学校の取組例

秋田県大仙市立中仙中学校

デジタル学習基盤を活用した

学びの可視化と主体的な学びの実現

【中等教育資料 令和8年9月号記事】 文責:教務主任 田中真二朗
(令和8年9月9日掲載)

学びを可視化し主体性を育む授業改善

授業改善の出発点は、「全員が同じ内容を同じ方法、同じペースで学ぶ」という従来の授業観を見直すことであった。学習者の理解度や興味・関心は一人一人異なる。その違いを前提としながら学びを保障するために、クラウド環境を活用した学習状況の可視化と情報共有を進めている。

授業改善のスタートは、従来の授業観を見直すことから始まった。

授業改善のスタートは、従来の授業観を見直すことから始まった。
数学科では、クラウド上の表計算ソフトを用いて学習進度を共有している。生徒は学習内容ごとに理解の状況や支援の必要性を入力し、自身の学びを振り返る。教員はその情報をリアルタイムで把握し、個別の支援や補足説明を行うことができる。また、生徒同士も互いの状況を確認できるため、「教えてほしい」「教えたい」という関係が自然に生まれ、自発的な学び合いへと発展している。クラウドツールによる学習状況の可視化が、生徒の学びの自己調整や協働的な学びを支える仕組みとなっている。

数学の授業の一コマ。進捗状況共有シートに打ち込み、自発的な学び合いを促す。

数学の授業の一コマ。進捗状況共有シートに打ち込み、自発的な学び合いを促す。
美術科では、作品制作の過程をクラウド上に蓄積し共有している。生徒は制作途中の写真や工夫した点、課題として感じていることを記録し、互いに閲覧できるようにしている。完成作品だけでは見えない試行錯誤の過程が共有されることで、友達の発想や表現方法から学ぶ機会が増えた。また、作品に二次元コードを添付し、制作過程や振り返り等を閲覧できるようにすることで、鑑賞活動の充実にもつながっている。

作品説明シートに二次元コードを付け、学びの過程を可視化する取組。保護者や地域の方々にも好評である。

作品説明シートに二次元コードを付け、学びの過程を可視化する取組。保護者や地域の方々にも好評である。

クラウド環境が支える組織的・校種間連携

こうした授業改善を支えているのが、日常的なクラウド活用の文化である。本校では教職員間の情報共有にもクラウドを活用し、週予定や連絡事項、会議資料などを共有している。必要な情報へ誰もが即座にアクセスできる環境を整えることで、情報共有に要する時間が削減され、子供たちの学びに向き合う時間の確保につながっている。
さらに、小・中学校間においてもクラウドを活用した連携を進めている。授業資料や実践事例の共有に加え、オンラインによる授業参観(現在は対面で実施)や児童会・生徒会の協議を無理のない範囲で実施している。また、地域の3つの小学校では学年ごとのチャネルを自主的に立ち上げ、外国語活動などを通して交流を行っている時期もあった。将来同じ中学校に進学する児童同士が学びを共有することで、校種間の接続を円滑にする新たな可能性も見えてきた。

これまであった地域の教育研究会をクラウド上でつなぐことを一番初めに行った。

これまであった地域の教育研究会をクラウド上でつなぐことを一番初めに行った。

地域の小学校と、研究授業も指導案もイベント案内も丸ごと情報を共有化している。

地域の小学校と、研究授業も指導案もイベント案内も丸ごと情報を共有化している。

自主的に生まれた学年部チャネル。こうした交流が中1ギャップ解消につながるかもしれない。

自主的に生まれた学年部チャネル。こうした交流が中1ギャップ解消につながるかもしれない。
これらの実践を通して明らかになったのは、ICT の価値は機器そのものではなく、「学びを可視化し、共有し、つなぐ」点にあるということである。クラウド環境を活用することで、生徒は自ら学び方や学習ペースを調整しながら主体的に学ぶことができる。また、教員も学習状況を的確に把握し、一人一人に応じた支援を行いやすくなる。今後も、1人1台端末とクラウド環境を自律的な学びを支える学習基盤として活用し、子供たちが自ら学びを創り出す授業改善を推進していきたい。
(監修:GIGA StuDX推進チーム)