティ・スクール推進フォーラム事例発表(三重県津市立南が丘小学校)

学校名 津市立南が丘小学校
所在地 三重県津市垂水2538-1
電話番号 059-229-2761

1 なぜ「学校運営協議会」制度を導入したのか。(個別の事情等)

 本校は平成14年度からの3年間、文部科学省の「新しいタイプの学校運営の在り方に関する実践研究」の指定を受け「開かれた学校」をテーマに研究を重ねてきた。特に平成15年度からの4年間は、公募により民間からの校長を迎え「地域に開かれた新しいタイプ」の学校を目指してきた。
 また、平成17年度からの2年間は文部科学省の「コミュニティ・スクール推進事業」の委嘱を受けその研究をさらに発展させてきた。
 本校の目指してきた「特色あるコミュニティ・スクール」は学校と南が丘地域教育委員会(略称:Me)そして保護者・地域との連携により築かれてきたものであり、Meをはじめ保護者・地域の要望に応え、その学校運営システムや保護者・地域との連携、特色ある教育活動を行っていくことである。
 「学校運営協議会」制度の導入については、本校の新しいタイプの実践研究に関わって、平成16年に「地方教育行政に関する組織および運営に関する法律」が一部改正され「学校運営協議会制度」(コミュニティ・スクール)が法的に整備されたことから、津市教育委員会が「津市学校運営協議会規則」を制定し、平成17年12月26日に「学校運営協議会を設置する学校」として本校が指定された。

2 本校のコミュニティ・スクールの特色

 南が丘小学校の「特色あるコミュニティ・スクール」については「真に開かれた信頼される学校づくり」を目指してきている。平成14年8月に設立された「南が丘地域教育委員会」との「緊張感ある協働」のもと、

(1)学校教育理念を明確に掲げ、学校組織としての実現に努めること
(2)「開かれた学校」を実践し、積極的かつ継続的に情報発信を行うこと
(3)地域人材の発掘と地域力(Sosial Capital)の活用をはかること

に留意して学校運営を進めている。

○学校評価システム

 本校では、学校教育目標の実現を目指して、学校運営や教育課程、指導体制等について課題別評価表を作成し、教職員が課題を共有化し、組織的に教育活動を進めるためPDCAサイクルによる学校評価に取り組んでいる。また、南が丘地域教育委員会(Me)は「学校教育活動に関するアンケート」によって保護者・地域の声を集約し、学校自己評価(子どもの評価を含む)と併せて分析考察し、その結果を年度末にまとめて「提言」とし、これを外部評価と位置づけている。学校はこの「提言」を真摯に受け止め次年度の教育活動に反映している。
 さらに

○「構造改革特別区域 津市小中一貫教育特区」のモデル校として
 教育課程の特例
  1 小学校における「英語科」の実施(全学年)
  2 小学校における「選択教科」の実施(高学年)
 目指すもの
  (1)義務教育9年間を見据えた教育構想の検討を図ること
  (2)カリキュラム、生徒指導、人権教育の分野において、課題設定を行うこと
  (3)教職員および児童生徒間の交流をさらに深めること
   「学校教育理念の実現→地域への情報発信→中学校との連携」

○情報発信
 学校説明会、学校公開日の実施
 たより、HPの充実

集い・学び・つなぎ合い “明日を拓く 南の丘

3 過去の課題と克服方法

 様々な新しい取り組みを行っていくには、教職員の意識づけが必要である。当初、「学校を開く」ことに対してどこまでできるか等の議論が続いてきた。
 校長をはじめ教職員が、南が丘地域教育委員会(Me)との着実な関係を築いていくためには、地域の中に理解者が居たこと、さらに文部科学省の指定事業を受けたことが大きいと思われる。さらに、当初から三重県教育委員会、津市教育委員会の担当者も入りながら一つの課題に対して研究を重ねてきたことが、現在の状態を創り出していると言える。

4 コミュニティ・スクールによる成果と携わっているものとしての実感(手応え)

○「南が丘地域教育委員会」との「緊張感ある協働」により教職員の意識が常に、子どもを中心にすえ、地域や保護者に向くようになった。
○多数の地域や保護者の方々に学校を開くことができた。スクールサポーター(学習の支援)ゲストティーチャー(学習の講師)スクールボランティア(教育環境整備、読み聞かせ等)の方々に学校支援を行っていただいている。
○学校が地域保護者に情報を発信すると共に、地域保護者からも学校に対して様々な意見や提言があるだけでなく、学校教育活動への協力や、児童への関わりを持っていただけるようになった。地域の方々の、学校を育てるという責任感のようなものが育ってきている。

5 今後に向けて(検討課題.取組予定等)

 この数年間で南が丘地域教育委員会(Me)を中心に築き上げてきたものを継続させ、さらに発展させていくとともに、メンバーが替わっても衰退することのないようにさらに定着させていく必要がある。
 そのため、PTAはもちろん自治会、中学校等との連携を更に深めていくことが重要となってくる。そこで今年も南が丘小学校において「南が丘ふれあいまつり」を行い、地域住民がたくさん学校に集い、ともに達成感、一体感を感じることができるような機会をつくる。
 文部科学省の指定事業(新しいタイプの学校運営に関する実践研究平成14年~平成16年、コミュニティ・スクール推進事業平成17年~平成18年)が終了した今年度からの方向性がこれからの課題となってくる。現在までに築かれた地域や保護者との信頼関係や連携、責任の共有などの財産を大切にし、さらに南が丘小学校独自のコミュニティ・スクールに発展させていく必要があると考えている。
 今後は小中一貫教育の流れをさらに強め、中学校との、関わりを大切にしていきたい。
 南が丘地域教育委員会(Me)についても限られた人材の中で、事務局運営をしていくことが課題(授業をしながら地域との連絡調整役をする教員が必要)になってくるし、平成18年度をもって文部科学省の研究指定が終了したことで財政的な課題も大きい。

-- 登録:平成23年11月 --