「地方独立行政法人会計基準」及び「地方独立行政法人会計基準注解」に関するQ&A 第1章

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1章 一般原則

Q 0―1 地方独立行政法人会計基準、同注解及び本Q&Aに詳細な規定がないものの取扱いについては、原則として一般に公正妥当と認められた企業会計原則に依拠した会計処理及び表示によることでよいか。
A
1  地方独立行政法人の会計は、原則として、企業会計原則によること(法第33条)とされており、地方独立行政法人会計基準は、企業会計原則に準拠しつつ、公的な性格を有する等の地方独立行政法人の特性を考慮し、必要な修正を加えたものである。また、地方独立行政法人会計基準は、地方独立行政法人に共通に適用される一般的かつ標準的な基準を示すものであり、この基準に定められていない事項については、一般に公正妥当と認められている企業会計原則に従うことになる(地方独立行政法人会計基準の設定について4参照)。
2  また、ここでいう企業会計原則とは、昭和24年7月9日に設定された「企業会計原則」のほか、「金融商品に係る会計基準」、「退職給付に係る会計基準」等の企業会計審議会で設定された会計基準や、「金融商品会計に関する実務指針」、「退職給付会計に関する実務指針」等の日本公認会計士協会会計制度委員会報告等が含まれる広い概念である。
3  なお、地方独立行政法人会計基準については、独立行政法人会計基準及び国立大学法人会計基準を基礎として作成しているものであり、会計処理に当たっては、それらの会計基準等に関するQ&Aも参考となる。

Q 2―1 地方独立行政法人が備えるべき会計帳簿の体系は何か。
A
1  会計基準では、地方独立行政法人の会計は、正規の簿記の原則に基づいて、その財政状態及び運営状況に関する全ての取引及び事象について、複式簿記により体系的に記録し、正確な会計帳簿を作成しなければならないとされている(会計基準第2参照)。
2  複式簿記における基本的帳簿体系は以下のとおり。

基本的帳簿体系フロー

現金出納帳
預金出納帳
各種収益内訳帳
資産・負債内訳帳

Q 4―1 重要性の原則の適用の仕方については、企業会計原則の注解で例示されているような取扱いと同じと考えて良いか。
A
 重要性の原則については、会計基準第4及び注解5において、以下のとおり記載されている。
1  取引及び事象の金額的側面及び質的側面の両面から重要性を判断すること、
2  重要性の判断は、記録、計算及び表示について行われること、
3  質的側面の考慮については、地方独立行政法人の公共的性格に基づく判断も加味して行うこと、
4  重要性の乏しいものについては、本来の方法によらないで他の簡便な方法によることも認められること。
設問にあるように、企業会計原則注解においても、重要性の原則が規定されているが、その内容は、主として重要性の乏しいものについて会計処理の観点から、簡便な取扱いについて具体的な例示が行われているものである。基準においても、上記4で述べるように、企業会計原則注解と同様、重要性の乏しいものについての簡便な取扱いを認めており、上記3に該当する場合などの特段の問題がない限り、企業会計原則注解が例示するような具体的な取扱いが認められる。

Q 4―2 統一的取扱いをする必要がある「一定の事項」とはどういったものか。
A
1  「一定の事項」とは、法人間の比較可能性を確保するため、統一した会計処理等を必要とする事項である。したがって、「一定の事項」に該当する場合、個々の法人の判断で重要性がないことを理由に簡便な会計処理をすることは認められない。
2  具体的には、公立大学法人の基本構造に関する会計情報の事項のうち、特に法人間の比較可能性を確保するために必要と判断される事項である。例えば、教育・研究の基礎を形成する、図書、美術品・収蔵品等に関する事項(注解32、注解33参照)、たな卸資産の評価基準及び評価方法(基準30参照)等が挙げられる。

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-- 登録:平成21年以前 --