学校の取組例

岡山県立林野高等学校

 

GIGAスクール環境と1人1台端末を活用した

「授業を持ち歩く」実践とは?


 

 岡山県立林野高等学校(以下、林野高校)は、「すべては光る個性の輝き」という校訓のもと、「ICT教育」「課題解決型学習」「国際交流」の充実を特色として掲げ、地域や社会に貢献できる人材の育成を目指している。今回は、日々授業改善に挑戦する林野高校の実践を紹介したい。
 
- クラウドの利点を実感し、日常的に活用する
- さらなる授業改善に向けて
 

クラウドの利点を実感し、日常的に活用する

 林野高校では「私は授業を持ち歩く」をキャッチフレーズに、生徒も教師も様々な場面で1人1台端末とクラウド環境を活用している。
 1年生芸術(書道)の授業では、前時の作品を自己評価し、本時の個人目標をクラウド上の評価シートに入力していた。授業の中では、個人目標を設定する際に他の生徒の評価シートを見て参考にする生徒や、用筆・運筆の練習をする際に動画を参考にする生徒など、それぞれの課題に応じて、クラウドを活用しながら学んでいた。参考資料や動画等は授業用のポータルサイトにも整理されていて、生徒はいつでも見ることができる。「評価シートが共有されていることで、書き方の参考にしたり、新たな視点を知ることができたりします。自分のタイミングで見ることができるのはすごくありがたいです。」と生徒は話す。
 
  
クラウドで共有されている教師自作の動画を見ながら用筆・運筆を確認したり(左)、作品の画像を撮影し、評価シートに挿入して共有したりするなど(右)、クラウドが授業の中で自然と活用されている。

 クラウドを活用することで、授業外での取組にも変化があった。例えば、理科の授業では、毎時間の授業の流れや資料等を授業前にクラウドで共有している。生徒が授業の見通しをもつことができるので、次時の活動に向けて先に話し合い、役割を決める班もある。また、班での活動が授業後も続き、休み時間や放課後、さらには家庭でも取り組む姿も見られるという。「授業に向けて主体的に行動する生徒が増えてきています。欠席した生徒から振り返りシートが届くこともありました。クラウドには日々の学びが蓄積されており、生徒にも教師にもなくてはならないものとなっています。」と教師も1人1台端末とクラウドの便利さを実感し、まさに「授業を持ち歩く」ように活用している
 
  
学びに活用できる資料や動画はポータルサイトにまとめられている(左)。毎時間の授業の流れや目標、資料等は学習支援ソフトで授業前に共有されている(右)。
 

さらなる授業改善に向けて

 いち早く1人1台端末の導入を進め、令和5年度で7年目となる林野高校。GIGAスクール構想で小・中学校に端末が導入された際には、林野高校の教師や生徒が市内の小・中学校を訪問し、使い方の研修をすることもあった。小・中学校での活用も3年目となり、高校に入学してくる生徒のスキルも向上する中、林野高校では、これまでも取り組んできた授業改善をさらに進めていく必要性を感じているという。そこで、校内で立ち上げた「授業改善チーム」を中心に、1人1台端末を使った生徒の学びの姿を、写真や短い文章で校内の全ての教師にチャット機能を活用し発信している。こうした取組により、目指す生徒の学びの姿が具体的なイメージとして共有され、チャレンジしようとする教師も増えてきている。先進的に端末活用を進めてきた林野高校の挑戦は、これからも続いていく。
 
  
1人1台端末を使った生徒の学びの姿は、写真や短い文章で校内全ての教師にチャット機能を活用して共有されている。

 
(文責:GIGA StuDX推進チーム)