「日本食品標準成分表2010」について第3章の3

3)砂糖及び甘味類

 砂糖及び甘味類の全般に通じる主な事項は次のとおりである。

1) この食品群に属する食品の配列は、主にサトウキビ及びテンサイを原料とする(砂糖類)、でん粉を原料とする(でん粉糖類)、はちみつ及びメープルシロップからなる(その他)に分類し、ついで(砂糖類)及び(でん粉糖類)については、それぞれのものを加工度の低いものから順次配列した。

2) この食品群に属する食品の主成分は、しょ糖、ぶどう糖、果糖等の炭水化物で、他の成分の含量は少ない。

 以下、食品ごとに成分値に関する主な留意点について述べる。

(砂糖類)

 (砂糖類)の原料は、主にサトウキビ〔カンシャ、カンショ(甘蔗)〕とテンサイ(サトウダイコン、ビート)である。

-03001 黒砂糖

 「黒砂糖」は、サトウキビを原料とする含蜜(みつ)糖である。黒糖とも呼ばれる。成分値は、分析値及び四訂成分表成分値に基づき決定した。

-03002 和三盆糖

 「和三盆糖」は、含蜜糖と分蜜糖の中間的な製品で、粒度が細かく高級和菓子の原料として用いられる。香川県及び徳島県の一部において、伝統的な手法で作られており、それぞれ讃岐和三盆糖及び阿波和三盆糖と呼ばれる。成分値は、分析値及び四訂成分表成分値に基づき決定した。

-車糖

 -03003 上白糖

 -03004 三温糖

 「車糖」は、水分がやや多く結晶の大きさが小さい(0.07~0.26 mm)精製糖で、ソフトシュガーとも呼ばれる。精製糖製造工程では、純度の高い製品が最初に得られるので、「上白糖」、「三温糖」の順に製造される。成分値は、四訂成分表成分値及び関係資料1)に基づき決定した。

-ざらめ糖<双目糖>

 -03005 グラニュー糖

 -03006 白ざら糖<白双糖>

 -03007 中ざら糖<中双糖>

 「ざらめ糖」は、「車糖」に比べ、水分含量が少なく、結晶が大きい精製糖で、ハードシュガーとも呼ばれる。「グラニュー糖」及び「白ざら糖」は、精製度が高く、ほぼ純粋なしょ糖の結晶である。「中ざら糖」及び「上白糖」の精製度は同程度である。成分値は、四訂成分表成分値及び関係資料1)に基づき決定した。

-加工糖

 -03008 角砂糖

 -03009 氷砂糖

 -03010 コーヒーシュガー

 -03011 粉糖

 「角砂糖」は、「グラニュー糖」にグラニュー糖飽和糖液を加え、立方体等に固結させ製品としたものである。成分値は、四訂成分表成分値及び関係資料1)に基づき決定した。

 「氷砂糖」は、グラニュー糖を溶解した糖液から大きな結晶を成長させ、製品としたものである。成分値は、四訂成分表成分値及び関係資料1)に基づき決定した。

 「コーヒーシュガー」は、カラメルを加えて着色したグラニュー糖の糖液から結晶を成長させた小粒の着色氷糖である。成分値は、四訂成分表成分値及び関係資料1)に基づき決定した。

 「粉糖」は、グラニュー糖を微粉砕して製品としたものである。湿度や温度の変化により、あるいは時間がたつと固まりやすいので、それを防ぐためにとうもろこしでん粉等を2 %程度添加した製品もある。本編では、無添加のものを対象とした。顆(か)粒糖は、粉糖を顆粒状に成形した製品で、用途がやや異なるものの成分値に違いが認められないので、「粉糖」に含めた。成分値は、四訂成分表成分値及び関係資料1)に基づき決定した。

-液糖

 -03012 しょ糖型液糖<蔗糖型液糖>

 -03013 転化型液糖

 「液糖」は、精製しょ糖液である「しょ糖型液糖」と、しょ糖の一部を加水分解した「転化型液糖」に分けて収載した。成分値は、四訂成分表成分値及び関係資料1)に基づき決定した。

-03014 氷糖みつ<氷糖蜜>

 「氷糖みつ」(ひょうとうみつ)は、「氷砂糖」を製造した後に残る糖みつで、加工食品の原材料として用いられる。成分値は、四訂成分表成分値及び関係資料1)に基づき決定した。

(でん粉糖類)<澱粉糖類>

 (でん粉糖類)は、でん粉を加水分解(糖化)して製造される糖類で、糖化の程度によって、「粉あめ」、「水あめ」及び「ぶどう糖」に分類される。糖化の程度の指標としてはDE(dextrose equivalent)が用いられる。DEは、試料中の還元糖をぶどう糖として表し、固形分に対する百分率として表す。DEの最大は100で、固形分のすべてがぶどう糖であることを意味し、DEが小さくなるほど、少糖類や多糖類が多いことを意味する。

-03015 粉あめ<粉飴>

 「粉あめ」は、DE20~40程度のものを真空ドライヤー又は噴霧乾燥によって粉末化したものである。成分値は、分析値及び四訂成分表成分値に基づき決定した。

-03016 水あめ<水飴>

 「水あめ」は、DE40~60程度の粘稠(ちゅう)なものである。成分値は、分析値及び四訂成分表成分値に基づき決定した。

-ぶどう糖<葡萄糖>

 -03017 全糖

 -03018 含水結晶

 -03019 無水結晶

 「ぶどう糖」は、でん粉を酵素又は酸によって加水分解した主としてぶどう糖からなる糖液を、脱色、脱塩及び濃縮してから粉末化するか、結晶化させたものである。日本農林規格2)がある。

 「全糖」は、濃縮した糖液を直接又は固形化した後、粉末状にしたものである。成分値は、分析値及び四訂成分表成分値に基づき決定した。

 「含水結晶」は、濃縮した糖液を、ぶどう糖1分子につき結晶水1分子を含むように結晶させて蜜を除去したものである。製品の水分は、本来は結晶水であるので、計算上は9.1 %であるが、この水分含量では保存中に固結するおそれがあるので、結晶水量よりも少なめに製造されている。成分値は、分析値及び四訂成分表成分値に基づき決定した。

 「無水結晶」は、濃縮した糖液を、結晶水を含まないように結晶させて蜜を除去したものである。成分値は、分析値及び四訂成分表成分値に基づき決定した。

-03020 果糖

 「果糖」は、でん粉を加水分解後に異性化した糖液、砂糖、はちみつあるいはイヌリンを含む原料を加水分解した糖液から、果糖を分離、精製及び濃縮し、結晶させて蜜を除去し、果糖含量を98 %以上としたものである。成分値は、分析値及び四訂成分表成分値に基づき決定した。

-03021 異性化液糖

 「異性化液糖」は、でん粉を加水分解して得たぶどう糖を、グルコース・イソメラーゼ(異性化酵素)により異性化して得られた、果糖とぶどう糖を主成分とする液状の糖である。なお、異性化とは、化合物を同じ分子式で性質の異なる化合物(これを異性体という。)に変化させる化学反応をいう。ぶどう糖と果糖とは異性体である。日本農林規格3)では、ぶどう糖果糖液糖(果糖含有率50 %未満)、果糖ぶどう糖液糖(果糖含有率50 %以上90 %未満)及び高果糖液糖(果糖含有率90 %以上)に類別される。成分値は、果糖ぶどう糖液糖の分析値及び四訂成分表成分値に基づき決定した。

(その他)

-03022 はちみつ<蜂蜜>

 「はちみつ」は、ミツバチが植物の花蜜(みつ)を集めて巣に蓄えたもので、蜜源植物の種類によって成分値に違いが認められる。主成分は、ぶどう糖と果糖で、その比率はおおむね1:1である。レンゲやアカシア等を蜜源とした淡色のものと、ソバ、シナノキ等を蜜源とした濃色のものとでは含量に違いが認められる成分がある。特に、灰分及び鉄の含量は、後者の方が高い傾向がある4)のでその旨備考欄に記載した。なお、不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)に基づくはちみつ類の表示に関する公正競争規約5)が定められている。成分値は、四訂成分表成分値及び関係資料4)に基づき決定した。

-03023 メープルシロップ

 「メープルシロップ」は、サトウカエデ(メープル)の樹液を加熱、濃縮したもので、大部分がカナダからの輸入品である。成分値は、カナダ産市販品の分析値及び四訂成分表成分値に基づき決定した。

文献

 1)  精糖工業会技術研究所:分析結果資料(未公表)
 2)  ぶどう糖の日本農林規格:平成2年農林水産省告示第1412号
 3)  異性化液糖及び砂糖混合異性化液糖の日本農林規格:昭和55年農林水産省告示第208号
 4)  平 宏和・平 春枝・高田雅子:蜂蜜のB群ビタミン含量(未発表)
 5)  はちみつ類の表示に関する公正競争規約:昭和44年公正取引委員会告示第56号

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