「地方独立行政法人会計基準」及び「地方独立行政法人会計基準注解」に関するQ&A 第12章

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12章 連結財務諸表

Q 90-1 「注解60重要性の原則の適用について」により、連結財務諸表を作成するに当たっては重要性の原則の適用があることを示しているが、連結の範囲、連結のための個別財務諸表の修正、特定関連会社の資産及び負債の評価、未実現利益の消去、連結財務諸表の表示等に関する重要性の具体的な判断基準はどのようなものか。
A
 重要性の原則が適用されるのは、連結財務諸表の利用者の判断を誤らせることがない程度であれば、ある程度簡便な方法で作成することができることを示すものであり、一律に具体的な数値を用いて判断基準を制定することはできない。例えば連結対象会社が多数存在する場合においては、連結対象会社間の少額の取引までを全て相殺することは困難であり、そのような場合に重要性の原則を用いて処理することになる。重要性の原則は、関係法人集団の財政状態、運営状況及び公的資金の使用状況等に関する合理的な判断を妨げないかどうかという観点から、各法人の状況に応じて適切に適用されるべきである。

Q 91―1 特定関連会社がなく、関連会社がある場合連結財務諸表を作成する必要はあるか。
A
1  企業会計では、財務諸表等規則第8条の9において、連結財務諸表を作成していない会社にあっては持分法損益等の注記を行う旨の規定があるように、連結子会社がなく、関連会社のみがある場合には連結財務諸表を作成する必要はない。地方独立行政法人においても特定関連会社がない場合には、連結財務諸表を作成しないことができると考えられる。ただしその場合においては、同規定を踏まえ、持分法損益等の注記を行うことが必要である。
2  注記の内容としては「個別財務諸表における関連会社に持分法を適用した場合の投資損益等の注記に関する監査上の取扱い(監査委員会報告第58号)」を準用し、(1)関連会社に対する投資の金額、(2)持分法を適用した場合の投資の金額、及び(3)持分法を適用した場合の投資利益(又は投資損失)の金額を記載する。

Q 91―2 特定関連会社がなく、関連公益法人が該当ある場合、会計基準第111による開示は不要となると理解してよいか。
A
 注解68において、公的な会計主体である地方独立行政法人は関連公益法人等との関係を開示し説明する責任を有していると規定している。このため特定関連会社がなく連結財務諸表を作成していない場合には、個別財務諸表の附属明細書として開示することが求められる。

Q 102―1 地方独立行政法人において繰延資産を計上してはならないとされている一方で連結貸借対照表には特定関連会社の繰延資産を計上することが認められていることは、会計基準第94の会計処理の統一と矛盾しないのか。
A
 会計基準「第8資産の定義」の注解8に記載のとおり、地方独立行政法人において繰延資産の計上を認めていないのは、企業会計において繰延資産に計上される取引が想定されないためである。すなわち地方独立行政法人の特定関連会社において企業会計原則等に従って計上された繰延資産そのものを否定するものではない。したがって、地方独立行政法人における繰延資産計上禁止と、特定関連会社における繰延資産計上は、組織形態の違いによるものであり、会計処理の統一上の問題とはならない。

Q 112―1 注解69の「公益法人等とは、財団法人、社団法人のほか、社会福祉法人、特定非営利活動法人、技術研究組合等の」にある等には他にどのような法人が想定されているのか
A
 現行の制度上は、例えば中間法人などが想定される。

Q 112―2 第112における関連公益法人等に該当するか否かは、各年度末で判断するのか。また、2(2)における「事業収入に占める取引の額が3分の1以上」であるかどうかは公益法人等の決算が終了してからでなければ判断できず、6月末までに設立団体の長に決算書類を提出することができなくなるが、どうするのか。
A
1  原則として、日本公認会計士協会監査委員会報告第52号「連結の範囲及び持分法の適用範囲に関する重要性の原則の適用に係る監査上の取扱い」を援用して判断することが適当である。すなわち、関連公益法人等に該当するか否かの判断にあたって「事業収入に占める地方独立行政法人との取引に係る額が3分の1以上」であるかは、連結財務諸表作成会計期間と同時期の各公益法人等の事業年度に係る損益計算書によるものとする。ただし、公益法人等の事業年度の末日が連結決算日と異なる場合においてその差異が3か月を超えないときは、当該公益法人等の事業収入の額は、当該事業年度に係るものによることができる。仮に前事業年度の決算数値を用いた場合、当事業年度において取引額が増加した場合や新規設立が反映されなくなり、適切ではないことになる。
2  このように、関連公益法人等の判定にあたっては同時期の取引金額により行うことになるが、公益法人等側の決算完了時期との関係から、地方独立行政法人の決算の設立団体の長提出に間に合わない場合には前事業年度の実績により判断することもやむを得ないものと考える。前事業年度の実績により判断した場合には、その旨を附属明細書に記載することが必要である。
3  なお、当該事業年度における公益法人等と地方独立行政法人との取引額は地方独立行政法人において把握が可能であり、公益法人の事業収入について仮決算額等を入手する等の方法により、関連公益法人等に該当するかどうかの判断も可能であり、公益法人等にも協力を要請すること等により、できる限り当該年度の実績により判断することが要請される。


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