専門的・技術的な質問の詳細と回答(屋内運動場関係)

1.屋内運動場等の耐震性能診断基準に関する質問

(2.調査)

No.1

質問

屋内運動場等の耐震性能診断基準(平成18年版)について。4ページ「接合部の調査」の上から6行目に「必要に応じて超音波探傷試験により詳細調査を行うことが望ましい」とありますが、どのような場合に超音波探傷試験を実施するのか、基準等があれば教えて頂きたく思います。これから屋内運動場の耐震性能診断の業務委託を発注しようとしているのですが、積算上超音波探傷試験をどの程度設計書に計上していいものか迷っています。

回答

日本建築防災協会「耐震改修促進法のための既存鉄骨造建築物の耐震診断および耐震改修指針・同解説(1996)」によれば、「完全溶込溶接で施工されている場合には、裏当金やエンドタブ、スカラップ等が見られるはずである。また、完全溶込溶接と隅肉溶接では溶接ビードの幅や形状が異なる。従って、これらの点に注意すれば、目視でその相違を判断できる。目視での判断が難しい場合には、超音波探傷器を用いて検査することとなる。」とあります。屋内体育場の場合には、通常の建物より複雑なディテールとなっており、「目視での判断が難しい場合」に相当する場合が多くあります。「目視での判断が難しい場合」には3か所位の接合部について超音波探傷検査を行う必要があります。「目視での判断が難しい場合」にあてはまらない場合でも、内部欠陥は外観検査では見つかりませんので、3か所位の接合部について超音波探傷検査を行うことが望ましいです。

(回答・追加)

屋内体育館の構造形式の多くは、張り間方向は山形ラーメン、桁行方向は筋違構造です。そのうち是非調べておきたい箇所は張り間方向では梁と柱の接合部、棟の接合部です。どちらも通常は溶接接合になっており、特に梁のフランジと柱の表面の溶接は完全とけ込み溶接が意図されているにも関わらず溶接欠陥ののため十分力が伝達されていない場合が非常に多くあります。そこで超音波探傷によって溶接内の欠陥の位置を確定する必要があります。その結果に従ってどの程度の力の伝達が可能か見極めます。また棟部の溶接についても同様で、梁フランジの溶接の欠陥の有無を調べます。全ての接合部の検査は大変ですから、体育館の中央部のラーメンについて行えば良く、施工の善し悪しは他の箇所でもほぼ同じですから中央部ラーメンの検査結果ですべてを判断すれば良いと考えております。桁行方向の筋違については接合部のガセットプレートと柱の接合が溶接である場合が多くそれも2カ所程度は調べておくと良いと思います。なお、超音波探傷は足場を作るなど準備にも費用がかかることにご留意ください。

 

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大臣官房文教施設企画・防災部参事官(施設防災担当)付

(大臣官房文教施設企画・防災部参事官(施設防災担当)付)

-- 登録:平成22年10月 --