学校の取組例
大阪府東大阪市立日新高等学校
デジタル学習基盤を活用した
「校務・研修・授業」改革で学校が変わる
【中等教育資料 令和7年12月号記事】 文責:教頭 長野麻由実・校長 芦田じゅん
(令和7年12月3日掲載)
(令和7年12月3日掲載)
これまでの経緯
日新高等学校は東大阪市唯一の市立高等学校であり、令和5年に創立百周年を迎えた。商業科、英語科、普通科を擁し、普通科は2年次から文理、スポーツの二つの専門コースと総合系に分かれて学ぶ。多彩な学科・コース編成を強みに多様な進路を実現してきた。コロナ禍の令和2年に「ICT活用推進委員会」を立ち上げ、オンラインによる朝のSHR、課題提出、動画配信等を先行的に始めた。令和3年から「ICT推進部(現・DX推進部)」として校務分掌に位置付け、有識者を招聘し、探究学習や校務に係る研修等を行い、DXを進めている。
校務が変わる
まず、校務で職員朝会の連絡や生徒の欠席連絡にアンケート機能を活用し、クラウドで共有して「見える化」を実現した。職員会議資料の共有や議事録の共同編集にも取り掛かった。職員会議での質問は共有した表計算ソフトに事前に入力することで、会議時間は格段に短縮した。さらに、スケジュール管理ツールの導入で、会議の調整や保護者等からの問い合わせへの対応も容易になった。

欠席連絡は表計算ソフトで共有。職員室のモニターで教師はすぐに確認できる。
研修が変わる
初期の研修では、アプリやツールの操作研修が中心だったが、次第に「どのように活用すれば協働的な学びや個別最適な学び、主体的な学びが実現するか」に焦点が移った。研修では常に端末を持ち寄り、共同編集で協議を行うようになった。やがて教師自身が教科ごとに研修を企画し、公開授業においては指導案をクラウドで共同編集するなど、互いに参観し合い、振り返るに至っている。教師主導でこうしたサイクルが回り始め、主体的な研修が進んでいる。

研修は端末持参で参加し、協議や振り返りでクラウドを活用する。
学校が変わる
教師が研修や校務でのクラウド活用に慣れてくると、授業でも情報収集や議論、考えの整理の場面で生徒に活用を促すようになった。授業では、生徒が各自の端末を操作しながら議論する風景が日常化した。教師によっては、授業で生成AIを積極的に活用する様子も見受けられるようになった。

英語科の授業。英語でディスカッションしながら議論を端末で整理していく。

ペアで、グループで、個人で、端末を活用して他者の進捗状況を参照しながら学習を進める。
生徒が変わる
令和6年度に校内で実施した「授業でのICT使用状況調査」において、「教師のICT使用頻度」は「ほぼ毎授業」「7~8割程度」「5割程度」を合わせて生徒回答で97.8%、「生徒のICT使用頻度」も高頻度の活用という回答が96.1%であった。特に「自分の考えをまとめ、発表・表現する場面での活用」では97.9%、「生徒同士で意見共有する場面での活用」は93.9%と非常に高く、授業を通して「ICTスキルが高まった」と感じる生徒は73.4%であった。スマートフォンも活用しながら端末で資料を作成する「二刀流」の生徒や、生徒会や部活動の打ち合わせ等に端末を持参して説明や記録をする生徒も増えつつある。生徒主導のSNS発信プロジェクトも始まり、そのスキルの高さに舌を巻く日々である。生徒は教師を超えていく。それが本来あるべき姿なのだ。

スマートフォンで動画を見ながら端末で学びを整理。「二刀流」も推奨。自分のしやすい方法で学ぶ。

生徒同士で意見共有する場面でのクラウドの活用が増え、ICTスキルが高まったと実感している生徒が多い。
(監修:GIGA StuDX推進チーム)