実践例13

担当している子供について、ケース会議を行うことになった。何を準備すればいいんだろう?

(1) 対応する際のポイント

ケース会議に向けて、以下のような情報を整理しましょう。

○保護者や学校、在籍学級担任が感じている、通級指導の効果や通級指導に求めていること

○本人の通級指導に対する思い

○通級指導の現状

  • 障害の特性、学習上や生活上の困難
  • 現在の指導目標、指導内容、指導方法
  • 通級指導でできるようになったこと、上手くいった指導、子供が苦戦していること
  • 通級指導と連携して行っている、在籍学級における支援 等

○通級担当者が把握できる範囲の、学級集団の実態、在籍学級の様子や友人関係

※ ケース会議の目的によって、参加メンバーや必要な情報が変わります。特別支援教育コーディネーター等と連携して、必要な準備をしましょう。

(2) 具体的な実践例

【概要】

  • 通級指導で担当している中学校1年生のO さんについて、状況の共有と今後の支援の確認のために、ケース会議を開催することになりました。
  • 会議に向け、O さんの保護者や学校、在籍学級担任が、通級指導の効果を感じることや求めていること、O さんの通級指導に対する思いを聞き取り、それを基に資料を作成しました。
  • 通級指導の指導目標、指導内容、指導方法これまでの指導に関する経過などを整理しました。
  • ケース会議には、学校関係者だけでなく、O さんの保護者や外部の専門家(巡回相談員)も参加しました。O さんについて、関係者で実態や課題を共有し、学校や通級指導における指導目標や支援の方法、家庭生活で工夫できることについて、検討しました。
  • 特別支援教育コーディネーターから、通級指導で担当しているO さんについてのケース会議を行うと連絡がありました。O さんの実態や指導状況を改めて確認し、今後の指導や支援の内容を検討することが目的です。
 Oさんに通級指導について話を聞く特別支援教育コーディネーターの画像

○ケース会議前の準備

  • ケース会議に向けて、O さんの通級指導の状況を整理することにしました。まずは、O さんの個別の教育支援計画と個別の指導計画の内容を確認し、これまでの指導や支援の経過、学校や家庭での様子について整理しました。

※ 必要に応じて、日々の授業記録をケース会議に持参したり、ポイントをまとめた資料を作成したりすることも考えられます。

  • 通級指導の授業の中で、O さんから、通級指導に通っている感想、できるようになったこと、もっと上手くなりたいこと等を聞き取りました。
  • O さんの保護者と、連絡ノートを通じてやり取りをし、家庭でのO さんの変化、こうなってほしいという願い、通級指導で取り組んでほしいことについて聞き取りをしました。
  • 休み時間を利用して在籍学級担任と話をし、在籍学級でのO さんの変化、こうなってほしいという願い、通級指導で取り組んでほしいことについて、聞き取りをしました。

※ 他校通級の場合、在籍学級担任と会う機会が少ない可能性があります。在籍学級担任とのやりとりに使用している連絡ファイルや電話、電子メール等を活用するなどして、情報を収集しましょう。

  • 聞き取った内容は、ケース会議で共有できるように、資料にまとめました。

○ケース会議の実施

  • ケース会議には、特別支援教育コーディネーター、学年主任、在籍学級担任、養護教諭、通級担当、O さんの保護者、そして今回は、O さんの教育相談も担当している巡回相談員にも、参加してもらいました。進行役は、特別支援教育コーディネーターが担いました。
  • 通級担当として、通級指導における指導目標、指導内容、指導方法について、個別の指導計画や事前作成した資料を基に、説明しました。
  • 資料を基に、O さんの学習上や生活上の困難の状況、在籍学級における支援の手立て、家庭生活で工夫できること、通級指導における指導目標、指導内容、指導方法について、それぞれの立場から意見が出されました。巡回相談員からは、学習面に苦手意識が出てきており、友達とも少し距離を置くようになったことが気掛かりであるという話があり、それについての対応を検討しました。
  • 会議で、通級担当がO さんの実態をよく把握しており、学校や家庭でできる支援について、具体的な内容を検討できて良かった、という話が、保護者や在籍学級担任からありました。
ケース会議を行うOさんの保護者と教員や通級指導担当者達の画像
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