学校の取組例
山梨県甲州市立祝小学校
「自ら学び続ける祝っ子」
~子供主体の授業改善で深い学びへ~
【初等教育資料 令和8年4月号記事】 文責:校長 平山剛
(令和8年5月27日掲載)
デジタルとリアルの往還
文部科学省の教育課程企画特別部会での論点整理において、デジタル学習基盤を前提とした次期学習指導要領改訂の方針が出されている。「デジタルかリアルか等の二項対立に陥らず、デジタルも最大限活用して一人一人の豊かな学びを充実させる」と述べている。甲州市も同様に、「子供一人一人が主語」「クラウド環境を前向きに活かす」を主眼に置き、リアルとデジタルを往還して学び続ける力を育てる「夢をかなえる学びのプロジェクト」を推進し、本校もそれを土台として研究を進めている。
自ら学び続けるための学び方
本校は、子供主体となって自ら学び続けるために「学び方」を授けることを重視してきた。情報活用能力の土台となる課題設定、情報収集、整理・分析、まとめ・表現を「祝っ子探究サイクル」と名付け子供自身が学習過程を回せるようにしてきた。
「祝っ子探究スキル」では、各教科等の「見方・考え方」を意識して働かせる取組を繰り返してきた。端末活用は、どの学年も学習の基盤として当たり前となっている。汎用的なソフトウェアとクラウド環境を前向きに生かして、情報の収集から整理・分析等、友達の学習状況を可視化できる環境となっている。課題に対して教科書を中心に、NHK for Schoolやネット検索からも情報収集し自分なりの解釈を導けるように、整理・分析にも重点を置いている。
質の高い探究的な学びへ
本校は、全校児童68名の小規模校である。令和7年度にリーディングDXスクールの指定校となり、学校DX戦略アドバイザーに何度も足を運んでいただき指導や助言を受けてきた。「小規模校である祝小だからこそできる取組を」というお言葉を頂戴した。本校の強みは、個別最適な学びの環境と、リアルな体験活動を数多く取り入れた、追究しがいのある学びを提供できることである。授業においては、「祝っ子探究ボード」を壁面に大きく提示したり、黒板を開放したりして、端末やノートばかりでなく、大きく大胆に探究できる環境を整備した。ボードを活用することにより自然発生的に議論も生じやすくなる。このボードを撮影してチャットで共有する子供、端末のデジタルホワイトボードソフトを活用する子供等、学び方を自己選択・自己決定して学習を進めている。
また、リアルな学びを充実させ、質の高い探究的な学びを実現するために、外部人材の活用や校外学習を充実させている。例えば、世界農業遺産の甲州市と茨城県牛久市の学校同士でお互いにプレゼンを行うオンライン交流や、外部講師を招聘して子供一人一人がプログラミングで試行錯誤しながらドローンを飛ばす取組等である。ドローンを飛ばす活動の中で子供は友達と「さっき~だったから~を指示したらいいんじゃない」等協働的な学びを通して論理的に考え、効率的に解決策を見付ける力を養っている。
課題の設定と振り返りの充実
本校の教師は、子供が「学びたい」「解決したい」という知的好奇心を抱かせる教材との出合わせ方を工夫しており、そのための教材研究を大事にしている。本校では、「祝っ子探究スケール」を活用して単元設計をしている。単元のどの部分をどれくらい子供に委ね、子供主体の授業を展開していくのかを明らかにするとともに、学び方、情報活用能力を鍛えることを重要視している。
学習内容や学び方を含めた子供の振り返りでの文字数は、1学期に比べて大きく増えている。子供が解決したい課題、情報収集や整理・分析ができてくると自然とアウトプット量が増えてくる。1学期は100字ぐらいであった振り返りの文字数が、2学期には1000字を超える子供も出てきた。文字数が全てではないが、自ら学び、自ら解決し、その結果として自己表出が増えてくることは、「自ら学び続ける力」を育てていく上で極めて大事である。
今後の取組について
今年度は昨年度に比べ校内の紙の使用量が約70%減少した。また、保護者、教職員、子供サイト等を立ち上げ、生成AIの活用も進めている。校務DXと授業DXは相似形であることから今後、子供の学びもガイドライン等を踏まえた生成AIの活用を進めたい。それにより更に個別最適な学びを支え、探究的な学びの質も高めていきたいと考える。
(監修:GIGA StuDX推進チーム)