自治体の取組事例

埼玉県教育委員会ICT公開授業
~授業を見ている先生もICT活用でアウトプット~

【ICTを活用した研修のポイント】
・研修参加者が見たい視点を選択!
・チャットで授業中に意見交換!



 埼玉県教育局県立学校部ICT教育推進課で実施されている「ICT活用プロジェクト 現職教員リーダー授業モデル公開」を取材しました。今回は、久喜市立久喜南中学校において、「ICTの活用が授業の本質に迫れているか」というテーマの下、ハイブリッド型で行われた数学の研修会について紹介します。(令和4年12月9日掲載)
 

 

複数台のカメラから研修参加者が見たい視点を選択

 久喜市内の先生は、久喜南中学校の会場に参集し、それ以外の先生は、オンラインで参加しました。
 オンラインで参加する先生方へ向けて、授業の様子が伝わりやすいように3台のカメラを使いました。それぞれのカメラには何を撮影するのかが事前に割り振られています。

【カメラ①】 全体の動きがわかるように撮影するカメラ
【カメラ②】 授業者の動きや話していることを撮影するカメラ
【カメラ③】 個別・協働学習をしている子どもたちを撮影するカメラ

 オンラインで参加している先生方は、①~③のカメラの中から興味のある映像を選択して授業を見学しました。
※ブレイクアウトルーム機能を活用することで、様々なアングルのカメラを選択できます。授業の途中でも、違うカメラに切り替えて視聴することが可能でした。

 

  

 

 

チャットで研修参加者が授業中に意見交換

 オンラインで参加している先生方と会場にいる埼玉県教育局の指導主事は、ミーティング内のチャットも活用していました。

 

 

 チャットでは、指導主事が授業での活動内容を説明したり、オンラインで閲覧している先生方の質問に回答したりしていました。オンラインで参加している先生方は、チャットを見るだけでなく、授業のよい点や改善点、それに対する自分の考えなどを投稿していました。通常の研修では、授業を1時間見て、そこから研究協議で質問したり、自分の考えを発表したりしますが、今回の研修では、オンラインミーティング内のチャットを使うことで、オンラインで参加している先生方も、自分の考えをアウトプットしながらリアルタイムで協議を進めていました。埼玉県教育局の方々は、協議から話が逸れることがないように、ファシリテートすることを意識して投稿していたそうです。

 さらに、オンラインで参加している先生方だけがチャットで投稿していたのではなく、当日会場に参加している先生方も指導者用の端末を持参して、チャットを閲覧したり投稿したりしていました。授業後の研究協議会では、参集した先生方だけでなく、オンラインで参加されている先生方もブレイクアウトルームに分かれて、デジタル付箋を使いながらクラウド上でグループ協議をしていました。


  

 
 埼玉県では、このような研修スタイルを令和4年度内に13回実施する予定です。今回は、9回目の実施でしたが、ICT担当者などの悉皆研修ではなく、県が作成した応募フォームに希望者が直接応募する形で実施しました。この日は、参集で40名、オンラインで60名の計100名の先生方が参加していました。
 全国では、地域全体のICT教育を推進するために、いろいろなチャレンジを各自治体で取り組んでいるところです。今回の埼玉県の研修スタイルは、移動時間の短縮はもちろん、授業中にチャットで協議をするなど、ICTを活用することで、今まででは考えつかなかった研修スタイルを実現できるようになった事例になります。

 

【埼玉県教育局県立学校部 ICT教育推進課 担当指導主事のコメント】

 「このような形の研修は、とにかく我々もチャレンジでやってみようということから始まっています。いろんな先生に参加してもらえるように、学校現場から直接アンケートフォームで参加希望を求める形をとっています。役職などに関わらず、参加するハードルを低くすることで、多くの先生たちが学べる研修スタイルになればと思っています。参加していただいた先生に、ICTを効果的に活用した授業やICTの効果的な使用方法、これまでの教育とICTのベストミックスなどを一緒に考える機会にしていただくことで、先生方のICT活用指導力を向上させ、県全体のICT教育の推進につなげたいと考えています。」

 

機材一覧

・撮影用タブレット3台(1台チャット投稿用と兼用)
・固定用タブレットに使用する三脚1台
・投影用スクリーン(教室では、テレビ等で代用可能)
 


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(文責:GIGA StuDX推進チーム)