4.基本金の修正

4.基本金の修正

4‐1 基本金の修正及び取崩し

Q

  基本金の修正と取崩しとではどのような点が相違するのでしょうか。

A

  基本金の修正とは、過年度の基本金に誤謬があった場合に正しい額に修正することをいう。したがって、過年度に基本金の過大計上又は過小計上があった場合の基本金の修正は、消費収支計算を通して行われるため、当年度の基本金の組入対象額となる。 これに対し基準第31条に定める基本金の取崩しは、前年度繰越消費収入超過額(又は前年度繰越消費支出超過額)に直接加算(又は減算)されることとなるので、当年度の基本金組入額の計算に影響することはない。

5 基本金の表示

5‐1 基本金明細表の事項別記載方法

Q

  基本金明細表において、当期組入高及び当期取崩高については、組入れ及び取崩しの原因となる事実をそれぞれの金額ごとに記載することになっていますが、これらの事項別記載は、科目別記載で差し支えないでしょうか。 また、過年度未組入高の当期組入高については、その旨一括記載して差し支えないでしょうか。
  また、「前期繰越高の1/100に相当する金額」という場合の前期繰越高とは何を指すのでしょうか。

A

  原則として、勘定科目のみによる記載は認められない。したがって、要因別に記載する必要がある。ただし、第3号基本金以外の基本金については、当期組入れの原因となる事実に係る金額の合計額が各号別の前期繰越高(組入高)の1/100に相当する金額(その金額が3,000万円を超える場合には3,000万円)を超えない場合には、資産の種類等により一括して記載することができる。
  過年度の未組入高の当期組入高の表示方法については、「過年度未組入高の当期組入高」と一括表示して差し支えないが同組入高を要因別に、例えば次のように表示することが望ましい。

表示例の画像

5‐2 基本金修正に係る表示方法

Q

  過年度に組み入れられた機器備品、図書等で基本金の誤謬が発見された場合、基本金明細表において、当該修正をどのように修正するのが妥当でしょうか。

A

  基本金明細表において修正増減額を例えば、次のように表示する方法もある。

表示例の画像

  また、上記の修正は、原則として、消費収支計算書を通じて修正するのが妥当である。質問のような消費収支計算書の表示は、当期の「基本金組入額合計」の中に修正増減差額を含めて一括表示して差し支えない。
  したがって、当期分と過年度分と二段書き表示する必要はない。
  また、誤謬による修正額がある場合には組入額がマイナスになってもやむを得ない。

5‐3 建物の取替更新に伴う基本金の表示方法

Q

  旧校舎が老巧化したため同隣接地に新校舎を建設中であり、当年度中に完成する予定です。また、旧校舎の取壊しも当年度中に完了する予定です。この場合に、基本金明細表において、差額組入れ表示してよいでしょうか。

A

  差額組入れ表示で差し支えない。同差額組入れの表示に当たっては、例えば、次のように表示することが望ましい。

表示例の画像

5‐4 基本金明細表の要組入高及び未組入高の記載について

Q

  改正後の基本金明細表の作成に当たり、第2号基本金及び第3号基本金の「要組入高」並びに「未組入高」の欄に金額を記載しないこととなっているのは、どのような理由でしょうか。

A

  固定資産の取得事実又は文部大臣裁定によって組入れを要する額が確定する第1号基本金及び第4号基本金に係る未組入額は、翌年度以後に組み入れていくことを要する額として貸借対照表上に注記表示される必要があるものである。
  これに対し、第2号基本金及び第3号基本金に係る組入予定額及び組入目標額は、基本金組入れの計画であり、将来の事情に応じ変更もされ得るという予定的・可変的な性格を持っており、したがって、計画表に記載されるものである。
  以上のような理由から改正後の基本金明細表の様式において、第2号基本金及び第3号基本金については、「要組入高」並びに「未組入高」の欄に「‐」が記されていると考えられる。
  したがって、この欄には金額を記載してはならない。

5‐5 組入計画表における所要見込総額の記載について

Q

  旧校舎(取得価額2億円)を取り壊し新校舎を建設する予定です。校舎の改築に要する金額を6億円と見込んでいます。第2号基本金の組入れに係る計画表の摘要欄の所要見込総額は6億円と記載するのでしょうか。なお、旧校舎については全額基本金組入済みです。

A

  文高法第232号「学校法人会計基準の一部改正について(通知)」によれば、取得更新の場合には、除却資産の取得価額を控除した額を「取得額」として記載することとなる。
  したがって、所要見込総額も、改築に係る建設費6億円から旧校舎の取得価額2億円を控除した4億円で記載されることになる。

5‐6 リース取引と基本金組入れ

Q

  教育用に使用するコンピュータをリースにより導入することになりました。このリース契約では、リース期間経過後に所有権が当校に移転することになっています。このコンピュータは固定資産に計上し、基本金組入れの対象とすべきでしょうか。

A

  リース取引はファイナンスリース取引とオペレーティングリース取引とに分けられるが、ファイナンスリース取引とは、リース期間の中途において契約を解除できないリース取引で、借手が当該契約に基づき使用するリース物件からもたらされる経済的利益を実質的に享受でき、かつ、当該リース物件の使用に伴って生じるコストを実質的に負担することとなるリース取引をいい、オペレーティングリース取引とは、ファイナンスリース取引以外のリース取引をいう。ファイナンスリース取引のうち所有権移転ファイナンスリース取引は、通常の売買取引に準じた会計処理を行う。
  したがって、質問のコンピュータは固定資産に計上し基本金の組入れ対象となる。(「リース取引に関する会計処理及び監査上の取扱い」学校法人委員会報告第37号参照)

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高等教育局私学部参事官付

-- 登録:平成21年以前 --