コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)

平成18年度コミュニティ・スクール推進フォーラム事例発表(秋田県大館市立城西小学校)

学校名 大館市立城西小学校
所在地 秋田県大館市城西町8-1
電話番号 0186-42-3238

1 実践発表のテーマ

地域の教育力を生かし,地域と共に子どもを育てる新しい学校のあり方
-コミュニティ・スクールとしての学校変革『城西100年教育』をめざして-

<研究の視点と具体的な課題>

○コミュニティ・スクールとしての体制づくり・教育機能の向上
○保護者・地域住民による学校教育活動への評価のあり方と活用

2 実践の推進体制

○地域の教育力を生かし,学校の教育課題に対応する新しい組織

-JASS(JOSEI ADMINISTRATE-SYSTEM&STAFF)-

・経営組織に地域の教育力を取り込むスタイルを採用。特に,地域委員会が機能し,授業や子どもの活動への人材配置,環境支援ができるように組織化を図った。
・研究実践の企画立案・推進・まとめを行うシンクタンクを設置。シンクタンクに位置づけられたコミュニティ担当が地域委員会と連携しながら,地域のニーズを取り入れ,各活動をコーディネートするようにした。
・プロジェクト,学年経営で教育目標である「かなえよう夢育てようやさしさ」を具現化する取組の実施。(詳細は後述)
・ペアを基本にしたムーヴィングスタッフによる校内の日々の指導・管理。

地域の教育力を生かし,学校の教育課題に対応する新しい組織

3 実践の状況及び成果

(1)学校変革を図るコミュニティ・スクールのコンセプトづくり

1.コンセプトは「城西100年教育」
特別なことを求めるのでなく,学校と地域がお互いのよさを生かし合い,永く続くように組織や活動の再構築を図った。

学校変革を図るコミュニティ・スクールのコンセプトづくり

2.「共につくる」ためのキーワード-「共感・共働・共育」

3.コミュニティ・スクールの柱となる4つの像の設定
-学校像・子ども像・教師像・保護者像

4.教育参画「城西スタイル」の確立
・教育参画を「意見を出す,述べる」,「承認し,支援する」の2面でとらえ,地域の声を取り入れる3つの視点を設定
-「子どもの育ちへの願い」「学習材の情報提供」「学習内容への希望」

(2)保護者・地域住民が学校運営に円滑に参加していくための学校システムづくり

1.めざす子ども像へ向かう3つのプロジェクト

・「豊かな学びプロジェクト」
 ○夢に向かう学習-キャリア教育の実践,お仕事新聞発行
 ○なかよしコミュニケーション-コミュニケーションスキル
 ○学習チャレンジ-日本漢字検定実施,メディアセンターの開放と活用

・「こころハートふれあいプロジェクト」
 ○城西ふれあいフラワーデー-コスモスの栽培,道徳授業の実践
 ○城西ふれあいフェスティバル-地域と一緒の発表会,体験活動

・「げんきプロジェクト」
 ○いきいき生活リズム-げんきアップ集会,健康ウォークラリー
 ○もりもり食習慣-食育に関する講演会,アンケート調査・環境整備
 ○わくわく運動-新体力テストへの協力依頼,ふれあい登校

2.めざす子ども像へ向かう学年経営
・学年の行事,学校行事,学年で計画する授業,各プロジェクトの活動に地域のニーズを取り入れ、指導・支援の形態によりMT(メインティーチャー),AT(アシスタントティーチャー),H(ヘルパー)と地域人材を位置づけた学年年間経営計画を作成し、実践

3.地域委員会の発足と活動
・公募及び推薦で保護者OB・保護者13名で発足し,ほぼ月1回会議を開催
・学校と一緒になった諸活動を企画・運営,人材募集,環境支援,自主企画事業の実施,情報の収集と広報活動

4.学校支援ボランティアと地域活動
・「お話宅急便」-読み聞かせの自主企画・広報,本の修理,研修会の実施等
・外部講師による正課クラブ(16クラブを保護者・地域人材が指導)
・子どもたちの安全安心のための「学校安全ガードボランティア隊」の活動
・地域の大人と子どもが一緒に行う「城西地区ボランティアデー」(年3回)

(3)情報公開と学校評価

1.学校公開と情報発信
.・「みんなの登校日」-保護者や地域住民が実際に学校へ足を運び,子どもたちの学習場面に接したり,自ら学んだりし,学校の教育活動を知ってもらう機会にするとともに,ボランティア等で教育活動に関わっていただく機運を高める機会として年2回各1週間ずつ実施。
・街をイメージしたホームページによる情報提供-学校の諸活動の紹介,コミュニティ事業の報告,掲示板による意見や感想の収集
・地域向けおたより「comunita」や学校報「城西の風」の発行と回覧

2.地域・子どもの声を学校運営に反映させる学校評価システム
・学校像に照らして,領域(22領域)・目標(42目標)を定め,具体的な実践や教育活動を保護者・地域・子どもの評価と合わせて総括評価
・数値化を図り,基礎資料をベースにした評価カードによる評価の実施
・結果を推進委員会に提出し,意見を聴取
・ガイドラインを作成して公表

(4)実践の成果

  1. 地域に合った「城西スタイル」による教育参画の姿,方策が明確になってきた。
  2. 保護者,地域住民の願いや意見を取り入れた学校運営の実現には情報公開が重要であることが分かった。
  3. 地域人材の支援により子どもの興味・関心・意欲が高まり,学習に深まりと広がりが出てきた。また,大人の姿を見て生き様を学んだり,将来に対する視野を広げたりすることができた。
  4. 地域と連携した授業の構築を図ることで,指導法の改善につながった。
  5. コミュニティ・スクールとして永く続くためには学校と地域を結ぶコミュニティ担当のような役割が欠かせないことが分かった。

4 課題と今後の取組

(1)課題

  1. 活動や授業参画の姿を蓄積・類型化し,コミュニティ・スクールを運営する理論的な土台やシステムをより強固なものにしていかなければならない。
  2. まだJASSが円滑に機能するまでにはいたっていない。学校の教育課題に対応し,地域の教育力をより諸活動に生かせるようにJASS内の有機的な関連を図っていきたい。
  3. 評価については,よりよい形にしていくための改善が必要である。学校像を具現化するための領域,目標,取組を精査し,整合性を図りたい。

(2)今後の取組

  1. 指定に向けた学校運営協議会の役割と機能の明確化
  2. 地域の願いを把握し,取り入れるための方策の研究
  3. 地域委員会の主体的な活動の蓄積と性格付け・役割の明確化
  4. P→D→C→A→Cにつながる分かりやすい学校評価システムの構築

本校の教育活動、コミュニティ・スクールの推進状況は下記ホームページで。
URL→http://www17.ocn.ne.jp/~jousei/
(※秋田県大館市立城西小学校ホームページへリンク)

-- 登録:平成23年11月 --