コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)

新しいタイプの学校運営の在り方に関する実践研究成果発表会資料 足立区立五反野小学校

学校名 足立区立五反野小学校
所在地 足立区足立3-11-5
電話番号 03-3889-9304

1.実践研究のテ-マ

コミュニティ・スク-ルへの挑戦

2.研究の推進体制

  1. 学校は研究主任を中心に推進した。3人の加配教員と2名の特別講師を配置し、研究開発学校における柔軟な教育課程等の編成に取り組んだ。
  2. 地域は、開かれた学校づくり協議会が基盤になり、本研究のためにコミュニティ・スク-ル委員会を設置するなど、学校理事会の設置・運営や地域の教育ニ-ズの把握のために精力的に推進した。
  3. 教育委員会は、実践研究のサポ-トのため課長級職員を配置した。

3.実践の成果と課題

(1)学校と地域との連携について

1.保護者や地域住民の参加による協議組織の活用について

 平成14年度から3年間の実践研究において、保護者・地域の力を学校運営に生かすしくみづくりを模索してきた。その結果、平成15年1月27日に「学校理事会」を設置し今日まで、20回余の理事会を開催している。
 理事会活動を通して、教育課程の編成やその他学校運営の重要事項に、保護者・地域の意向を反映させ、それに基づく教育活動を展開している。従来学校だけで進めてきた学校の基本方針等の決定のプロセスに関与し、新たな発想や展望のある知見を組み入れ、校長が変わっても揺らぐことのない地域立学校の長期的な計画や方針を構築している。

ア、 協議組織の構成
 学校理事会は、保護者代表(3名)、地域代表(3名)、学校代表(4名)、行政代表(1名)で構成している。保護者代表のうち、1名はPTA会長の宛て職であり、残り2名はPTA会員の投票により選出される。一方、地域代表のうち、1名は開かれた学校づくり協議会長の宛て職であり、残り2名は、広く地域人材の中から、協議会委員の投票により選任される。また、学校代表は校長が宛て職であり、残り3名は校長が推薦する。行政は関係課の管理職である。

イ、 協議組織の役割  
 理事会規約において、以下の基本的な事項について審議し、これに基づき校長は校務を行うと定めている。
 ○教育課程に関わる事項
 ○校長の候補者の選定に関わる事項
 ○学校予算に関わる事項
 ○児童の安全及び危機管理に関わる事項
 ○その他 理事長が必要と認める事項

ウ、 開催回数、協議内容
 平成15年1月の発足以来、この11月18日までに22回開催した。今年度は月1回のペースで開催している。

エ、 開催結果の学校運営・教育活動への反映状況等  
 ○学校理事会の承認による教育課程によって、基礎・基本の定着のためのパワ-アップタイム等に学校ぐるみで取り組み、学力アップにつながっている。
 ○学校理事会制度のもとで策定された学校運営計画によって、「地域からのニ-ズを学校運営に反映させる」「地域住民と協働した学校教育の展開」等が年間の学校運営のPDCAサイクルに位置づいた。
 ○地域調査の結果や学校理事会の意向をもとに、家庭・地域・学校が一体になって「あいさつ運動」に取り組む等、学校を場にしたコミュニティ形成の輪が広がってきた。
 ○学校理事会からの提案によって、モデル的に学校用務の業務委託が実現するなど、効率的な学校運営を具体化させている。

2.地域人材の活用

 図書ボランティアによる読み聞かせ・朗読会、文化団体連合会による室町文化体験、そして、のびのびスク-ル(学校週5日制の活動)の実施など、地域人材を活用した事業が増えてきている。
 また、今年度から総合的な学習の時間の中に、地域の文化や芸能を守り育てるとともに、「人・もの・自然」を大切にした五反野ふるさとづくりを「郷土学習」と位置づけ、地域との連携・協働による組織やカリキュラムづくりの取り組みを始めた。
 学校では、これらに対応するために、新しい校務分掌である地域担当の教員がコ-ディネ-トしている。

(2)学校の裁量権の拡大に関する取組について(人事、予算、教育課程、その他)

1.人事

ア.校長公募
 校長の公募に関して、平成14年度に実践研究のテ-マとして取り組んだ経緯がある。しかし、区内の現職校長からの五反野小学校への応募制という、極めて限定的な公募形式しか実現しなかった。このとき、応募者は学校理事会が作成した「望ましい校長像」に対する自己アピ-ル文を書いて応募した。
 平成15年度は、民間人校長を起用したいという課題があった。地域理事・保護者理事による選考委員会を実施し、選考委員会の結論を経て、理事会の議決によって、候補者が決定した。
 平成16年4月1日に、東京都の公立小学校でははじめて、民間教育企業の管理職から転身した民間人校長が着任した。

イ、 教職員の人事
 教職員の人事に関して、本実践研究の中で、従来の区教育委員会から東京都に対する内申権を越える内容はなかった。
 一方、非常勤職員の募集については、平成16年度に区の特別講師制度の運用によって、年齢制限の引き上げ、教員免許状の不問を内容とする、特例要綱を設置して2名を採用した。第二次試験には、保護者理事も評定者として加わった。低学年のTT指導と総合学習の英語の指導を担当している。

2.予算

 平成15年8月、理事による「意見・情報交換会」の中で、学校配布予算のしくみ・予算編成の流れについて明らかにし、弾力的な予算執行が可能となるように、科目間の流用を認める方針を打ち出した。
 翌9月の理事会において、保護者・地域の意向を反映した「学力向上対策」を重点課題とする16年度の学校予算案(約580万円)が、審議され承認された。
 一方、教育委員会は、まず、包括予算の考えを取り入れて、学校配布予算の科目間での組替えを、今年度から可能とした。例えば、備品購入費で節約し残った予算を消耗品(一般需用費)に組替えができる、という方法である。
 次に、光熱水費は学校には配布されていないが、節水・節電等に取組み削減努力した部分について、翌年度に追加配当するしくみをつくった。
 また、地域理事からの提案で、用務業務等の民間委託を実施し、経営努力によりコストダウンした分を教育予算に回せるよう配慮した。

3.教育課程

 国語、算数における少人数指導(習熟度別指導を含む)により、一人ひとりの児童の学習状況に応じた授業を実施し、児童の基礎・基本の確実な定着を図った。さらに、中学校教育を視野に入れた選択学習(国語・算数)を実施し、教科の興味・関心を高めたり応用・発展的な学力を伸ばしたりしながら、生きる力の育成にめざした。
 また、基礎的な学力の定着のために、毎朝15分間をパワ-アップタイムとして全校体制で取り組んでいる(計算、漢字、音読)。
 そして、総合的な学習の時間においては、情報教育や英会話を通して国際理解教育を進めるために、パソコン学習と英語活動を週1時間ずつ位置づけて取り組んでいる。関連して教育課程の開発及び授業の実践研究に取り組むとともに、研究の評価として児童による授業診断と児童の基礎学力調査を行った。

4.今後の計画

(1)学校運営協議会への移行

 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正による「学校運営協議会」の設置に伴い、現行の学校理事会の活動形態等を維持しながら、法律に基づく制度に移行する。

(2)教員の公募

 区内教員の中から、五反野小学校の取り組みにチャレンジする教員を募集する。学校・理事会・教育委員会が面接を行い、平成17年4月1日に配置する。

-- 登録:平成23年11月 --