学校の取組例

神奈川県立希望ケ丘高等学校

 

GIGAスクール環境と1人1台端末を活用した

教師の授業づくりの原動力

 

 神奈川県立希望ケ丘高等学校(以下、希望ケ丘高校)は、文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)事業の指定校として、課題研究を中核に科学技術人材の育成に向けた教育課程の開発を目指し、全ての教科等の探究的な学習活動でデジタル・ポートフォリオを活用した授業づくりを行っている。希望ケ丘高校が、1人1台端末を活用し、そうした授業づくりを進めるための原動力とは何か、教師の言葉を基にひもときたい。
 
- 生徒が求めるものは何かを考え、生徒を信じて取り組む
- 挑戦する教師の成長を願う
- まとめ
 

生徒が求めるものは何かを考え、生徒を信じて取り組む

 
各ツールのメリットやデメリットを自分なりに考えて、生徒自身が自由に選択することで、生徒の主体性を高められる。授業の中でこのようなシーンが増えることで、一人一人に応じた探究的な学習や情報活用能力の育成にもつながる。

 「生徒にプラスになる授業、生徒が求めるものに目を向けたとき、それがICTを活用する授業でした。」「生徒を信じて、まずはやってみようと思っています。」と、「生徒」を中心にした授業づくりについて希望ケ丘高校の教師たちは口をそろえる。ある教師は、「生徒を取り巻く環境は、クラウドやSNSなどでの情報共有が当たり前になっています。こうした中で、最新の情報にいつでも触れられる環境を学習に用いることは外せないと気が付きました。」と、自身の授業の変化を語る。
 希望ケ丘高校では、紙だけでなく、スマートフォンや1人1台端末などのツールを生徒自身が自由に選択できる授業が展開されている。自分が使いやすいものを自分のタイミングで活用することで、疑問や不安が解消されることもある。また、そうした環境は、一人一人が違う課題をもち、その課題をより深く追究する授業づくりへとつながる。
 
 
1人1台端末の活用は、教師と生徒のコミュニケーションだけでなく、生徒間のコミュニケーションも活発にする。生徒が自然と協働し、意見交換する場面が増えている。教師はクラウド上で生徒の意見を瞬時に把握できるので、机間指導や授業の展開に生かすこともできる。
 
 

挑戦する教師の成長を願う

 端末を活用した授業を学校全体で推進するに当たり、「やれるところから一歩を踏み出そう」と、挑戦する教師を支える柴田功校長のリーダーシップが光る。「環境づくりに向け、管理職自らがICTを使って情報発信することが大切です。」と柴田校長は語る。
 
「私はいつもデジカメを持って授業観察に行き、その様子を学校のホームページで紹介しています。地域の方や保護者から『先生の授業がホームページに載っていましたね』と授業者が声をかけられたり、教師同士で互いの授業を見せ合うようになったりしました。いい授業を共有する仕組みを作ったことで、学校の中にムーブメントが起こり『やってみようかな』という雰囲気になりました。」(柴田校長)

まとめ

 希望ケ丘高校では、「自分で見つけた課題を自分で解決したい」という生徒の思いを大切にしながら、クラウド環境を活用した授業改善が行われている。そこには、「生徒とともに授業をつくり上げたい」という教師の姿勢がある。学習活動を生徒に委ね、そこでの成長を生徒自身と教師が実感する。そのことが、生徒だけでなく教師にとっても、更なる学びに向かう原動力となっているのではないだろうか。
 
 ※デジタル・ポートフォリオ…生徒の日々の学習や活動の記録を電子化したもの。提出したレポートや成果物、教師からのコメント等をデータで蓄積し、生徒本人・教師で共有する。
 
(文責:GIGA StuDX推進チーム)