学校の取組例

高知県高知市立浦戸小学校

学ぶ・つながる・伝える力を育む
~「うらどベーシック」の更なる進化~

【初等教育資料 令和7年9月号記事】(文責:校長 難波江明美)
(令和7年9月19日掲載)
-学びのスタンダード「うらどベーシック」の更なる進化として
-汎用的なソフトウェアの活用に向けて
-授業の具体
 -(1)「課題型持ち帰り」で学びを深める端末活用
 -(2)「学びの足あとシート」による子供の学び方の進化
-教師も子供も常に挑戦を

学びのスタンダード「うらどベーシック」の更なる進化として

本校は、平成30年より「高知県授業づくりBasicガイドブック」に基づいた「うらどベーシック」という授業づくりガイドを作成し、子供一人一人が学び方を身に付け、学ぶ意欲と学力の向上を目指した子供を主体とする授業づくりに取り組んでいる。「うらどベーシック」では、1~3年生は学び方の基本を身に付ける。4~6年生は身に付けた学び方を更に進化させていく。教師は子供一人一人の学びを最大限に引き出す伴走者として子供に向き合っている。この学び方は、子供が自由に友達と相談し合ったり、みんなで一緒に解決の道筋をたどったりすることができる。「うらどベーシック」において、取り組む柱は、
① 教材研究を深め、子供が自らの力でゴール「まとめ」に到達できる「問題」「課題」の設定、思考を深める手立ての準備、
② 子供の語彙力を鍛え、考察力の育成、複数の結果や意見を比較分類・精査する力の向上、
③ ユニバーサルデザインの視点に基づく、全ての子供が「分かる」「できる」授業づくりの継続及び更新
の3点である。これらにデジタル学習基盤を加え、授業づくりを更に進めることにした。
友達と一緒に考える様子
頭を寄せ合って友達と一緒に考える

汎用的なソフトウェアの活用に向けて

本校は、これまで学習支援ソフトを中心に、子供・教師共に日常的に端末を活用していた。そして、汎用的なソフトウェアの活用に向けて、高知市教育委員会GIGA担当指導主事を招いて、基本的な操作や活用方法について講義・演習を受講する機会を設けた。また、月2回程度、職員会議後の30分程度の時間を使って、各学級での活用についての情報交換をしたり、操作について学んだりする場を設定した。汎用的なソフトウェアのよさを実感するまでには試行錯誤の連続であったが、次第に操作にも慣れてくると、使うことへの抵抗は少なくなり、どの場面で活用すると効果的かという視点に意識が向くようになってきた。

授業の具体

(1)「課題型持ち帰り」で学びを深める端末活用
2学期以降、国語科・社会科・特別の教科 道徳・図画工作科等の各教科等で、プレゼンテーションソフトやホワイトボードソフト等を活用し、他者参照しながら、自分の考えをもったり、深めたりすることができるようになってきた。
高知市教育委員会では、学校と家庭の学びを往還させる「課題型持ち帰り」学習を推進している。本校では、第3学年社会科「火事からくらしを守る」の学習において「課題型持ち帰り」を実施し、「家庭で行っている『火事から身を守る取組』を調べる→授業では、各自が調べてきたことを見合い、そこから分かることを考察する→課題解決・新たな課題へ」といった学習過程をつくることで、学びを深める時間を十分確保することができるようになった。
調べてきたことを共有する画面キャプチャ
「課題型持ち帰り」で調べたことを授業の導入で活用
(2)「学びの足あとシート」による子供の学び方の進化
「学びの足あとシート」を作成し、めあてやルーブリック、振り返りを記録するようにした。これは子供自身が授業前と授業後の学習に対する思考の変化を見ることが目的であり、「本時の学び方は適切であったか」「もっと自分の力を高めるために別の方法はないだろうか」といった個別最適な学びを探すための手段でもある。子供は、学習前に立てためあてに向けて見通しをもつことができる。さらに、子供は常にめあてを意識しながら学びを深め、めあての達成に向けて足りない部分を補おうと他者と協力する姿が見られるようになってきた。他者との協働の中に必要性や達成感を感じるようになってきている。教師は子供一人一人の記述をリアルタイムで把握できるため、個別の支援やフィードバックをすることができるよさがある。
学びの足あとシートのキャプチャ
学びの足あとシート

教師も子供も常に挑戦を

全ての子供が動き、考え、コミュニケーションをとり、答えを見付け出していく授業が本校の授業である。したがって、授業の主役は子供であり、教師は学びのコーディネーターである。学びのコーディネーターとしての力を身に付けるには、毎日毎時間の授業で子供たちの資質・能力を着実に育成することである。私たち教師が「主体的・対話的で深い学び」の視点から授業改善を日々実践し続けていくことが肝要である。「新しい時代における『求められる人材像』」(経済産業省「未来人材ビジョン」)では、次の社会を形づくる若い世代には、「常識や前提にとらわれず、ゼロからイチを生み出す能力」が求められるとある。私たち教師も同様である。過去のよい例は参考にしながらも、常に新しいものを求めていきたい。子供もよりよい学び方を身に付けていっている。私たちも「他者参照」しながら共に学びを深め、これからの時代を生き抜いていく学習者を育てていく教師集団でありたい。
(監修:GIGA StuDX推進チーム)