都道府県名 和歌山県
学校名 新宮市立光洋中学校
実践研究のテーマ
「国際的な視野の広い感覚をもった生徒の育成」
(コミュニティ・スクール構想に基づく学校教育の創造)
1.運営会議
新宮市教育委員会や新宮市学校協議会の委員を中心に、学識経験者を加えた実践研究の推進をはかる会である。実際には、光洋学校協議会や学校の取組に関して、アドバイスをいただいている。
氏名 | 所属 | 職名 | 備考(専門分野) |
---|---|---|---|
中西 實年 | 新宮市教育委員会 | 教育長 | |
加藤 明 | 京都ノートルダム女子大 | 教授 | 教育論 |
筒井 三輝朗 | 新宮市学校教育協議会 | 委員 | |
須崎 恵美 | 和歌山県教育委員会 | 教育委員 | |
田岡 実千年 | 光洋中学校PTA | 会長 | |
浜口 仁史 | 光洋学校協議会 | 会長 | |
畑下 圭喜 | 新宮市教育委員会 | 指導主事 | |
清水 雅昭 | 新宮市教育委員会 | 指導主事 |
2.学校運営協議会
教員6名、保護者6名、地域代表6名から成る組織で、学校経営に対する意見を述べ、学校を支援し、独自の地域の教育啓蒙を目指した活動もしている。学校改革推進の大きな力となっている。
役職 | 氏名 | 役職 | 氏名 |
---|---|---|---|
学校長 | 塩見 善則 | 教頭 | 中瀬古 友夫 |
教務主任 | 松本 潤 | 研究主任 | 福田 哲也 |
教員代表 | 桐井 一晃 | 教員代表 | 山本 尚子 |
PTA会長 | 田岡 実千年 | PTA代表 | 坂本 妙子 |
PTA代表 | 道阪 耕一 | PTA代表 | 明智 浩久 |
PTA代表 | 山門 伸介 | PTA代表 | 山本 由美 |
木の川区代表 | 大石 元則 | 蜂伏区代表 | 須川 頼一 |
三輪崎区代 | 梶田 祐行 | 三輪崎区代表 | 浜口 仁史 |
佐野区代表 | 丸本 裕久 | 佐野区代表 | 杉山 美代 |
3.研究部
教員が全員、研究部員となり、いくつかの班に分かれて研究する。そして、各班長がその様子を班長会議において、学校長・研究主任に報告する。
4.PTA(育友会)
学校と保護者との関係を深め、学校を支援する活動を行っている。
5.新宮市教育委員会
学校長を支援し、その裁量権拡大にも協力している。特に、予算面では、学校のニーズに的確に対応できるように、支援や助言を与える。
6.和歌山県教育委員会
学校長を支援し、その裁量権拡大にも協力している。特に、人事面では、学校の必要とする教員の配置等、協力し、学校運営に助言を与える。
2 実践の成果と課題
(1)学校と地域との連携について
1.保護者や地域住民の参加による協議会の活用について
○学校運営協議会の構成
研究初年度は、人数を27名と大所帯とし、又、地域住民代表を過剰に配置したため、あまりよく機能しなかった。そのため、2年目以降、学校教職員・保護者・地域代表の三者をそれぞれ三分の一ずつと配分し、人数も各6名としている。これにより、議決の場合、三つのグループのどれも単独では過半数に達せず、他の者の賛同が必要となる。
又、選出については、学校長が教職員の6名を選出し、PTA会長が保護者代表の6名を選出し、各地域の区長がそれぞれ区の代表を選出している。そのため、必ずしも校長や協議会会長の意見に賛同するものだけが集まらず、より民主的な組織と言える。
○協議会の役割
○開催回数及び協議内容
協議会は毎月、少なくとも1回開催され、最終金曜日とほぼ決まっている。時間も午後7時から9時過ぎまでで、あまり遅くならないように配慮している。
又、内容は、上記の役割を考えて、まず、学校の取組みを話した後に意見を求め、次に、各地域から様々な情報をいただき、学校が取り組めるものがないかを検討する。更に、地域に対する活動・取組みの意見をいただき、議論していく。実際に、本校の学校運営協議会が16年度に決議し、実施した活動は下記のとおりである。
○学校運営・教育活動への反映状況
2.地域人材の活用について
本校には、ボランティアとして数多くの地域住民が参加している。その種類に関しては、下記にまとめているが、このボランティアの学校への参加を進める活動として次の2点がある。
(1)校区の地域住民に対して、町内会の協力を得て、町内会の回覧板で、学校が「広報 光洋」を発行・回覧している。これにより、学校の活動がわかり、理解者が増え、又、ボランティア等の募集も行っており、それを見て協力してくれる方も増えている。
(2)新宮市には大学がないため、ボランティアをできるような若者がいないが、それを補うために、ボランティアの育成を行っている。これは、英会話とコンピューターの補助ボランティア募集に際して、事前に講習等を行い、自信をつけてから実際の授業の補助をお願いしている。
ボランティアの種類
(1)教科授業の補助
英会話・数学・コンピューターの授業に、毎週入っていただいている。人数は、英会話が25名、数学2名、コンピューター15名。
(2)総合的な学習の地域学における補助
総合的な学習の時間に行う日本舞踊・茶道・着付け・地域の鯨踊りの時には、それぞれ10名ほどの方々が来校し、教えていただいている。
(3)図書ボランティア
本校は、図書室を地域に開放している。そのため、その貸出業務に、地域の方々が約30名ほど手伝って頂いており、そのおかげで、平日は午前9時から午後4時半まで、開館している。
(4)受付けボランティア及び清掃ボランティア
学校行事等で、受付が必要な場合、随時募集して、受付をして頂いたり、又、校舎の清掃(生徒ではできない部分)を年に1・2度、ボランティアを募って、実施している。
3.その他
本校は、地域からの協力を得るために、「学校は地域のために何ができるか」をテーマに努力してきたが、生徒会が、今、地域のクリーン作戦等の清掃活動を行う折に、ボランティアを募って、参加している。毎年、4・5回の出動の機会があり、生徒達は、学校が配布したボランティア・カードもうまく使いながら、自主的に参加している。又、地域のJRの無人駅も、月に一度、早朝清掃をボランティアで行っている。
(2)学校の裁量権の拡大に関する取組みについて
1.人事に関する取組み
○民間校長の採用(平成15年度に採用)
○本校の勤務を希望する教員の採用
平成15年度に、和歌山県・三重県・奈良県で公募する形で実施した。結果として、三重県から1名、本校の校区に住居する教員1名の2名を採用した。
2.予算に関する取組み
○本校の学校運営協議会に市教育委員会より特別予算をつけていただく。
○学校への配分予算における「目」の中での柔軟な使用
3.教育課程に関する取組み
○新しい教科の設定
初年度は「伝統と芸術」と名付け、次年度以降は、「地域学」として名付けて、地域との交流や伝統文化の継承に力を入れた。
(3)その他の取組み
○ 他校との交流
海外の学校との姉妹校提携や、プロジェクトの共同研究を実施し、本年6月には、シンガポールの交流校の生徒が十数名来校する予定。
○ 読書運動を展開
図書室を整備、デジタル化して、利用しやすくし、又、生徒を対象に「児童文学を読む会」を発足して定例会を開いている
○ 近隣の高校とクラブ活動の合同練習をしている
研究開発の課題
地域に開いた学校、又、学校裁量権の拡大
○研究のねらい
地域に開いて、学社融合を目指し、その地域力を利用して、学校を運営する。又、そのために、何をすべきかを考えていく。
○研究内容
地域に開き、保護者や地域住民の協力を得るためには、学校側も説明責任等、できる限り、保護者に説明し、又、保護者や地域の方々が学校を訪問できるように計画していく。
1.教育課程の弾力化
学校の特色を出し、地域のニーズに応えるためにも、カリキュラムを弾力化する必要がある。地域性を踏まえ、地域にも受け入れられる柔軟なカリキュラムを導入する。
○成果
1.と2.に関しては、地域住民の力を借り、毎時間十数名の方々に来校していただき、丁寧に教えていただいた。その後、生徒の中に地域芸能に興味を持つ者も出て、地域芸能保存会の活性化になり、又、いろいろな場での演技披露の機会もあり、地域住民との伝統文化を通じた交流にもなった。
3.と4.は、研究加配の教員もあり、各学年、国語・数学・英語を中心に少人数学習あるいは、T・T学習を実施し、生徒の基礎学力向上になった。研究最終年度には、和歌山県一斉テストでいい成績を残した。
5.は、各学年ごとに、選択教科を従来の2倍近くに増やし、さまざまな生徒の希望に対応した。又、講座数の増加により、自然と各講座の受講人数が少人数化し、内容的にも充実した。
○課題
研究指定後に、加配教員が引き上げられると、今までの少人数学習の取組は難しくなるが、その分、ボランティアを広く導入して、教員とのT・T授業ができるように努力する必要がある。本校の地域では、地域学習の取組に対して、今では地域住民の大変暖かい応援があるが、この協力関係ができるまでにはさまざまな努力と取組があった。今後も、学校が地域のためにできることを実施し、地域の理解を得ていく必要がある。
2.学校評価に関する取組み
学校側からの報告だけでなく、保護者の意見を吸い上げる取組みとして学校評価を実施し、問題点を速やかに明確化して改善に努めている。
○成果
1.は、学校評価に関しては、1学期末に、保護者・生徒に対しての学校評価アンケートを実施して、92%以上の回収率で、様々なご意見を頂戴した。
2.は、和歌山県が実施する学力診断テストの個々の成績とを相関させ、日常の生活習慣と成績との関連性を分析調査するために行う。
3.と4.は、校長の学校経営に対するの評価であるが、保護者からは、5段階で、又、学校協議会からは記述式で、貴重なご意見をいただいている。
5.は、校区の全町内会の協力を得て、回覧板にアンケート用紙を添付して、町内会で回収していただいた。研究2年目に実施し、地域が本校をどのように見ているかがわかった。
○課題
学校評価もよく内容を検討し、目的をしっかり持った調査をすべきで、回数より、どのように保護者にそれを返していくかが重要である。又、数年に亘る、定期的なデータの収集・蓄積が大切で、比較検討できるようにしていく。
3.地域に対する学校開放の取組み
○研究内容
地域との連帯を目指して、多くの地域住民に来校していただきたいということから、地域住民が参画できる企画を実施し、学校の取組みをご理解いただく。
○成果
地域の方々に学校に来ていただく取組みとしては、学校行事の他に、図書室の一般開放、地域との合同スタンプラリーの実施、講演会の開催、劇の鑑賞会、「児童文学を読む会」、カルチャー講座等があり、更に、本年度は、地域交流の「交流綱引大会」が学校運営協議会により開催され、秋に、4000名以上の地域住民が参加した。
○問題点
今後は、同窓会にも協力をいただきながら、更に地域に根付く活動が必要である。
4.ボランティア活動の取組み
○研究内容
地域の協力を一方的に受けるのではなく、学校側・生徒教員も積極的に地域に出て行き、地域のために活動を推進する必要がある。それによって、双方向的な協力活動ができ、支援も積極的なものとなる。
○成果
本年度、地域でクリーン作戦等の取組みがある折には、積極的に生徒達に呼びかけ、ボランティア活動として、参加した。その回数は、市や区やNPOと提携して行ったものが4回、又、本校独自の取組みとして、地域にある駅の早朝清掃を毎月一度定期的にボランティアの生徒達で行った。その推進のために、生徒にボランティアカードを発行して、生徒達の記録となるようにした。
地域の方々がより積極的に学校に対して係わってくれるようになった。又、地域の方々が、一緒に作業をして顔なじみになった生徒達に声かけを日頃してくれるようになった。保護者や地域の方々のアンケートでは、この生徒のボランティア活動に関しては99%の方々が賛成であるという結果が出た。感謝の言葉も多くいただいている。
○問題点
ボランティア活動に対する地域の方々や保護者の理解は大変高いが、学校だけで取り組んでいる駅清掃には、保護者や地域の方々が参加するまでには至っていない。
-- 登録:平成23年11月 --