キャリア教育実践プロジェクト 平成18年度実績報告書

別紙様式2
(キャリア・スタート・ウィーク推進地域用)
キャリア・スタート・ウィーク推進地域名 石狩地域

1.研究テーマと設定理由について

(1)研究テーマ

 様々な課題に柔軟に、たくましく対応できる生徒の育成
 −地域ぐるみで取り組む職場体験等の活動を通して−

(2)テーマ設定の理由

 学校外の地域社会で職場体験等を経験することを通して、自ら課題を見付け、柔軟な発想で、粘り強く課題を解決していくことができる生徒の育成を目指すために、本テーマを設定した。

2.事業の活動内容及び成果と課題について

(1)市区町村キャリア・スタート・ウィーク実行委員会の位置付けと果たした役割及び成果と課題

1.実行委員会の名称

(石狩地域キャリア・スタート・ウィーク実行委員会)

2.実行委員会の構成メンバーについて(平成19年3月現在)

氏名 所属・職名
菊地 秀夫 北海道教育庁石狩教育局・生涯学習課長
吉川 雅樹 北海道教育庁石狩教育局・義務教育指導班主査
藤井 典雄 北海道教育庁石狩教育局・学校教育係長
櫻井 徹 北広島市立緑陽中学校・校長
安田 寿文 北広島市教育委員会・管理課主査
本多 総夫 当別町立当別中学校・校長
田中 覚 当別町立弁華別中学校・校長
池内 芳美 当別町教育委員会・管理課長

【組織関係図】

組織関係図

3.実行委員会における会議開催日毎の主な活動の内容(議論の内容)について

○第1回実行委員会【平成18年6月23日(金曜日)】
  • 実行委員会としての成果を効果的に普及するため、統一した書式の事業評価アンケートに取り組むこと。
  • 特別活動、総合的な学習の時間、各教科等の特性を考慮しながら、職場体験等を教育課程に適切に位置付けて、学校の教育活動の一環として実施すること。
  • 学校における全教育活動との関連の下に、目標及び内容、育てようとする資質や能力及び態度、各教科等との関連などを位置付けた全体計画を作成すること。
○第2回実行委員会【平成19年2月2日(金曜日)】
  • 学校が連続5日間実施することの意義を十分に理解すること。
  • 受入先事業所に対し、過去のプログラムを提供するなど、学校としての職場体験のねらいがしっかりと伝わるよう工夫すること。
  • 生徒には、職場体験を通じて社会との結び付きを体感させること。
  • 地元の商工会の方をメンバーとする実行委員会を設けるなど、市町村単位で取り組むこと。
  • 職場体験を生かして学ぶことの意義を考えたり、道徳の時間における自己の生き方を考える指導を工夫するなど、全教育活動でキャリア教育を推進すること。

4.実行委員会における活動の成果と課題について

○成果
  • 各実践校の計画や実践内容を交流したことにより、工夫点や成果及び課題を共有することができた。
  • 1市1町の実行委員会に対し、共通の事業評価アンケートを配付したり、成果を取りまとめる報告等の様式を統一したりすることで、地域全体としての生徒、保護者、事業所等の意見を把握することができた。
  • 推進地域としての事業のまとめの資料を作成し、管内すべての小学校及び中学校教員に配付することで、事業の成果やキャリア教育の意義を広く普及・啓発することができた。
  • 職場体験の一層の充実をはじめ、全教育活動で推進するキャリア教育の在り方について、望ましい方向性を明らかにすることができた。
○課題

・ 推進地域内における実践校以外の中学校が職場体験に取り組むよう、成果の普及に一層努めるとともに、小学校及び高等学校においてもキャリア発達段階を踏まえたキャリア教育が推進されるよう啓発する必要がある。

5.実行委員会の活動の課題に対する取組方針について

○ 事務局である石狩教育局のホームページ等を活用した情報提供を今後も継続する。
○ 普及・啓発資料を活用し、各学校や事業所、保護者に対してキャリア教育についての理解を一層深める取組を進める。

(2) 推進地域における活動の具体的内容及び成果と課題

1.推進地域における総学校数【( )数は、本事業における職場体験を実施する学校数】

市町村名 総中学校数 職場体験を受け入れた総事業所数
北広島市 6校(1校) 2事業所等
当別町 3校(2校) 83事業所

2.推進地域における活動の具体的内容について

○北広島市実行委員会の取組
  • 第1回実行委員会において、事業の趣旨、予算等の再確認を行うとともに、実施校が取り組む林業体験の実施状況及び今後の予定についての報告を受けた後、炭の原木、リースづくりの材料の採取状況を視察した。
  • 地域の森林ボランティアや学識経験者との連携を図りながら、実施校の取組を支援した。
  • 雨天でも屋外の活動が実施できるよう、雨合羽を準備するとともに、体験の時間をできるだけ確保するため、借り上げバスを活用した。
  • 第2回実行委員会において、推進校における職場体験の発表会を参観するとともに、本事業の成果と課題について協議した。
○当別町実行委員会の取組
  • 第1回実行委員会において、事業内容を確認するとともに、受入事業所の依頼等の状況及び各学校の実施計画について協議を行った。
  • 当別町商工会や地域関係者の協力を得て、受入調査を実施し、受入事業所のリストを作成した。
  • 事業所への移動は原則的に徒歩または自転車としたが、体験時間を確保するため、学校から遠い事業所へはスクールバスを活用した。
  • 第2回実行委員会において、各学校の実践報告を受け、次年度以降の取組について協議を行った。

3.推進地域における活動の成果と課題について

○成果
  • 従前の学校単独の取組から、実行委員会方式での取組とすることで、地域内の事業所の協力体制が充実するとともに、地域住民の理解が得られるなど、地域ぐるみの取組となった。
  • 実行委員会の中に、商工会や学識経験者を入れることにより、幅広い職種の事業所の協力を得るとともに、専門的な立場からの助言を得ることができた。
  • 実践校の生徒のみならず、その保護者や受入事業所に対して、中学校におけるキャリア教育の重要性の理解を深めることができた。
○課題
  • 指定事業が終了した後も、学校独自の取組とせず、各市町の実行委員会による支援システムを存続する必要がある。
  • 生徒が希望する職種や事業所で職場体験を実施できるよう、職場体験を受け入れる事業所を一層拡大する必要がある。
  • 受入先事業所に対して、学校としての職場体験のねらいを理解してもらう必要がある。

4.推進地域の活動の課題に対する取組方針について

○受入先事業所に対し、本年度の取組をまとめた普及・啓発資料や過去のプログラムを提供し、職場体験についての理解を一層図る。
○実行委員会を中心としながら、職場体験の日程や事業等との調整を図る場を設ける。

(3) 職場体験実施校(本事業による)における活動の内容及び成果と課題について

1.実施校における活動の内容について(事前指導、体験中指導、事後指導の留意点等について)

○事前指導
  • 職場体験の目標や内容についてのオリエンテーションを実施した。
  • 希望アンケート等を活用しながら事業所の選択等、体験先を決定した。
  • 体験する職業に関する資格や仕事内容などの職業調べを行った。
  • 生徒が職場体験に期待すること、自分の長所や趣味・特技、将来の夢や希望を記述する「職場体験履歴書」を作成し、事業所に送付した。
  • 交通手段と経路を確認した。
  • 当日の服装の指導を行った。
  • 当日の持ち物の確認を行った。
  • 礼儀やマナーに関する指導を行った。
  • 遅刻や欠席等の連絡方法を確認した。
○体験中指導
  • 事業所までの移動バスに添乗し、生徒を安全に事業所まで送り届けた。
  • 担当学年の教師が分担して各事業所を訪問し、受入に対するお礼を述べるとともに、事業所の担当者から話を聞くなどして、生徒の活動の様子を把握した。また、次年度の改善点等についても率直な意見をいただいた。
  • 事前にお願いした事業評価アンケートへの協力を確認した。
  • 生徒に対して、がんばっていることを賞賛し、励ましの言葉をかけるとともに、活動の様子を記録用写真に残した。
  • 訪問後は教師間で、生徒の状況について交流し、実施内容等について協議した。
○事後指導
  • 事業所への礼状を作成し、送付した。
  • 体験のまとめを作成、学年内で交流した。
  • 地域の実行委員の方々に参観してもらい、学習成果発表会を開催した。

2.職場体験の主な受入先について(概要)

民間事業所等 コンビニエンス・ストア、ガソリンスタンド、飲食店、ゴルフ場、ペットショップ、菓子販売店、農家、スポーツ用品販売店
大学、幼稚園等 幼稚園、保育所、大学図書館、大学薬草園
行政機関 消防署、役場、総合体育館、動物園、市建設部
福祉施設 特別養護老人ホーム、ディサービスセンター
その他 道有林での林業体験

3.職場体験の受入先の開拓方法について

○地域実行委員会が、地元商工会や関係者の協力を得て作成した受入事業所のリストから、職場体験の受入をお願いしたい事業所を選定し、町教育委員会(地域実行委員会事務局)が事業所等との連絡調整を行った。
○町内の事業所のほとんどは、卸売業、飲食店であることから、役場等の行政機関にも受入をお願いするとともに、町内で希望の職種の体験が困難な場合は、札幌市内の事業所にも受入をお願いした。

4.実施校における活動の成果と課題について

○成果
  • 従前の短期間の職場体験を、延べで5日間の職場体験とするなど、実施期間を拡大することにより、生徒の働くことの尊さや喜び、働くことの意味、職業に対する意識等、勤労観、職業観を高めることにつながった。
  • キャリア教育の全体計画に基づいて実践を進めることにより、教育課程上の位置付けや他の教育活動との関連が明確になるなど、指導計画が充実した。
  • 地域の事業所と中学校が一体となって、地域の中学生を育てていこうとする気運が高まるとともに、保護者や地域住民の理解が図られ、地域の教育力の向上につながった。
○課題
  • 生徒が希望する職種を体験できるよう、受入事業所の数を増やしたり、職種を広げたりする必要がある。
  • 事業所等との連携を深め、受入先での生徒の活動について一層の充実を図る必要がある。
  • 職場体験を中心としながら、その体験を生かした他の教育活動の充実を図り、教育活動全体を通して展開するキャリア教育の推進が求められる。

5.実施校における活動課題に対する取組方針について

○地域実行委員会の事務局を通じて、市役所や町役場の関係部局との連携を図り、受入可能な事業所等のリストの一層の充実を図る。
○職場体験に関する学校のねらいについて、事業所の理解が一層深まるよう、具体的な体験プログラムを提示するなど、体験プログラム作成段階でのかかわりを重視する。
○キャリア発達課題に対し重点的に育成すべき能力・態度を参考に全体計画の見直しを進め、一層充実したものとする。

6.実施校における児童生徒の勤労観、職業観に対する意識の変容等について

○生徒アンケートの結果から
  • 9割以上の生徒が、仕事の内容や手順を理解することができ、7割以上の生徒が仕事の内容を通じたコミュニケーションを図ることができたと回答している。
  • 約7割の生徒が職場体験の様子を家族に話したと回答しており、体験の様子を家庭で話し合う状況がつくられている。
  • 8割以上の生徒が、働くことの厳しさや楽しさを感じたと回答している。
  • 約8割の生徒が職場体験は有意義であり、また体験したいと回答しており、効果的な体験活動であったといえる。

7.実施校の状況

学校名 教員数 生徒数 所在地(電話、FAX番号、Eメールアドレス等) 備考(学校HP等)
北広島市立緑陽中学校 16 232 北広島市緑陽町3丁目4番地
電話 011-372-2239
Fax 011-372-2412
http://www.infosnow.ne.jp/ryokuyou/
(※緑陽中学校ホームページへリンク)
当別町立当別中学校 26 361 石狩郡当別町下川町125-11
電話 0133-23-2158
Fax 0133-23-2956
 
当別町立弁華別中学校 11 31 石狩郡当別町弁華別429
電話 0133-23-2349
Fax 0133-25-2068
http://www.infosnow.ne.jp/ben-chu/
(※弁華別中学校ホームページへリンク)

8.実施校における職場体験の実施状況について

学校名 職場体験の実施形態(連続5日間の実施等) 職場体験の教育課程上の位置付けについて 来年度の取組予定について
北広島市立緑陽中学校 分割して5日間の実施 総合的な学習の時間で実施 第2学年で、分割して実施する予定
当別町立当別中学校 分割して5日間の実施 総合的な学習の時間で実施 第3学年で、3日間実施する予定
当別町立弁華別中学校 分割して5日間の実施 総合的な学習の時間で実施 第2学年で実施する予定

(4)全体的な研究の総括と展望

○生徒は、自己の理解を深め、新たな自分を発見したり、世代の異なる大人とのコミュニケーション能力を高めたりするとともに、社会生活上のルールやマナーについて学ぶなど、勤労観、職業観を身に付けることができた。
○保護者は、学校でのキャリア教育の具体的な取組を理解するとともに、子どもたちの働く姿から新たな一面を発見することができた。また、家族の会話も促進された。
○事業所は、地域における事業所の社会的役割を果たす中で、企業価値を高めることにより、地域が一体となって子どもたちを育てていこうとする気運を高めることができ、地域の活性化につながった。
○教職員は、生徒の多様な個性を理解するとともに、地域や事業所等への理解を深めることができた。
○キャリア教育及び本事業に対する各中学校の意識は高まりつつあり、石狩地域では、次年度も5校以上の中学校を指定して、キャリア・スタート・ウィーク事業に取り組む予定である。また、平成17年度にキャリア・スタート・ウィーク事業に取り組んだ管内の他の市においては、本事業において構築されたシステムを活用し、市独自の事業として成果を収めるなど、推進のための具体的な体制が浸透してきている。
○子どもたちに、社会の変化に主体的に対応する力をはぐくむ観点から、キャリア教育を通じて地域のネットワークを構築し、地域の教育力の向上につながる町ぐるみの取組を今後とも継続していく必要がある。

3.その他

○当課キャリア教育推進地域指定事業関係機関・他府省事業等の連携について

 なし

4.その他特記事項

 なし

5.キャリア教育実践プロジェクトの市町村教育委員会担当者

氏名 勤務先・職名 連絡先(電話・FAX番号、Eメールアドレス等) 備考
藤井 典雄 北海道教育庁石狩教育局
生涯学習課学校教育係長
011-231-4111(内線34-531)
Fax 011-232-1061
E-mail fujii.norio@hokkaido.lg.jp
 

-- 登録:平成21年以前 --