学校の取組例

熊本県天草市立本渡南小学校

「学びの成長システム」の確立を目指して
~今を見つめ、未来を見つめ、必要なことを積み重ねること~

【初等教育資料 令和8年1月号記事】(文責:校長 大平宏)
(令和8年2月3日掲載)

はじめに

熊本県天草市は、青い海と緑豊かな山々に囲まれた、自然の恵みと歴史的な魅力が融合した地域である。本校は、この天草市の中央部に位置する。令和4年度までの本校は、学級力向上プロジェクトを中心として子供主体の学級集団づくりを充実させるための研究を進めてきた。そのような取組が進む中、令和6年度に入り、文部科学省リーディングDXスクール事業の指定を受け、1人1台端末や高速通信ネットワーク等の環境整備と共に、タブレット等を活用した新しい学びの研究が始まることになる。

1 令和5年度からの実践

(1)目指す学びの姿の共有
令和5年度がスタートし、環境の大きな変化の中で方向性を見失わないように、最初に整えなければならないこととして選んだのは、教師間で、そして教師と子供の間で目指す「学びの姿のイメージ」を共有することであった。大まかに捉えられていた学びのイメージは、全体的な取組が進む中で、
・自分で学べるようになることは、教師の指示を待つことではなく、自分で選ぶ・決めること
・自分に合った学び方を選ぶことは、友達によりかかることではなく、自分の学びを知ること
・互いの考えを広げ深めることは、分かったつもりでいることではなく、友達の考えと比較し、より確かな考えをもつこと
このように、より具体的なものへと変化し、目指す学びの姿がより確かなものとなっていった。
(2)学びのスキルの具体化と育成
学びの質を高めていくためには、「学習の見通し」「めあて(課題)の設定」「学習の進め方」「振り返り」「コミュニケーション」等の必要な「学びのスキル」を具体化し、学校全体の共通実践をより進めていくことが必要である。研究主任は、全教職員・全ての子供で目指すスキルが共有されるように、校内研修を通じて粘り強く働きかけを行った。クラウドを活用した授業実践や子供の様子等の即時共有化、実践の蓄積・整理の効率化は、研究の大きな推進力となった。
(3)教科の見方・考え方の育成
子供の見方・考え方の育成に向けて、端末上での考えの整理や振り返り等を根拠に、子供の変容の見取りや教師の手立ての協議を行った。教師の指導の工夫として、教材分析に基づいた価値付けや価値の高い考えの共有、教師と子供による価値の高い考えの吟味を、アナログとデジタルを使い分けながら行った。これらの教師の手立ては、探究的な学習過程ごとにシートで整理し、教職員がいつでも共有・蓄積できるようにした。

2 学ぶ姿の変容

「学び方のスキル」の学年の系統として、「低学年では様々な学習経験を積み、一緒に決める→中学年では自己決定できるようにする→高学年では自己調整をする」ことを意識した授業デザインに取り組んだ。また、教師による端末上の記録と対面での学習状況の把握と、個・全体への適切な働きかけを行い、子供が学びの主導権をもつことができるようにしてきた。現在、子供は、発達の段階に応じて、自分に合った学び方を自分で決めることができるようになってきている。また、子供の振り返りの中でも、学びの成長を実感する記述が増えている。
さらに、教科用図書や紙のノートに加え、端末も文房具の一つとして様々な汎用ソフトを活用しながら、考えを主体的に整理・分析・表現するようになってきた。また、端末上での思考の整理や共有といった経験を生かし、対面でも自ら他者と協働し、更に考えを広げたり深めたりしようとする姿が増えている。
学びのアンケートでは、自らの学びの変化について、子供は「発表が苦手だった自分が、今はタブレットを使って積極的に伝えることができるようになった」「友達の考えを参照したり、既習事項を振り返ったりすることができ、解決のスピードが上がった」等、学びの成長を自ら実感している。
教師が子供に声掛けを行う様子
学び方のスキル育成を意識した子供への働きかけ
ホワイトボードの前で話し合う子供の様子
他者と協働して学ぶ姿

3 高め合う教職員集団を目指して

研究の2年目、子供が本校に在籍する6年間で学びの基礎を身に付けるために、教職員での共有をより確かなものにする、「学びの成長グランドデザイン」を作成し、活用している。
また、これまで培ってきた指導方法と異なる点が多いことから不安を抱える教職員も多かったため、「みんなで進む南小」を目指して、クラウドを活用し、取組を共有したり、質問を出し合ったりすることができる研修の時間を積み重ねている。
学びの成長グランドデザイン
学びの成長グランドデザイン
校内研修の様子
校内研修における実践・理論共有の時間

おわりに

この3年間で、子供の学びの姿だけではなく、教師の姿も変わってきた。クラウド環境を校務や研修で日常的に活用することができるようになってきており、その利便性を強く実感している。今後、本校では、「本校の今」を確かめながら、子供たちの将来につながる学びが実現される本渡南小を目指して必要なことを積み重ねていきたい。
校長室のホワイトボードの写真
校長室のホワイトボードに書かれた課題と対策
(監修:GIGA StuDX推進チーム)