学校の取組例
福岡県春日市立白水小学校
個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を図るデジタルツールの作成・活用
~自律的に学ぶ子供の育成を目指して~
【初等教育資料 令和8年5月号記事】 文責:校長 二串英一
(令和8年6月10日掲載)
リーディングDXスクール事業は、端末を用いた新たな環境における授業改善への挑戦を促進する事業であり、本校は令和6年度から指定を受け、その実現に向けて本校を含む中学校区で取り組んできた。昨年度は、公開授業及び全教職員での授業づくりにより、子供の心理面として「学習への安心感の醸成」及び教師の「学習の見通しを大切にした単元デザインの在り方」が成果として見られた。一方、「個別最適な学び」のうち「個別の学び」を重視するあまり、子供の「協働的な学び」への意識が弱まり、深い学びの実感をもたせることが課題となった。
主体性を伸ばす「きらきら宝箱」
「個別最適な学び」の実現には、子供が学習課題の解決に必要とする学習資料の十分な準備が必要であると考え、また、その内容は個々によって異なるため、多様性への対応も重視した。これらを満たすものを本校では「きらきら宝箱」と呼び、複数の教科等で作成・活用している。
作成は、次の手順で行う。
① 単元の導入時に、子供と共に単元を通して解決する学習問題を設定した後、その解決に必要な資料について子供に問い、資料を決定する。
② スライド作成ソフトを使って、データ化した資料のリンクを貼り付ける。
③ 本市教育委員会ICT担当者にも協力を仰ぎ、著作権や情報モラルなどに配慮し、学習活動の安全・安心を確保する。
② スライド作成ソフトを使って、データ化した資料のリンクを貼り付ける。
③ 本市教育委員会ICT担当者にも協力を仰ぎ、著作権や情報モラルなどに配慮し、学習活動の安全・安心を確保する。
「きらきら宝箱」を作成するに当たって、子供の主体性を伸ばすために、子供が適切な要望を出す状況となっていることが望ましいと考えた。そこで、先述の手順①に加え、単元の導入時に、子供と共に単元終わりのゴール像と、ゴール達成のための解決方法を設定する単元デザインを行った。また、子供の学びを深いものにするために、各教科等の特質・内容のつながりを踏まえて学習資料を準備した。作成・活用における成果と課題は、次のとおりである。
【子供にとっての成果】子供が自ら選択した課題について意欲的に調べ、資料と自身の経験を比較して考えを形成した。
【教師にとっての成果】雛型を作成することにより、各教科等や他学年でも活用でき、学校全体で子供の学びの質を高めること、教師の教材研究力を高めることが可能となった。
【課題】学び方の傾向、端末操作の得意・不得意によって、従来のアナログタイプを好む子供に対する準備が必要である。
【教師にとっての成果】雛型を作成することにより、各教科等や他学年でも活用でき、学校全体で子供の学びの質を高めること、教師の教材研究力を高めることが可能となった。
【課題】学び方の傾向、端末操作の得意・不得意によって、従来のアナログタイプを好む子供に対する準備が必要である。
学習の過去と未来をつなぐ「振り返りシート」
子供自ら自分に適した学び方を獲得し、その学び方を基に深く学ぶ、つまり、自律的に学ぶ子供の育成には、学習の「振り返り」の更なる充実が必要だと考えた。「振り返り」の観点としては、活動や考えの評価(過去の評価)、次時の目標設定(未来志向)があるが、本校では子供自身が過去の評価と未来志向をつなぐことが大切だと考えた。また、そのためには、子供が行った過去の評価が適切なものである必要がある。そこで、教師と共にルーブリックを設定した。さらに、子供が自身の成長(学びの度合い)を捉えることができるように学習履歴を蓄積した。これらを含めたシートを本校では、「振り返りシート」と呼んでいる。
「振り返りシート」は雛型を作成し、令和7年度は全学年で活用している。操作は選択形式(プルダウン機能)が多いが、高学年ではタイピングのスキル向上を目標に、文字入力にも力を注いでいる。また、第1学年でも自力での「振り返り」が可能となるよう、年間を通して意図的・計画的に情報活用能力の向上に努めている。さらに、雛型を市統一の校務支援システムに格納しておくことで、他校での「振り返りシート」の作成・活用を可能としている。作成・活用における成果と課題は次のとおりである。
【成果】失敗経験を「次につながる活動」と捉え、粘り強く取り組む子供の姿、特に次時の学習の見通しを具体的に立てる姿が見られた。
【課題】学習前に子供自ら設定したルーブリックが適切かどうか確認する教師の支援が必要である。
【課題】学習前に子供自ら設定したルーブリックが適切かどうか確認する教師の支援が必要である。
自己肯定感を高める「学習計画表」(特別支援学級)
特別支援学級(自閉・情緒)では、子供の状況に応じてスモールステップで、できること・分かることを増やすことを目指した。このことに加え、情緒を安定させるスキルを身に付けることで自己肯定感が高まり、自分と上手に向き合いながら生活することが可能となる。学習において自己肯定感を高めるためには、共同で達成する目標を設定すること、そのための活動を計画し、見通しを立てること、一人一人が活動上の役割を担うことが大切だと考え、これらを視覚化した「学習計画表」を作成・活用した。
自立活動「なかよしランドをつくって友達を招待しよう」では、招待する友達が楽しむことができる遊びを準備することを共同達成目標とし、そのための活動計画、役割分担を行った。作成・活用における成果は次のとおりである。
【成果】子供自らによる確認操作が増え、その積み重ねと繰り返しが、自分の言動への自信となった。また、活動を共にする子供と確認操作を行う姿が増え、共同で活動する際に情緒が安定する状況が増えた。
*
デジタルツールの作成・活用により、子供の主体的な学びの表出については、一定の手応えを感じている。一方、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実による主体的・対話的で深い学びの実現のために、教師による子供の学びの評価と子供自身の評価を整合させることが、課題として残されている。令和8年度も、主体的・対話的で深い学びとなるよう、教師の深い教材研究を基に、デジタルツールの質を高めていく所存である。
(監修:GIGA StuDX推進チーム)