キャリア教育実践プロジェクト 平成18年度実績報告書

別紙様式2
(キャリア・スタート・ウィーク推進地域用)
キャリア・スタート・ウィーク推進地域名 伊賀市

1.研究テーマと設定理由について

〔研究テーマ〕

 職場体験を通して、働くことの楽しさ、厳しさ、大切さを知ったり、働く人々の様々な思いや社会的マナーの必要性を理解する。同時に生徒の豊かな人間性や社会性を育む。

〔設定理由〕

 伊賀市は、平成18年度教育重点目標の一つとして、キャリア教育の推進を掲げている。児童生徒が、明確な目的意識をもって学習に取組み、主体的に自己の進路を選択・決定する。そのためには、発達段階に応じたキャリア教育は極めて重要である。
 本年度、教育活動をキャリア教育の視点から捉えなおしていきたいと考えている。
 特に、中学校での職場体験、福祉体験等は生徒が働くことを通して直接社会と出会う機会となる。
 今後、地域の教育力を最大限に活用し、事業を推進していきたい。

〔重点課題〕

  • 職場の人びととのふれあいを大切にする。
  • 人の接し方や社会生活における規範を学ぶ。
  • 自分の将来の職業や進路に関する理解を深める。
  • 「地域の子どもは地域で守り育てる」という気運を高める。

2.事業の活動内容及び成果と課題について

(1)市区町村キャリア・スタート・ウィーク実行委員会の位置付けと果たした役割及び成果と課題

1.実行委員会名

「伊賀市キャリア・スタート・ウィーク実行委員会」

2.実行委員会の構成メンバーについて(平成19年3月現在)

氏名 所属・職名
味岡 一典 伊賀市教育委員会・教育長
中井 富一 伊賀市商工観光政策課・課長
窪田 朱子 上野商工会議所・事務局長
南 秀志 伊賀公共職業安定所・統括職業指導官
藤森 知二 伊賀市商工会・事務局長
清水 松一 JA伊賀北部農協・総務部次長
古川 和司 伊賀市PTA連合会・会長
加藤 隆夫 三重県立上野工業高等学校・校長
西 浩一 伊賀市立柘植中学校・校長
花井 宏彰 伊賀市立霊峰中学校・校長
船見 忠美 伊賀市立阿山中学校・校長
水口 昌也 伊賀市立島ヶ原中学校・校長
界外 直樹 伊賀市立大山田中学校・校長
味岡 一博 伊賀市立青山中学校・校長
加納 圭子 伊賀市教育委員会学校教育課・課長
仁保 晋作 伊賀市教育委員会学校教育課指導係・主幹
【組織関係図】

組織関係図

3.実行委員会における会議開催日毎の主な活動の内容(議論の内容)について

5月 第一回実行委員会
 市教育委員会及び各中学校より、本年度のキャリア教育推進計画を説明し、受入れ態勢等の協力を得る。

  • 年度当初に、生徒が職場体験を希望する職種の概要を知ることができたので、商工会として関係する企業を各校へ紹介させていただく。
  • 第一次産業の分野については、JAの方で職場を提供したい。
  • 小学校段階からのキャリア教育の重要性が指摘された。

9月 第二回実行委員会
 職場体験を10月、11月に実施する学校が多いことから、事前学習における外部人材の活用について議論された。

  • 商工会議所からは、人材リストを作成し学校へ提供するとの申し出があった。
    リスト作成には、企業の経営者を中心に作成するが、学校がどのような人材を求めているのか分かりにくい。どのような内容を話してほしいのか。
  • 働くことの意義や生き方をダイナミックに伝えてくれる講師がほしい。
    キャリア教育推進フォーラムの内容について議論され、小学校段階からのキャリア教育を含め、異校種間の連携が必要という視点で開催することが確認された。

11月 伊賀市キャリア教育推進フォーラム
 実行委員会が主体となり、教職員、保護者、事業主、青少年育成団体等を対象としたフォーラムを開催した。約300名参加。

  • パネリストとして、実行委員会を組織する各団体から参加しそれぞれの立場から意見を述べた。
  • 小学校段階からのキャリア教育についても深い討議が行われた。

2月 第三回実行委員会
 職場体験受入れ事業所へのプレート配付について。

4.実行委員会における活動の成果と課題について

  • 中学校における職場体験や小学校段階からのキャリア教育の重要性と今後の連携のあり方について共通理解を図ることができた。
  • キャリア教育フォーラム開催に向けての論議をとおして、具体的な子どもの姿を共有することができた。
  • 高校におけるインターンシップやキャリア教育との接続が十分でない状況が明らかになった。

5.実行委員会の活動の課題に対する取組方針について

  • 小中高の情報交換会(連絡会等)の開催

(2) 推進地域における活動の具体的内容及び成果と課題

1.推進地域における総学校数【数は、本事業における職場体験を実施する学校数】

市町村名 総中学校数 職場体験を受け入れた総事業所数
伊賀市 12(6) 341(のべ)

2.推進地域における活動の具体的内容

  • 伊賀市教育委員会教育方針への明確な位置付け
  • 伊賀市キャリア教育推進フォーラムの開催
  • 「上野商工会議所」による「キャリア教育推進」講師リストの作成及びキャリアアドバイザーの派遣
  • ライフスキル教育(キャリア発達に必要な能力開発)に関わる研修会を、伊賀ライオンズクラブの協力を得て開催
  • 商工会議所会報等への啓発記事掲載
  • 小学校段階からのキャリア教育を推進する研究校の指定

3.推進地域における活動の成果と課題

  • 生徒の希望する職種を受入れてくれる事業所の開拓
  • キャリア教育についての企業啓発
  • 小学校段階からのキャリア教育の推進

4.推進地域の活動の課題に対する取組方針について

  • 実行委員会の定期的な開催
  • 商工会等の企業関係者との密接な情報交換

(3) 職場体験実施校(本事業による)における活動の内容及び成果と課題について

1.実施校における活動の内容について

〔事前指導〕
  • 職業意識調査の実施
  • 地域の仕事調べと発表交流会の開催
  • 企業で働く人や地域の職人さんを招いた学習会の実施
  • 自己決定能力やコミュニケーションの能力等を身につけるライフスキル教育の展開
  • 仕事体験館など職業教育にかかわる施設への校外学習の実施
〔体験中指導〕

(のべ事業主数)
対象6中学校 … 134
市内12中学校 … 341

(参加生徒数)
対象6中学校 … 406人
市内12中学校 … 905人

〔事後学習〕
  • 体験のまとめと報告交流会の開催
  • 事業所へのお礼の手紙送付
  • 体験報告集の作成

2.職場体験の主な受入先(概要)

  • 商業分野: 鮮魚商、コンビニエンスストアー、ゴルフ場、書店、理容店、地元小売店、飲食店薬局
  • 福祉関係: 保育園、共同作業所、老人ホーム
  • 工場関係: 市内中小企業(自動車整備、製菓業、組紐など)
  • 学校関係: 市内幼稚園、小学校
  • 公共機関: 博物館、資料館、郵便局、消防署、図書館、市役所
  • 医療機関: 動物病院、病院

3.職場体験の受入先の開拓方法

  • 生徒の希望をもとに、昨年度の受け入れ事業所を訪問し依頼
  • 職員のもっている情報をもとに新規開拓
  • 事業推進委員会(PTA・地区)による事業所検討と紹介

 4.実施校における活動の成果と課題について

〔成果〕アンケート結果(阿山中学校)より

○  この職場体験が進路や将来について考える機会になった。(80パーセント)
○  この職場体験は楽しい活動となった。(80パーセント)
○  この職場体験について家庭でいろいろ話した。(65パーセント)
○  職場体験先の方といろいろ話すことができた。(78パーセント)

  • 地域社会による中学校・中学生への理解が深まり、積極的にかかわっていただけるようになった。
  • 働くことの大切さを知り、親に対する感謝の気持ちを持てるようになった。
  • 職場における意思疎通の大切さを学べたことによって、日常生活での人間関係づくりに気を配るようになった。
  • 事後の報告会に取り組むことにより、プレゼンテーション能力が伸びた。
  • 地域で働いている方と直接かかわることで、日常生活に必要な事柄やあいさつの大切さを実感することができた。
〔課題〕
  • 地域的に事業所の種類が少なく、生徒の希望に応えられない。
  • 生徒数の多い学校では、希望の職場にいけない生徒がでてくる。
  • 実施時期が重なることもあり、事業所との調整が難しい。各校による事前の調整が必要である。
  • 生徒の希望に沿うために、交通機関を利用して校区外の事業所へ通わなければならない。その費用の捻出は難しい。
  • 食品を扱う事業所では検便を義務付けられており、多額の費用が必要になる。
  • 職種に偏りがある。第一次産業にかかわる受け入れ先を開拓することも必要。

5.実施校における活動課題に対する取組方針について

  • 日常的にキャリアカウンセリングを実施し、職場体験実施までに明確な目的意識をもたせていく。
  • 生徒の希望に添える事業所の開拓と調整を年度の早い時期に実行委員会で行う。
  • 予算措置の充実(市単位では難しい状況にある)

6.実施校における生徒の勤労観、職業観に対する意識の変容について

  • 職場体験の日数について、70パーセントの生徒が5日以上が良いと答えていることから、期間の延長は生徒にとって満足するものとなっている。
  • 実際の仕事体験は数日のことではあるが、生徒にとっては緊張の連続であり、また事業所側も細かく熱心に指導していただけるため、普段学校では学べない実社会におけるルールやマナー、実際に仕事することの厳しさや大変さ等、いろいろなことを学ぶことができた。
  • また、一方では、仕事をすることの楽しさを学ぶことができた生徒も多く、仕事に対する認識を新たにすることができた。
  • 「他人の喜びを自己の喜びと感じられることが遣り甲斐なのだ」という勤労観をもつことができた。
  • 将来働くことの自覚と責任感が芽生えた。
  • 些細なことにもこだわるプロの厳しさ、努力し続ける姿勢を目の当たりにし、謙虚な姿勢で学び続けることの大切さを知った。

7.実施校の状況

学校名 教職員数 生徒数 所在地(電話、ファックス番号・Eメールアドレス) 備考(学校HP等)
伊賀市立柘植中学校 13 112 伊賀市柘植町1881
電話 0595-45-2059
FAX 0595-45-6374
Eメール g01_tsuge-j@iga.ed.jp
http://www.iga.ed.jp/tsuge-j/
(※柘植中学校ホームページへリンク)
伊賀市立霊峰中学校 18 200 伊賀市新堂160
電話 0595-45-3024
FAX 0595-45-6375
Eメール g01_reihou-j@iga.ed.jp
http://www.iga.ed.jp/reihou-j/
(※霊峰中学校ホームページへリンク)
伊賀市立阿山中学校 18 252 伊賀市千貝10
電話 0595-43-0114
FAX 0595-43-1916
Eメール g01_ayama-j@iga.ed.jp
http://www.iga.ed.jp/ayama-j/
(※阿山中学校ホームページへリンク)
伊賀市立島ヶ原中学校 9 56 伊賀市島ヶ原4696-2
電話 0595-59-2045
FAX 0595-59-3228
Eメール g01_shimagahara-j@iga.ed.jp
http://www.iga.ed.jp/shimagahara-j/
(※島ヶ原中学校ホームページへリンク)
伊賀市立大山田中学校 15 144 伊賀市平田655
電話 0595-47-0310
FAX 0595-46-1583
Eメール g01_oyamada-j@iga.ed.jp
http://www.iga.ed.jp/oyamada-j/
(※大山田中学校ホームページへリンク)
伊賀市立青山中学校 30 411 伊賀市阿保1870
電話 0595-51-1000
FAX 0595-52-0057
Eメール g01_aoyama-j@iga.ed.jp
http://www.iga.ed.jp/aoyama-j/
(※青山中学校ホームページへリンク)

 8.実施校における職場体験の実施状況について

学校名 職場体験等の実施形態(連続5日間の実施等) 職場体験等の教育課程上の位置付けについて 来年度の取組予定について
伊賀市立柘植中学校 連続(30時間相当) 総合的な学習の時間 継続
伊賀市立霊峰中学校 連続(30時間相当) 総合的な学習の時間 継続
伊賀市立阿山中学校 連続(30時間相当) 総合的な学習の時間 継続
伊賀市立島ヶ原中学校 連続(30時間相当) 総合的な学習の時間 継続
伊賀市立大山田中学校 連続(30時間相当) 総合的な学習の時間 継続
伊賀市立青山中学校 連続(30時間相当) 総合的な学習の時間 継続

 (4) 全体的な研究の総括と展望

 2年間の研究指定により、伊賀市内12中学校すべてにおいて5日間(連続する30時間)の職場体験を実施した。また、保護者や地域への啓発活動も積極的に取組み、伊賀市全体の機運が高まってきている。今後も、伊賀市の教育の重点課題(人権・学力・キャリア)の一つとして位置付け、取り組んでいきたい。

  • 学校マニュフェストの具現化
  • 中学校において今後も、5日間(連続する30時間)職場体験の実施
  • キャリア教育フォーラムの開催
  • 小学校段階からのキャリア教育の展開
  • キャリア教育推進指定校の公開発表
  • 中高の連絡会の開催
  • ライフスキル教育推進校の指定

3.その他

○ 当課キャリア教育推進地域指定事業関係機関・他府省事業等の連携について
 経済産業省 起業家教育促進事業
 市内中学校において、ドリームマップを作成するワークショップを開催し、職場体験の事前学習の一環とした。

4.その他特記事項

 平成18年度キャリア教育優良教育委員会・学校等文部科学大臣表彰を受ける。

5.キャリア教育実践プロジェクトの市町村の教育委員会担当者

氏名 勤務先・職名 連絡先(電話・FAX番号、Eメールアドレス等) 備考
仁保 晋作 伊賀市教育委員会
学校教育課指導係・主幹
電話 0595-22-9676
FAX 0595-22-9691
Eメール s-niho@city.iga.lg.jp
 

-- 登録:平成21年以前 --