もし、ケース会議の進行役をすることになったら?

ケース会議など、関係者で会議をするときのポイントを以下に示しますので、参考にしてください。

1. 会議は、関係者全員の参加が望ましいです。

全員参加が望ましいのは、当該児童生徒と保護者にとっての優先事項、必要な支援、合理的配慮、役割分担について、共通理解を図るためです。

また、特に小学校高学年以上は、児童生徒自身の参加も考えられます。支援計画の作成の過程に参加することで、自分ができるようになりたいことは何かを理解し、その実現のために必要な支援について自己決定していくことにつながります。

具体的には、以下の方々の参加が想定されます。

(関係者)

  • 通級担当
  • 在籍学級担任
  • 特別支援教育コーディネーター
  • 養護教諭
  • 学年主任
  • 管理職
  • 保護者
  • 本人
  • スクールカウンセラー
  • スクールソーシャルワーカー
  • その他のキーパーソン

(関係機関)

  • 福祉施設(児童発達支援センター、放課後等デイサービス事業所など)
  • 医療機関
  • 相談支援機関
  • 必要に応じてその他の関係機関 など

2. 参加者が話しやすい環境づくりをしましょう。

参加者全員が同じ方向を向いて、支援の検討にあたれるようにするには、物理的な環境を整えることも大切です。例えば、会議や面談の場面において、机を挟んで向かい合った状態だと、緊張感が生まれて発言がしづらくなることもあります。

対面ではなく、横並びとなるように席の配置を工夫したり、ホワイトボードや付箋などを用いて議論を進めたりすることで、緊張感が少なくなり、参加者みんなで、支援の検討に臨むことができます。

3. 会議の終了時間と目標を決めておきましょう。

貴重な機会を有効に活用できるよう、あらかじめ、会議の終了時間を決めておき、終了時間までに確実にたどり着きたい目標について、全員と共通理解を図った上で会議に臨むことが大切です。

例えば、会議時間は60 分、目標は「今、一番優先度の高い目標とそのための手立ての役割分担を決める」などです。

4.会議で話し合うことと時間配分を考えておきましょう。

会議時間内に、確実にその日の目標にたどりつくために、どのくらいの時間配分で何をこなしていく必要があるのか、計画を立てておきましょう。例えば、個別の教育支援計画の作成に係る会議においては、以下のようなスケジュールが考えられます。

全体60 分

① 挨拶・自己紹介(5 分)

② 今困っていること、できるようになると本人が困らなくなることを、各自が付箋に書き出す(5 分)

③ 付箋を机あるいはホワイトボードに一人ずつ貼っていき、近いものを組み合わせる(5 分)

④ それらの中で、家庭、学校それぞれの場における優先事項を決めていく(5 分)

⑤ 優先順位の高いもの3 つについて、1 年後に目指す状態像(長期目標)を決める(10 分)

⑥ その目標に対して、今すでに取り組んでいる手立てや支援をそれぞれ付箋に書き出して貼る(5 分)

⑦ さらに、今後できそうな手立てを書き出して貼る(10 分)

以上で45 分です。15 分余裕を見ておくとよいでしょう。

※会議時間が短い場合は、例えば②や⑥などについては、事前に用意してきてもらうことも考えられます。

5. 参加者の意見や検討状況を視覚的に整理していきましょう。

付箋やホワイトボードを活用し、意見を視覚的に整理していくことで、参加人数が多くても、それぞれの考えや思いを共有しながら、検討を進めることができます。

6. 進行役として、進んでポジティブな声かけをしましょう。

対象の児童生徒についても、関係者・機関についても、できないところを探すのではなく、それぞれのできること、頑張っているところに着目するような声かけを、進行役として、率先して行いましょう。支援者それぞれがすでに工夫している点をお互いに認識することにつながり、また、会議がポジティブな雰囲気になります。

7. 次回の日程や連絡方法を決めておきましょう。

なかなか、関係者全員が集まるのは難しいため、日程はなるべく早めに決めておくと良いでしょう。また、会議がない間の、連絡手段を決めておきましょう。

その他

  • タイムキープを忘れずに行いましょう。
  • 必要に応じて、会議の始めに「約束事」を提示しておくのも良いでしょう。
  • 会議の流れを記録し、また、会議終了後には決定事項などを関係者で共有できるようにしましょう。以下に示すようなシートの活用も考えられます。
ページの先頭へ戻る