3.政策評価の結果の政策への反映状況

1.実績評価結果の政策への反映状況

施策目標9−1 日本人の心の見える国際教育協力の推進   【主管課】   大臣官房国際課国際協力政策室
【関係課】 国際統括官付

基本目標 達成目標 指標 評価結果の概要 評価結果の政策への反映状況
(平成17年度以降の取組)
開発途上国の貧困削減を進めるための最重要分野の一つである教育分野に対して、国際教育協力懇談会(文部科学大臣の私的懇談会)における議論を踏まえつつ、我が国の経験と人材を生かした効果的な国際教育協力を実現させる。また、協力に携わった現職教員がコミュニケーション、異文化理解能力を身につけ、国際化のための素養を児童・生徒に波及的に広めることによって、我が国の「内なる国際化」を推進する。 拠点システムを整備し、協力経験の豊富な理数科教育、教員研修制度、教育行政、学校運営の諸分野において開発途上国における協力経験を蓄積・分析し、協力関係者に伝達するとともに、協力経験の浅い他の分野においては、ワークショップの開催や開発途上国における現地調査などにより、我が国の教育経験に関する情報提供と対話プロセスの強化を行う。以上の活動を通じ、我が国の教育経験を広く途上国に普及する。 ・拠点システムへの参加団体数
・経験の浅い協力分野における現地調査やワークショップ等の実施数
・教育経験・協力経験の整理・蓄積等成果の電子アーカイブスへの登録数
 大学・NGO・開発援助機関等からなるネットワークを形成し、我が国の国際教育協力のうち、協力経験が豊富な分野(理数科教育、教員研修等)に関しては、協力経験の整理・蓄積及びこれらを踏まえた協力モデルの開発等を、協力経験が浅い分野(環境教育、障害児教育等)に関しては、我が国教育経験の整理・蓄積及び開発途上国のニーズ分析等を推進した。
 また、これらについて、国際教育協力関係者が自由に参照・活用できるよう、国際フォーラム、国内報告会やインターネットHP(電子アーカイブス)を通じて、成果の幅広い普及等を推進した。
 これらの取り組みについては、72の団体の参加と、22回のワークショップ等の実施、さらには509件に及ぶ成果の電子アーカイブスを通じた普及等を通じてなされ、我が国の教育経験を広く途上国に普及するシステムの整備に向け、概ね順調に進捗していると判断。
 次の段階として、教育支援に関する動向やこれに基づく我が国政府の援助政策等を踏まえ、今後増大が見込まれる我が国の教育援助プロジェクトにおいて、本事業の成果が一層有効に活用できるよう、各地域ごとのきめ細やかな援助ニーズの把握や教育協力モデルの検証、成果の広範な普及に係る取り組みを行う等、体制整備の一層の充実等を図る必要がある。
 我が国の教育経験・協力経験の整理・蓄積及びそれらの国際教育協力関係者による共有がなされ、開発途上国に対して我が国教育経験を広く普及するシステムの整備に向け、成果の普遍化や国際的発信、体制整備の充実等を図る。特に、以上の取り組みに際して、教育支援に関する国際動向やこれに基づく我が国政府の援助政策等を踏まえた改善を図る。(17年度)
青年海外協力隊をはじめとする国際協力事業への現職教員の参加体制を整備・強化する。 ・現職教員の青年海外協力隊「特別参加制度」への参加人数  平成16年度については、参加希望教員数は147人と100人を超えているが、健康診断で不合格となる割合が高い。最終的に審査に合格した参加人数は64人であり、平成16年度における参加人数の想定基準84人に対する割合は76.4パーセントであったため、一定の成果があがってはいるが一部については想定どおり達成できなかったと判断。  青年海外協力隊をはじめとする国際協力事業への現職教員の毎年度の参加人数が100人以上となるように、教育委員会等に対する広報活動の強化を図る。(17年度)また、18年度春募集から参加の対象を国立学校教員(国立大学附属学校教員)に拡大する。
行政から草の根までを含めた幅広い機関との協力を実現し、国際交流に資するネットワークを構築する。 ・地方自治体との会合開催数
・NGO等との会合開催数
 地方自治体との公式会合(平成16年度開催数3回)、拠点システム運営委員会等によるNGO・コンサルタント企業との公式会合(平成16年度開催数7回)を開催した。地方自治体との会合開催数が想定基準(年間10回)を下回ったことから、一定の成果はあがっているが、一部については想定どおり達成できなかったと判断。  毎年10回程度の地方自治体との会合及び年3回程度のNGOとの定期的な会合を開催できるよう、計画的に実施し、地方自治体やNGO等幅広い機関との連携強化に取り組む。
「万人のための教育」を主導するユネスコへの協力を通じて、開発途上国における就学率の向上、識字率の向上、教育のすべての局面における質の改善など、「ダカール行動の枠組み」で示された目標に向けた取り組みに貢献する。 ・初等教育就学率(アジア太平洋地域)
・識字率(アジア太平洋地域)
 ユネスコは、「万人のための教育(EFA)」の達成を最優先課題に掲げ、また、世界教育フォーラムにおいて採択された「ダカール行動枠組み」においては、2015(平成27)年までに成人(特に女性)識字率の50パーセント改善を目標としており、我が国としても、ユネスコの取り組みに積極的に貢献していくことは重要である。
 アジア太平洋地域の初等教育就学率及び識字率は、共に上昇している。また、平成16年度に実施した万人のための教育信託基金レビュー会合及びユネスコが作成した実績評価報告書によれば、基金が効果的に運用され、事業が着実に遂行されていることが確認されており、アジア太平洋地域の就学率の向上、識字率の向上等に資する我が国の協力が概ね順調に進捗していると判断。
 ユネスコが「ダカール行動枠組み」によりEFAの取組を強化し始めてから5年を経て、ユネスコと関係機関との連携が効果的に機能し始め、また、我が国の協力は概ね順調に進捗し、効果をあげているところである。そのため平成18年度予算案においては前年度と同額を計上した。また、文部科学省(ユネスコ国内委員会事務局)内においては、ユネスコへの協力に関する総合的な企画立案能力の強化、ユネスコ、他国際機関及び諸外国との高度な調整・交渉力を強化する体制を構築し、EFAに向けた国内体制の強化を図っているところである。

施策目標9−2 諸外国との人材交流の推進   【主管課】   大臣官房国際課
【関係課】 高等教育局学生支援課、初等中等教育局国際教育課、スポーツ・青少年局競技スポーツ課

基本目標 達成目標 指標 評価結果の概要 評価結果の政策への反映状況
(平成17年度以降の取組)
諸外国との人材交流等をとおして、国際的人材育成を推進するとともに、諸外国の人材育成への協力、我が国と諸外国の相互理解の増進、我が国の経済・社会構造の国際化等を図り、豊かな国際社会を構築する。 留学生の受入れ・派遣の両面で一層の交流の推進を図るとともに、留学生の質を確保する。 ・我が国が受け入れている留学生数
・日本政府奨学金(派遣)留学生数
 留学生受入れ体制の充実のための施策を行い、平成16年5月には、我が国が受入れている留学生数が117,302人となり、「留学生受入れ10万人計画」を達成した前年度よりも約8千人増加した。
 また、日本から海外への派遣留学生数についても、長期留学生派遣制度等により、増加(対前年度比83人増の795人)していることから、受入れ・派遣の両面での一層の交流の推進は概ね順調に進捗していると判断。
 しかし、近年の留学生の急増に伴う大学等の受入れ体制は必ずしも十分ではなく、留学生の質を示す指標の一つである学位取得率は、修士課程においては平成15年度は前年度と比べて低下しており、今後も引き続き、留学生の質の確保とともに受入れ体制の充実を図ることが課題である。
 優秀な留学生を確保すべきであるとの観点から、留学を円滑に実施するための国内外における日本留学試験の実施、成績基準の明確化など国費外国人留学生の選抜方法の見直し、成績評価を加味した私費外国人留学生に対する奨学金の支給、等の取組を継続して実施。
 また、平成18年度予算案においては、1留学生受入れの充実、学習奨励費及び授業料減免学校法人援助の充実による私費外国人留学生等への援助、2日本人学生の海外留学を支援するため、長期海外留学支援や短期留学の支援等の事業を推進することとしている。
 なお、留学生に関する在留管理を適切に行うために内閣官房に設置された「外国人の在留管理に関するワーキング・チーム」において、関係機関との連携を図りながら、在留に関する情報を正確に把握し、総合的に管理する仕組みを検討中である。
我が国と世界各国との二国間交流が活発になる中で、二国間における国民間の相互理解を増進し、真の友好親善関係を構築するため、教育・科学技術・文化分野の交流を図る。 諸外国からの受入れ・派遣者総数/受入れ・派遣予定者総数
・諸外国の教職員の招聘
・諸外国との相互交流
 諸外国の教職員の招聘や、学者・専門家の受け入れ及び派遣を通じた二国間交流により、教育・科学技術・文化分野における意見交換・情報交換が行われ、相互理解の増進、国際交流の推進が図られており、当初予定していた諸外国からの受入れ・派遣者数(500人)を上回って実施できたことから、想定した以上に達成と判断。  諸外国との相互理解の増進、国際交流のため、引き続き交流の推進を図る必要があることから、18年度についても、継続的な人的交流を図る。
 なお、中国・韓国からの教員招へいについては、将来にわたる友好関係発展のため、招へい人数200名を100名増やし、300名として充実を図る。(18年度)
スポーツの普及・発展に寄与するとともに、友好親善や国際的な視野と資質を持った青少年の健全育成を目的として、諸外国との交流競技会等を行うスポーツ交流事業を推進する ・交流競技会等の交流  中国や韓国をはじめ、諸外国とのスポーツ交流について、各競技団体が実施する既存のスポーツ交流事業のほか、地方自治体へ委嘱して行う事業などにより、スポーツの普及・発展に寄与するとともに、参加者の友好親善が図られている。昨年度と比較して、交流人員が増加していることから、概ね順調に進捗と判断。  スポーツの交流の推進に係る事業(日中スポーツ交流事業、日韓スポーツ交流事業、スポーツ交流事業)を実施した。
 引き続き当該事業を実施するため、所要の経費を予算案に計上した。(17年度)
外国語教育の多様化を推進するため、英語以外の外国語教育に取り組んでいる都道府県を推進地域に指定し、地域の関係機関との連携のもとに実践的な調査研究を行い、外国語教育の一層の推進を図る。また、国際理解教育を推進する観点から、指定地域の高校生を諸外国に派遣するとともに、研究対象言語国の高校生を日本で受け入れる。 派遣・受入れ者総数/派遣・受入れ予定者総数
・日本人高校生の諸外国への派遣者数
・研究対象言語国の高校生の受入れ者数
 平成16、17年度の2か年、中国語推進地域4府県、韓国語推進地域2府県をそれぞれ指定し、当該府県57校で、中国語及び韓国語の教育に取り組んだ。また、推進地域の日本人高校生の派遣(中国21名、韓国14名)及び中国と韓国の高校生の受入れ(中国21名、韓国14名)を実施して、約1か月間、ホームステイをしながら現地校に通学させ、語学学習や交流活動を実施し、相互理解、友好親善が図られたことから、概ね順調に進捗したと判断。  平成17年度は16、17年度の2か年指定の2年目として、引き続き当該事業を実施した。具体的には、中国及び韓国を対象に語学教育、人的交流(派遣:中国21名、韓国14名、受入れ:中国21名、韓国14名)に引き続き取り組み、相互理解、友好親善を図っている。なお、18年度からは、新たに18、19年度の2カ年の指定により当該事業を実施する予定。

施策目標9−3 大学等による国際協力活動及び国際協力に携わる人材の育成・確保   【主管課】   大臣官房国際課国際協力政策室

基本目標 達成目標 指標 評価結果の概要 評価結果の政策への反映状況
(平成17年度以降の取組)
大学が有する「知」を活用した国際開発協力を効果的・効率的に進めるために、国際教育協力懇談会(文部科学大臣の私的懇談会)における議論を踏まえつつ、大学が組織として国際開発協力活動を行うための基盤を整備する。また、国際開発協力に携わる人材の育成・確保を図る。 大学組織および教員のデータベースを整備し、登録大学を300大学、登録教員を3,000人まで増やすことで、国内大学における国際開発協力ポテンシャル(協力可能な教員、途上国への協力実績、協力に関する抱負等)を把握し、援助機関等の外部機関に対し国内大学を紹介可能とする。 ・国際開発協力のための大学データベース登録数(大学組織、大学教員)  大学組織及び教員のデータベースの登録件数の割合が、登録大学数265大学(平成16年度想定238大学)で111.7パーセント、登録教員数3,560人(平成16年度想定2,558人)で139.2パーセントであったため、想定した以上に達成と判断。  これまでの施策の方向性(大学が有する「知」を活用した国際開発協力を効果的・効率的に進めるために、大学が組織として国際開発協力活動を行うための基盤を整備する。)を維持しつつ、引き続きデータベースへの登録数の増加を図る。
サポート・センターを整備し、同センターを通じ、5の援助機関、10の国内外大学関係機関、5のその他連携機関との連携を開始・強化することで、大学等における国際開発協力活動を支援する。 ・関係構築がなされている援助・連携機関数  サポート・センターと連携した機関数の割合が援助機関数7機関、国内外大学関係機関数26機関、その他連携機関数5機関で190パーセント(平成16年度想定20機関)であったため、想定した以上に達成と判断。  ポテンシャル(協力可能な教員、途上国への協力実績、協力に関する抱負等)を有するが、具体的な取組に至っていない大学における国際協力、プロジェクト受託の取組を促進すべく、関連情報の収集及び提供や定期的な懇談会を開催するなど、国内外の大学、援助機関との連携を継続・拡大する。
大学における国際開発協力活動を支援するサポート・センターを通じ、大学の国際協力、プロジェクト受託に関する情報の提供、大学からの相談への対応等、大学が組織として国際開発協力活動を行うための基盤を整備する。 ・プロジェクト受託に関するセミナー開催数、参加大学数、参加人数  プロジェクト受託に関するセミナーの参加者数が増加していることから概ね順調に進捗していると判断。しかしながら、国際協力に有用な人材、専門性、関心を有するが、大学内の体制整備、とりわけ事務担当者の理解不足等の要因により具体的な取組に至っていない大学も少なくないことから、今後はこのようなポテンシャルを、具体的な取組に結び付けるべく、連携促進を量的、質的に拡大していく必要がある。  ポテンシャル(協力可能な教員、途上国への協力実績、協力に関する抱負等)を有するが、具体的な取組に至っていない大学における国際協力、プロジェクト受託の取組を促進すべく、効果的・効率的な取組の観点から、実際の受託事例を分析し、16年度に実施したサポート・センターによる大学幹部への働きかけや「国際協力プロジェクト受託に関するセミナー」を開催するなど、大学、援助機関等にフィードバックを行う。(17年度)
開発途上国の開発課題を専門とする若手人材が国際開発協力活動等に携わることを推進し、人材の育成を図る。 ・開発援助人材養成研究科等から国際機関や援助関係機関等へのインターンシップ及び就職者等(青年海外協力隊、コンサルタント含む)の総数  開発援助人材養成研究科等(開発途上国の自立的、内発的発展を助け、これらの国々の発展に資するため、国立の大学及び大学院に設置されている学部、研究科)からの国際機関や援助関係機関等へのインターンシップ及び就職者等の総数は、16年度においても順調に増加しており、概ね順調に進捗していると判断。インターン数や就職者のさらなる増加のため、より多くの学生に国際機関等での実務内容に触れる機会を設ける等の取組が必要である。  国際機関邦人等職員による日本の大学での講義等の機会を促進することにより、より多くの学生に国際機関等での実務内容に触れる機会を設け、国際的な舞台で活躍する人材の育成・確保を図る(17年度)。
前のページへ 次のページへ

-- 登録:平成21年以前 --