校務DXを推進する自治体の取組例

岡山県浅口市教育委員会

 

教育委員会が動けば、学校が変わる


更新日 令和7年3月4日

自治体基本情報

  
  小学校:7校   中学校:3校 ※公立
  浅口市公式ホームページ https://www.city.asakuchi.lg.jp/

 

 

令和6年度「『GIGAスクール構想の下での校務DXチェックリスト』に基づく自己点検のフォローアップの実施結果(速報値)について」における主な結果

平均得点 637.2

 学校内の連絡のデジタル化

問18 教職員間の情報共有や連絡にクラウドサービスを取り入れていますか。
 ―取り入れている  100%

問23 授業研究会や校内研修等での協議にクラウドサービスを用いていますか。
 ―取り入れている  100%

問25 教職員から学校へ提出する事務手続き資料をクラウドサービスを用い、受け付けていますか。
 ―完全にデジタル化している  100%

 

 

学校での校務DXを支える教育委員会の取組

―教育委員会の取組の内容

①授業支援ソフト等を活用して、教職員の情報共有のためのプラットフォームを各学校に整備
(問18「教職員間の情報共有や連絡にクラウドサービスを取り入れている」との関連)
②クラウド環境を活用して、教育委員会主催の研修における資料共有や終了後のアンケート回収をペーパーレス化
 

―取組前後の教育委員会における業務実施方法の変化と働き方への影響

【取組前】
・研修のための資料の印刷、当日の配付の必要
・研修後の各校における伝達・共有の機会や内容に差
・紙で実施した研修終了後のアンケートの集計、分析
 
【取組後】
・作成した資料を受講者とクラウドで共有
・学校が、クラウドに格納された研修資料や協議内容をそのまま校内で共有
・アンケートをアンケートフォームで実施、結果から必要な箇所をコピーして資料作成等に活用
 
【働き方への影響】
◎1つの研修の準備や事後対応にかける時間を削減することによる負担軽減
◎研修で使用した資料やクラウド環境を用いた実施方法が、各校での情報共有やクラウド活用に直結し、別途の資料作成、周知の機会設定を削減
◎市教委と学校間の共通理解がこれまで以上に促進
 

―学校の校務DX推進への効果

・教育委員会主催の研修を共通してクラウド活用に変えたことが各学校へのクラウド活用の波及につながった。
・教育委員会と学校の情報共有の仕組みと学校内の情報共有の仕組みを整えたことが各学校のクラウド活用の推進につながった。
 

担当者の声(校務DX推進担当者インタビューから)

「促した」というよりは、教育委員会が「選択肢を広げる」という認識

 校務DXを推進していく上で、特にペーパーレス化の視点から、まずは、どうしても紙やFAXでしかできないものは何かを見直すことが不可欠だと感じています。「何のために紙なのか」と考えると、明確な答えは実はないと感じています。その上で、私たちが作成した研修資料などはデータで各学校と共有してそのまま業務に活用していただくことや、研修のスタイルを1人1台端末やクラウドを使う形に変えていくなど、まずは私たちの業務の在り方を変えていきました。結果として、教育委員会が作成した研修資料を、校内研修や児童生徒への指導にそのまま使っていただいたり、校内研修でもクラウド活用が進んで紙を見なくなったりといった目に見えた変化につながりました。
 教育委員会として「活用しましょう」と伝えたわけではなく、私たちの業務を変えるとともに、学校にも具体的な形を示すことによって、各学校の校務DXに波及していったという感覚です。学校の校務DXを「促した」というよりは、私たち教育委員会が学校としてできることの「選択肢を広げる」という認識で取り組んできました。
 また、提出文書などは基本的には紙でもデータでもどちらでもよいということで学校には伝えています。学校から提出される文書は、ほぼ全てデータで提出されています。


1人1台端末がなかったら絶対にできていなかった

 校務DXが劇的に進んだのは、やはり1人1台端末の導入です。GIGAスクール構想により、学校の意識も変わっていったと感じています。ただ、変えることは簡単なことではなくて、今までの校務の進め方の慣れがあるということも現実としてあります。そのため、今の進め方や仕組みの中に埋め込むという視点が大切で、その時に、いつでもそこにある1人1台端末を使って、いかに習慣に変えていくかが重要だと考えています。
 校務DXは、徐々に進んでいくことも多くあると思いますが、チェックリストにある項目を一つずつ進めるというよりも、二つ以上が関連して一気に進むということも多くあると感じています。これは、1人1台端末やクラウド環境がなかったら絶対にできていなかったことです。校務DXや働き方改革を一気に進める今の流れに乗れるか、が重要だと考えています。


校務は、教育委員会が動けばすぐに変わること

 校務に関しては、様々な面をデジタル化していくことで、明らかに便利になります。最初は、ちょっと使うというところから始めますが、一回使ってみて、使いだしたら戻れないということを学校も私たちも実感しています。学校は、いいものはどんどん取り入れてくれるということがあって、私たちがペーパーレス化、デジタル化を進める意識をもつことで、学校が絶対にやってくれるだろうと信じていました。例規等の問題から、学校が校務DXを進めたくても進められないという現実もある中で、できることを見極めて教育委員会が「やろう」と動き出せば変わるのが校務だと考えています。
 そのような教育委員会としての取組を後押ししてくれる、根拠となるのがKPI(教育DXに係る当面のKPI)です。KPIは達成目標ですので、示された数値を踏まえて、本市の学校の校務DXに生かすことができるようにしています。やらなければいけないことは、2年後、3年後と言わずに今やろうよ、という考えで取り組んでいます。学校が受け入れてくれているという本市の現状も、大変ありがたく感じています。
 今では、学校から教育委員会に「これはどうだろうか?」という提案が来るようになっています。学校からの要望を教育委員会としてどのように形にしていくか、これからさらに取り組んでいきます。

(文責:GIGA StuDX推進チーム)