令和7年9月8日(月曜日)10時00分~12時00分
経済産業省別館1111各省庁共用会議室(東京都千代田区霞が関1丁目3番1号)及びオンライン ※ハイブリッド開催
・荻野 雅宏
(足利赤十字病院脳神経外科部長)
・小田原一記
(公益財団法人日本レクリエーション協会専務理事・事務局長)
・笠原 政志
(国際武道大学教授/日本アスレティックトレーニング学会副代表理事)
・勝田 隆
(東海大学体育学部特任教授/一般財団法人日本スポーツ政策推進機構理事)
・川原 貴
(一般社団法人大学スポーツ協会副会長)
・柄澤 宏之
(公益財団法人新潟県スポーツ協会専務理事)
・北村 光司
(国立研究開発法人産業技術総合研究所人工知能研究センター主任研究員)
・栗山陽一郎
(TMI 総合法律事務所パートナー弁護士)
・小菅 司
(公益財団法人日本スポーツ施設協会専務理事)
・斉木 一明
(独立行政法人日本スポーツ振興センター災害共済給付事業部長)
・祐末ひとみ
(神戸親和大学教育学部講師)
・菅原 哲朗
(キーストーン法律事務所弁護士)
・田口 禎則
(一般社団法人日本トップリーグ連携機構理事/事務局長)
・長澤 高史
(公益財団法人スポーツ安全協会事務局次長兼事業部長)
・中嶋 耕平
(国立スポーツ科学センター副所長/スポーツ医学研究部門長)
・能瀬さやか
(国立スポーツ科学センタースポーツ医学研究部門婦人科契約研究員)
・細川 由梨
(早稲田大学スポーツ科学学術院准教授)
・本間 基照
(MS&ADインターリスク総研株式会社/関西大学非常勤講師)
・三上 真二
(公益財団法人日本パラスポーツ協会参事)
・村上 佳司
(桃山学院大学人間教育学部教授)
総合教育政策局 男女共同参画共生社会学習・安全課
こども家庭庁 成育局安全対策課
消費者庁 消費者安全課
経済産業省 商務情報政策局 商務・サービスグループ参事官室、商務・サービスグループ消費・流通政策課、商務・サービスグループ文化創造産業課、商務・サービスグループ政策課
国土交通省 都市局公園緑地・景観課
運動・スポーツ中の安全確保対策に関する検討会(第3回)
令和7年9月8日(月曜日)
【事務局】
定刻になりましたので、運動・スポーツ中の安全確保対策に関する検討会の第3回を開催させていただきます。皆様、大変お忙しい中、ご出席いただきまして誠にありがとうございます。本日、司会進行を務めます株式会社NTTデータ経営研究所の小暮でございます。よろしくお願いいたします。本検討会の模様は、YouTubeにてライブ配信しております。また、議事録作成のため会議の様子は録音しておりますのでご了承ください。本日は報道関係の方にもご同席をいただいております。
開催にあたりご連絡がございます。本検討会は対面とWeb (Zoom)によるハイブリッド形式の会議としております。オンラインでご参加される委員は、ご発言される場合以外はミュートにしていただきますようお願いします。なお、本日のご参加は対面で17名、オンラインで4名になります。江橋委員、金岡委員、下光委員、長島委員はご欠席です。本日は、スポーツ庁より、スポーツ庁 室伏長官、大杉総括官、中村健康スポーツ課長、菅原健康スポーツ課長補佐にご出席いただいています。さらにオブザーバーとして、文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課、こども家庭庁成育局安全対策課、消費者庁消費者安全課、経済産業省商務情報政策局 商務・サービスグループ参事官室、商務・サービスグループ流通政策課、商務・サービスグループ文化創造産業課、商務・サービスグループサービス政策課、国土交通省都市局公園緑地・景観課にもWeb でご出席いただいています。続きまして、室伏長官より開会のご挨拶をいただきます。よろしくお願いいたします。
【室伏スポーツ庁長官】
皆さん、おはようございます。室伏です。本日は、朝早くからお集まりいただきましてありがとうございます。先日、国内のプロボクシングの試合に出場された28歳の選手2名が、急性くも膜下出血で、立て続けに、本当に痛ましい事案が起こりました。皆さんも報道でご存知だと思います。このような事案、この事故を受けて関係団体で、減量制限や医療体制の強化など再発防止策について検討を進めていると聞いています。この事故の後に行われた別の試合でも、脱水症状による救急搬送が発生しているということで、我々は重く受け止めていく必要があると思います。また、今年は全国的に気温の高い日が続き、熱中症による救急搬送者が例年より、多く報告されています。
スポーツ活動中の熱中症対策の重要性が、ますます高まっていると思います。また、連日のように水難事故、山岳関係の事故、遭難事故も報道されています。運動スポーツによる安全対策はさらに重要な課題となっていると思います。スポーツにおける死亡等の重大な事故は、本人だけではなくそのご家族、関係者にも多大な影響を及ぼすものであり、絶対に起こしてはいけない。本検討会でこうした事故や健康被害を未然に防ぎ、運動スポーツにおける安全対策を前に進めるために、現場で実効性のある対策が取れるようにするために、必要な方策を有識者の皆さんと一緒に検討していく場ですので、ぜひ前向きなご議論をいただきたいと思います。本日は関係省庁からも、ご説明していただくことになっておりますので、そのようなところも踏まえながら、議論を深めていければと思います。よろしくお願いいたします。
【事務局】
ありがとうございました。それでは、本日の検討会の流れにつきまして、中村健康スポーツ課長よりご説明をお願いいたします。
【中村健康スポーツ課長】
おはようございます。資料をお配りしておりますけれども、本日の検討会の流れとしまして、初めに関係省庁から、運動の安全に関する取り組みをどのように進めていただいているかについて、文部科学省、経済産業省、国土交通省、消費者庁の方からそれぞれご発表いただきます。それを踏まえながら、運動スポーツの安全に関するガイドライン案のたたき台として、このような内容が考えられるのではないかということを議論の素材として提供させていただきます。その内容についてのご議論を中心に進めていければと思います。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
【事務局】
ありがとうございました。ここで資料の確認をさせていただきます。議事次第をご覧ください。本日の資料は、資料1から資料5までございます。不足等ありましたら事務局までお申し付けください。それでは、議題1として、関係省庁から安全に関する取り組みをご発表いただきます。限られた時間ではございますが、各発表は5分、4名のご発表後に10分程度、質疑応答の時間を設けます。資料の画面共有は事務局にて行います。それでは早速ですが、文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課安全教育推進室室長補佐 合田様お願いします。
【文部科学省 合田室長補佐】
文部科学省の合田でございます。よろしくお願いいたします。こちらから、学校における事故対応に関する現在の主な対応について、ご説明させていただきます。まず、投影資料ですが、大きなものとして学校事故対応に関する指針がございます。こちらは学校と学校の設置者が、学校における事故の発生について、未然防止、事故発生時の対応、事故後の対応の三段階の対応について、適切に行うことができるように参考にするためのものとして、平成28年3月に初めて作成されたものです。その後、令和6年3月に改訂版となっているものです。指針の概要資料の文字が多くて恐縮ですが、大きく分けますと、先ほど申し上げた未然防止の関係が「2」「3」です。いわゆる各学校で作っている危機管理マニュアルの作成や見直しの観点、教職員の危機管理に関する資質の向上、また、緊急時の様々な連絡体制など、そのような注意点・留意点を示しております。
続いて、実際の事故が起きた時の対応のところが「4」です。速やかな応急手当の実施や、保護者、学校の責任者等への連絡体制などについて示しています。特に、四角で囲まれている学校の管理下で発生した死亡事故や、重篤な事故、これらにつきましては、学校の設置者への報告と同時に、国への一報も求めることを明確にしています。
続きまして「5」です。先ほど申し上げた死亡事故や重篤な事故につきましては、着実に基本調査を実施していただくことをお願いしております。それにつきましては、事故発生から3日以内を目途に、関係者に当時どのような状況であったのか、記憶が新しいうちに、しっかり聞き取りをすることを求めています。合わせて、詳細調査もございます。基本調査もそうなのですが、基本的に、この学校事故対応指針に基づく調査の大きな目的の一つは、再発の防止です。そのため、学校の教育活動の中に事故の要因があると認められる場合や、基本調査の中だけでは、なかなか事故の要因、再発防止策の検討ができないような場合、保護者から要望がある場合などについては、この詳細調査に移行することを学校の設置者にご判断いただくということです。詳細調査につきましては、基本的には設置者が実施することを前提としまして、中立的な立場の外部専門家等が参画する詳細調査委員会の設置などを通じて、詳細な調査をしていただきます。再発防止策の策定実施、これが非常に重要でございまして、基本調査でもありますが、詳細調査を通じて、そのようなことを整理していただき、また、国に報告していただくことを求めています。
また、保護者への支援は非常に重要でございます。心のケアも含めて、そのあたりの留意点、事故対応指針はかなり厚めに書いているところでございます。
もう一つ、同時期に作ったものとして「学校における安全点検要領」がございます。学校の施設や設備の点検については、法令上も義務付けられているものですけれども、その具体的な基準、頻度や観点、手法などについて、これまで必ずしも網羅的に整理したものが存在しなかったということがございました。同時に、教職員の負担の問題もございますので、教職員の負担を軽減しながら、質の高い安全点検を実施していくために、令和6年3月に文部科学省におきまして、初めて「学校における安全点検要領」を策定したところでございます。こちらは冊子形式ではなくて、ホームページで見られる形にしています。下のところに内容があり、まずは安全点検をそもそもどのような考え方でやるべきなのかという全体像を整理しています。また、学校や教職員、学校の設置者が、どのような役割分担するのかといったことを整理しています。また、右側になりますが、よく事故が起きている具体的な事例、これは過去の事故等の教訓から、例えば窓からの落下ですとか、スポーツの関係ですと、サッカーゴール関係の事故や、校庭に埋まっている釘での事故、そのような過去に起きている具体的な事故の事例分析なども載せております。
また、左の下でございますが、学校のいろいろな施設、設備の中で、箇所ごとの点検ポイント、ここには「窓・ドア」と書いておりますが、他には教室など、いろいろあるかと思いますけれども、箇所ごとのポイントを整理したページも作っています。
さらに、真ん中にございますように、専門家の方が箇所ごとの実際の点検のポイントを説明する動画などを作成していまして、一般の教職員でも気軽に勉強していただける内容にしています。最後に右下ですが、現在、安全点検、まだ紙で実施しているところも多いと承知しておりますが、IT端末を使って実施できるようにするための点検表のサンプルや、他には学校の中で先進的な取組を行っている事例の紹介なども加えています。これらの改訂版の事故指針ですとか、安全点検要領につきましては、令和6年3月に策定をしているところでございまして、現在関係者の研修等でも取り上げて、各学校現場に浸透するように努めています。以上でございます。
【事務局】
合田様ご説明ありがとうございました。それでは続きまして、経済産業省商務・サービスグループ参事官室政策企画委員立石様、お願いいたします。
【経済産業省 立石政策企画委員】
経済産業省の商務・サービスグループの立石と申します。本日、何卒よろしくお願いいたします。弊省のスポーツ安全に関する取組につきまして、資料2に沿ってご説明させていただきます。
弊省では、商業施設を所管する観点から、商業施設において行われるスポーツについて、安全に行われるように取組を行っているところでございます。
例えば、直近の取組で申し上げますと、民間のトランポリン設置施設において事故が発生していた状況であることを踏まえ、消費者安全委員会から提出された報告書等のリンクを周知し、報告書に記載の安全への取組を活用して事故防止に取り組んでいただくよう、依頼文書を発出しております。
また、商業施設内の遊戯施設について、ガイドラインを作っておりますので、スポーツに関連するサービスが含まれる場合には、それを守っていただくことを業界団体に周知しています。経済産業省としても、引き続き、所管の関連設備に対して取り組みを行ってまいりたいと考えています。以上でございます。
【事務局】
立石様、ありがとうございました。それでは続きまして、国土交通省都市局公園緑地・景観課企画専門官の野村様、お願いいたします。
【国土交通省 野村企画専門官】
国土交通省の野村と申します。「都市公園の遊具に関する取組」について、簡単にご説明いたします。都市公園についてですが、全国で約11万箇所、計13万ヘクタールあるということで、かなり数多く設置されていますが、これらの管理は、おおむね地方公共団体、都道府県や市区町村が行っております。国土交通省が所管するものは、国が設置する公園ということで、全国で17か所ございます。主に、地方公共団体が設置する都市公園の管理についてですけれども、指定管理者ということで、右下の円グラフにありますように、市の財団、最近では民間事業者が指定管理者として都市公園を管理するような事例が多くなってきております。
全国の都市公園の遊具の状況ですが、設置数としては、38万基ぐらいということで、近年、減少傾向にはありますけれども、かなり数多くの遊具が設置されていて、設置後20年経過したものも48.4%とかなり老朽化が進んでいて、対策が必要な状況というような状況です。右のグラフにどのような遊具が多く設置されているのかということをご紹介しております。
都市公園における事故となると、やはり遊具の関係の事故が多くなっているわけですけれども、基本的に国土交通省としては、しっかり遊具の点検などを行うようにということで、都市公園法に都市公園の管理基準というものを定めておりまして、その都市公園法の仕組みの中にも、公園管理者が遊戯施設については年1回以上の点検を行うというようなことを技術基準としておりますので、実際、このスライドで説明しているように全国的にも定期点検は年に1回以上行われているような状況です。これは2022年度に行った調査の結果ですが、点検によって、20%弱の遊具が修理や撤去が必要になったということで、やはり老朽化が進んでいることで、多くの遊具の対応が迫られているような状況になっております。
都市公園の事故、遊具に関する事故になると、複合遊具ということで、滑り台やブランコ、いろいろな遊具が組み合わさったような遊具での事故が多くなっていますが、近年2・3年で、典型的なものをいくつかあげております。滑車の遊具で指を挟んでしまったり、スプリング遊具のスプリングが劣化によって破断して怪我をしてしまったり、或いはジャングルジムから落下してボルトに頭を打つというようなことで、いずれにしても、しっかり点検を行うことによって防げたものもございます。国としては、引き続き点検の必要性を訴えている状況でございます。国では、国土交通省において、都市公園の遊具の安全確保に関する指針で基本的な考え方を示していて、具体的にどの程度の安全領域を設け、遊具のこのような点に具体的に気をつけているのかについて、日本公園施設業協会で、遊具の安全に関する基準の具体な数字などが載っているものを出しております。このような業界の指針・基準と連携しながら、自治体に対応を促しているところです。国の出している指針ですが、対象としてはブランコや滑り台やシーソー、そのようなものを対象に指針を作成しております。大きな考え方としては、都市公園の遊具自体は、子どもの遊びを通じた主体性の向上を促すものですので、やみくもに安全性だけに注意をするよりも、リスクとハザードという観点に切り分けて、リスクは適切な管理を行う、ハザードといった子どもが予測できずに怪我につながるようなものについては、公園管理者が撤去、ハザードの除去を行うということを指針で示しております。遊具で遊ぶということでは、物的要因のほかに、人的要因も出てしまうので、不適切な行動や服装というところは、公園管理者がしっかり啓発・指導を行う考え方にしております。
具体的な指針ですけれども、国が示している指針は、公園管理者の役割、公園管理者と地域の住民によって安全を確保していくことを示すとともに、遊具の配置・設置面の落下に対する衝撃緩和といった配慮などについて書いており、右に安全領域の図面を一つ載せておりますが、具体的にどのぐらいの安全利用域を確保すればいいのかは、先ほどご紹介した公園施設業協会の基準の方に示されているというところでございます。
このような形で、遊具の安全に取り組んでいますが、最近ですと、インクルーシブ遊具ということで、全国的に設置に向けた取り組みもありますが、そのようなことに向けて、参考事例集という形で、国土交通省では、みんなで遊べる都市公園の遊び場づくり、特に参考事例集を出しております。
インクルーシブ遊具についても、基本的に先ほどの指針で触れたように、都市公園の遊び場が子どもに開かれたものであって、誰にでも楽しめる魅力的な遊び場でなくてはいけないということで、そのようなものを作っていくためには、どのような考え方で取り組んでいけばいいのかを示しています。下の安全で居心地の良い遊び場ということで、インクルーシブ遊具についても同様に、子どもが予期できないハザードはしっかり除去することや、特にインクルーシブですとサポートが必要な場合に、見守りや付き添いがしやすいように配慮されていることを書いています。
管理運営ということでは(4)にありますように、特にインクルーシブ遊具になると、子どもだけになって、保護者・子育て福祉関係の関係団体、対応の主体が参画した計画づくりや管理運営に取り組んでいることをしっかり考えて、進めていただきたいということを国土交通省では示しています。
このように、国土交通省では、都市公園の遊具に関する事故をできるだけ減らすように、公園管理者に点検の考え方や公園遊具の設置の考え方ということを示して、事故の未然防止を促していくところでございます。私からの発表は以上です。
【消費者庁 琴野課長補佐】
消費者庁消費者安全課でございます。よろしくお願いいたします。消費者庁ですけれども、消費生活上の事故の防止という観点から、事故情報の集約と活用を行っています。その全体像を示したのが1ページ目でございます。まず、事故が発生しますと、関係省庁、或いは地方公共団体の長等に、消費者安全法という法律に基づいて、事故の情報を消費者庁に通知することが義務としてかかってございます。
消費生活は広く捉えられるもので、学校や教育保育サービスも含まれ、スポーツジムやサービスとしてスポーツを提供するというようなものもございます。公園での事故もその施設を提供するものとして含まれます。消費安全性を欠くことにより生じたものではないということが明らかになっていないものは、消費者庁に通知をしていただくということになってございます。
地方公共団体が、消費生活相談の窓口を持っていて、消費者からの苦情相談を受け付けている中で、事故に関する情報があれば、こちらも消費者庁に寄せていただくことにしています。
また、製品という観点から、消費生活用製品安全法という法律が別途ございます。重大製品事故が起こった場合には、その事故情報を認知した事業者から、事故の報告を受けることになっています。その他、一部、こうした法律に基づかない任意の情報提供のスキームも持っています。そのような事故情報というのを消費者庁に一元的に集約し、分析をした上で、下の方でございますけれども、そのような事故情報のWeb 掲載等を通じた公表ですとか、消費者庁の方で分析した結果、注意喚起のポイントをまとめた結果みたいなもので、注意喚起情報というものを作りまして、記者発表を行う、或いはその関係省庁等々を通じて事業者の方等にも対応要請や周知依頼をするといったようなことを活動としてやってございます。
先ほど、事故情報を一元的に集約して公表しますということを申し上げましたが、事故情報データバンクというデータベースのサイトを運営していまして、具体的にはそちらに掲載する形をもって公表をしています。関係省庁や自治体から寄せられた、事業者から寄せられた情報等も勿論ですけれども、事故情報データバンクの参画機関という、独立行政法人等のいくつかの団体からも情報提供を受けていまして、その中に日本スポーツ振興センターも入っていただいており、死亡傷害事例について御提供いただいています。掲載内容は事故発生日や発生場所、事故状況等の事故の概要ということで、基本的な情報をお載せしているのですが、事業所名や製品名等に関しては、事故がそれに起因しているということが判明している場合には、閲覧可能としています。ただ、行政は、事業所名等も含めたもう少し詳細な情報をは閲覧可能ということにしています。
3ページ目からは、消費者庁が行っております注意喚起の実施状況ということで、いくつかご紹介をしております。スポーツに関係ないものも幅広くやっていますということをお示しするために持ってきていますが、例えば事例2は、スポーツ中の事故に関する注意喚起ということで、令和5年に公表した事例でございます。我々消費者庁もスポーツの専門家というものがいるわけではございませんので、全国スキー安全対策協議会という団体の方で、いろいろな事故情報の分析や注意のポイントをおまとめいただいているものを引用させていただきながら、消費者の皆様に我々からの注意喚起をすると、このような取り組みをしてございます。
5ページですが、各種SNSのツールも活用して日常的に注意喚起を消費者の方に向けて行うようなこともやっています。例えば、X(旧Twitter)ですとか、メールマガジンを運用していまして、この中でもスポーツに限って普段からやっているわけではないのですけれども、左下の部分ではスポーツ用大型器具、サッカーゴールとか防球ネットとかですね、そのようなものによる事故に注意しましょうということも発信したこともございますし、右側、バッティングセンターやゴルフの練習場等で、バットやクラブに当たって怪我をする事故というのが発生しているので気をつけてくださいと、このようなことを発信したこともございます。簡単ではございますが、私からの説明は以上でございます。ありがとうございました。
【事務局】
琴野様、ありがとうございました。改めまして、合田様、立石様、野村様、琴野様、大変貴重なお取り組みをご共有いただきましてありがとうございます。それではここから質疑応答に移りたいと思います。ご質問のある方は、会議場内のご参加者の方は挙手を、オンラインでの参加者の方は、挙手ボタンをお願いいたします。それでは質問がある方はお願いいたします。
【室伏スポーツ庁長官】
今、消費者庁からご説明ありましたが、サプリメントの問題で、フィットネス業界を含めて様々な問題があり、恐らく事例が結構きている、または今後増えるのではないかと思います。よく理解しないままネットで取り寄せ、それが健康被害になるなど、死亡事故があるかどうかわからないですが、ダイエットも含めて、これは昨年、日本製薬連合団体とスポーツ庁で調印式をさせていただきまして、薬物の不適切使用に関する協定を結んでおります。そのようなところの安全も、ネットでは自由に購入できるような状態ではありますが、おそらく今後増えてくる事案だと思いますので、重要なポイントかと思います。もしその辺について何かあればお願いします。
【消費者庁 琴野課長補佐】
消費者庁でございます。ありがとうございます。サプリメントに関しての健康被害のお申し出であったり、相談情報などであったりも、消費者庁に寄せられてきてございます。具体的には厚生労働省、保健所に寄せられた情報が、我々に通知されてくる、消費生活相談などの現場から相談の情報として寄せられてくるということがございます。長官もおっしゃる通り、サプリメントに関しては消費者の方がご自身の体調や、飲んでいる医薬品との飲み合わせの関係で正しく選んでいただかないと健康被害が生じるであるとか、その薬効を毀損するといったようなことがございます。消費者庁では、いわゆるサプリメントも含めた健康食品に関して、正しくお付き合いをしましょうということで、消費者に対して気を付けるべきポイントを示すようなQ&Aや、リスクコミュニケーションを行っております。注意喚起の情報としても、例えば、海外製のサプリメントで、日本人の摂取基準において、毎日摂取すると過剰になってしまうようなものなどがありますので、そのようなものはネットで購入できるものですので気をつけましょうといった注意喚起を所管の独立行政法人の方からなされた実績もございます。
【室伏スポーツ庁長官】
ラベルに記載してないものが入っているであるとか、製造過程についてのトラブルなどはありますか。
【消費者庁 琴野課長補佐】
食品表示で定められているものに関しては、違反があれば食品表示法で執行するというようなことになります。或いは衛生の問題であれば、その保健所の指導という形になりますけれども、我々の所管の独立法人が実際に行った注意喚起では、海外製の鉄サプリの買い上げ調査を行ったところ表示以上に鉄分が入っていた例がございました。そのようなものは、どこから買うかも含めて、選択の時には気をつけていただくことを発信してございます。
【室伏スポーツ庁長官】
その安全に関しては、まだ不十分なところです。いろいろな関係省庁でやらなければならないですけれど、全然違うものなのでネットですと。
【消費者庁 琴野課長補佐】
実態として、どれくらいというのは私共では分かりかねるところではあります。当然、法執行の中で担保するというのはありますけれども、自衛していただけることに越したことはないと思いますので、消費者の方にも呼びかけているとところです。
【室伏スポーツ庁長官】
今のサプリが、高齢者向けとかいろいろな対象があると思いますけれども、スポーツのサプリ、スポーツサプリメントのそのような届けは、どの程度あるのでしょうか。
【消費者庁 琴野課長補佐】
そのような具体的な事故類型がどれぐらいあるかは今この瞬間は承知しておりませんが、事故情報データバンクでは、事故情報のデータベースを公開しております。どういう用語で登録されているかによりますが、それらしい用語で登録、検索をしていただければ、ヒットする事故情報はあるかもしれません。
【室伏スポーツ庁長官】
アスリート以外でも、いろいろな健康ブームで、いろいろな面で気をつけなければいけないところもあると思います。過剰な宣伝も含めて効果を謳ったり、そのようなところでエビデンスベースでなかったりと、この会議なので一言申し上げてさせていただきました。
【菅原委員】
事故情報はあくまでも消費者の側から、このような事故がありますと申し出があって初めて対応するのであって、このような可能性があるので、事故が増えるかもしれないということで動くということは、消費者庁ではやっていないのか聞きたいです。
理由は、例えば資料にあるスノーボードが出始めたとき、スキーとスノーボードが同じゲレンデでやることで、衝突事故が非常に多かったとか、或いはヘルメットをつけていなくて亡くなる方が出たなど、被害が新聞で報道されて初めて出ることがあった。今のサプリメントはまさにそれで、サプリメントについて今一番重要なのは、うっかりドーピングであると思います。今は海外輸入が簡単にできるものですから、そのような事件が発生しているということがあります。逆に言うと消費者庁から具体的に、積極的な事故の防止、問題が発生するかもしれないという広告や広報などがあるか聞きたいと思います。
【消費者庁 琴野課長補佐】
我々の取組は、資料1ページ目にお示しした通り、事故の情報を寄せていただいて、同種の事故が起こらないように注意喚起をさせていただくという形が基本的な流れでございます。ただ、その事故の件数が何件以上ないと動かない、何件以上であれば動くというものではございません。同種、多発性、蓋然性が高いというようなこと、もちろんその件数も加味するのですが、それによって重篤な結果が生じ得るかどうか、消費者の方に広く知られていないものであるかどうか、そのような点を総合的に考慮しています。先ほど、スノースポーツのところでもご説明、一言付け加えましたが、やはり我々消費者庁にも、すべての業界の専門家がいるわけではないので、関係省庁、関係団体の知見を引用させていただきながら対応させていただくのが実情でして、逆に関係の団体などでもそのような知見が全くないまっさらな状況だと、我々も注意すべきポイントを消費者の方にどうお示しすれば良いのかというのがなかなか
まとめづらいところはございます。まずは関係団体、所管省庁で情報収集・分析をしていただき、消費者庁でも消費者に対してそれを啓発するということでお手伝いできるところはあると考えています。
【事務局】
ありがとうございました。では、質疑はここまでにさせていただきます。追加で質問がある方は、事務局までメールでご連絡いただきますようお願いします。それでは、議題1は、ここまでにさせていただき、議題2に移ります。スポーツ庁よりご説明をお願いいたします。
【大杉総括官】
資料5でございます。私から前半ご説明させていただき、後半は中村課長からご説明させていただきます。前回の会議においては、論点1、2のうち、論点2の方を中心にご議論いただきましたが、このガイドライン案の位置づけに関するご質問も多くあったものと認識しております。そこで、ガイドライン案のみならず、今後ご提言いただく全体像を踏まえながら、どのようにガイドライン案を示していくのかということも含めてご議論いただいた方が良いのではないかということ、また、ガイドライン案をスポーツ現場に丸投げするということではなく、個人・指導者・団体等が自分たちの取り組みをチェックし改善していただく、さらにその取り組みをスポーツ庁はサポートしていくというような枠組みとセットでお示ししていくということが大事ではないかと考えまして、前半を付け加えさせていただいたというところでございます。
2ページ目でございます。先ほど、各省庁からもご発表いただきましたけれども、運動スポーツに関わる組織、個人は多様でございます。それから、消費者安全、児童生徒の安全といった観点から、それぞれの取組や仕組みは、ご紹介いただいたように作られているわけでありますが、運動スポーツに関する科学的知見の観点からの対応が十分であるかということを考えていく必要があるということ。また、スポーツ基本法で、スポーツ実施のための環境の整備ということが位置づけられ、スポーツを通じたウェルビーイングの実現を目指す国際的な動向もあるということ。こうした中で、常に必要な知見を更新しながら、自身の取り組みを改善し続けていけるような支援が求められているということ。これらが今回、ご提言をいただく趣旨であるということをまとめさせていただいております。その上で、提言の方向性でございますが、そうした安全対策の評価改善を図っていくためのガイドライン案を示すことで、スポーツ庁並びに今日ご発表いただいた関係省庁、あるいはこども政策の司令塔として非常に大事なこども家庭庁といった、関係省庁等を通じて全てのスポーツ関係者に普及改善を求めていくこととしてはどうかということ。また、ガイドライン案に網羅的に必要な情報をすべて盛り込むことは難しいことから、ガイドライン案の提示と合わせて、時々の科学的知見を得やすくするような情報共有の枠組みについても合わせて検討してはどうかということ。また、このガイドライン案に基づく評価改善状況を把握していくために、有識者会議を設けて随時改善を図ったらどうかということ。このようなことを合わせて、提言として盛り込ませていただいております。
ガイドライン案の位置づけでございますけれども、前ページにもありましたように、科学的知見に基づいて、安全対策を評価改善していくための手引きとして提示してはどうか、また、これは前回もございましたが、特定の競技に限定せず、全体に共通するものとして示し、個別の参考情報は先ほど申し上げたような情報提供の枠組みを通じて示してはどうかということ。また、活用しやすいように1、2、3、4のように類型化して示してはどうかということ。さらに、死亡事故、重篤な事故の発生が多いケースに留意し、必要な留意事項、成長期のこどもですとか、女性・高齢者など疾病を有する者への対応、障害者への対応ということを盛り込んではどうか、ということでございます。
こうした考え方に基づきまして、4ページ目のような、安全対策の評価改善を図る項目や内容を示すものとして、ガイドライン案のイメージをまとめてはどうかということでございます。後ほど中村課長からご説明があると思いますが、こうした考え方に基づきまして、8ページ目、9ページ目の項目の内容につきましても、評価改善を求めるポイントとして示させていただいているところでございます。以上がガイドライン案、提言案の大きな方向性としてご議論いただきたい内容でございます。
【中村スポーツ課長】
続きまして、私から本日ご議論をいただきたいガイドラインにどういう内容を盛り込んでいるかということについて、事務局でたたき台をまとめさせていただきましたので、簡単にご紹介をさせていただければと思います。
まず4ページ目、ガイドライン案を作っていくときにどういう類型化をしていくのかということについて、大きくまとめております。予防的な対応、それから事故が発生した後の対応、そして関係者の役割、ということで分けられると考えておりまして、1つ目の予防的な対応につきまして、前回もご議論いただきましたように、個人として何ができるのか、それから指導側として何ができるのか、組織的に何ができるのか、そしてそのハード面の対応として何ができるのか、このような4つの類型で整理したらどうか、このようなご提案にさせていただいております。
5ページ目に進んでいただきまして、前回ご議論をいただきましたけれども、ガイドライン案の狙いとして、どのようなものを定めていくか、(1)に書いておりますのは、前回もお示ししたように安全のためにスポーツを実施しないということにはならないように、スポーツを実施することの意義でありますとか、その安全対策をやることの重要性でありますとか、前回ご議論いただいたような内容を盛り込んではどうかということでお示ししております。下の(2)の対象のところは、先ほど、大杉総括官からもお話ありましたように、対象は限定しない形で考えたらどうかということでございます。
次の6ページ目、予防的な対策として、それぞれどのようなことが考えられるのかということでございます。(1)~(5)までございますけれど、個人的にできる対応として、例えば日常的な体づくり、準備運動、それから実際に外傷障害を防ぐための対策、自然環境要因の事故をどう防ぐかという観点があるだろうと考えております。指導者側の対応としては、指導者が持つべき安全に関する正しい知識には何があるか、そして指導においてどういうことをやる必要があるのか、用具や環境の管理や、暴力・ハラスメント等をいかに防いでいくかといった観点があるのではないかと考えています。組織的対応としては、2つに分けておりまして、まず大会やイベントでの対応と、継続的な活動での対応ということで、(3)(4)で分けておりますけれど、大会・イベントにおいて、安全対策としてどういうことをやるべきか、対策そのものでありますとか、体制の話、熱中症対策、その他の自然環境への対策、というのがあるのではないかと。運営主体による対策は継続的な対策として、体制の話、それから安全対策、同様に熱中症や自然環境要因の対策というものがあるのではないかと考えています。(5)でございますが、これは施設を設置運営している側の対策として、こちらも体制の話やハード面の管理、その現場をどう管理するのか。それから、本日前半でご説明いただいておりますけれども、運動スポーツ施設だけではなくて、その他の施設に併設されているような施設については、どういうことを留意しなければいけないのかといったことが考えられるのではないかということで、項目として挙げさせていただいております。
7ページ目に行きまして、予防ということではなく、実際に事故が発生してしまった場合の対応として、1つはその外傷傷害事故が発生した場合、そして暴力ハラスメント事案が発生した場合、ということで、右にありますような体制、応急対応、再発防止対策の検討、ハラスメントの関係では、相談体制の整備でありますとか、発生時の対応、再発防止といったことが項目としてはあり得るのではないかということでございます。
具体的な中身のイメージを委員の先生方にも持っていただけるように、8ページ目以降に今ご説明したような項目ごとに、どのような内容が想定されるのか、あくまでも叩き台でございますので、今回多くの専門家の先生方にもご参画いただいておりますので先生方の目で見ていただいて、ご議論いただければなというふうに思っております。
8ページにありますのは、それぞれ個人において何ができるかということでございまして、ア~エまで、先ほど申し上げた項目ごとに、体づくりであれば、どのようなトレーニング方法があるのかとか、オーバーユースをどう防いでいくのかといった観点、準備運動としては、ウォーミングアップだけではなくて、睡眠や食事などの重要性とか、体調不良時の運動中止などがあるのではないか、実際に事故を防ぐための対応として、前回のご議論ありましたけれども、トリプルHなどの重篤な事故に着目した対策、特にリスクの高いスポーツについては何をお示しするべきなのか、道具の問題、安全装備の問題、それから先ほども総括官からありましたが、成長期の子どもや女性、疾患を有する方、障害者など、配慮が必要な方について、どのような対策が必要なのか。そして自然環境要因による事故として、熱中症や落雷対策など、どのようなことが必要なのかといった内容を想定しています。
9ページ目が指導者に必要な対策として、どのようなことがあるのかということで、基本知識ですとか、発生した場合の対処方法、どのような資格があるのか。指導においては、正しい科学的知見に基づいた指導が必要なのではないかとか、指導対象者のレベルに応じた対応、それから配慮を有する方への指導方法でありますとか、体調管理、ハードの確認、自然環境要因対策といったことがあるだろう。ウとして実際に指導者として、指導対象者が用いる道具の使用方法・管理、あとは場所自体の安全確認とかがあるのではないか。暴力ハラスメントとしては、指導者自身がどのようなことがやってはならない行為のあったことか、科学的知見に基づかない精神論的な過度な練習の防止、実施者同士の暴力・ハラスメント行為の防止なども入ってくるのではないかということで、挙げさせていただいております。
10ページ目が大会などの主催における内容になっておりまして、競技ルールの設定や国際的な基準に基づく保護具や安全装備の使用、ルールの徹底、そして場所とか、ハードの問題の確認。2つ目として、体制の問題や、医療との連携の話、そして今年も重要になっておりましたが、熱中症対策として、大会の主催者が何をするべきなのかと、それ以外の、特に屋外での大会では落雷とか、冬季の寒さとか、そのようなことの対策としては入ってくるのではないかと考えています。
11ページ目になりますが、こちらはチームの活動などを想定しておりますけれども、そのような継続的な体制の中では、どのような体制を作っていくのかということでありますとか、安全対策として、指導者をどう配置するのか、指導者に対してどういう研修をするのかということも含めて、ハードの問題、それから指導者によるハラスメントをどう防ぐのか、日本版DBSのような話も含まれるのかなというふうに思っております。その他、熱中症対策、自然環境の対策なども入っていくということでございます。
最後に、ハード面の対策としては、この運動・スポーツ関連施設を設置運営している方ということで、設置者と運営者の役割分担の話も前回のご議論でありましたが、このようなことや体制の話、安全管理を担当する者の配置、医療との連携ということがあると思います。それから、安全確認ですとか、AEDなどを含めた設備の配置ということもあります。実際に利用されている現場の安全管理はどうするのか、一番下にありますが、本日ご発表いただいた、民間商業施設の一部に設けられているような場合とか、公園とか、学校・公共施設、こういったスポーツを主たる目的としない施設への対応をどうするのか、といったことが論点としてあるのではないということでございます。
最後に発生した場合の対応としまして、外傷障害事項の場合、それから暴力ハラスメント事案への対応の場合ということで、それぞれ対応でありますとか、応急対応、そして再発防止対策ということで考えられるポイントをたたき台としてお示しをさせていただいております。これはあくまでもたたき台でございますので、先生方の目で見ていただいて、このようなことが必要なのではないかとか、このようなところも漏れているのではないかというようなことも含め、ご意見をいただければというふうに思っております。ちょっと雑駁なご説明でございましたけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
【事務局】
ありがとうございました。それではここから意見交換を行いたいと思います。会場にご参加の委員におかれましては挙手をお願いたします。オンライン参加の委員におかれましては画面上のリアクションボタンから挙手をお願いいたします。なお、ご発言される際につきましては、どの論点か明示をしていただいた上で、ご発言いただきますよう、よろしくお願いいたします。それでは、ご意見のある委員の方お願いいたします。
【長澤委員】
スポーツ安全協会の長澤でございます。ご説明ありがとうございました。個別の項目というより全体にあたってですが、私ども保険制度運営をしている立場からしますと、適切な保険への加入という趣旨を各関係者に周知徹底することをガイドラインの中にも反映していただければということでございます。これは2つの観点があります。1点目はこの資料でもありますが、科学的知見というところで言いますと、やはりそのベースとなるデータ整備の観点でございます。理想を言えば事故情報などを一元的に管理する、或いは、それぞれの関係団体が持っているデータを有機的に連携連動することができれば思います。なかなかそれは時間がかかることだと思いますので、幅広い事項収集、事項データの収集という観点で言うと、この保険の活用というのは有益じゃないかと思っております。
2点目の観点として、予防と事故対応時、事故発生時の対応ということで、2つの整理をしていただいていますが、どのように予防しても、やはり事故が発生する中では、QOLの維持、ウェルビーイングの実現という文言も入っていますので、特に重篤な事故で、重度の後遺障害を負った時のその後の生活再建の観点、或いは、指導者の方が指導ミスにより高額な賠償責任を負ったというような場合も経済的な裏付けをベースにスポーツを諦めさせない、諦めないというような流れを作る観点でも、こういった保険、適切な保険への加入というのも必要ではないかと思っております。賠償責任で言いますと、実は私どものスポーツ安全保険も対人の賠償責任というのは1人1億円を限度とさせていただいていますが、1億円で足りるのかというような議論が前からありまして、令和8年度から2億円に引き上げることを現在計画しております。ご参考までにご報告させていただきます。以上です。
【事務局】
ありがとうございました。では次のご質問お願いします。
【笠原委員】
安全管理に関する実践を研究している立場の中で、論点2の箇所になりますが、スポーツの指導者という、指導者の対象者が該当する人というのは、どこまでのことを示すのかということを1点思いました。なぜかと言いますと、この運動中の予防も事故も、ここに盛り込まれている内容はもっともだと思うのですが、この指導者の負荷というのは、大分大きいと個人的に感じております。私が小学生の監督業を実施している際、それもしながら、これもやりながら、というのは大分ハードです。大学の方で安全管理を担当し、指導者の両方の立場をやっている者からすると、その指導者という言葉の中に含まれることに、安全管理に精通した指導者ということが含まれるのか、或いは、現場で実際指導する方々を指導者とするのか、それによってここまで負担があると、「もう指導をしたくありません」というようなことは、実際の高校の現場とかでもよく聞きます。次の世代にバトンを渡したいのですが、ここまで私はできませんと断られてしまい、次の世代の指導者にバトンを渡せないということも聞きますので、指導者の定義、どこまでを指導者に含めるのかで、その指導者の中に安全管理も含めるのか、そうでないのか、もし含めないのであるならば、そのような方もこのガイドラインの中にどのような方と連携してというところまで示すことが必要になってくるのではないかと思います。また、これは3番、4番等のイベントについても同じようなことが言えるのではないかなと思っております。ここの内容に書かれているものを精通するために含まれる方はどんな方である、どんな方と連携すべきであるというところまで示さないと、実際の現場で出た時に、自分たちはできないから、あくまでこちらでもあるように、ガイドラインを出して普及、改善を求めていくのですので、結果的に現場判断になってしまうとなると変わらない可能性もあるのではないかなと思いましたので、コメントさせていただきました。以上です。
【中村スポーツ課長】
笠原委員ありがとうございます。まだこの段階ですので、丁寧に表現ができていない面がありまして、指導者には本当に多くのレベルの方がいらして、それぞれのレベルの方にどういうことを求めていくのかということを、この会議の中でもご議論できればと思っております。大会も同様だと思いますが、ご意見も踏まえながら、今後整理をしていきたいと思います。ありがとうございます。
【祐末委員】
神戸親和大学の祐末と申します。私は地域スポーツクラブに関わっておりまして、例えば地域スポーツクラブとなると、この11ページの運営手段になるというところが考えられると思うのですが、例えば、今のお話でもあったように、指導者の方々を誰が守るのかという時の観点というのも、実はすごく大事かと思います。やはり暴力やハラスメントの事故というのは、一方向だけで起きるものではありませんので、これからどんどん指導者の方の責務が増えていく中で、指導者の安全安心というところを、例えばこの11ページのイのところにも含めていただけると安心して関わったり、安心して指導現場に行けるということができるのではないかと思いますので、ぜひ指導者を守るようなところも、このような主体、もしくは大会イベントも含めてあるといいのかと思っています。以上です。
【村上委員】
村上です。この中で示されているものに関しましては、多くが指導者の管理下で行っているスポーツであるとか、イベントの主催者が行っているスポーツなど形が大体を占めているイメージで記されていると思います。それ以外の場面、特に子どもたちだけでスポーツをしている場面も当然あろうかと思います。そのようなことを考えると、子どもたち自身も「自分の命は自分で守る」ことは、重要な視点ではありますが、一方で、そのような視点を持ちながらも、子どもたちが安全にスポーツを行うためには,例えば指導者だけでなく保護者などにもアプローチしていくということも必要だと考えます。このように指導者の管理下外などの場面においても安全にスポーツが行え多くの命を守っていくことも考えていかなければならないということで、コメントさせていただきました。
【事務局】
ありがとうございました。本間委員お願いいたします。
【本間委員】
MS&ADインターリスク総研の本間と申します。若干コメントさせていただければと思います。提言1に関連して、情報共有枠組みとして有識者会議とありますが、参考情報として全国公立文化施設協会で、専門人材情報というのがホームページに公開されております。各スポーツ団体などが相談したいことがあれば、誰に何を相談するのか分かる枠組み、そのようなものを作ってもいいかと思いますので、そちらをご参考いただければなと思います。
論点2に関連してですが、ガイドラインの構成内容は、概ねこちらで問題ないかと思います。さらに付け加えていくのであれば、事前にご発表いただきました国交省、消費者庁の方のチェックリストや写真、そのようなものを加えると非常に分かりやすくなるのではないかと思います。
それから細かい点で何点か、まず3ページ下段の4 ハード対策ということですが、設計上の問題で事故が起こりやすい施設というのもいくつか見受けられます。したがいまして、設計の段階でそのようなものを考慮するということも入れていただけるといいかと思います。
同じく3ページの下、「特に死亡事故や重篤な」という箇所の2行目の表現、「必要な留意事項」ということで、成長期の子ども、女性への対応、高齢者などの疾病、障害者の対応とありますが、この表記は留意した方がいいと思います。子どもというのは幼稚園、小学生、中学生、高校生、それぞれ対応が違いますので、そこを成長期ひとくくりにしていいのか、また女性の対応ということもこのご時世、女性だけに限定するのはどうか、高齢者等疾病を有すると記載ありますが、若くても基礎疾患を持っていらっしゃる方もおりますので、高齢者と疾病は分けた方が良いと覆います。また、障害者への対応について、障害者につきましてもいろいろあります。目が不自由な方、耳が不自由な方、体が不自由な方、また目が不自由な方でも色が認識できない、視野が狭い等いろいろありますので、この表記につきまして、この3行を集約するのではなく、もう少し様々な要素も入れて、留意した表記にするといいと思います。
4ページについてです。下の「3 国、関係団体、競技団体などの役割」それぞれがどのような役割を担っているかということも追記していただけると分かりやすいのかなと思います。それから6ページにつきまして(1)~(5)まであり、その中に自然環境要因とありますが、落雷は死亡事故なども発生もあり、これは記載すべきかと思います。後段の中で、降雨とか暴風とありますが、自然災害はこれで一つの大きな領域でありますので、載方法について自然災害の形態別に定義付けするなど、ご検討いただくといいかと思います。10ページですが、大会イベントの、2つ目のイの2つ目「大会・イベント現場への安全管理を担当する者の配置」ということですが、ここは非常に重要だと思います。この文言は、同じ11ページの「イ.運動・スポーツ活動の運営主体による安全対策」にも合わせて入れていただくといいかと思います。それから最後ですが、12ページですね。「ア.安全管理体制・緊急連絡体制の整備」の上から3行目「推奨される資格」とありますが、スポーツ協会の方では公認スポーツ指導者資格がございます。また、今日もご参加いただいておりますが、スポーツ施設協会の方では公認スポーツ施設の管理士や運営士というのもありますので、一度この資格の話というのを皆さんで共有されるといいかと思います。私からは以上です。
【事務局】
ありがとうございました。では田口委員お願いします。
【田口委員】
一点、この内容を見ますと、先ほどからの皆さんのお話で、特に私たちトップリーグ連携機構という名前があると、各競技団体やリーグを調整する団体にとって、自分たちの負担が増える、責任も増える。これは間違いなく、仕方ないのですが、どこかの内容に、スポーツをする側で、スポーツをするのは無料というイメージが今まで、過去からずっとありますが、塾に行けば月謝を払うわけです。スポーツをする末端の普及活動のところで、参加者が受益者負担をして、安全を確保するという文言を盛り込んでいただけると、スポーツを支える側としては非常にありがたいと思います。全部、団体側が管理しなければいけない、指導者がやらなくてはいけない、ということで受け取られてしまうのではないかと感じます。そのあたりをご配慮いただければと思います。以上です。
【荻野委員】
脳神経科医の荻野と言います。これは頭部外傷後の対応みたいな指針の発表を作っている立場にあるのですが、今回の中村課長のざっくり作りましたというのはこれだけの内容があるので広いなと思い見ているのですが、微に入り際にいるときりがなくなるので、例えば障害者と一言で言いますが、障害者の方って一人一人全部障害も違うので、これを全部カバーできないので、ある程度総論的になるのは仕方がないということです。今ご意見がありましたが、やはり競技団体に、主体性を持って関わるということを強く要求することが一つの方法ではないかと思います。もちろん、スポーツ庁とそのスポーツ協会の競技団体との関係など、詳しく存じませんが、おそらく大体どのような競技団体も定款の最初に、この団体はこの種目の普及と発展を旨とし云々と書いてあるわけなので、そうである以上は、しっかりした団体は安全委員会や維持委員会をもっていますが、それを整備して、あなた方が各論を作るということを強くおっしゃっていただくことが一つの方法ではないという気がします。私共も作っていて、先ほど長官がボクシングについておっしゃいましたように、ボクシングは一過性の意識消失を伴うような脳震とうや一過性の四肢麻痺を伴う中心性脊髄障害を目的とするスポーツですから、他の競技でそれを予防しようというのは根本的に立場が違うので、同じ土俵では言えないのです。あくまで私たちが言うのは総論っていうことになるのですが、この委員会は一応、全てのスポーツ全てのレベルを対象にというふうなことが書かれていたので、やはりこの委員会ではあくまで総論的なもので、それぞれの各論はスポーツ団体できちんと定めよというふうな形にしないと、まとまりがつかないのではないかという意見をいたしました。私の意見でございます。
【小菅委員】
スポーツ施設協会の小菅です。資料5の6ページ、「(2)運動・スポーツの指導者による対策」、「(5)運動・スポーツ関連施設の設置・運営者による対策」に関しまして、今回のガイドラインは運動・スポーツ全体に共通するものとして整理するということなので、学校体育施設も含みます。学校体育施設の場合、(2)の指導者は教師となり、(5)の施設の設置・運営者は学校の設置者となります。現状、教師の働き方改革、負担軽減等もあり中学校の部活動の地域展開という流れになっており、また、我が国の体育・スポーツ施設全体数の約6割が学校体育施設と言われる中、教師や学校の設置者自らが、様々な事故防止対策に当たるというのはなかなか難しい問題かと思います。先ほど本間委員から紹介がありましたが、安全確保の観点から、体育・スポーツ施設における維持管理・運営等に関する専門的知識を有する有資格者の配置などの措置が必要になってくるかと思っております。
それから、先ほど長澤委員から保険の必要性というお話がございました。前回の検討会で発表いただきました事故状況の報告は、すべて災害共済給付やスポーツ安全保険の給付請求を通じて得られたデータに基づくものです。保険制度の普及は、事故防止に資する貴重なデータを集積する側面もあり、スポーツの活動の消極化防止、特に設置者賠償責任保険は持続可能なスポーツ施設の運営にとっても重要なものだと思います。現在の災害共済給付制度の前身となる日本学校安全会法においては、災害共済給付制度の目的について、「学校教育の円滑な実施に資する」と規定されていました。その目的の意図するところは、給付制度により、学校現場において災害発生を懸念するあまり教育活動が委縮するということがないようにという指導体制への支援、不幸にして発生してしまった災害に対しなるべく早期に現状復帰できるように配慮するとともに、訴訟の予防的効果による学校や行政への支援の意味を持つと説明されていたところです。以上です。
【事務局】
ありがとうございます。ではオンライン参加の中嶋委員お願いいたします
【中嶋委員】
中嶋でございます。論点1になるのか、論点2になるのかわかりませんが、先ほど保険の話も出たのですが、やはり事故を予防するというところで、スポーツ実施に先立って、何らかのそのチェック機構、競技スポーツの場合、メディカルチェックを行うことが求められる場合が多いですが、何らかのチェック機構があった方が予防につながるのではないかということです。強制までにはならないと思いますが、そのようなものを推奨する働きかけがあっても良いと思います。これは論点2の個人、或いは組織の方にかかってくるかと思いますが、スポーツ実施前に、特に定期的にスポーツ活動を実施するものについては、しっかりと健康チェックを受けて、自分が行おうとするスポーツでリスクがないと、それを評価した方が良いような気がしていますので、どこかでこのようなのを盛り込めると良いかと思いました。以上です。
【事務局】
ありがとうございます。オンラインご参加の勝田委員お願いいたします。
【勝田委員】
勝田です。2点あります。1つ、指導者の捉え方ですが、これは非常に重要で、今後論点の1つになろうかと思うのですが、1つはスポーツ基本法に謳われている「指導者等」という表現がありますが、そこには「指導者その他スポーツの推進に寄与する人材(指導者等)」とこのスポーツの推進に寄与する人材という捉え方は、一つの参考になるかなと思って拝聴しておりました。
2点目は非常に根本的なことですが、今後の議論の中で、まず方向性のところは「運動スポーツに関わる」という文脈から始まり、それから具体のガイドラインの内容に入ってきますと「運動スポーツ中に関わる」という表現になってきます。この会議、或いは今後のガイドラインの方向性を考えると、「運動スポーツに関わる」という概念をもとに、それが社会の発展にも繋がっていくっていうような方向性も必要と思っておりました。コメントとさせていただきます。以上でございます。
【事務局】
ありがとうございました。川原委員お願いいたします。
【川原委員】
川原でございます。大学スポーツ協会で安全安心を担当しております。スポーツ現場レベルでは、指導者が非常に重要なのですが、先ほど笠原先生から指摘がありました指導者が担うのかという話がありました。スポーツ現場ではトレーナーというのがこの安全管理を担う立場でありまして、アメリカの大学スポーツだとNCAA(National Collegiate Athletic Association:全米大学体育協会)だとアスレチックトレーナーの配置・設置が義務付けられ、怪我はすべて報告しなくてはいけないです。そのような体制をとっているのですが、日本の場合、なかなかそれを義務付けるというのは難しい。我々としては、学生だけで行っている部活もありますので、チームの中にいる学生が安全管理の担当を作り、そこを教育してゆくというようなことも考えています。ただ、その場合にアスレチックトレーナーはいなくても、いかに連携、指導を受けながら行うか、大学であれば、スポーツ局にトレーナーを位置づけて、そこが各部の安全を指導するというようなことがあるので、学校スポーツとか、部活、中学校、地域もありますが、学校現場でもトレーナーの位置づけがあれば、学校の先生も、もう少し余裕ができるのではないかと思います。
あとは、アスレチックトレーナーの国家資格をどう考えるのかということもあるのではないかと思います。まさに現場ではそれを担う人材がいるわけでありまして、これをどう活用するか、或いはそれをどう位置づけるかというのも含めていただければと思います。
【柄澤委員】
新潟県スポーツ協会の柄澤です。先ほどからお話が出ているかと思いますが、このガイドライン案ですと、指導者であったり、イベントの主催者であったり、施設の管理者であったり、これらの方々の負担と責任が非常に大きいと感じられます。我々もスポーツクラブや競技団体を所管していることから、そのような組織が、それほど組織として充実しているわけではなく、非常に弱小な組織も多く、負担や責任を負わせられることになると、対応できないのではないかという懸念が非常に大きいです。
さらに論点2-(1)のところでは、個人に対して、このようなことを知るべきだという対策を示すということであれば、指導者であったり、主催者であったり、この施設の管理者だけではなくて、スポーツをやる側の自己責任のようなところを謳った方がいいと思っています。例えば、レジャーであれば飲酒をして海に入り、事故を起こしたりする方もいるわけですので、そのようなことも海水浴場の管理者の責任なのかと言われると、なかなか辛いところもあるかと思っています。
論点2-(1)の個人に示すものですけれども、いろいろと科学的な知見等を示されるとは思うのですが、いわゆる当たり前の対応というのも、個人に対しては教えてあげるべきなのかと思っています。ゴルフ場に行けば、炎天下の昼にビールを飲み、また午後から暑い中に出て行く、非常に健康に悪い方々が多数いらっしゃいます。また、マラソンでも、どうせ痛くなるので、最初にロキソニンを飲んでから走ろうという、そのようなことをする方もいらっしゃるのですが、それそれ、体にいいのか悪いのか、どういう影響があるのかというのは分からないままやっている方が多いと思うので、そのようなところも科学的知見を持って示せるといいと思います。以上です。
【事務局】
ありがとうございました。細川委員お願いいたします。
【細川委員】
早稲田大学の細川です。私からのコメントとしては、やはりこのガイドライン、いざ作成するという段階には、かなりのボリュームになってくると思いますので、先ほど荻野委員がおっしゃった通り、我々はあくまで総論として書く必要があると思います。実際に多くのNF、競技団体が大なり小なり、こういった安全に関わるリーフレットなどを作っていらっしゃるのですけれども、それが簡単に見られるところにない、或いは誰かに利用される、読んでいただくことを前提とした体裁になっていないものがあります。今回作成するガイドラインの二次的な効果として、安全に関わる内容を体系立てて示すことによって、各々のNFはそれぞれの会員に、彼らはダイレクトに会員にアウトリーチができますので、改めて安全に関する指針を見直したり、改善したりしていただくという、NFの方々にも結果として、すごく為になる指針になり得ると思っております。そこはぜひ意識して今後作成できればなと思います。過去に特定の熱中症や脳振震とうに関連したそのようなガイドラインを誰でも閲覧できるような形で公表している団体が、UNIVAS加盟の競技連盟でどれぐらいいるかというのを調査したことがあります。競技団体には、大なり小なりありますので、何も持ってないっていう方もいらっしゃる。そうなった時にほとんどの方が、ではこの内容については、日本スポーツ協会のリンクであったり、UNIVASのリンクであったり、意識を持っていてもゼロから作れないので、より良いリソースのところに導きたいっていうような考えの方も多くいらっしゃると思います。それ自体は間違いではないと思いますが、論点1で示していただいた、プラットフォームのところや、今回エビデンスに基づいたっていう部分も強調して一貫性を持っていますが、オンラインはいろいろ情報がありますので、「●●ガイドラインです」というのが示されていていても、実はそれが2000年のもの、古いもので、改訂版があるのに更新されてないなど、良かれと思ってやっていることが、実はアップデートされてないものも多くあります。特に、学生スポーツに携わるような団体においては、常駐でスポーツの安全について専任の仕事をしている方は、いらっしゃらないことが多いので、そのようなことも意識して、この後に出てくるであろう、関係団体、競技団体との役割ということも意識して作成できると、そのために新たなものを作らなくてもいいという意味も含めて思ったところです。ありがとうございます。
【事務局】
ありがとうございました。オンラインで参加の能瀬先生、お願いいたします。
【能瀬委員】
論点2の個人のところで4ページでしょうか、実際にガイドラインができて、現場で使用する時を少し想定し、コメントさせていただきます。今回のスポーツを実施する個人も含まれているかと思いますが、特に子どもに関しては、固いガイドラインを作っても実際には読まない、理解できないと思いますので、ガイドラインをもとに教育したり、きちんと伝えるという役割の方が必要で、おそらくそのような方が指導者だったり、学校現場の方になるということを想定しますと、人的な措置が必要なんじゃないかというのが一点あります。
また、広くスポーツをする方に周知していくというところで、団体などに所属していないスポーツ愛好家とか、そのような方にどのようにガイドラインを周知していくのかイメージできないと思いました。また、個人向けというところで、今、他の団体がいろいろな熱中症などに関してもガイドブックを作ったり、提言を出したりしていますので、そのようなところの整合性を取ることも必要かと思いました。以上です。
【事務局】
ありがとうございました。
【三上委員】
日本パラスポーツ協会、三上でございます。どうしてもパラスポーツ協会におりますと、障害者というところに目が行くのですが、先生方がおっしゃったように総論で語っていくべきであって、個々の障害像が違うからどうこうという話ではないと思っています。8ページにあります、個人としての対応の中の論点2-1-(1)-ウの部分、成長期の子ども云々、運動・スポーツ実施時に留意すべき事項というところ、本間委員も先ほどおっしゃいました文章は変えなくてはいけないというところでも、まあ障害のある人たち、一定の配慮が必要な人たちに対しての対応だと思いますが、個人としての対応、個人が運動スポーツをするご本人のことなのか、加えて保護者とか周りにいらっしゃる方も含めて個人にということであれば、ここにあってもいいと思うんですけども、ご本人だけであれば、この文書はここになくても当然自分のことは分かっているので、あえてここに示す必要があるのかっていうのは少し疑問として持ちました。本人なのか、本人を含めた周りの人も個人というのであればあってもいいというふうに思っております。あと、この行が9ページの指導者のところにはきちんとイのところに入っています。ただ、10ページ11ページの大会イベントとか日常的な活動の中のアとかイのところにはこれが入ってはない。大会イベント等をやる中でも、一定の配慮のある方々が参加する場合には、それなりの対応が必要であるということは認識していて、盛り込んで、文言は置いといて、盛り込む方がいいのかなというふうに感じました。以上でございます。
【事務局】
ありがとうございました。では、北村委員お願いいたします。
【北村委員】
産業技術総合研究所の北村と申します。ここまでの皆さんのお話の中にも出てきたかと思いますが、今回のこれで出てきた時に、実際に現場でいろいろな団体がやろうと思った時に、プロの団体がやれることと、地域の団体、例えば少年野球のような地域スポーツのクラブがやれることにギャップがあると思います。
また、その情報にアクセスできるかということ。少年野球の一般のお父さんのコーチで、その方たちがすごく専門的な知識を取りにいけるかというと、どこを見ていいか分からない状況になっているのではないか思います。それを支援する仕組みを用意しておかないと、ガイドラインはあるが、一部の人にしか活用できなくて、実効性がなくなってしまうことが懸念されると思っています。
自分が関わっているスポーツに関して、どんな事故が起きているのか、その対策として、レベル感があるので、お金をかけて専門職もいてできる対策から、そうでもないものまでというのが、支援のようなものも裏ではないと、実効性がなくなってしまうと思うので、今回はそこまでの細かい情報を作るものではないと思うのですが、各競技団体やそのようなところで、支援する仕組みを一緒に準備するとことも、入るといいと思いました。以上です。
【事務局】
ありがとうございました。では栗山委員お願いいたします。
【栗山委員】
弁護士の栗山と申します。資料の作成、大変だったと思います。お疲れ様でございます。この資料5の5ページの「対象」で、運動・スポーツの種類問わずということ、実施者の属性も問わないという形で、かなり広範な形になっており、ここに関わる指導者の方とはどなたなのかという話も、今出てきているところだと思います。こういったガイドライン出ますと、まさにこの関与者の方々の責任を問うものとして、例えば裁判等で使われるということもありますので、その対象というのはできるだけ明確にする必要があると思っております。先ほどより、例えば海水浴であるとか、公園遊びの事故とか、あとサプリの話もありましたけれど、笠原委員からもありましたが、スポーツ中の安全確保というお話の中で整理するガイドラインなのか、運動スポーツが関わるところということで、さらに広く捉えていくと、これに該当し得る指導者は、どこまで入るのかということになったと思います。いろいろな指導者がいる中で、そのような方がこのガイドライン違反があるじゃないかというようなことで、ご指摘を受けることになるのかなというようなところが少し気になっております。そのような意味では、このガイドラインの中でも、運動・スポーツ中の事故を防ぐための対策というふうに書かれている部分と、運動スポーツということで、かなり広く捉えている部分がありますので、実際ガイドラインを策定する際は明確化が必要かと思っております。こちらのガイドラインは、運動・スポーツにおける安全対策の評価改善のためのガイドライン案ということになっているのですけれども、評価改善のためっていうのが、わざわざ入れられている趣旨というのは、私は今把握できておりませんので、書かれている内容をみると運動・スポーツにおける安全対策のガイドラインでいいのではないかと思った中で、あえて規定をされており、こちらの資料5の7ページのところで、この安全体制の評価改善を図る項目ということで、2と3ということが書かれているのだと思うのですが、他の箇所では、この評価改善を図るというのを自ら図るというようなところで書かれているところがありましたけれども、今この評価改善というのは、その自らといっても関係者は多数いますので、どのようなものを想定、どのようなものを評価、どのように改善していくかみたいなところというのはどのように考えられているのか、ここで国、関係団体、教育団体の役割も入っているので、このような国、関係団体、教育団体というのが評価改善にどのように関わるのかというのが、今のところ私の方ではわからないところもあります。今ご説明いただいても、まだ、たたき台ということではあるということで、その中で詰めていっていただくのかと思っております。
また、この国、関係団体、国団体等の役割の中で、学校というお話、指定管理者というお話もありましたので、これが国、地方公共団体の中に入れていくのかどうかわからないですけども、学校というのは非常に重要なステークホルダーになるのか思っております。私からは以上となります。
【事務局】
ありがとうございます。では大杉総括官お願いします
【大杉総括官】
今回は評価改善のガイドライン案として、ぜひお示しいただけたらということで考えております。先ほど栗山委員からご指摘いただいたような法的責任との関係もあるかと思いますが、今回、法令に基づいて告示があってこのガイドラインがあって、これを破ったら法令違反ですといったものではなく、学校安全の取組もそうであるように、これを目指し取組を改善しつつ、しっかり高みに近づいていただく取り組みを促していくものとして提示していただくのが現段階ではふさわしいのではないかと考えているところでございます。そうした中で、法的責任との関係ですとか、取組をどのようにサポートしていくのか、国の関わり、自治体の関わり、個人としてどう取り組んでいくかということについては、中身を詰めながら、ぜひご議論いただければと考えているところでございます。
【栗山委員】
ありがとうございます。今おっしゃったのは、スポーツガバナンスコードみたいなことをイメージされているということでしょうか。このガイドラインの位置づけは、ガイドライン作成される際に、きちんと書かれるのだろうと思いますが、今、大杉総括官がおっしゃられたのは、ガバナンスコードのようなものを目指していくのか、そのようなものを作成するイメージでしょうか。
【大杉総括官】
同じ位置づけということではありませんが、性質的には近いかと思います。また、この案をお示しいただいた段階で、スポーツ庁としてどのように普及改善を促していくのかについては、今日ご発表いただいた様々な制度もございますので、そうしたものとの関わりも含めまして、そのような検討も、もう一段必要になってくるとは考えてございます。
【菅原委員】
栗山委員がガイドラインの趣旨について述べられたので、私も一言あるのですが、スポーツ基本法が改正されて、スポーツの環境整備ということが強調されています。確かにガイドラインを作っていったときに、訴訟が予防的な効果を持って、新しいものを作るのに、私が一番大事だと思うのは、相談体制をどう確保するかだと思います。勿論このガイドラインにも書いてあります。先ほど消費者庁の方にもご質問したのですが、何か問題があった時に端緒、事故の場合もありますし、ハラスメントでもそうですし、端緒の情報をいかに確保するかが重要だと思います。具体的なことではなくて、通常は公益通報制度の企業の窓口は、各企業の場合だったら作れます。極論では警察庁は110番だけでなく、相談するには#9110で、そのように気楽に相談できるようにしている。やはり各省庁でもそうです。
昔スポーツ少年団で事故や問題が起きた時、あまりにも雑多で、法的なこともあるものだから、日本スポーツ法学会に相談に来て、窓口を選定してほしいということで、スポーツ少年団に窓口を作って、その後協会の中に相談窓口ができて、弁護士がボランティアで相談を受けているのです。なぜかというと、細かいところで守秘義務を持っていて、本当に話しにくい、特に小さな子どももそうですし、保護者もそうですし、話してしまうことによって、先生からいじめられる、指導者からやられるということでは困る。だから、匿名なのだけれども、このような問題が出る。小さな端緒が出るわけです。その端緒を調べて、なんとか事故防止につなげていく。たくさんの事例が集まって事故防止にする。先ほど言ったように、スノーボードとスキーが混在して、ものすごい事故が起こり出たのです。その後、一気に収まっていくのは、それに対策を立てる。ただ小さな端緒の時に、対策の方向性を決めていかなくてはいけないので、ここはガイドラインの議論をするところなので、あまり言いたくないのですが、一発でパッと連絡がいって、事故防止になり、ハラスメント防止できるというようなシステムも、スポーツ庁の中に作った方がよいのではないかというふうに思います。以上です。
【小田原委員】
日本レクリエーション協会の小田原でございます。私からは、当協会でやっているのは、どちらかというと競技性の低いスポーツの普及というようなことになるのですが、そうした団体の中でも、だんだんと競技性の高いスポーツも入ってきています。先ほど、荻野委員がおっしゃったように、安全管理の部分も、指導者養成のカリキュラムにあまり入ってない、そのようなところも見受けられるので、総論を示していただいて、しっかりと各団体にやってくださいと。それから、新しいスポーツみたいなものも、今出てきている。そうした普及団体は、まだ、そのようなことが未熟なので示していただけるとありがたいと思います。
一方で、スポーツを実施している状況は、指導者の方もあまりいなくて、仲間内みんなで楽しんでいるというような状況が多い。このガイドラインを、個人の方にもしっかり届くものにしていただいて、長澤委員がおっしゃっていただいた、保険の問題なども、知識として提供していただいて、賠償保険の問題で、法人格を持ってないところ、なかなか指導員の保険に入らないものですから、そうしたところについても解決策みたいなものがあるのかどうかというのは、私も勉強不足ですが、ご教示いただけるとありがたいと思います。それから論点2の方なのですが、前に私の方も高齢者の方で疾患を持たれている方の参加者が多いという話をしたのですが、もう一つ参加者が多いのが、競技スポーツが記載のあるオーバーユースみたいな、ユースの問題でできなくなってきて、こちらレクリエーショナルスポーツを楽しむような方が割とみられまして、それは身体的な問題だけではなくて、オーバートレーニング症候群というような、あの言葉もありますけれども、高校時代に少し強くやりすぎて、適応障害になってそのスポーツが楽しめなくなった。これは高校時代の問題なのですが、結果が分かってくるのは、大学に入ってからで、ある程度時間が経ってから、その症状が見えたりするというようなことで、因果関係がなかなか、私もエビデンスなどは持っていないのですが、検討するときに、少しそうした心理的なことについて、指導者の方に知識を提供するようなことをしていただけるとありがたいかというふうに思いました。以上でございます。
【斉木委員】
日本スポーツ振興センター災害共済給付事業部の斉木と申します。よろしくお願いいたします。今日、皆様のご意見を多く聞かせていただいて、戦略的なところはなるほどと、私も改めて勉強させていただいたと認識しているところです。今回のガイドラインの狙いというところにあるとおり、提言に盛り込む概要のところに、個人のところに盛り込むのかと思っているところがあって、ウェルビーイングの実現を目指す、国際的な動向を踏まえるというところがございます。その中に精神論といいますか、マインド的なところはなくてよろしいのだろうかと思ったところです。ウェルビーイングというと、私の知識だと、肉体的・精神的・社会的に健康に満たされた状態というところがございますので、その中にやはり子どもの成長期からのマインドといいますか、スポーツをやる意義で怪我が起きる時っていうのは、ラフプレー時が多いので、スポーツをやるにあたっての、その心構えの一つとして、マナーの大事さであるとか、スポーツマンシップをしっかり、個人が身につける、自覚した上で運動スポーツに取り組むということ。そのようなフレーズがあってもいいのかと思いますので発言させていただきました。以上でございます。
【笠原委員】
追加です。まず一つは、その提言1に絡むところで、この普及というところはとても大事だと思っています。その中でやはり肝となるのは、学校における保健の教科書というのは、やはり普及する一番のところだと思っています。例えばですが、今この時期、先ほど長官からもありました、熱中症の話題というところで、これについては細川委員が専門家と思うのですが、教科書については、いわゆる腋窩と大腿動脈を冷やすというところが長らくあります。それに対して、いろいろな情報がアップデートしている中で、違う冷却方法はいろいろな媒体に出ているのですが、学校の先生と話をしたり、普及活動したりしていて、やはり教科書に載っているものがスタンダードで非常に強くなっています。そうであれば、戦略的に考えますと教科書、もしくは各協会も含めて、一つのエッセンシャルっていうところを示すことも、戦略的にしていかないといいものでも、まあ普及の速度というのは遅くなってしまうと、身をもって感じております。
あともう一つ、論点2というか、先ほどのご発言の追加になるかもしれませんが、多くの方々が、指導者の負担というキーワードを上げていた時に、スポーツ基本の中でも地域部活動移行・展開というところが話題になっていると思います。学校スポーツ、前回の会議でも学校現場の怪我事故が多いというものは周知の事実である時に、学校現場であれば指導者の方と安全管理を司るのは養護教諭の体制があります。
これが、地域部活動の展開になると、養護教諭なるものは、誰になるかというメッセージがないことを見ますと、これだけスポーツが普及しているのは日本でも部活動で、そこには安全管理になるのは養護教諭がいたというところで、それに変わるものがなると、それを指導者の方にすべて一つ、ワンストップというのは、酷だろうと感じています。
学校現場での養護教諭については、スポーツ以外のこと、メンタルヘルスについても全部幅広くなるので、それをスポーツと特化するのであるなら、それに合った人材を作ることも必要になる。スポーツ基本法、地域部活動展開というところの観点からコメントさせていただきました。以上です。
【事務局】
ありがとうございました。委員の方でご意見等のある方いらっしゃいますでしょうか。それでは、本日の意見交換としてはこれまでとさせていただきます。
【中村スポーツ課長】
いろいろ参考になるご意見、ありがとうございました。本日は十分掘り下げた議論ができなかった部分があり、いくつかご指摘いただきましたけれども、それぞれの団体、関係者がどういう役割を果たしながら、スポーツ中の安全を守っていくかということ。本日の議題にはしておりませんでしたけれども、今後の議論の中では、掘り下げていければと思っております。
ご指摘いただいたように、このガイドラインを作って終わりではないと思っています。どうやって、世の中に浸透させて、団体に属していない一般の方も含めて、周知をしていくのかということも考えなければいけません。その点もこの検討会の中でご議論させていただければと思います。まだ、検討会が続きますので、引き続き積極的なご意見をいただければと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。
【事務局】
本検討会は以上で終了します。なお、第4回検討会の日程につきましては、改めてご連絡させていただきますので、第4回検討会でもよろしくお願いします。本日の検討会は、大変お忙しいところご出席いただきましてありがとうございました。
スポーツ庁健康スポーツ課
TEL:03-5253-4111(内線:2684)