学校の取組例
愛知県一宮市立朝日西小学校
「認め合い学び合い高め合い」で実現する教育DX
【初等教育資料 令和8年2月号記事】(文責:校長 脇田恵)
(令和8年2月17日掲載)
一宮市立朝日西小学校では、令和5年度より「未来を切り拓き、たくましく生きる子どもの育成」を研究テーマに掲げ、「認め合い」「学び合い」「高め合い」という三つの愛(合い)のある授業づくりに取り組んでいる。教育DXを推進する中で、デジタル学習基盤は、子供が主体的に課題と向き合い、自らの学習を自己調整するための強力なツールとなっている。
【認め合い】多様な関わりで安心感を育む基盤構築
本校の考える「認め合い」は、心理的な安全性の確保と、保護者を含めた学校コミュニティ全体での新しい学びへの共感と安心感に重点を置いている。
まず、子供の間に「認め合い」の素地をつくるため、SST(ソーシャルスキルトレーニング)などを取り入れることでよりよいコミュニケーションづくりを行い、学習活動の基盤をつくるようにした。また、年度当初に学級意識調査を実施し、学級経営に生かすことで、学習活動の基盤をつくるようにした。これらの取組により、他者との良好な関係を築き、安心して意見を出し合える学習環境が整うようになった。次に、授業実践においては、子供が自分の学習の目的に合わせて学習形態を選択し、自由に協働できる授業を行った。個々の進度や特性を「認める」ことで、全ての子供が主体的に学べるようになってきた。
さらに、「認め合い」の対象を保護者にも向けた。保護者にとって、デジタル学習基盤を活用した授業は自らが受けたことのない学習形態であり、取り組み始めた当初は、戸惑いや不安、抵抗感を示す声が聞かれた。そこで、保護者向けの体験会を実施した。この体験会では、子供が教師役となり、保護者に端末操作や学習内容を教えるという形式をとった。この取組により、保護者は、子供が単なる操作スキルだけでなく、社会に出て役立つ高度な思考力や情報活用能力を身に付けていることを実感するとともに、学校DXの推進に対し、理解と賛同を示してくださった。
【学び合い】デジタル学習基盤を駆使した協働的な授業実践と校内研修
「学び合い」には、デジタル学習基盤を活用した子供同士の対話的な学習と、教職員の指導力を高めるための校内研修がある。
授業では、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実を最重要課題とし、その実現手段としてデジタル・ホワイトボード機能を活用した「白紙共有」「途中参照」「他者参照」を積極的に実践している。子供は、自分のペースで友達の学習過程や考えを素早く参照することができ、自分にはない視点や情報を自らの学びに取り入れることで、協働的な学習を深めることができている。また、チャット機能を取り入れ、個々の子供が抱いた疑問や考えを、瞬時に学級全体に共有することを可能にすることで、活発に意見交換がされるようになった。さらに進行状況チェック表を共有することで、他の子供の動向を把握でき、教師が子供同士をつないだり、子供自身が相手を選んだりして協働することが可能になった。これにより子供は、自分の学習状況に合わせて学びのスタイルを選択することができている(写真2)。
教職員の指導力向上も重要な「学び合い」の場である。本校では、学校DX戦略アドバイザーを講師に招き、模範授業やシミュレーション授業を全教職員参加で実施してきた。また、校内の授業の様子やリーディングDXスクール先進校の視察の様子はチャット機能を利用して全教職員にリアルタイムで共有されている。これにより、会議まで待つことなく情報を共有でき、迅速に授業改善に生かせるなど、教職員の「学び合い」もDXによって支えられている。
【高め合い】思考の深化と学力向上の成果
「高め合い」は、学習の質を向上させる思考ツールの活用、その結果としての子供の確かな学力の伸長、そして教職員の指導の質の向上という「高め合い」のサイクルとなっている。 子供の思考を深めるため、全学年で「課題設定」→「情報収集」→「整理・分析」→「まとめ・発表」という学習過程を徹底した。このサイクルの中で、パフォーマンス課題とルーブリック(学習達成度の評価手法)を設定し、子供が目標を明確に捉えて粘り強く取り組めるようにした。子供の実際の取組を見ていると、学習したことを自分自身の言葉でアウトプットするために、より多くの情報を集めたり、友達との対話を通して説得力のある内容に書き換えたりして考えを深化させている。
こうした取組の結果、子供の読解力や情報活用能力の面で大きく成長が見られた。学習過程とDXを活用した「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実により、子供の「粘り強く取り組み、自らの学習を自己調整しようとする力」を涵養することができたと考えられる(写真3)。
デジタル学習基盤を活用して本校が推進してきた「認め合い」「学び合い」「高め合い」のある授業づくりにより、子供が自分の学習の目的に合わせて学習形態を選択し、自由に協働できる授業が自然に構築され、目標に向かって粘り強く取り組む子供の育成につながってきた。今後も、この三つの愛(合い)を体現する具体的な指導方法の研究を更に深め、日常の授業に生かす。そして、未来の不確実な社会を「たくましく生きる」ために必要な資質・能力を育む、より質の高い授業づくりの研究を推進していきたい。
(監修:GIGA StuDX推進チーム)