学校の取組例
和歌山県海南市立亀川小学校
アップデート主体性×DX×対話
~先生が変わる 子供が変わる 学校が変わる 亀川小学校の挑戦~
【初等教育資料 令和8年3月号記事】(文責:校長 清水奈穂実)
(令和8年3月10日掲載)
本校では、「人とつながりながら、自ら考え、深め合う」学びを実現するため、令和4年度から情報活用能力育成を研究の軸に、ICTを日常の学習や校務に取り入れながら、授業改善と校務DXを並行して進めてきた。さらに、令和6年度には文部科学省リーディングDX事業の指定校として、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を図る授業改善を目指し、研究を進めてきた。
取組の背景
本校では、子供の主体性の育成に向け長年研究に取り組んできたが、十分な成果が得られない状況が続いていた。加えて、1学級の児童数の多さや保護者対応から教師の多忙感が強く、教材研究や授業改善の時間確保が困難であった。そこで、校務DXによる業務効率化と校内研修の刷新を両輪とし、授業改善に向けた時間の創出と子供の主体性の育成を図ることとした。
選択・自己決定・対話
個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を目指し、学級や各教科等でできるところから挑戦を始めた。先進校の実践を参考に、単元内自由進度学習(マイプラン学習等)を導入し、「子供に委ねる」をキーワードに、選択・自己決定・対話を重視した授業を展開した。端末活用による効果的な学びを模索しながら、校内で授業公開等の実践を重ねた。
学ぶ姿が変わる
実践を通して、子供に委ねる授業デザインの要は、「魅力ある学習課題」「対話」「振り返り」の三点であると分かった。これらが機能することで、子供たちは「学習の手引き」に沿って自分のめあてを設定し、「誰と、どこで、どのように学ぶか」を自己決定しながら学習時間を調整し、必要に応じて友達と対話しながら学びを進められるようになってきた。さらに、クラウドに記録する振り返りは、他者参照ができ、内容知と方法知の両面を振り返ることができるようになってきた。教師はそれを基に形成的評価を行い、次時のめあて設定につなげることで、子供が主体的に学ぶ手立ての一つとなっている。
実践事例
本校の実践で特徴的な点を三つ挙げる。まず一つ目は、子供が自分で学びを進める授業と一斉指導とのバランスを、発達の段階や単元の特性を考慮し、各担任が授業デザインをしている点である。その上で、全学年の様々な教科等で自由進度学習等が展開されている。二つ目は、各単元の「学習の手引き」や学習のゴールを示す「ルーブリック」について、あえて校内で形式を統一していない点である。教師自身の試行錯誤が、教師間の情報交換に広がり、更によりよいものを追究することにつながっている。三つ目は、第5学年の算数科で反転学習を導入している点である。クラウドに、学習の手引き、解説動画やヒント例、練習問題とその解答例を掲載し、子供はそれを参照して自宅で翌日の課題に取り組んでくる。学校では、その予習内容を基に子供同士で説明し合った結果、理解が深まり、対話の質が向上した。
校務DX
教職員のコミュニケーションツールに「日報」「学年」「DX」「授業研」などのチャネルを設け、情報共有の効率化を図っている。授業研チャネルでは、公開授業で気付いた点等をチャットで共有し、各担当からの連絡事項の確認状況をリアクション機能で可視化した。これにより、「手軽に・すぐに・どこからでも」情報共有が可能になった。また、日課表を見直し、下校時刻を早めることで週90分の教材研究の時間を確保している。さらに、亀川中学校との共有チャネルを作成し、小・中学校相互の授業参観時に活用している。
プロジェクト型校内研修の展開
令和6年9月から学校DX戦略アドバイザーを講師に招き、「対話とリフレクションによる授業研究会」を実施している。従来の研究授業の協議にとどまらず、研究授業を基にした対話による概念化を通し参加者自身の授業改善につなげてきた。さらに、令和7年度からは、「年間を通して個人研究テーマで研究する『授業改善プロジェクト』に取り組みたい」と研究部から提案があり、「対話」「教材・学習課題」「自己調整学習」を柱としたプロジェクト型校内研修を開始した。この研究の柱は、昨年度の教職員の振り返りアンケートから共通して課題と感じている三点を柱としている。4月には授業改善プロジェクトの研究構想図と年間イメージ図を作成し、研究方針を共有した。6月には個人研究テーマを設定し、実践を重ねた。校内夏季研修では、グループごとに研究の進捗状況や悩みを交流した。その後、授業公開等を経て、2月に成果報告会を実施した。
おわりに
本校では、主体性×DX×対話の連動によって、子供が自らの学びを設計し、他者と関わりながら学びを深める新たなステージを拓こうと挑戦している。また、その理念は学校行事へも広げ、運動会などの改革に着手している。これからも、今までの実践を土台に、更なる挑戦を重ねていきたい。
(監修:GIGA StuDX推進チーム)