南極地域観測第Ⅶ期計画 [6]

6.国際的な共同観測の推進
 国際協力を前提として開始された南極観測は、時代とともに更にその推進が強く求められている。IPY2007-2008への積極的な参加と貢献はもとより、アジア諸国との連携は、特に重要な視点である。平成16年、日本・中国・韓国の極地研究所長の合意で設立された「アジア極地科学フォーラム(AFoPS)」を軸に、マレーシアを始め同フォーラムに参加を希望している国に対しても、南極でのアジア諸国とのパートナーシップの強化を図る。科学の分野でのアジア諸国との連携は、日本学術会議(声明「日本の科学技術政策の要諦」:平成17年4月)や文部科学省の科学技術・学術審議会国際化推進委員会(報告「科学技術・学術分野における国際活動の戦略的推進について」:平成17年1月)等で提言されている。
 また、国際共同観測を推進するにあたって、昭和基地等の観測施設、観測船を国際共同観測のプラットフォームとして積極的に活用する。特に、アジア地域のうち、南極条約に未加盟でありかつ観測拠点を持たないが南極観測に対する意欲を有する国に対して、昭和基地での活動等日本の南極地域観測活動への参加の機会を提供することを通じ、当該国が行う今後の南極地域観測活動への取り組みを支援し、これらの国々の南極条約への加盟を促進することが期待できる。
 以上のことを考慮し、第7期計画においては、以下の点を重視する。

1)二国間及び多国間の国際共同観測への積極的な対応を図る。特に、平成19年~平成20年には国際的な枠組みのもと極域を集中的に観測するため、IPY2007-2008が計画されており、これに積極的に取り組む。特に、同期間中の第50次観測においては後継船が就航していないため、外国の観測基地や観測船をプラットフォームとした共同観測を推進する。

2)AFoPSを軸とした活動の積極的な展開を図る。これまで実施してきた日中韓の隊員訓練への相互参加、ワークショップ開催等の協力を継続する他、共同観測等を通じ連携を強化する。

3)ベルギーがIPY2007-2008を契機にセールロンダーネ山地に夏期の観測基地の設置を計画しており、平成17年6月、ベルギーの経済・エネルギー・通商・科学政策大臣と日本の文部科学大臣との間で、両国関係機関間での可能な協力を支援する旨の声明文が取り交わされた。この声明に基づき、共同観測等協力の可能性につき検討するほか、必要に応じ可能な支援を行う。

4)第6期計画期間中に開始された日本-ドイツ航空機共同観測、日本-韓国共同生物調査、アメリカ基地及び中国基地での宙空観測を継続実施する。

5)定常観測及びモニタリング研究観測で得られたデータ等は、引き続き国際的な利用に供する。

6)昭和基地等観測プラットフォームの国際共同観測への活用を図る。


5.観測支援体制の充実へ 7.情報発信・教育活動の充実へ

-- 登録:平成21年以前 --