実践例16

担当している子供は、もうすぐ中学生。中学校には、どう引き継げばいいんだろう?

(1) 対応する際のポイント

  • 本人や保護者と、相談して進めましょう。

    ※引継ぎに際して、誰にどのように伝えるとよいかは、勤務校の管理職や特別支援教育コーディネーター(以下、「コーディネーター」という)と相談して、決めましょう。

  • 個別の教育支援計画や個別の指導計画を確実に引き継ぎましょう。
  • 小学校で、支援して上手くいったことや、上手くいかなかったことを伝えましょう。
  • 小学校と中学校との違い(教科担任制、定期テスト、部活動、思春期特有の人間関係など)を、意識して引き継ぎましょう。

(2) 具体的な実践例

【概要】

  • 小学校6 年生のQ さんは、自分の気持ちを伝えたり、相手の立場を考えて発言したり、行動したりすることが苦手です。友達とのトラブルを避けるために、言いたいことを我慢することがあります。そのために、ストレスが溜まって感情的になったり、集団に参加できなくなったりすることがあります。
  • そこで、「友人関係を上手に保つこと。」「感情のコントロールができるようになること。」を指導目標とし、小学校4年生から通級指導を受けており、進学先の中学校においても、引き続き、通級指導を希望しています。
  • 進学先との引継ぎはコーディネーターが行うことになっているので、Q さんを含む通級指導で担当している子供について、在籍学級担任、コーディネーター、通級担当で情報共有を行いました。
  • 引継ぎの際、中学校から、小学校で行っている通級指導の指導や支援の具体的な内容や、在籍学級で実施している支援について、教えてほしい、という依頼があったので、後日、コーディネーターと一緒に中学校を訪問して説明をしました。
  • 年度末、進学先の中学校との引継ぎの日程が決まったので、当日出席するコーディネーターに、Q さんを含む通級指導で担当している子供について、個別の教育支援計画等を基に、在籍学級担任とともに情報共有を行いました。
  • 通級指導の利用に至った経緯や成果、継続的な課題、環境への配慮、保護者の希望などについて共有しました。引継ぎの資料や内容は、事前の通級指導の面談の際に、保護者と確認しました。
  • コーディネーターに、「Q さんは、ストレスがたまった時に、落ち着ける場所が分かっていれば、感情的になる前に、自分から休憩が必要だと伝えることができます。」と伝えました。加えて、保護者の「Q は、クラスの友達と関わることに、前より積極的になっていると感じています。少しずつですが、家庭でも自分の気持ちを話してくれることが増えました。引き続き、相手の気持ちを考えながら発言したり、行動したりできるように、指導をお願いしたいです。」との願いも伝えました。
  • 後日、コーディネーターから、引継ぎ時の様子を聞きました。中学校では、教科によって担任が異なるが、A さんが辛くなった時の対応に違いが出ないよう、全ての教師の情報共有と理解をお願いしたとのことでした。また、中学校側からは、小学校で行っている通級指導が、具体的にどのように行われているのか、あるいは、在籍学級でどのような支援が行われているのかを教えてほしい、と依頼がありました。
  • コーディネーターと一緒に、実際に使用した教材を持って中学校を訪問し、使い方などを説明しました。また、中学校では、環境が変わることから、小学校でできていることができなくなる可能性があるので、以前、在籍学級で使用していた、休憩が欲しいことを伝えるカードについても、紹介しました。
情報共有を行う通級担当者と進学先との引継ぎを行うコーディネーターの画像
「きゅうけいしたいです。※休憩スペースの写真」と書かれている紙を先生に見せる男の子の画像
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