【中等教育資料 令和8年3月号記事】 文責:校長 松本泰幸、教諭 西林諒
(令和8年4月1日掲載)
情報科と国語科を横断した授業の様子。生成AIの特徴を理解したうえで活用方法を考えた。
本校Webサイトでも授業開発等の取組の様子を発信している。
数学科のパフォーマンステスト。自作した式のプリントを撮影しながら、内容の説明を録画している。
学習プリントの解説などをクラウドで共有しておくことで、復習したいときに自由に活用できる。
夏季休暇の課題。自分の興味ある分野をクラウドで調べ、まとめた。
SSHの研究活動では、自分たちで考えたテーマについてまとめ、発表している。
(令和8年4月1日掲載)
クラウドを活用した校務改善
かつて本校では情報共有の手段が紙や口頭に偏り、毎朝の職員連絡会では全体共有事項と個別連絡事項が混在し、生徒への伝達にも多くの時間を要していた。こうした課題を解決するため、校内にICT推進委員会を設置して校務のDX化を進めた。
まずクラウド化に着手し、教師間及び生徒への連絡が簡便にできる体制を整えた。その結果、職員連絡会や朝の生徒への連絡にかかる時間を大幅に削減することができた。日々の時間割変更も前日までに通知することができ、生徒が余裕をもって授業準備を行えるようになった。欠席連絡についても電話対応がほぼ不要になり、事務職員の負担軽減と保護者の利便性向上につながった。
クラウドを活用した授業改善
校務のクラウド化が進むにつれ、授業での活用も広がりつつあり、生徒の考えや意見をクラウドで収集・共有することで、これまでにない多様な学習活動も見られるようになってきている。
教科横断的な授業でも端末の活用が進んでいる。例えば、化学と英語では、生徒たちが端末で化学物質の調査を行い、その内容を英語で発表、スライドにまとめるという学習活動を行った。また、生成AIの活用が進んでいることを背景に、国語と情報で生成AIが作成した文章の不自然さを見抜く活動や、生成AIの特徴を理解したうえで活用方法を考える学習など、新たな情報リテラシーの育成にも取り組んでいる。


https://www.koyo-h.wakayama-c.ed.jp/facilities4.html
教材をクラウドに蓄積することで、生徒は授業外でも活用できるようになった。さらに、進路実現に向けた調べ学習のまとめや、定期テストの振り返りをクラウドで提出するなど活用場面が増え、学習の記録と省察の質が向上している。



SSH での研究活動
本校は文部科学省からSSH(スーパーサイエンスハイスクール)の指定を受け、生徒の科学的探究力の育成に力を入れている。生徒たちは班やゼミごとにテーマを設定し、クラウドに蓄積された先輩の研究も参考にしながら探究活動に取り組んでいる。クラウドで実験結果の整理やデータの共有を行うことにより議論や仮説検証が円滑になり、また、記録を蓄積することにより進捗管理や振り返りも容易になった。蓄積された記録をたどり、自分の思考の変化を振り返りながら主体的に次の学びへつなげる生徒も多い。さらに、クラウドで考えを共有することで生徒同士が互いの意見を参照し合い、学びや気付きを深めている。共同編集が可能であることから研究結果もまとめやすい。

今後の展望
こうした実践を通して、本校では「教師が教える」ことを中心とする授業から、「生徒が学びをつくり出す」ことを重視する学びへの転換が、少しずつ形となって現れてきている。今後は、「個別最適な学び」と「協働的な学び」を両立させる学習環境の構築が重要である。クラウドは、その基盤として一層重要な役割を担うだろう。
(監修:GIGA StuDX推進チーム)