学校の取組例
鹿児島県垂水市立松ケ崎小学校
遠隔合同授業で子供と教師のウェルビーイングの実現を目指す
【初等教育資料 令和7年2月号記事】(文責:校長 西武久)
GIGAスクール構想が始まり早5年、学校現場ではICT環境の整備が着実に進む中、子供や教師のICT活用能力の向上とともに、学習での効果的な活用も進められている。垂水市は、「GIGAスクールのまち垂水」をキャッチフレーズに、各学校では1人1台端末やクラウド環境等の積極的な活用を推進し、学習効果を高めている。
本校は、児童数8名(1学級2~3名の完全複式学級)という極小規模校である。それゆえの課題も少なくはないが、小規模校ならではのよさを生かした教育活動の推進に努めている。少人数のため、教師は子供一人一人に関わることのできる時間を十分に確保でき、きめ細かな指導を行うことができる。一方、子供は、多様な意見に触れる機会が少ないため、様々な視点で物事を思考・判断したり、自信をもって自分の考えや思いを他者に伝えたりすることが難しい一面もある。
そこで、次に記すような他校との遠隔合同授業を通して、その課題の解決、さらには、子供と教師のウェルビーイングの実現を目指している。
-遠隔合同授業の推進GIGAスクール構想が始まり早5年、学校現場ではICT環境の整備が着実に進む中、子供や教師のICT活用能力の向上とともに、学習での効果的な活用も進められている。垂水市は、「GIGAスクールのまち垂水」をキャッチフレーズに、各学校では1人1台端末やクラウド環境等の積極的な活用を推進し、学習効果を高めている。
本校は、児童数8名(1学級2~3名の完全複式学級)という極小規模校である。それゆえの課題も少なくはないが、小規模校ならではのよさを生かした教育活動の推進に努めている。少人数のため、教師は子供一人一人に関わることのできる時間を十分に確保でき、きめ細かな指導を行うことができる。一方、子供は、多様な意見に触れる機会が少ないため、様々な視点で物事を思考・判断したり、自信をもって自分の考えや思いを他者に伝えたりすることが難しい一面もある。
そこで、次に記すような他校との遠隔合同授業を通して、その課題の解決、さらには、子供と教師のウェルビーイングの実現を目指している。
(令和7年2月26日掲載)
-(1)多様な見方や考え方を引き出す取組
-(2)複式学級の単式化を図る取組
-(3)中学校生活を見据えた取組
-おわりに
遠隔合同授業の推進
近隣の牛根小学校(児童数11名)とは、学校規模が同程度で、小規模校としての課題も共通している部分が多いことから、オンラインによる遠隔合同授業を計画的・継続的に実施している。年度はじめに、学年ごとの学習計画を作成し、目的に応じてどの教科等のどの単元で実施できるかを検討し、授業を展開している。
また、市全体でも、様々な目的のもとで、小規模校同士や小規模校と大規模校間の遠隔合同授業が計画・実施されており、学校間、子供間の交流が盛んになってきたところである。
低・中学年では主に道徳科や生活科、総合的な学習の時間において、少しでも多くの人数で授業を行い、多様な考えや意見を交わすことができるように牛根小学校との遠隔合同授業を実施している。
1学期に、1・2年学級、3・4年学級がそれぞれビデオ会議ソフトを利用して、道徳科の遠隔合同授業を行った。通常2~3名での授業が、倍の4~6名になることで、少ない人数ながら大きな効果を得ることができる。双方から多様な感じ方や考え方が出されることによって、一人一人に気付きが生まれ、対象の広がり・思考の深まりにつながった。多様な感じ方や考え方を基に、多面的・多角的に考えることの大切さを改めて実感することができた。
5・6年生は、主に算数科で遠隔合同授業を行っている。より多くの意見を引き出し、子供一人一人の考えを広げ深めることも目的の一つではあるが、遠隔合同授業による複式学級の単式化を図ることが大きなねらいである。
本校の5・6年担任が、2校の5年生を担当し、牛根小学校の5・6年担任が、2校の6年生を担当して授業を行う。教室の前と後ろでそれぞれビデオ会議ソフトを併用した授業が同時に行われている。さらに、共同編集機能を活用することによって、別々の教室にいる子供たちの考えが画面上で可視化されるため、互いの理解が深まる。最近は、子供たちが自由に意見を言い合ったり、自ら授業を進めたりする場面も見られ、主体的・対話的な学びが実践されている。
遠隔合同授業による単式化によって、教師にとっても一つの授業に集中できる上に、教材研究や授業準備等の充実が図られ、業務改善の視点からも価値ある取組の一つと言える。
本市は、一つの中学校に7小学校の子供が入学する。中心部の小学校以外は、ほとんどが小規模校であるが、中学校入学後は、子供は大きな集団の中で学校生活を始めることになる。中には、集団での望ましい人間関係が築けずに、円滑な学校生活を送ることが困難になってしまう子供が出てくる可能性も考えられる。
そこで、小学校の段階でできるだけ他校の子供と接する機会を多く設けられるように、全小学校の高学年をオンラインでつなぐ遠隔合同授業を実施している。
総合的な学習の時間に各小学校で作成した「10年後の垂水、まちづくり」の動画を、互いに視聴し、質問事項等を事前に考えておき、合同授業で交流するものである。オンライン上ではあるが、大勢の他校の子供と会することで、和気藹々とした雰囲気の中、多くの笑顔が見られた。親近感や安心感に包まれ、今後につながる取組となった。
子供たちは、端末を常に文房具として活用している。1年生でも、キーボードで文字を入力する姿が見られる。家庭へ持ち帰り、家庭学習でも活用をしている。Society5.0時代を迎える子供たちの、今後のますますの成長に期待したい。私たち教職員も、時代の流れを的確につかみ取りながら、子供と共に日々研鑽に努めていきたい。
(監修:GIGA StuDX推進チーム)
また、市全体でも、様々な目的のもとで、小規模校同士や小規模校と大規模校間の遠隔合同授業が計画・実施されており、学校間、子供間の交流が盛んになってきたところである。
(1)多様な見方や考え方を引き出す取組
1学期に、1・2年学級、3・4年学級がそれぞれビデオ会議ソフトを利用して、道徳科の遠隔合同授業を行った。通常2~3名での授業が、倍の4~6名になることで、少ない人数ながら大きな効果を得ることができる。双方から多様な感じ方や考え方が出されることによって、一人一人に気付きが生まれ、対象の広がり・思考の深まりにつながった。多様な感じ方や考え方を基に、多面的・多角的に考えることの大切さを改めて実感することができた。
(2)複式学級の単式化を図る取組
本校の5・6年担任が、2校の5年生を担当し、牛根小学校の5・6年担任が、2校の6年生を担当して授業を行う。教室の前と後ろでそれぞれビデオ会議ソフトを併用した授業が同時に行われている。さらに、共同編集機能を活用することによって、別々の教室にいる子供たちの考えが画面上で可視化されるため、互いの理解が深まる。最近は、子供たちが自由に意見を言い合ったり、自ら授業を進めたりする場面も見られ、主体的・対話的な学びが実践されている。
遠隔合同授業による単式化によって、教師にとっても一つの授業に集中できる上に、教材研究や授業準備等の充実が図られ、業務改善の視点からも価値ある取組の一つと言える。

複式学級の単式化授業
(3)中学校生活を見据えた取組
そこで、小学校の段階でできるだけ他校の子供と接する機会を多く設けられるように、全小学校の高学年をオンラインでつなぐ遠隔合同授業を実施している。
総合的な学習の時間に各小学校で作成した「10年後の垂水、まちづくり」の動画を、互いに視聴し、質問事項等を事前に考えておき、合同授業で交流するものである。オンライン上ではあるが、大勢の他校の子供と会することで、和気藹々とした雰囲気の中、多くの笑顔が見られた。親近感や安心感に包まれ、今後につながる取組となった。
おわりに
GIGA StuDX推進チームより 1人1台端末とクラウド環境を活用しながら、小規模校の子供たちの学びをより充実させる取組が報告されています。ビデオ会議ソフトを活用して近隣の学校と遠隔合同授業を行うことで、教師も一つの授業に集中することができ、学習の内容を充実させることができる工夫がされています。 さらに、遠隔合同授業に共同編集機能を活用することで、子供の考えや意見が可視化され、即時に共有することができます。このことは複数の学校間での意見交流を促進することにつながり、特に少人数の学校の子供にとって、多様な考え方に触れることや学習の幅を広げることが可能になっていきます。 このような学校同士のつながりを意識した実践を参考に、各地域においても、実態に応じ、1人1台端末とクラウド環境を有効に活用していただきたいと思います。 |
(監修:GIGA StuDX推進チーム)