学校の取組例

北海道旭川市立緑が丘小学校

 

互いに学ぶ教育活動の展開
~子供も教師も相互に交流する協働的な学びの工夫~

 
【初等教育資料 令和6年10月号記事】(文責:校長 内藤奏子)
 
 本校はリーディングDXスクール事業指定校として、新たな情報化の波に乗り出した。指定を受けた当初、本校の情報化はまだ進んでいなかったが、今ではDX推進リーダーのもと、令和5年度、6年度と続けて子供が主体的に学ぶ姿を本事業の取組を通して実現しようと挑戦を重ねている。その推進の機動力を高めるためには、教師が校務DXによる業務軽減の恩恵を受けることが必要である。そこで、「よい授業をして、早く帰ろう!」を合言葉に掲げた。手始めとして業務の無駄をなくすクラウドを活用した「報・連・相」の仕組みを構築した。研究と実践の往還を基盤としながら交流を通じて取組を広めることで、働き方改革を推進した。こうして校務で慣れたICT機器を普段使いできるようになると、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実を目指した授業が展開できると考え、研修係担当者とDX推進リーダーが連携して授業改善を推進している。
(令和6年10月17日掲載)

 
-校務の効率化から~時間短縮を教職員全員が実感~
-教師一人一人の意識改革と授業改善
-クラウド環境を活用した伝え合う活動の工夫
-集団の傾向をクラウド上で視覚化した学びの工夫
-子供の学びに伴走する教師

 
 

校務の効率化から~時間短縮を教職員全員が実感~

 日報や子供の出欠状況などをクラウドで共有することで、一目で教職員に伝わるようにした。全員が、今、知りたい情報を即座に手に入れられることを最優先とし、どの時間、どの教室にいても教職員用端末で各種資料をリンクから確認したり、教職員同士がチャットで教室使用の相談や、連絡をとったりすることができるようになった。その場で情報を共有できる便利さにより、時間短縮につながることを、教職員全員が実感できた。

 

教師一人一人の意識改革と授業改善

 教職員がICT機器に慣れることは、授業で使用することへの抵抗感を軽減させ、ICTを活用した授業実践への意欲を向上させることに大いに役立った。授業で活用して子供へ還元するために、推進リーダーと研修部が両輪となり、校内研修の計画的な運営を行った。クラウド環境を、これまでの授業展開にどのように取り入れると子供の主体的な学びにつながるのか、最初の一歩が重要となる。どのような手立てが学びを深めることにつながるか、協働的な学びの工夫をどのように取り入れたら効果的なのか等について、推進リーダーが視察した学校や、近隣校の取組などを教職員へ即時に周知した。さらに推進リーダー自らが授業を公開し、日々の授業に取り入れる方法を示した。

 

クラウド環境を活用した伝え合う活動の工夫

 第6学年国語科「日本文化を発信しよう」では、子供が書いた文章を交流する場面でプレゼンテーションソフトと表計算ソフトを活用した。
 文章を書いた子供は、プレゼンテーションソフトのコメント機能を活用して自己評価を書き込み、それを基に文章を読んだ子供が感想や気付きを表計算ソフトに記入しながら意見を述べ合い交流した。作成した文章をクラウドで共有したことが、自分の考えをより分かりやすく友達へ伝えられるように書き方を工夫する一つの手立てとなった。
 
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コメント機能で作品を自己評価
 
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文章に対するコメントを表計算ソフトに入力
 
 

集団の傾向をクラウド上で視覚化した学びの工夫

 第6学年社会科では幕末から20年で急激に社会が変化した理由をそれぞれ予想し、アンケート機能を使い記入した予想を収集した。教師がそれを集約し「テキストマイニングツール」で表示した。キーワードを使って集団の傾向を視覚化することで、全体の意見の傾向を即時につかむことができた。また、短時間で自分の意見を集団の意見と比較することができた。
 
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「テキストマイニングツール」で意見を共有
 

子供の学びに伴走する教師

 DXを推進していく中で実感したことは、教職員がICT機器の必要性を理解し、その利便性を十分に活用することが重要だということである。教師の授業に対する考え方に新たな風を吹き込むための情報は、推進リーダーが積極的に発信してきた。クラウドや端末を活用した「一人一人を主語にした授業」の伴走者として、教師は子供が「学び方を身に付けること」を目指し、カリキュラム・マネジメントを大切にしながら学習のDXを推進している。

   
GIGA StuDX推進チームより
 教職員のクラウド環境の活用への理解が進むよう、推進リーダーを中心として先行事例を参考にしながら、校務の効率化を図る取組が報告されています。教職員がICT機器を日常的に活用することで、業務の時間短縮や軽減を実感できる工夫がなされています。
 このような取組が教職員のICT機器、さらにはクラウド環境に対する抵抗感を軽減し、授業実践への意欲を向上させることにつながっています。授業でのクラウド環境の活用が自然と進み、子供たちの主体的な学びを支える環境が整いつつあることが分かります。
 今回報告された実践ではどの学校でも使用できる汎用的なクラウドツールが活用されています。各地域においても、学校の実態に応じて、それらを活用しながら1人1台端末とクラウド環境を有効に活用していただきたいと思います。

(監修:GIGA StuDX推進チーム)