学校の取組例

熊本県高森町立高森中央小学校

 

自立した学習者の育成

~子供を学びの中心に据えた授業デザインの構築~
 
【初等教育資料 令和6年6月号記事】(文責:高森中央小学校前校長 山村直子)
 高森町では「自立した学習者の育成」を目指して研究・実践を行っている。この主題達成のため、本校では重点目標として①文章や資料から読み取った情報を整理したり自分の考えをもったりする力、②友達と交流しながら自分の考えを深める力、③身に付けたことを活用して新たな課題に取り組む力、の3つを設定した。
 これらを育成するに当たり、子供の具体的な姿をイメージしながら日々の授業実践に取り組んでいる。授業の中では、クラウド上のワークシートを活用して思考を深めたり、ホワイトボードソフトを使って意見を交流したり整理したりする活動を行うなど、様々な活動で端末を活用し、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に取り組もうとしている。
(令和6年6月14日掲載)
 
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クラウド上で意見交流をする様子
   
- 学び方を選択したり、自己決定したりする姿
- 端末を活用して授業と家庭学習を連動する姿
- 学び続ける教師の姿
 

学び方を選択したり、自己決定したりする姿

 教育課程特例校制度を活用した、4年生の総合的な学習の時間『高森ふるさと学』では「高森町盛り上げ隊」として、地域の伝統的な祭りを盛り上げるために自分たちに何ができるかを考え、実現する活動に取り組んだ。一人一人の多様な好奇心や主体性から生じる「もっと知りたい、学びたい」という思いのもと、目的に適う調査や実践を子供が設定し、学習計画を立て取組を進めた。令和5年度は、演劇を通して祭りを盛り上げようと決め、劇中で行うクイズをプログラミングで作成したり、祭りについて学ぶために自ら交渉してオンラインでインタビューを行ったり、デジタルリーフレットを作成したりするなどの具体的な活動を行った。
 子供一人一人が自分で探究したい活動を計画・選択し、毎時間主体的に取り組んでいる。クラウド上で各自の作業が共有されているので、それぞれの活動に応じて協働している仲間の中で自然と意見交流が生まれ、助け合いながら学ぶ姿を実現することができた。教師は子供の意欲・関心に寄り添い、サポートや助言に徹することで子供の学びを支えている。
 また、2年生の別の授業では、子供の状況に合わせて、意思決定する場面を授業の中で取り入れている。クラウドで共有しているワークシート上で、「自分一人で解決する」「友達と相談して解決する」「先生と解決する」などの自己表現をするアイコンを用いることで、自分の学び方を示している。アイコンがクラウド上で即時に共有されることで、他者に協力してほしいという思いや自分で取り組むという意思が伝えやすくなったり、他者と自分の状況を照らし合わせて、より効率的に協働の場をつくりだせるようになったりする。また、端末を活用することで、大勢の前では相談や質問をしにくかった子供も意思表示がしやすくなり、学び方の主体的な自己調整にもつなげることができる。教師にとっては、「先生と解決する」を選択した子供が必要とするタイミングで支援を行うことが可能になる。アイコンを示すためには自分の学習の見通しをもつ必要があり、子供は自然と自分の理解度や課題と向き合い、計画性をもって学習に取り組むようになっていく。
 
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プログラミングでクイズを作成する様子(左)。オンラインでインタビューする様子(右)。
 

端末を活用して授業と家庭学習を連動する姿

 家庭学習の課題として、学習内容を班ごとにスライドにまとめる活動では、授業と同じように共同編集を行えるようにし、チャット機能を活用してコメントによる意見交換やオンラインでのグループ協議を行った。授業だけでなく家庭でも他者と協働して学べることで理解が深まり、次の授業に生かされていた。子供は普段から授業でチャット機能を十分に活用しているので、家庭学習においても協働して学ぶことができており、オンライン会議アプリを使ってつながり話し合うか、それぞれのタイミングでチャットを書き込むかなどの手段も自分たちで決めている。
 
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子供の表情に加えて、アイコンでも意思決定を一目で確認できる(左)。作成したスライドをチャット機能でお互いにコメントし合う(右)。
 

学び続ける教師の姿

 教師の異動があっても、子供の学びを継続するために重要になると考えられるのは校内研修である。年度の始めに実施する第1回の校内研修では、本校の授業づくりの基本を学んだり、これまでの実践例を基に意見交換を行ったりしている。こうした取組は、授業でのICT活用を進める上で大切な時間である。
 また、研究授業においては、研究テーマを教師一人一人に委ね、授業改善を進めたことでより高い意欲をもって学ぶ教師の姿が見られた。研究授業を参観するときは、参観した授業に対するコメントをクラウド上で共有することで、意見が視覚的に共有され、研究協議での議論がより活発になった。
 さらに、教師がICT機器を日常的に校務の中で活用しようとすることでクラウド環境について理解するとともに操作にも慣れ、校務の効率化が進んできている。
 
GIGA StuDX推進チームより
 子供の主体性や自己決定を尊重し、1人1台端末とクラウド環境を授業や家庭学習に活用した実践が報告されています。授業はもちろん、家庭学習でも「子供が自ら興味・関心に合った活動や調査を選択できる環境」をつくり、1人1台端末やクラウドツールが効果的に活用されています。
 子供が学習の進め方を自己決定し、それを共有することで、自分の学び方を調整することにつながる取組が行われています。また、授業と家庭学習での活動がシームレスにつながり、家庭にいながら他者と協働して学ぶことができるようになっています。
 こうした実践を参考としながら、各地域においても地域の実態に応じて、子供の主体性や自己決定を尊重した授業づくりに1人1台端末とクラウド環境を有効に活用していただきたいと思います。

(監修:GIGA StuDX推進チーム)