コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)

新しいタイプの学校運営の在り方に関する実践研究成果発表会資料 岡山市立岡輝中学校、岡山市立清輝小学校、岡山市立岡南小学校

学校名 所在地 電話番号

岡山市立岡輝中学校 岡山市岡町12-17 (086)224-0358
岡山市立清輝小学校 岡山市新道1 (086)225-4875
岡山市立岡南小学校 岡山市岡南町二丁目4-5 (086)225-3526

1 実践研究のテーマ

「地域における生徒指導の機能を生かした新しい学校運営の在り方」
-子どもたちが愛されていると実感できる学校づくり・地域づくりをめざして-

2 研究推進体制

地域学校協議会・組織図

地域学校協議会・組織図

3 実践成果と課題

(1)学校と地域との連携について

1.保護者や地域住民の参加による協議組織の活用について

○協議会組織の構成
・平成14年6月
 子どもたちが直面する課題として、不登校、問題行動、学力不振をあげる。その解決を目指して委員構成を考え、学識経験者3名、地域住民6名(主任児童委員2名)、PTA3名、保幼小中校園長6名、行政関係者8名(指導主事、教育相談室長、育成センター所長、児童センター代表)の26名による地域学校協議会を設置した。
・平成15年6月
 協議会において議論を深め、その機動力を一層発揮するため、学識経験者4名、地域住民4名、PTA3名、保幼小中校園長6名、市教委指導主事2名の20名とするとともに、議長を協議会会長から事務局長の岡輝中学校教頭とした。
◇委員の選任について
 平成10年・11年の「青少年を非行から守るパイロット地区」指定、平成11年・12年・13年の「いきいきスクール支援事業」の指定を受け、4年間の実践研究指定に関わってきた4名の地域の方を選任した。来年度からの選任については、学校園部会の推薦、地域学校協議会による協議を経て、中学校区最大の健全育成組織である岡輝中学校区青少年保導協議会の承認・報告の後、市教委に報告する。現在、公募については視野には入れているが実行の予定はない。

○協議会組織の役割
 平成14年度当初、「学校の管理・運営に関する最高の意志決定機関と位置づける」とし、その権限は学校支援、地域活動以外の人事・予算・教育課程にまで及んだ。構成委員の実態から、この位置づけは余りにも唐突であった。そこで、活動を展開する中で、現在は、
1.地域と学校園を結ぶ取組の基本的な方針について決定する。
2.保護者や地域のニーズを反映する。
3.学校園の活動を評価する。

ことを基本とし、学校運営に関して校園長に意見を述べることを主な役割とした。併せて、決定した活動のコーディネーターの役割を果たす機能を持たせている。

○協議会の開催回数及び協議内容
毎月1回、年間を通して18時30分~20時30分までの会とすることを原則とした。
◇平成14年度(6月より9回)
・実践研究のねらいについての共通理解
・学校園の取組と課題
・コミュニティサポーター(公募を含む)
・シニアスクール
・地域学校協議会の地域部委員の選任(公募を含む)
・地域サロンルームの運営
・コミュニティファンド
・評価について 等

◇平成15年度(17回)
・学校園の教職員組織と予算
・学校園の現状(取組と課題)
・めざす子ども像
・シニアスクール(NPO化も含む)
・コミュニティファンド
・評価結果の分析
・地域学校協議会委員の公募
・私立学校園との連携
・園児・児童・生徒支援ネットワーク会議
・地域サロンルーム
・地域情報紙「ちくたく」
・本年度の評価・新組織と活動

◇平成16年度(11月までに7回)
・新委員の交替による地域学校協議会組織と活動
・学校園の教職員組織と予算・評価結果の分析
・研究運営委員会の取組及び学校園の取組と課題
・シニアスクール2教室の本格実施とNPO化
・地域情報紙「ちくたく」と岡輝中学校区青少年保導協議会の広報誌との連携
・地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律
・地域行事と平成12年度から実施の「命」をテーマにした取組「みどりの林檎」
・次年度の地域部委員の選出方法
・シニアスクール卒業生とコミュニティサポーター
・本研究指定終了後の「地域学校協議会」の在り方

○協議結果の学校運営・教育活動への反映状況
・生徒による評価から、「学校が好き」という子どもたちの割合が高くなった。
・保護者による評価から「信頼される学校」への割合が高くなった。
・シニアスクール2教室を本格的に実施することにより教育及び福祉行政に対して実践的な提言をすることができた。
・地域情報誌「ちくたく」の発行により「地域の子は地域で育てる」ことへの意識化が進んだ。
・保幼小中の連携が、「岡輝版子育て法」の作成と普及を通してさらに強くなった。
 (0歳~15歳までの責任ある保育・教育に対しての教職員の意識改革が進んだ。)
・不登校や問題行動に対して、ケース会議やネットワーク会議を迅速に行うことができた。
・1学校園の課題を6校園及び地域の課題として捉えるようになった。
・学校園を支援する人的パワーの結集を可能にした。
・本研究の取組が岡山市の進める「地域協働学校」づくりのモデルとなった。

2.地域人材の活用について

・学力支援サポーター、子育て支援サポーター(保育、話し相手)の活用
・ITサポーターによるパソコン指導、ホームページの管理支援
・地域や保護者を講師にした「ふれあい講座」(本年度6回の実施)
・シニアスクール卒業生の活用(検討中)

(2)学校の裁量権の拡大に関する取組について

◇人事
 指定後の2年目、コミニティサポーターや地域学校協議会委員の公募について、広報及び公募選考委員会の機能などを検討したが、新しい人材の必要感が少なく、実施しなかった。

◇予算
 平成14年度、経済的支援を必要とする家庭の増加により岡南小、岡輝中に事務職員が加配された。これを機に事務職員連携が進み情報公開への取組や大型・高価備品の相互活用などが進んだ。しかし、学校の裁量権の拡大につながる取組はできなかった。

◇教育課程
・小中兼務教員の授業交流は中学校(数学)から小学校(算数)への交流ができた。
・3校の公開授業日と時間を設定し、全小中教員の参加による授業研究を実施した。
・保幼小中合同の教育活動、行事を実施した。

4 今後の計画

 「地域学校協議会」が学校運営に関わる方式を来年度以降も継続し、協議会の持つ「責任」と「権限」を明確にしつつ、未解決の課題に取り組む予定である。特に、当初に掲げた不登校、学力不振(進路保障)については数値的な実績が得られず、課題の根深さと重みを感じている。この課題解決に向けて、「地域学校協議会」委員の選任や有効な教職員人事への要望等、自治体の動きも考慮しながら展開していく予定である。

5 おわりに

 この3年間の研究は、本校及び本中学校区にとっては、それまでの4年間の実践研究を基礎に、中学校区のさらなる教育活動の充実をねらいとした。岡山市の通学区域の弾力化が来年度から始まる中、学校公開日には少ない人数ながらも学区外からの参加があった。学区内の多くの子どもたちが他学区へ進学している現実にどれだけ歯止めをかけ、「地域・保護者から信頼される学校づくり」ができたかが来年度、証明されようとしている。改革の時とは言え、「継続」「時間」「努力」の必要性を改めて実感している。

-- 登録:平成23年11月 --