学校の取組例

長野県須坂市立東中学校

 

GIGAスクール環境と1人1台端末を活用した

個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実

【中等教育資料 令和7年3月号記事】(文責:校長 新井孝之)
 本校は長野県北部に位置し、生徒一人一人が、学ぶ心・思いやる心・鍛える心の3つの心を磨き、自立することを目標としている。現在は、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向け、日々の実践を進めている。今回はその中でも、クラウドを活用した授業を紹介したい。
(令和7年3月11日掲載)

-個別最適な学びの充実に向けて
-協働的な学びの充実に向けて
 
 

個別最適な学びの充実に向けて

 単元の導入場面では、生徒が学習の見通しをもてるよう、教師はコミュニケーションツールを通して「学習の手引き」を提示する。「学習の手引き」には、単元の目標、目標を達成するための学習課題、そして学習課題に取り組む方法や評価基準など、学習の流れが明示されている。生徒はこの手引きを参考に課題への取組について見通しをもった上で、それぞれの興味・関心に応じて学習を進めていく。生徒によって課題に対する興味・関心が異なるため、取り組んでいく課題の順番も異なるが、ICTの活用により、生徒自身が単元を通しての学習計画を立て、課題解決に向けて取り組むことができるようになった。
 
「学習の手引き」に沿って学ぶ生徒の様子
あらかじめ示された「学習の手引き」に沿って各自で学習を進める生徒。
 
 個々の生徒が自分に合った進度で学習が進められるよう、課題に取り組む際に必要なワークシートや読み取りのための資料、動画などを、いつでも活用できる状態にしておくことも重要だ。これらの資料をクラウドで事前に共有しておくことで、生徒は必要な時に必要な資料を選択し、個人での課題への取組を進められるようになっていく。
 また、知識・技能の理解度や定着度を高めるために、生徒がCBTによるテストをいつでも実施できるようにしている。これにより、生徒は自分のタイミングで、納得できるまで何度も繰り返しテストに挑戦でき、学びを自己調整できるようになった。
 
CBTテストの例(国語科及び家庭科)
アンケート機能を用いて作成されたCBTによるテスト。国語科(左)、家庭科(右)。
 
 

協働的な学びの充実に向けて

 協働的な学びの一層の充実に向けて、チャット機能やクラウドを活用している。例えば、単元の導入場面では、単元の目標や学習課題を設定する際にチャット機能を使う。生徒がそれぞれの考えを打ち込むことで、互いの疑問点や取り組みたいと思った事柄を共有できるとともに、新たな気づきや視点をもつことにもつながる。また、毎時間のはじめに、その時間における各自の活動内容をチャット機能によって共有することで、他者の学習内容を把握し困った時には同じ課題に取り組んでいる生徒同士で協力し合うことにもつながっている。
 さらに、表計算ソフトを用いた学習進捗状況・振り返り表もクラウドで共有している。計画に沿って学習が進められているかを生徒自身が確認したり、他者の学習状況を確認して相談したりすることもできる。生徒が学習を進めていく上で見通しをもちやすくなっただけでなく、互いに学習状況を確認し合いながら、必要に応じて相談する環境が生まれている。自分の考えを形成することにおいても共有は有効だ。これまでは離席したり、プリントをのぞき込んだりすることでしか、他者の取組の様子を見ることができなかったが、共有された進捗状況表やワークシートがクラウドにあることで、他者の考えを参考にしながら自身の学習を進めることができるようになった。
 こうした取組により、生徒一人一人の自立した学びや学習の深化が、確実に進められていると感じている。
 
進捗状況と振り返りが一体になったシート(表計算ソフト)
進捗状況と振り返りが一体となったシート。表計算ソフトで作成。
 
学習課題計画シート(音楽科)(プレゼンテーションソフト)
音楽科の個別の学習課題計画シート。プレゼンテーションソフトで作成。
 
 
GIGA StuDX推進チームより
 生徒に「学習の手引き」を示し、そこで示された手順に沿って生徒が個別に学習を進めて行く中で、自立した学びに向かっていく様子が報告されています。生徒は各自の興味・関心や、自己の理解度に応じて課題への取組の順序などを決めており、ICTの活用が、そうした柔軟な学習方法を可能にしていることが伝わります。詳細な事例写真は、全国の先生方がワークシートやCBTを作成する際に参考になることでしょう。

(監修:GIGA StuDX推進チーム)