南極地域観測第Ⅶ期計画 [7]

7.情報発信・教育活動の充実
7.1.積極的な情報の発信

 平成16年から運用が開始されたインテルサットの活用の他、インターネットのホームページ等多様なメディアを利用し、研究者への観測データの提供のみならず、国民に対して南極地域観測事業の活動や成果、及びその意義について、観測の現場である昭和基地から積極的な発信を行う。
 特に、平成18年秋から平成19年初頭には、我が国の南極地域観測事業が50年目を迎えることから、これまでの成果も含め南極地域観測事業への国民の理解を増進する機会として活用する。その一環として企画されている「南極展」への積極的な協力を行う。さらに、平成21年の「しらせ」後継船就航を契機に、多様な報道関係者やサイエンスライターの南極への同行を図るとともに、観測隊からの積極的な情報発信を可能にする体制の整備を行う。

7.2.教育の場としての活用
 国立極地研究所においては、南極を大学院学生等の高等教育の場として積極的に活用し、大学院教育の高度化、後継研究者の育成を目指す。特に、極地観測が野外科学の訓練の場として非常に重要であることを認識し、現地教育カリキュラムの整備を含めた大学院生派遣方策の改善、テレビ会議システムを利用した南極からの授業の確立等を図ることとする。
 また、昭和基地と日本の小中学校の教室等を、インテルサットの常時回線を活用してリアルタイムで直接結ぶ「南極教室」を引き続き行う。この際に観測業務に支障が生じることのないように十分留意する。さらに、IPY2007-2008を契機として企画された「中高生南極北極オープンフォーラム」を通じて出された中学生、高校生からの実験・研究の提案のうち可能なものについて、南極地域観測隊が南極において実施する。これらにより、次代を担う青少年が極地に関する学習を通じ地球や環境への理解を深めることが期待される。
 一方、IPY2007-2008の教育・アウトリーチプログラムの一つとして、国際南極大学構想(IAI)がある。この計画は、極域科学の様々な分野でリーダーシップを発揮すると同時に、即戦力となるような、フロンティア精神に富んだ学生を育成することを目的としている。そのために、南極において、広範な学問領域の大学院カリキュラムを国際共同の下で運用するものである。我が国としても、積極的にIAI構想に参画し、国際感覚を身につけた大学院学生の養成を図るとともに、外国の大学院学生を受け入れ、国際的に開かれた南極観測とする必要がある。特に、我が国の南極地域観測事業の中核機関である国立極地研究所は、総合研究大学院大学の基盤研究機関として、複合科学研究科極域科学専攻を担当しており、関係する大学等と連携を図りながら、積極的にIAI構想を推進して行くことを期待する。


6.国際的な共同観測の推進へ 8.次期中期計画の展望へ

-- 登録:平成21年以前 --