実践例12

担当している子供が、最近、通級指導を欠席したり、遅刻したりすることが多くなってきている。どうしたらいいんだろう?

(1) 対応する際のポイント

①在籍学級担任と情報を共有しましょう。

【他校通級の場合】

在籍学級担任と会う機会が少ない可能性があります。電話や電子メール、在籍学級とのやりとりに使用している連絡ファイル等を活用するなどして、情報を共有し、これまで以上に、連携を密にする必要があります。

② 通級指導に来た際に、本人や保護者に話を聞きます。本人の心情に寄り添うことを第一に考えて、対応しましょう。

【自校通級や巡回による指導の場合】

保護者と会う機会が少ない可能性があります。在籍学級担任を通じたり、保護者とのやりとりに使用している連絡ノート等を活用したりして、本人や保護者の様子、考え方や気持ちを把握しましょう。

③ ①と②で得た情報を整理して、対応を考えましょう。

【通級指導のみ、休みがちである場合】

指導内容や指導方法を見直しましょう。

【在籍学級も通級指導も、共に休みがちである場合】

学級担任、生徒指導主事、特別支援教育コーディネーターと情報共有し、ケース会議等の開催を検討する(他校の場合は検討を勧める)ことも、考えられます。

【ケース会議等を開催した場合】

当該児童生徒に関わる教職員や保護者で、情報を整理し、通級指導の指導内容や指導方法を明確にします。必要に応じて、個別の指導計画を見直し、指導目標や指導内容等を修正して、指導を行います。

適宜、在籍学級担任と情報を共有し、通級指導の役割について、確認しましょう。

(2) 具体的な実践例

【概要】

  • 他校通級している中学校2 年生のN さんは、一度に多くの情報が提示されると、混乱しがちで、大勢の中では、過度に緊張し、思いや考えを伝えることが苦手です。また、周囲の反応をネガティブに捉えてしまう傾向があります。
  • N さんが、2回続けて、通級指導を休んだので、在籍校に電話で連絡し、翌日の放課後に、在籍校で在籍学級担任と情報共有を行いました。
  • その後、N さんが通級指導に来た際に、本人の様子を見ながら、保護者からも話を聞きました。
  • また、在籍校におけるケース会議を踏まえ、通級指導の指導内容を、一部変更することにしました。
  • N さんが、2回続けて通級を休みました。N さんは、他校から通級に通っていたので、在籍校に電話で連絡を取ったところ、在籍学級でも、休みが増えていることが分かりました。翌日、放課後に在籍校で、在籍学級担任と情報共有を行いました。N さんは、在籍学級の中で、少し自信を失っており、登校できなくなっていること、在籍学級担任が家庭訪問した際には、本人と話はできたが、保護者からは「気持ちが不安定で、興奮することもある」と聞いていることについても共有しました。
Nさんのお母さんが在籍学級担任に相談をしている画像
  • その後、N さんが通級指導に来た時は、これまで通り、笑顔と落ち着いた口調で、迎えました。活動中は、意欲がこれまで通りか、ミスの増減はないか等、N さんの様子に変化がないかを観察しながら、指導しました。
  • 送迎している保護者と話をすると、「今日、通級指導の日だけど、どうする?行けそう?」と声を掛けたところ、本人が頷いたので、今日は来られたとのことでした。
  • 後日、N さんの支援について、在籍校でケース会議が行われることになり、出席しました。ケース会議で共有する内容は、事前に、保護者の承諾を得ておきました。
  • ケース会議を踏まえ、通級指導について、指導内容を以下の通り変更しました。
    まずは、自信がつくように、N さんの得意なことを活かした活動の時間を増やし、また、指導内容にストレスへの対処やイライラした時の対処等を取り入れる。
ケース会議を行うNさんの保護者と教員や通級指導担当者達の画像
  • 通級指導での活動の様子やN さんやN さんの保護者の願いや思いなどは、電話や電子メール、連絡ファイル等で在籍学級担任と共有し、N さんやN さんの保護者へのアプローチにも、活用してもらいました。
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