地域スポーツ・文化芸術創造と部活動改革に関する実行会議(第1回) 議事録

1.日時

令和6年8月23日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 第二講堂(東京都千代田区霞が関3-2-2)※ハイブリッド会議

3.議題

  1. 座長の選任等について
  2. 会議の運営等について
  3. 論点に関する議論
  4. その他 【 ※議題2.終了後、公開。】

4.出席者

委員

小路座長,北山座長代理,友添座長代理,青海委員,石津谷委員,市川委員,上村委員,金﨑委員,河合委員,木村委員,栗山委員,貞広委員,佐藤委員,佐野委員,須黒委員,高橋委員,富所委員,長谷川委員,原委員,水鳥委員,森岡委員,諸橋委員,柳沢委員,渡邊委員

文部科学省

盛山文部科学大臣,安江文部科学大臣政務官,室伏スポーツ庁長官,寺門スポーツ庁次長,合田文化庁次長,日向大臣官房審議官(初等中等教育局担当),大杉スポーツ総括官,大川地域スポーツ課長,圓入文化庁参事官(芸術文化担当),今村障害者スポーツ振興室長 他

5.議事録

(1) 座長の選任等について
委員互選により,小路委員が座長,友添委員,北山委員が座長代理として選任された。
(2) 会議の運営等について
事務局から資料2に基づき,「地域スポーツ・文化芸術創造と部活動改革に関する実行会議運営規則」について説明を行い,承認された。
事務局から資料3に基づき,「ワーキンググループの設置」について説明を行い,承認された。座長より,地域スポーツクラブ活動ワーキンググループの主査として友添委員,主査代理として金﨑委員及び渡邊委員が指名を受け,就任した。また,地域文化芸術活動ワーキンググループの主査として北山委員,主査代理として木村委員及び野口委員が指名を受け,就任した。

(ここから会議公開)
【小路座長】 それでは改めまして,配信を御覧の皆様,地域スポーツ・文化芸術創造と部活動改革に関する実行会議の座長を拝命いたしました私,小路と申します。よろしくお願いいたします。
 本日は,盛山正仁文部科学大臣及び安江伸夫文部科学大臣政務官に御出席をいただいております。
 それではまず,盛山大臣より御挨拶をお願いしたいと思います。

【盛山大臣】 おはようございます。盛山でございます。今日は朝早くから皆様お集まりいただきまして,誠にありがとうございます。地域スポーツ・文化芸術創造と部活動改革に関する実行会議ということで大変盛りだくさんの内容の実行会議でございますが,これから開始をするということで,まずは小路様に座長をお引き受けいただいたことに心から感謝申し上げ,そして座長代理はじめ委員の皆様方にこれから御議論,御協力を賜っていくことに厚く御礼を申し上げます。
 部活動の改革期間は,御存じのとおり令和5年度から令和7年度を改革推進期間としております。地域の実情に応じた部活動の地域連携,地域移行の取組を支援しております。少子化が進む中でも子供たちが将来にわたって継続的にスポーツですとか文化芸術活動に親しむ機会を確保することは,改革推進期間以降においても引き続き重要なことであると我々は考えております。また,子供や大人,高齢者や,場合によっては障害者の方々の参加交流を推進する地域スポーツ,文化芸術活動の中に部活動も取り込んで多様な機会をつくり出すことで,スポーツ,文化芸術活動を楽しむ人の増加や住民の方々の健康増進,地域社会の維持,活性化にもつながるものと考えております。
 これまでも全国各地の自治体におかれましては,地域の実情に応じた部活動改革に取り組んでいただいております。すばらしい好事例も多数出てきていることを承知しておりますが,その一方で運営団体,あるいは実施主体の体制整備,あるいは指導者の確保,参加費用の負担の在り方など,各地域でそれぞれ様々な課題に直面しているということも我々は認識しているところでございます。本実行会議には,経済界,中央団体,自治体,学校関係者,スポーツ文化芸術団体など,様々な関係者の皆様方に御参画をいただいております。改革推進期間以降におきましても,より一層取組を進めていくために,これまでの部活動改革の取組の成果や課題,そしてその解決策や今後の支援の方策等について,それぞれの立場から忌憚のない闊達な御意見を賜りますようお願いする次第でございます。今後とも実りある議論になりますように,どうぞよろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。

【小路座長】 ありがとうございました。
 それでは続きまして,私からも,大臣政務官もいらっしゃる中,大変僣越ではありますけれども,御挨拶をさせていただきたいというふうに思います。
 改めまして,地域スポーツ・文化芸術創造と部活動改革に関する実行会議の座長を拝命いたしました小路と申します。よろしくお願いいたします。
 スポーツ界や文化界,芸術界を代表する皆様が委員として数多く参加する中で,経済界,産業界に身を置く私が座長と,こういった大役を任せていただくことになりまして,責任感をひしひしと感じているところでございます。
 さて,先日まで開催をされておりましたパリ・オリンピックでは,日本選手団が海外開催では過去最多となる,御存じの45個の大変多くのメダルを獲得いたしました。これは,日本中に感動と興奮を届けていただいたというふうに私自身も感じております。
 委員の本日お越しのお一人でもあります水鳥寿思さんが監督を務められた体操男子団体の大逆転での金メダル獲得は,最後まで諦めず,仲間を信じて,自分がやれることを愚直にやり抜く,こういった大切さを教えてもらったというふうに私も実感をいたしました。
 スポーツや文化芸術活動は,心身の健全な発達に貢献するということは言うまでもありませんが,特に子供時代にスポーツ,文化芸術活動に親しんだ経験は,大人になってからもこれらの活動を主体的に行う基礎となり,生きがいのある充実した生活,あるいは人々が共生する豊かな地域生活に必ずつながるというふうに確信を持っております。
 私は,常に心技体を逆から体技心と申しております。まず体を健康にし,鍛え,そして技をそこから磨き,技を磨いたところから心が強くなっていくということで,体技心ということを言っております。一方,少子化が進む中で学校数は減少いたしまして,学校の部活動を中心としたスポーツや文化芸術活動は存続の危機にあるというふうに思っております。
 また,2050年には全国の市町村の約半分に当たります744市町村が消滅可能性自治体と言われ始めてきております。その自治体にいる子供たちは,活動の機会すら奪われる可能性が予見されるということであります。
 本会議は,子供たちが生涯にわたって継続的にスポーツ,文化芸術活動に親しむ機会を確保するために,様々なステークホルダーの皆様から広く意見を募る場として設けられております。子供たちの主体性を生かすことを主眼に,改革に向けた議論をぜひお願いしたいというふうに思います。
 教育全般に言えることかもしれませんが,現在は子供主体の学びが十分に実現されていないのではないのかなと,そんなふうに感じるときもあります。スポーツや文化芸術活動も子供たちの興味関心に焦点を当て,子供主体の自治活動へと転換を図ることが大切だと考えます。
 また,学校単位だけではなく,地域単位で子供をどう育てるか,いわゆる学校教育,家庭教育,社会教育,3大教育と言われていますけれども,その中の社会教育活動の視点から,スポーツ,あるいは文化芸術を捉える必要もあるのではないかと感じております。いただいた御意見につきましては,御意見をまとめまして,取りまとめにつきましては皆様に御確認をいただきまして,文部科学大臣に手交することといたしたいというふうに考えております。
 持続可能なスポーツ,文化芸術活動とはどのようなものか,子供たちを真ん中に置いた議論がなされることを期待したいというふうに思います。
 私からは以上でございます。ありがとうございました。
 それではここで,盛山大臣は公務の都合上,退出をされます。どうもありがとうございました。

【小路座長】 それでは続きまして,事務局から委員の出席状況と配付資料等について確認をしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【大川地域スポーツ課長】 失礼いたします。
 お手元の資料1の2枚目に本実行会議のメンバー表を載せさせていただいておりますが,本日はこのうち24名の委員に御出席をいただいております。そのうちオンラインで御参加の委員は9名となります。伊藤委員,太田委員,大村委員,野口委員,益子委員におかれましては御欠席となっております。
 それから,配付資料につきましては,お手元かなり大部の資料を置かせていただいておりますが,審議の中で資料が足りないとか何かございましたら,随時事務局のほうに言っていただければと思います。なお,この資料につきましては文部科学省ホームページにも掲載をしているところでございます。
 以上でございます。

【小路座長】 ありがとうございます。
 この実行会議は,重複しますけれども,子供たちが将来にわたってスポーツあるいは文化芸術活動に親しむことができるようにということで,新たな地域スポーツ,文化芸術の創造と部活動改革を実行することを目的として設置したものであります。委員の皆様には,令和5年度からの改革推進期間での取組やその成果,また課題等を踏まえて,子供たちにとりまして望ましい活動の在り方などにつきまして,ぜひ御意見,御議論をいただきたいと考えております。
 本日は,論点に関する御意見を伺うこととなっておりますので,これに先立ちまして,事務局より今回の実行会議の目的,スケジュール,また部活動改革の現状について,まず御説明をお願いいたします。

【大川地域スポーツ課長】 お手元の資料4を御覧いただければと思います。さらに,お手元に参考資料ということでクリップ留めした分厚い資料がございますけれども,この最初のページにもデータをお示ししております。
 先ほど小路座長からも御指摘ございました急激な少子化が進展する中,子供たちが将来にわたり継続的にスポーツ,文化芸術活動に親しむ機会を確保するためには,学校だけではなく,広く地域全体を視野に入れて,生徒が希望する活動を主体的に選択できるという環境整備を行うことが重要だと考えております。その中で,多世代が参加・交流したり,スポーツと文化芸術の融合した多様な活動機会を提供することや,体験格差を生まないために,対面と新しい技術であるデジタルの最適な組み合わせを検討しながら,新しい手段を活用した取組といったものを進める必要があるのではないかということでございます。
 また,質の高い公教育の再生の観点からも,生徒のスポーツ・文化芸術活動の機会を確保するためには,学校と地域が連携協働していくことが求められています。このことは学校の働き方改革も推進することになり,学校教育の質の向上につながるということも踏まえながら,新たな地域スポーツ・文化芸術の創造と部活動改革を実行するため,公立の中学校の生徒の活動を対象として今後の方向性等を検討するために本会議をスポーツ庁,それから文化庁として設置をしたところでございます。
 資料4の2ページ目を御覧ください。先ほどお決めいただきましたワーキンググループを含めました体制図をお示ししております。こうした体制の中で,具体的な課題の整理,解決策の検討,ガイドラインの見直しに向けた論点整理等を御議論いただければと考えております。
 それから,3ページ目を御覧いただければと思いますが,この実行会議・ワーキンググループを含めたスケジュールの案をお示ししています。状況によってはアジャストすることもあると思いますが,こういった形で来年の春頃めどに取りまとめを進めていきたいと考えています。
以上でございます。

【小路座長】 ありがとうございます。

【大川地域スポーツ課長】 続きまして,お手元の資料5,現状のほうに入りたいと思います。お手元の資料5-1,5-2を御覧いただければと思います。
 この中身,非常に大部になっておりますので,簡潔に御説明をさせていただければと思います。お手元の資料5-1の3ページ目の表で,今の現状をお示ししております。この中で,今まさに部活動改革のための協議会,推進計画の整備状況をお示ししておりますが,協議会は設置済みと今年度中に設置を予定しているというところが77%,また推進計画につきましても,既に計画を策定し,もしくは策定予定というところが半数以上の51%ということで,大半を占めてきている状況です。
 また,スライドの5ページ目を御覧いただければと思いますが,こちらでは休日の部活動の地域連携,地域移行の動向をお示ししています。年を追って,部活動の地域移行,地域連携が進んでいるという状況にございます。
 それから,対比といたしまして,平日の部活動の推進,これはスライド9を御覧いただければと思いますが,こちらにつきましては,既に課題等も御認識いただいておりますが,休日に比べればこのような状況にあるというところでして,まだまだ進めていかなければいけないという状況にございます。
 それから,今度は22ページ目を御覧いただければと思いますが,こちらは地域クラブの活動の課題を示したものでございます。枠囲いが上位4つの課題でございます。1つ目が指導者の量の確保,それから持続可能な収支の構造,それから保護者,生徒等々への普及啓発と理解,あとは自治体と運営団体との連携体制,こういったものが挙げられています。
 次に,27ページ目,28ページ目を御覧いただければと思いますが,部活動指導員の任用人数について,大分増えてはきておりますが,これからどういうふうに増やしていくか,どういうふうな体制でやっていくかということを検討するに当たって,2割ぐらい実績として増えてきているという現状をお伝えしようと思います。簡単ではございますが,現状につきましてはこのようなデータとしてお示ししているところでございます。
以上でございます。

【小路座長】 長与町の動画についてもご説明をお願いします。

【大川地域スポーツ課長】 続きまして部活動改革の現状としまして,部活動の地域クラブの活動への移行についての具体的なイメージを持っていただくために,動画を1つご覧いただければと思います。長崎県の長与町の取組が分かる動画を一部紹介させていただきます。よろしくお願いいたします。

【大川地域スポーツ課長】 ありがとうございました。
 これを含めまして,また議論を進めていただければと思います。

【小路座長】 ありがとうございました。現場の状況と,それから先生方,また指導者の方たちの生々しい声を聞くことができまして,私自身も含めて,皆さんの大変今後の議論の御参考になったのではないかというふうに思います。
 それでは続きまして,本日皆様に,本日は初回ということでありますので,どちらかというと議論というより御意見をそれぞれいただくということが中心になろうかと思いますので,いただきたい論点につきまして御説明いただきたいと思います。限られた時間で皆様からお話をいただくために多少効率的に進めさせていただきたいというふうに思いまして,あらかじめ事務局のほうで論点のたたき台を整理いただきましたので,御説明のほうをお願いいたします。

【大川地域スポーツ課長】 お手元の資料6を御覧いただければと思います。令和5年からの実証の取組等も踏まえまして,事務局のほうで論点のたたき台としてまとめさせていただいております。
 大きなところ,例えば1ページ目の(3),地域クラブ活動の在り方について3つの論点を示させていただいております。
(4),地域スポーツ・文化芸術推進体制の構築について,これは特に単独では十分な改革が困難な市区町村がある中で,広域の公共団体で,例えば都道府県ということで果たすべき役割,市町村との役割分担等,連携した取組についての論点を示させていただいております。
それから,2ページ目になりますが,(5),地域クラブ活動を担う運営団体,実施主体の体制について,(6),先ほども課題に挙がりましたけれども,指導者の質の保障と量の確保について,特に平日,休日,この辺りの一貫性,どういうふうに指導体制を整えられるかといったことも1つ論点になり得るかと思います。
 (7),安全確保の体制づくりについて,それから続きまして3ページ目になりますが,(8),部活動の場所の確保について,それから(9),学校がまたがる場合には移動手段の確保について,(10),様々な大会がございますが,この大会の在り方の見直しについて,それから(11),学習指導要領に部活動の位置づけが明記されておりますが,この部活動の位置づけについて今後どのように考えるか,論点とさせていただいております。
 それから,4ページ目について,例えば,特別支援学級等における部活動改革について,様々な安全配慮等も必要になってくることもあると思います。この辺りについての御検討,それから大きな2つ目,総論的な話になっていきますが,例えば,平日の部活動改革の扱いについて,それからこの改革推進期間は3年間とさせていただきましたけれども,次の改革に向けた改革期間はどのくらいのスパンを設けたらよいか。
 最後になります。5ページ目でございますが,今までの改革推進期間や実証の実績を踏まえて,今後どのような支援の在り方をしていくか,特に持続的な活動に向けた仕組みづくりといったものの方策について,それから受益者の負担,公的支援のバランス等についてどのように考えるか等々についても論点として挙げさせていただいております。
 資料6につきましては以上でございます。

【小路座長】 ありがとうございました。
 続きまして,本日は大変公務御多忙の中,室伏長官がお越しいただいております。長官から,論点のたたき台の2ページに記載がございます「地域での多様なスポーツ活動や文化芸術活動の機会の提供」ということに関連いたしまして,スポーツ文化活動の融合ということについて御説明をいただければと思います。
 長官,よろしくお願いいたします。

【室伏スポーツ庁長官】 小路座長,ありがとうございます。
 今論点のことに関しては,大川課長のほうからございました。これは今後も課題になっていくことで,一つ一つ対応していく,皆さんと御協力いただきまして進めていくことかと思いますが,私のほうから少しまた追加でお話しさせていただきたいと思います。
 これは,よく私の講演の資料で使わせていただいております。右側が従来の学校部活動というものをそのまま地域にそっくり移行していこうというようなものですが,むしろ今,多様なスポーツが社会にございますので,地域スポーツを充実させながら,左側にあります多様なコンテンツ,学校スポーツにないことや文化活動も含めて体験型のものをもう少し増やしていくことも大切かと思います。子供は,年中運動しなくても1日,2日でスキルを学んでしまうようなものもございますので,こういった新しいものをつくっていこうという取組も大変重要ではないかと。特に夏なんかはキャンプ型の様々なスポーツ体験なんかも創出していくことができるのではないかと思います。
 そして,この議論を進めていくときにサイエンティフィックな観点も大変重要だと思います。運動生理学的な観点から,年齢に応じた指導や発育発達曲線に応じた取組をしていく。例えば中学校にフォーカスしますと,中学校1年生と中学校3年生の成長具合,男女も含めて全く違います。これを学校単位だけでスポーツをしていくということにはなかなか難しいところがありますので,地域スポーツの一層の充実が求められます。さらに,よく議論になりますが,一つのスポーツの専門性ということ,オーバーユーズによりけがになっていったり,また早い段階からスペシャライゼーションしていく,専門化していくことが将来のけがや疾病につながっていく。最近では,メジャーリーグでも選手の既往歴を調べたり,過去のスポーツ,どういうことをしていたかということも調べているようです。これは,けがともやはり関係あるということで,プロでもそのような動きをしています。
 こちらは,羽根田卓也選手ですが,シーズン後にこういったクロスカントリーの試合に出たり,全く違うスポーツをトップ選手も取り入れています。
彼自身も子供たちに東京大会のレガシーとして,こういったカヌーの体験会をしています。1日,2日教えるともう試合に出られるということで,子供たちは我々が思っている以上に成長,飲み込みが早いので,よりよい指導をしていくことが大切になってくるかと思います。
こちらは資料4からの抜粋になるのですが,ここは大変重要なポイントだと思っております。今日は,文化のほうの芸術,音楽関係の方も御参加いただいていますが,スポーツのみならず,文化芸術を融合して取り組んでいくということが大切です。これらに対する子供たちの運動欲求を豊かに高め,こういうことをやりたいな,スポーツをしたいなという気持ちが高まるとおのずと体は動くということだと思いますが,それに応えていくことでライフパフォーマンスを向上し,自分自身,あるいは仲間たちと困難を乗り越える力,また芸術ですと美しく振る舞う能力を育んでいく,こういったものが求められるかと思います。
 我々は,スポーツと文化を分けて考えるのではなく,グラデーションで考えていく必要があると思います。一番左が医療,医学になります。一番右がアート,芸術文化ということで,スポーツを真ん中に置いていますが,私の出身の陸上,水泳,サッカーなど,これらは記録がよければ勝てるというような競技でもあるのですが,最近では新体操やフィギュアスケート,アーティスティックスイミング,これらは全て芸術点がある。幾らパフォーマンスがよくても,芸術点がよくなければ点数は上がらない,メダルは取れないというように,やはりスポーツは文化芸術寄りにもなっていまして,はっきりとこのようにスポーツ,芸術と分けることはできないのではないかと。古代オリンピックもそうだと思いますけれども,そういった美しさ,芸術というものは併せてこのようにグラデーションになっていますので,一体的に取り組んでいく必要があると。
 医療のほうになりますと,やはり我々は健康増進ということで,エクササイズ,特に年齢を重ねていくと同時にこういったことも大切になってくると思いますが,このパフォーマンス,スポーツと文化芸術,アート,こういう観点を一体的に取り組んでいきますと,日本のスポーツ,文化芸術はより充実したものになっていくかと思います。こういう観点も頭に置きながら,皆様の議論も含めてお聞かせいただき,いいものにしていきたいと思っております。お時間いただきまして,ありがとうございます。

【小路座長】 ありがとうございました。
 室伏長官は,御存じのように,日本を代表し,世界に知られたトップアスリートでございまして,大変すばらしい実績を上げてこられております。その実績から,今日お話しいただいた卓越した理論をお持ちでありまして,今後の議論には大変参考になったというふうに思います。
 それでは,ただいま長官の御説明のあった内容を含めまして,御意見を今日はいただくということが中心になろうかと思いますけれども,こういった内容を踏まえて,本日は初回でもありますので,全委員の皆様から若干自己紹介もありましたら含めまして,御意見を幅広くまず頂戴したいと思います。
 大変僣越ですが,多くの委員の方の御出席をいただいており,時間の都合もございますので,大変心苦しいのですけれども,1人3分程度ということで,初回ですので,お話を頂戴できればというふうに思います。
なお,本日欠席の伊藤委員,太田委員,また大村委員,野口委員からは事前に資料で御意見を提出いただいておりますので,資料の8-1から8-4を御参照いただければと思います。
それではまず,対面で御出席の委員の皆様に御意見をいただきたいと思います。
 石津谷委員から時計回りで御発言をいただきまして,河合委員までお話をいただいた後,オンラインで参加の皆様の青海委員から五十音順で御発言をいただくような形でお願いできればと思います。オンラインで御参加の柳沢委員まで御発言が終わりましたら,最後に北山座長代理,友添座長代理という順番でお話をいただければと思いますので,よろしくお願いいたします。
 それでは,石津谷委員からよろしくお願いいたします。

【石津谷委員】 皆様,こんにちは。全日本吹奏楽連盟理事長の石津谷と申します。本日は3分以内厳守ということですので,発言を文面にしてまいりました。少々早口になるかと思いますが,御容赦願いたいと思います。
 それでは,当連盟の現状をお話しさせていただきます。少子化問題では,当連盟でも理事会において何度も議論を重ねてまいりました。結果,主催事業である全日本吹奏楽コンクール等の大会において,学校単位にしか認められていなかった参加条件を改め,本年度の大会より地域バンドや合同バンドの参加も認めるようにいたしました。地域バンドの一例を挙げますと,青森県むつ市では自治体,学校,地域の協力体制を構築し,練習場所である下北文化会館を優先的に利用できるなどの条件を整えました。その結果,本年度のコンクールでは,この地域のむつ☆かつ吹奏楽クラブが地区大会,県大会を勝ち抜き,東北大会に出場することが決定しました。また,山形県では2校合同のバンドが県代表として東北大会へ出場いたします。
  しかし,以下のような問題点も現場から指摘されております。子供たちの中には,活動に参加したくとも,練習場所まで送迎できる保護者がいないため参加できない子供たちが多い。さらに,部活動がなくなったことで,むつ市の楽器人口の減少は深刻であるとのことです。
 また,当連盟では現在指導者不足解消のため,大学の部の改革について議論を進めております。将来,教師や楽器指導者を目指す学生の数を増やせればと考えております。このほか,千葉県吹奏楽連盟などでは,指導者養成講座を開設しております。しかし,一自治体の吹奏楽連盟だけが取り組んでも問題は解消されません。この活動が全国的に広がればよいのですが,全国の各連盟の財政的な体力差も大きく,簡単には達成できない状況です。資金的に,企業協賛があればとも考えておりますが,文化活動はスポーツ活動とは違い,オリンピックやワールドカップ等の世界規模の大会がなく,メディアの関心もスポーツに比べると非常に低く,協賛を得ることはかなり難しい状況です。そのため,スポーツ活動と文化活動の全ての課題を同じテーブルで一度に話し合っても,なかなか一筋縄ではいかないのではないかという   不安も感じております。文化活動を維持するためには,国の支援が不可欠です。
 最後に,1つ提案でございますが,吹奏楽をはじめとする音楽活動の地域移行を達成するためには,やはり人口減少の著しい地域と,人口の密集する都市部とを全て同時に全国で一斉にやるには無理があるように感じております。国からの予算獲得にも限度があると思いますので,まずは過疎地から集中的に取り組み,そして都市部に移行していくというような考え方もあってよいのではないのかなと考えております。
以上でございます。

【小路座長】 ありがとうございました。
 それでは,木村さん,お願いいたします。

【木村委員】 皆さん,こんにちは。富山県の朝日町の教育長をしております木村博明でございます。
 富山県朝日町では,生徒数の減少に伴って学校部活動の運営が非常に困難になってきたことから,国に先駆け令和3年度から,休日,平日ともに学校部活動と地域クラブ活動を一体的に行い,地域ぐるみで子供たちのスポーツや文化活動をサポートしております。
成果といたしましては,小学校でのスポーツ少年団などから中学校の部活動へと,同一の部活動指導員などによる継続的で一貫した指導が可能になるとともに,地域人材の活用により専門性の高い指導も受けることができるようになったことであります。
また,主な課題といたしましては,日常的な情報共有と指導者の資質向上でした。そのための解決策として,朝日町は文部科学省のリーディングDXスクールの指定校でもあることから,ICT活用によりきめ細かな情報を共有できる体制を構築するとともに,コーディネーター の配置により指導者へのガイドライン遵守や研修会などへの参加も年々スムーズに行えるようになってきました。
 朝日町では現在,休日1日に加えて平日2日を地域クラブの活動日としています。平日の部活動の地域移行の主なメリットといたしましては,これまで部活動指導に当てていた放課後の大切な時間を個別に支援が必要な生徒の対応や教材研究など,教員の本来業務に有効に当てることができるようになったこと。また,在校時間が大幅に縮減され,教員の働き方改革にもつなげることができたことでございます。平日の部活動改革を後押しするためにも,教員に代わり生徒の指導管理を任せられる部活動指導員の配置は,非常に有効だと思っております。
 中学校における部活動は,現行の学習指導要領では学校教育の一環として位置づけられているため,部活動改革を進めていいのか迷っている自治体や学校が多いように思います。次期学習指導要領の改訂において,部活動に係る規程の見直しを行い,目指すべき方向を明確にすべきだと思います。
 地域の実情などにより,部活動指導員を活用した地域連携の体制でいる私どものような自治体や学校が,次のステップとして地域クラブ活動への移行を円滑に進めるためのインセンティブとして,部活動指導員制度の地域クラブ版として,国や県が財政支援する地域クラブ指導員制度があれば,より一層地域クラブへの移行が進みやすくなると感じております。現在,地域移行の実証事業として行われておりますが,令和8年度以降の国の財政支援がなければ,せっかくの部活動の地域移行も道半ばにしてやむなく後戻りをせざるを得ない学校や自治体も多いのではないかと懸念いたします。部活動の地域移行を後押しできる国の財政支援が不可欠だと思います。
以上でございます。

【小路座長】 ありがとうございました。
 それでは,諸橋さん,お願いいたします。

【諸橋委員】 一般財団法人ユナイテッド・スポーツ・ファウンデーション代表理事の諸橋と申します。
 私は,東日本大震災をきっかけに,スポーツを通じた復興支援から始め,現在は日本全国の子供たちに,特にスポーツをしない子供たちにスポーツをするきっかけをつくる活動を行っております。それ以外にも,スポーツ競技団体の理事関連をやっておりますので,地域スポーツ,文化創造の理念についてお話しさせていただければと思います。
 まず,地域スポーツ,文化芸術の環境を整備する上で,持続可能な仕組みづくりが非常に重要です。行政がそれぞれ地域に合った仕組みを構築し,民間企業などと協力しながら運用していくことが必要ではないでしょうか。例えばスポーツの事例になりますが,私が勤めている財団では,子供たちに対したマルチスポーツイベントをやっております。昨年山口県美祢市で部活動地域移行に関する問題解決に向けた検証実験として開催されたスポーツイベントに対し,行政,地元企業にそれぞれノウハウというものを提供してまいりました。このような取組は,地域のスポーツ環境の整備に役立つと思っております。
 次に,スポーツと文化芸術の融合につきまして,文化芸術はとても幅が広く, スポーツとの融合が難しい部分があると考えております。私自身,実はスポーツ経験がなく,バイオリン20年という,どちらかというと音楽畑なのですが,ただ,文化活動を取り入れることで幅広い層が参加するといった,お互いの相乗効果を期待しています。これは,グローバル的にも先日行われたオリンピックで,まさにパリの地でそれがなされていました。コンコルド広場で開催されました3X3バスケットボール,BMX,スケートボード,ブレイキンなどは,試合を観戦しない人たちもある一定の入場料を払って,そこで音楽を楽しんだり,キッチンカーが出ていたり,芸術アクティビティを楽しんだりという,いわゆる地域,そのまちが盛り上がることで,アーバンパーク自体がスポーツと文化が融合している流れが世界的にも行われています。例えば3X3の,世界大会は宇都宮で行われ,国内ですと宇都宮市,こちらは宇都宮駅の近くにある神社で開催しておりますが,この世界大会では和太鼓や演奏,ダンスパフォーマンスなどをたくさん入れることによって,スポーツに関心がない方が訪れ地域経済に大きなインパクトも与えております。それが結果として,地域発展につながっているという部分に関しては,こういった取組を推進し,スポーツ,文化芸術の環境をつくり出すことが重要なのではないかと思っております。
 また,場所に関しましては,これも民間連携は不可欠です。私が勤めておりますマーケティング会社の事例になりますが,例えば青森県の八戸市にあるフラット八戸というスポーツアリーナは,年間2,500時間の利用枠を地域活動に提供しております。このことで,学校の体育,インターハイなど公的なイベントのほかに部活動でも利用してもらうなど,こういったモデルは民間と行政が取り組む有効なモデルになるのではと考えております。
 ほかに,去年,日本橋の浜町でアーバンスポーツのイベントをやった場所は,騒音がひどいと考えている高架下といった公園の活用になります。そこでもやはり音楽があり,アーバンスポーツがあり,そこは中央区が管理している場所になりますが,そういった利用の少ない状況を,よりまちを安全なところに持っていくとか,地域の人々に新たな魅力を感じてもらうという機会にする部分に関しても有効なことだと思っております。
以上です。

【小路座長】 ありがとうございます。
 それでは,森岡さん,よろしくお願いします。

【森岡委員】 失礼します。日本スポーツ協会の森岡と申します。よろしくお願いします。
 日本スポーツ協会は公益財団法人でありまして,皆さん御存じのように国民スポーツ大会,旧国民体育大会,あるいは日本スポーツマスターズ,スポーツ少年団の育成,指導者の養成等々,多岐にわたる地域スポーツの環境を整えるための団体でございます。我々JSPOといたしましても,この少子化,人口減少社会には大変危機感を持って取り組んでいるところです。
私から,本日は2点御発言させていただきます。
 1点目は,先ほど御説明のあった資料6の(4)の地域スポーツ推進体制の構築についてです。地域スポーツクラブの運営団体,実施主体の役割として期待されております地域住民が主導する多世代,多種目,多志向の方々が参画する総合型クラブに関してです。我々JSPOでは,一昨年の令和4年度からクラブの登録制度を開始し,まだ少ないのですけれども,令和6年度では全国で1,087が登録しております。この登録クラブには,活動の運営の実態,あるいはガバナンスについての一定の要件をクリアすることが必要であり,クラブの質的向上に貢献しているところです。
 次に,クラブの認証制度についてですが,登録されたクラブのより一層の成長を促す仕組みとして,令和7年度,来年度からの運用開始に向けて,1つは運動部活動学校連携タイプの制度を構築中で,多くのクラブの方々にこの認証を取っていただくことにより,さらに質的向上に貢献できるものと考えております。
 総合型クラブに限らず,地域スポーツクラブ活動を担う団体の安定的,継続的な運営のためには,人材の育成,あるいは財政基盤の確立が必須であるとに考えております。行政,あるいはスポーツ振興くじ助成等の公的な支援のほか,第3期スポーツ基本計画に記載のある行政と連携して支援活動を行う都道府県スポーツ協会,あるいは市区町村体育・スポーツ協会を想定した自走化を目指した中間支援組織の存在が不可欠だと考えております。今回の部活動が,単に子供のスポーツ機会の確保だけではなく,先ほど室伏長官からもありましたが,子供から高齢者まで生涯にわたってシームレスにスポーツに親しむことが可能となるような地域の多様な団体が連携・協働することが最も重要だと考えております。そのための適切な仕組みづくりをともに考えていきたいと思います。
 2点目は,資料2ページの(6),時代に即した指導者の質の保障・量の確保,いわゆる運営,受皿の団体とプラス,やはり指導者の確保,質の保障というのが重要だと考えております。スポーツを安全・安心に楽しむためには,正しい科学的な知識を持った指導者が要ることは,皆さん十分に御承知のことと思いますが,部活動のガイドラインにも示されているように,JSPOとしましても指導に関わる方々には何らかの指導者資格の取得を目指していただきたいと考えております。
 その指導者の量の確保につきましては,現在,我々の公認スポーツ指導者約25万人いらっしゃいます。プラス約40万人の社員を有します日本郵政株式会社との運動部活動の連携支援に向けたオフィシャルパートナー契約に基づき,本年4月から両社で共同開発をしました新たな資格となる「スポーツコーチングリーダー」の養成をスタートさせております。これにより,量の確保を促進させることが一定程度できるのではないかと考えております。
 一方,指導者の質の保障,これは我々JSPOとJOC,日本オリンピック委員会,日本パラスポーツ協会,JSPAの統括スポーツ3団体が一体となりまして,スポーツ指導者の公益性,公共性の確保に向けて取り組んでおります。具体的には,3団体が統一したスポーツ指導者憲章,これは仮称ですが,を制定したり,統括スポーツ3団体が指導者を養成する際に共通した基本方針の策定,さらには新たな「モデル・コア・カリキュラム」の検討などを現在進めているところです。
最後に,スポーツ指導における暴力,暴言,ハラスメントなどの不適切な行為を徹底的になくすため,統括スポーツ団体6団体で「スポーツ・インティグリティの確保に関する協力覚書」を締結しております。この「NO!スポハラ」活動,スポーツハラスメントをなくしていこうという活動を展開し,2033年までにスポハラをなくし,誰もが安全・安心にスポーツを楽しむ社会を築くことを達成することをミッションといたしまして,この地域スポーツクラブ活動の改革においても同じ考えの下,取組を進めていきたいと考えております。
少々長くなりました。失礼します。以上です。

【小路座長】 ありがとうございます。
 それでは,渡邊さん,お願いいたします。

【渡邊委員】 私は,総合型地域スポーツクラブ全国協議会の幹事長を務めておりますNPO法人希楽々の渡邊といいます。よろしくお願いいたします。
 私は,総合型として,既に運営団体として地域スポーツクラブ活動を実践している身として少しお話をさせていただきます。今から12年前,平成24年になりますが,子供が困っているというところで,私たちは地域課題,その課題解決ということで,新しいカタチの部活動を構想して既に実践してきました。そのときに,指導よりも,指導も大事なのですけれども,それを運営するということがとても大事だなというふうに感じました。どうナビゲートして,どうコーディネートして,どう総括管理していくか,そこがとても大事ではないかなと思いました。そのときに,それを日常的に考えることができる人,そして日常的に動ける人が必要ではないかということで,今は融合型部活動として地域スポーツクラブ活動を実践しておりますが,市全体の総括コーディネーターとして総括管理をしております。行政とは,公としての役割を明確にしながら,方向性について合意形成を図っておりますし,また学校とも地域と融合すべく話合いを重ねています。また,指導者の資質向上を目的とした研修会も独自で開催しています。このように,コーディネーターは単なる連絡調整だけではなくて,もう少し重要な役割があって,コーディネーターを配置することでさらに地域移行が推進できるのではないかなと,そんなふうに思っております。
 そして,今森岡委員からもお話ありましたが,その運営団体,公益性があってガバナンスがしっかりしている組織であることが必要です。それを考えると,今お話ししました登録認証制度が総合型クラブは昨年度からスタートしておりますので,現在全ての総合型クラブが登録しているわけではありませんが,この登録制度が,実は運営団体,または実施主体の要件となるのではないかなと思いました。そして,これをリンクすることで公益性を担保し,そしてまたこの制度も生きてくるものではないかなと,そんなふうに思います。
 最後に,私は名簿のところにスポーツ推進委員という役職があります。新潟県村上市のスポーツ推進委員を務めておりますが,残念ながら推進委員としてこの地域移行には全く関わっておりません。そして,今スポーツ庁のアドバイザーとして全国に行かせていただきますが,スポーツ推進委員の名前がなかなか出てこない。なぜだろうと思いました。私は,いま一度スポーツ推進委員の役割を明確化して,そしてこれから多様なスポーツを取り組むのであれば,さらにスポーツ推進委員の力が必要ではないかなと,そんなふうに感じております。
 以上です。

【小路座長】 ありがとうございました。
そ れでは,続きまして富所さん,お願いいたします。

【富所委員】 読売新聞論説副委員長をしております富所と申します。よろしくお願いいたします。
 先ほどから話がいろいろと出ておりますように,部活の地域移行というのは,教員の働き方改革と結びつけられて語ることが多いですが,日本社会の少子化,過疎化を受けて,子供たちのスポーツや文化活動の持続可能性をどう維持していくかという問題であると認識しております。地域の取組に格差があるようですけれども,最終的にはどの自治体も前向きに取り組まなければいけないと思っています。そのためには,先進的な自治体の好事例を共有し,参考にすることがとても大事ですので,情報の収集や共有は,スポーツ庁や文化庁の皆さんにぜひ頑張っていただきたいと思っております。
 本日は,2点ほど私の問題意識をお話しさせていただければと思います。まず1つは,部活動と学校教育との関連性をどう位置づけるかということです。現在,部活動は学習指導要領で教育活動の一環とされてはいますが,法令上の義務ではないという曖昧な位置づけになっていると認識しています。一方で,高校入試では部活の頑張りや成績が選抜の要素にもなっているという現実もあります。例えば部活動を平日も含めて完全に地域移行し,仮に教員が部活に関与しないという状態が生まれた場合,子供たちの活動は誰がどのように評価するのか。そうした部活の評価を引き続き高校入試に活用するのか,なども含めて,この辺りはしっかりと議論しなければいけないと認識しています。
 あともう一点は,これは実務的なことですが,学校の庁舎管理の問題です。現在,部活の指導を外部に委託している学校でも,土日に校舎や部室の鍵を開けるために,教員がそのためだけに出勤している現実もございます。防災,防犯上の問題もありますので,教員の働き方改革との兼ね合いも含めて,この辺りをどうしていくのか。学校施設の中で,外部委託の部活中に事故が起きた場合の対応や連絡ルートはどうするのかとか,こうした点もしっかり考えなければいけない問題だと思っております。
私からは以上です。

【小路座長】 ありがとうございました。
 それでは,次に須黒さん,よろしくお願いいたします。

【須黒委員】 皆様,初めまして。今年6月までテレビ東京で働いておりました須黒清華と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 テレビ東京時代には,ワールドビジネスサテライトという経済番組ですとか,それから冬ではあるのですけれども,オリンピックのピョンチャンやソチに取材に行ってまいりました。運動音痴ですが,運動を見るのは大好きです。それから,私自身も中学時代,本当に部活動に励んでおりまして,人生をささげたと言っても過言ではありませんので,大切さというのは実感しておりますし,また3歳の息子が今おりますので,今後の部活動という面でも大変興味を持っております。まずは,同世代の子を持つ母親に,何人か取材をしてみたのですけれども,やはり部活動はさせたいという意見が多かったです。一方で,部活動というのは途中でやめてしまう可能性もあるということと,中学生時代というのは何が合うのかまだ分からないので,様々な機会を与えてほしいという意見もありました。ですので,先ほど室伏長官がおっしゃったように,機会を与える場所として学校,それから地域,社会が一体化していくという方向性は,一つとてもいいのではないかと感じております。
 また,私に一番求められている意見として,広報があると思うのですけれども,まずはネーミングをキャッチーなものにしてみるというのも一ついいかなと思っております。こども家庭庁なんていうものもありますけれども,まずやはりネーミングをキャッチーなものにすることで多くの保護者,それから子供の目に触れていくのではないかということ,それからメディアとしてもキャッチーな名前だと,取材してみようという興味が湧くのではないかと思っております。ですので,ちょっと私そのセンスがないので,なかなかどういう名前にしたらいいのか考えてみたのですけれども,なかなか浮かんでこなかったのですが,こども未来創出課ですとか,何かそういった名前で,これから学校,地域,社会が一体になって子供の未来をつくっていくのだよというのを分かりやすく伝えていくというのも一つではないかと思います。
 また,2030年には多くの地方局が存続の危機に直面するのではないかと言われておりますので,例えば地方の局と文化庁,スポーツ庁が一体となってプラットフォームをつくって,そこを地域の魅力を発信したりですとか,こういった取組をしているというのを発信するプラットフォームにしていくというのはどうかと思っております。既に楽天が,のぞいてニッポンというプラットフォームをつくっておりまして,地域の魅力を発信したり物販をしたりしているのですが,そういったプラットフォームをつくってみるというのも一ついいのではないかと思っております。
 また,中学生においては,もう本人たちでスマートフォンを持って情報収集をしていると思いますので,大人がつくるだけではなくて,そういったプラットフォームと連携をして中学生自らに様々な地域の魅力,こういった部活動をやっているのだよというのを発信してもらうというのも,多くの方の目に触れる,興味を持ってもらう,理解を進めるという点ではいいのではないかと感じております。
私からは以上です。

【小路座長】 ありがとうございました。
 それでは,佐野さん,お願いいたします。

【佐野委員】 新潟県の教育長をしております佐野でございます。よろしくお願いいたします。
 私どもは県という立場で,市町村教育委員会が進める部活動の地域移行について支援をしていると,この間努力をしてまいりました。恐らく県単位でいいますと,新潟県の今の現状は全国でもトップランナーだと思っています。先ほどデータがございましたけれども,県内,国の実証事業を活用させていただいている市町村が25市町村ありますし,それから協議会,そして推進計画は全ての市町村がこの8月にはつくるという形になります。
 そういう中で,非常に積極的に進めてきて,成果としましては,当初は県が旗振りをすることによって市町村が動きやすいようにしてきたということですけれども,ここ一,二年は市町村独自に様々な取組が出てきています。企業や大学との連携,あるいは小さい市町村もありますので,隣の市町村と一緒になった広域連携での取組,それから学校の部活動ではやられていないような,例えば佐渡市なんかでマリンスポーツを取り入れたりといった事例も出ておりますし,極めつきは,ある中学校では生徒が主体となって部活動そのものを企画するというような取組も出てきているということですので,非常に取組としてはいろいろ出てきているという状況にあります。
 ただ,一方で,やる中でかなり課題も浮き彫りになってきているかなということで,大きく分けると2つです。1つは,先ほど来御指摘があるように指導者の方々をどう確保していくのか。そしてもう一つは,受益者負担という問題ですけれども,部活動であれば,活動そのものに負担がほぼかからないわけですけれども,地域移行となると新たに負担が発生する,その保護者の負担,それをどうしていくのかということの2つが大きな課題かなと思っています。
 そしてもう一つ,先ほど大都市圏と地方圏の違いというお話がありましたけれども,新潟県内を見ても都市圏域と比較的中山間地というのですか,田舎のほうと,そして大規模な自治体と小規模な自治体,その辺で非常に格差が発生する可能性があるということで,それはひとつ県の役割もあるわけですけれども,県としてどうフォローしていくかということが一つ大きな課題になっております。それが,先ほどちょっと申し上げた広域連携であったり,あるいは指導者の確保という点では,今年の6月には県のほうで指導者バンク,人材バンクを設立しまして,まだ稼働して何か月ですので,70人程度が登録した状況になっておりますけれども,そういった形で県としても支援をしていくということなのですが,やはり受益者負担のところをいかに整理していくかというのが,国の方々においても御検討いただきたいと思っています。先ほど申し上げましたように,小規模自治体の場合はどうしても地域移行をしても人数が少数になってしまう。そうすると,やはり1人当たりの負担が大都市に比べると非常に増えてしまうという状況があります。その辺をどうカバーしていくかということ,それから経済的に恵まれていない御家庭,それに対してどう対応していくのか,それに対してナショナルミニマム的な発想で考えていくのか,そうでないのかというあたりは,一定程度整理が必要かなというのは考えております。
 もう一つは,先ほど富所委員からも御指摘があったように,学校教育全体の中で部活動というのをどう整理していくのかというのが,今後平日まで部活動改革ということで地域移行ということに踏み込んでいくときは,もう一つ必要かなと考えております。
 以上です。

【小路座長】 ありがとうございました。
 それでは,佐藤さん,よろしくお願いいたします。

【佐藤委員】 こんにちは。私は,静岡県掛川市の教育長の佐藤と申します。
 私は,もともと教員でございましたので,教育現場の声をしっかり私ども受け止めながらこれまで改革のほう進めてまいりました。掛川市は,12万人弱の都市でございます。9中学校ございまして,子供の数は1万人弱でございます。そういった中で,部活動を今改革を進めているわけですけれども,本市は生涯学習都市宣言のまちということで,生涯学習の理念というのが市民のほうには定着しておりまして,それを生かした地域移行というものを進めております。全国的には地域移行ということを進めているわけですが,私どもは地域展開ということで,地域クラブを発足させていくということで教育委員会が主導,それから今市長部局側の文化・スポーツ振興課と連携しながら,子供たちの活動する場所を広げていくということで今進めております。
 先ほど来いろいろな課題のことも出てきましたけれども,最初のスタート,令和4年からですが,もっともっと前のところから部活動は危機が迫っているということで,早速令和4年度から私たちはゴールを決めて今現在至っております。私どもは,もともと部活動という概念はないと,そういう宣言をしながら,一般的には廃止という言葉になってしまうのですけれども,令和8年の夏をもって完全に地域へ移行すると,つまり学校の部活動ではなくなるという方向で今進めております。ゴールを決めないことには,今国が進めようとしている地域移行というのは進まないというふうに,私どもは令和4年の実践からすごく感じております。クラブも存続し,部活も存在しといったところでは,指導者の確保ができないというのは当然でございます。どちらかにやはり重きを置いて,子供たちの文化,スポーツ活動がしっかり定着できるように,親しむことができるように,または競技力向上ができるように,そういうクラブを立ち上げていくということが目的で今進めています。
 そもそも大きな課題というのは,保護者側からするとお金の問題というのは大きいです。私どもは,この地域クラブの展開するに当たって,考え方として,これは全て習い事の一つだという押さえでもって今進めております。つまり,受益者負担というのはもう前提です。そういうことも,全て市民の方々にもこれまで説明してきておりますけれども,それで当然生活上の問題で困るというところが今後も出てくるかと思われますので,そこに対しては行政が介入して支援をしていくというのはあり得ると思っています。
あと,先ほど来,部活動と指導要領の位置づけの曖昧さのことがございましたけれども,これが非常に私どもネックになっているのですが,基本的には教育課程外です。教育課程外のことを先生方が非常に,子供たちのためにといって,または保護者からの要望もあって,頑張ってこれまでやってきたと思うのですが,実質なかなか生活状況,社会の状況も変わってきていますし,若い先生方は考え方がもう昔と違ってきています。いろんなことを先生自身も体験して,大人として成長していきたいという思いを持っていますし,家庭を持ったら家庭を しっかりとしていきたいという思いを持っていますので,そういう視点から,やはりそういう考えを持って改革を進めなければいけないということで,スタートは子供ファーストで来ていますが,併せて教職員ファーストという言葉も私どもは使っております。この地域へ展開するに当たって,文化,スポーツという,そういう枠組みだけで捉えて展開しようとすると,やはり指導者の問題とか子供の居場所の問題とか出てくるので,そうではなくてもっと俯瞰して,子供の居場所づくり,福祉の関係もいろいろ考えて,子供の居場所づくりをしていくのだと,そういう視点でもって今展開をしているところです。令和8年の夏までに,いろんな地域クラブが立ち上がればなという思いで今進めているところです。
 私からは以上です。

【小路座長】 ありがとうございました。
 それでは,貞広さん,お願いいたします。

【貞広委員】 よろしくお願いいたします。千葉大学の貞広と申します。
 私は,公共政策,とりわけ教育政策の研究をしている研究者でございます。ただ,こちらの実行会議には,恐らく中央教育審議会質の高い教師の確保特別部会の部会長として呼ばれているのではないかと理解しておりますので,特に学校教育の点から,もう既に出ている意見でもありますけれども,重ねて2点を申し上げたいと思います。
 まず1点目は,持続可能な部活動改革をさらに推進をしていく必要があるということです。私ども特別部会では,学校の先生方のことを学びの専門職として位置づけていますけれども,こうした学びの専門職としての先生方の働きがいだけではなく,働きやすさ確保のためには,適正な勤務時間で働けるような環境というのがもちろん必要でございます。勤務実態調査などを拝見していても,実際に学校現場の働き方改革は少しずつは進んでいますけれども,特に中学校段階では勤務時間の改善は残念ながら限定的でございます。そして,その大きな理由が部活動です。部活動の教育的意義を十分に鑑みつつ,関係者の理解,合意,納得性を調達しつつ,立ち止まらない改革,そのために後押しする様々な仕掛け,そして自治体間の適切な政策参照が必要だと考えます。これが1点目でございます。
 2点目は,先ほど来出ている学校教育,または教育課程との関係性でございます。これも出ていますけれども,学習指導要領の総則で,部活動というのは教育課程外とされています。ただ,同時に教育課程との関連が図られるように留意するようにという留意事項もあるところです。歴史的にも,部活動というのは教育課程の内側に位置づけられたり外側に位置づけられたり,出たり入ったりしながら今日に至っているわけで,いずれにしても学校の先生方の献身的な努力によって,高い教育的意義を私たちが享受してきたというのは,多くの方が部 活動の経験から,私も含めて学んでいるところでございます。
 今の先生方の,特に若い先生の思考を考えますと,完全に地域移行にしてしまいましょうという考え方もあるのだと思いますけれども,これまでの歴史的,全人教育ということを標榜した日本の学校教育の中で果たしてきた部活動の教育的な意義ということを鑑みますと,学校教育とつながりを完全に切ってしまうということには,やはりちゅうちょを持たざるを得ない部分があります。今後,学習指導要領については,今後に向けての検討も進んでいくかと思いますけれども,形の工夫が必要で,特に指導を積極的には望まない先生方の負担の軽減という側面も維持しつつ,学校教育との何らかの連携を模索していくということも引き続き必要なのではないかと,あえて木村委員や,私の前に発言された佐藤委員が恐らく同じような重なりの気持ちも持ちつつ,あえて若い学校の先生方の気持ちに配慮しておっしゃっていたので,私からはそのように言わせていただきました。
 また,最後に1点,ちょっと3点目になってしまいますけれども,先ほど富所委員が高校入試で部活動のことが評価対象になっていることをどう考えるかとおっしゃっていたのですけれども,子供たちの学びや活動はもろもろで,部活動だけには限定されませんので,都道府県の教育委員会さんや学校の中には,調査書の項目の中から部活動という欄を取り除くところが増えています。むしろ子供たちの放課後や学校教育の広がりは決して部活動だけではないので,特記事項という形での記載をするようにしています。また,評価の指向と連動させることを切るということも,むしろ部活動の持続可能性とか教育的意義を考えると重要で,そういうふうに積極的にかじを切っていくということのほうが必要なのではないかと思いました。3点目はちょっと蛇足でございます。
以上です。

【小路座長】 ありがとうございました。
 それでは,栗山さん,お願いいたします。

【栗山委員】 皆さん,おはようございます。私は,弁護士の栗山と申します。
 私自身は,国際,国内外のスポーツ競技団体だとか,あとはプロスポーツからアマチュアスポーツまで,スポーツに関わる法務を中心にということで,スポーツ法務というのを中心的に業務としてさせていただいております。また,私自身,小学校から高校までサッカーを部活動としてずっとやってきまして,そこからいろんなものを学ぶことができたなというふうに思っておりまして,そういう意味で,この改革というところに関する実行会議にかかわれることを大変光栄に思っております。
私は,この委員の中では唯一弁護士ということですので,私は法務的なところから2点ほどお話ができればなというふうに思っております。業務上,私はスポーツ競技団体のガバナンスだとか,あとは指導者,選手のその他スポーツ関係者へのコンプライアンスの問題などというのを広く扱ったりしているのですけれども,いまだにやはり指導の現場においてのハラスメントという問題というのはありますし,よく御相談もいただいているところでございます。また,スポーツ,部活動の中でもですけれども,スポーツ事故というものが起きておりまして,そういったものというのが,例えば文化,スポーツを親しむという上で,大前提としてやはり子供にとっての安心安全ということが最重要なのかなという中で,こういったハラスメントの問題だとか,スポーツ事故が起きたときどのようにするのだというようなことというのも,きちんと考えていかなければいけないのかなというふうに思っております。
 先ほど森岡委員のほうからもお話ありましたけれども,資料6の1の(6)というところで指導者の質とかいうお話があったかと思います。統括団体はじめ,様々な団体様のほうでその資格制度だとか,いろいろな質を確保するための施策というのを取られているというふうに理解はしておりますけれども,やはり暴力,暴言ということ,また性暴力,またセクハラも含めたハラスメントの根絶というところは極めて重要であるというふうに思いますので,そういった今後制度をつくっていく中で,きっちりとしたそこのための施策というのを盛り込まなければならないのではないかなというふうに 思っております。
指導者の研修というのはもちろんですけれども,まさにそういったことがあったときにどこに通報すればいいのかというようなところで,通報制度というようなものだとか,様々こういったハラスメントを根絶するための制度というのを検討して,導入していくということも大切なのかなというふうに思っております。
 もう一点が,地域クラブ活動の運営団体,実施主体のガバナンスというところの問題があろうかなというふうに思っております。いざスポーツ事故が発生しましたといったときに,どこが責任主体かというようなところの議論も含めて,そういった運営団体,実施主体のガバナンス,その体制整備といったところもきちんと考えて議論を進めていくべきではないかなというふうに思っております。
私からは以上となります。

【小路座長】 ありがとうございました。
 では,河合さん,お願いいたします。

【河合委員】 ありがとうございます。日本パラスポーツ協会の河合です。
 私は,障害のある当時者,視覚障害であり,パラリンピックに今まで出てきたという経験と含めて,割と障害のある子供たちのことを中心にまずお話をさせていただこうと思っております。まず,皆さんにお伝えしたいことですけれども,障害のある子供たちそのものが,今の第3期スポーツ基本計画になるまで,体育とか部活動等で見学をさせられてきていて,なかなかそこに参加できていなかったという事実があり,これをゼロにしていこうというのを書けたのが2022年からになります。ですので,非常に現状遅れてしまっている状況があるということなのです。これを,先ほどからゴールをこれからどうするかという話になったときには,当然インクルーシブな状況で,そこに障害のある子供たちもいるのだということを当たり前として我々が受け止めて進めていくということをぜひ実行していただきたいというのを,まず1点大きなところですが,申し上げておきたいと思っております。
 そういった中で,幾つかありますけれども,大会とか,あるいはパラスポーツセンターとか,今いろいろな政策課題が我々としてもありますし,指導者の問題等もございます。こういった中に,少子化の中で今進んでいると言いましたけれども,特別支援学校の数は全国的に増えています。この現状を皆さんどう御理解いただいているかということです。特別支援学校の部活動なのか,地域でそういった一般の学校に通っている障害のある子供たちが隣の学区に行こうとしたときに,視覚障害の子が自転車に乗っていけるのか,車椅子の子がどうなのか,こういった移動の問題をどう考えるかとか,詳細に考えると様々な課題があろうかと思います。どうしても,より多くの今ある学校全体の大半の障害のない子供たちのそれをどうクリアするかという話題で,ついつい埋没したり,遅れがちな議論になるところを,もう一度 ここにいらっしゃる皆さんがセンターに,その子供たちファーストであって,子供がセンターとなる中には,障害のある子供たちが当然含まれているということをもっと含めて議論していただきたいなとも思っています。
 実際に,総合型地域スポーツクラブや一般の民間も含めて,障害者差別解消法が変わり,民間事業者も合理的配慮を提供するということが義務になってきておりますので,これはもう当然なのですが,こういったところ,先ほど申し上げたもう一個,第3期スポーツ基本計画で書いていただいた中に,スポーツ施設等で車椅子等で利用拒否がないようにするということを書かなければいけないほど,まだ多分地域も含めたら,そこに到達していないという現状があります。
 こういった中で,改めて指導者の質,そして量を確保するために我々もぜひ進めていきたいということで,体育の先生方にもこういったところを理解いただきたいということで言っているのですが,パラスポーツ指導者の初級の資格を取るような4日間のプログラムが,我々日本パラスポーツ協会で持っていますが,これを200校の専門学校や大学等で今実施していただいているのですが,国立大学はほぼゼロなのです。こういったところも,体育の先生になっているような国立大学で教育学部の方々からなっているのですけれども,そういったところでなかなか進んでいないというようなところもありますので,これらを進めていこうとするときには,改めて国,そして地方行政も含めて取り組んでいければと。都道府県単位でも,スポーツ庁ができて約10年にこれからなりますが,この中でまだ都道府県では半数がスポーツ行政は一元化できていません。文化活動に至っては,恐らく福祉行政の中にまだ含まれていると,国のほうも思いますし,地方自治体のほうもそういった現状ではないかなというふうに思います。
 インクルーシブという名の言葉がどんどん広がっていくわけですけれども,実はそこをついつい見落としがちなのではないかなと,よく子供たちに言ってやったり,様々な講演でもお話ししていますが,鈴木さんや高橋さんや田中さんと,よく言う日本の方々でよくある名字の方々の数,パーセントよりも障害のある方々は多いのです。一緒に仕事をしたり,一緒に部活をしたり,一緒に学んだりということが当たり前になっていくということをしっかりと進めていくための実行会議として,私も協力していきたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

【小路座長】 ありがとうございました。
 それでは,次にオンライン参加の方から御発言いただきますが,時間がかなりオーバーしてきておりますので,後半の方には大変心苦しいのですけれども,ちょっとポイントを絞り込んでいただいて,御発言をいただければと思います。
 では,青海さんのほうからお願いいたします。

【青海委員】 私は,全日本中学校長会会長,併せて日本中学校体育連盟の会長として参加させていただいている青海と申します。
 まず,論点の中でいうと,2(10)「大会の在り方の見直しについて」というのがありますけれども,現状をお話しすると,まず中体連の方で,少子化の進展,教員の負担軽減,気候変動による暑熱対策,こういった視点から,このままの状態では会議,大会の運営が難しいということもあり,3年前からプロジェクト委員会に諮問し,答申をもらって,理事会等で協議を重ねてきました。その結果,令和9年度以降の大会の在り方を見直すという発表をいたしました。原則として,全国の中学校における部活動設置率が20%未満の競技を縮減,それから大会規模も3日間,それから参加者数の30%減,経費も30%減としこれを3年間ごとに見直していくという提案です。
 今,私はオンラインで福井にいますけれども,北信越5県で全中大会を16種目開催中でございまして,昨日が37度,今日が38度という中で大会運営をしている状況で,これは気候変動という課題の一つなのですけれども,大会形式の変更ですとか大会分担の均衡化,実施方法の検討を進めているのが現状でございます。
 2点目は,論点でいうと2(1)「部活動の地域連携・地域クラブ活動への移行に関する成果や課題についてになると思うのですけれども,先ほどから色々なお話が出ていました中学校現場の進捗状況ということになりますと,改革推進期間2年目を迎えまして,取組は進められているというのが現状です。例えばモデル事業を実施したり,検討委員会などを立ち上げて,取組の途上でも成果を検証したりしながら,それぞれの地区に合わせて前へ進めようという状況が見られます。また,部活動指導員の配置が進んだり,合同部活動の形式で行われる競技は種目数も増加したりしているという状況があります。好事例なども紹介されております。
 一方の課題としましては,地方公共団体によっては人材確保,それから地域スポーツクラブの状況,それから学校規模,例えばうちの学校でいいますと区内に中学校が28校ありまして,1校600人ぐらいで,部活動が1校に20以上あるというような場合のケースなどと小規模校とを,なかなか一律で考えていくのも難しい状況がある。そんなこともありまして,進んでいない自治体もあるのかなというところでございます。そういった課題を把握して,進めたくても進められないようなところに対しては,国としての支援が必要なのかなと思っております。
 以上です。

【小路座長】 ありがとうございました。
 それでは,市川さん,お願いいたします。

【市川委員】 全国特別支援学校長会の市川でございます。
 全国特別支援学校長会は,全国約1,100校の特別支援学校の校長の集まりでございます。我が会では,みんなdeスポーツ委員会という委員会を設置いたしまして,特別支援学校のスポーツ活動の取組の在り方などを検討しています。この「みんなde」という意味は,障害のある子供もない子供も一緒にスポーツを行っていこうという意味で,「みんなde」という言葉を使っています。
 また,特別支援学校文化連盟というのを設置いたしまして,特別支援学校の児童生徒の文化芸術活動を推進するために,全国の特別支援学校の児童生徒の写真の作品,書道作品,美術・造形作品等を発表する機会を設定しています。こうした取組を通しまして,障害のある児童生徒と障害のない児童生徒がともに学び,また今後の共生社会の実現の一助になればと考えております。
今回の実行会議におきましても,障害のある児童生徒についての議論を取り上げていただきまして,誠にありがとうございます。ぜひ子供たちのウェルビーイングという視点に加えて,共生社会の実現をどうしていくかという観点も加えて御議論をしていただけると幸いでございます。
 現在学校なのですが,やはり働き方改革が大きな課題になっています。教員不足や教員を目指す学生が減少していることも大きな課題です。主な論点のたたき台の中に,部活動の学習指導上の位置づけの検討が加えられております。先ほど貞広先生からお話があり恐縮ですが,学校の立場で言えば中央教育審議会において様々な検討がなされておりますが,その中でやはり学校の働き方改革の推進が大きな課題になっております。具体的には,今学校では現行の学習指導要領の趣旨の実現を踏まえながらも,学校の教育課程における過剰な授業時数の見直しを行うなど教員の働き方改革を進めることが大きな課題です。そうした中,この働き方改革の推進を前提に学習指導要領全体のボリュームを踏まえ,今後の学習指導要領における部活動の位置づけについてどのように考えるかについては,より慎重に御検討いただけると幸いでございます。
 また言葉の問題で恐縮ですが,この部活動という言葉をこれからも使い続けていくのかについて御検討が必要かと思っています。あるべき姿は,子供たちのスポーツ・文化活動の充実ということでございますので,先ほどスポーツ庁長官からもお話もありましたが,やはり部活動というものから,学校から子供たちのスポーツ・文化活動を広く地域に広げていくということの観点から,何を進めていくのについても,言葉の使い方ですが,しっかり定義をしていくと,より分かりやすくなるのではないかなと思っています。
 私からは以上です。よろしくお願いいたします。

【小路座長】 ありがとうございました。
 それでは,次に上村さん,お願いいたします。

【上村委員】 香川県東かがわ市長の上村と申します。よろしくお願いします。
 東かがわ市の地域クラブ活動についてなのですけれども,まず東かがわ市の環境を御紹介させてください。合併して21年目のまちでございまして,21年前には人口が3万7,000人おったのですけれども,20年の間に1万人減って,もう今2万7,000人です。高齢化率は43%で,冒頭に座長おっしゃられた消滅可能性自治体でございます。
 そんな中,中学生500人が市内3か所の中学校に散らばっている状況です。ただ,市の面積が150平方キロぐらいあるので,この中の生徒たちの移動をどうしようかというところが一つの課題になっています。
という意味で,論点整理の中の1の(1)の成果・課題のところで申しますと,この生徒の移動というところの課題が非常に大きいです。東かがわ市は,平日は合同部活動,休日は地域クラブ活動の形で進めざるを得ないところがありますので,平日も生徒の移動が必要になってきます。それで,そこのスクールバスを活用しようとはしているものの,大体夕方になると,小学校の下校時間とかぶってくるので,なかなかスクールバスも活用しづらいところがあって,新規でこのためだけにスクールバスを購入した経緯もございます。こういうところの 財政支援って,これから多分人口減少の中で,人口密度ならぬ学校密度がもっともっとうちより低い地域ってあると思うので,そこが大きな課題になってくると思います。
 あとは,先ほど来お話が出ております保護者負担のところです。今実証事業というところで,国や県の予算をいただいて,大体1人頭1,000円弱ぐらいの活動費でできていますけれども,これが皆さんやってくださいとなって,全部保護者の負担になってくると,多分4,000円ぐらいになる見込みです。これどうするかなというのは,かなり自治体の中でも悩んでいます。結構自治体の中では,それはメリットを受けている中,そちらで払うべきというのもあれば,その自治体だけでも支援していくべきなのではないかというところはあるので,そこは国の一定の方針は必要だろうと思っております。ただ,これ突き詰めていくと,今の給食費みたいな議論になってしまいそうで,こっちの自治体は部活動を無料でできるけれども,こっちはできないねというのが出てくるので,これ全国一律になっていくのかなというところの懸念が一つ大きくあります。
 次に,論点1の(4)の3つ目の丸にある首長部局はどういうふうに関わっていくかというところでいくと,やはり予算かなと思っています。首長に予算編成権がありますので,ちゃんと首長自身がこの制度を理解して予算を取っていく。かつスポーツ庁さんや文化庁さんにも,私と教育委員会の職員でいろいろ御議論させていただきに伺っているので,そこの市長部局と教育委員会のいかに連携が取れていけるか。そこはもう首長次第だと思っていますので,そういう予算を確保するのもそうですし,ちゃんと財源を取りに行くというのが首長でないとなかなかできないだろうなと思っています。
 最後に,論点2の(3)で,改革期間についてなのですけれども,当市は香川県内でも比較的先行しているほうなので,あまりゴールを先延ばしにされるのはちょっとつらいなと思っています。結果物事が動かないのではないかと思っているので,現行どおりの改革期間でいいと思っています。
 仮の仮に,それを延ばすのであれば,資料の中にも言及ありますように,先行自治体へのインセンティブをしっかり取っていくというところが必要だと思います。ただ,いずれにしましても,これも先ほど来お話出ておりますとおり,この学習指導要領の中で,この部活動,クラブ活動をどう位置づけていくのかというのをはっきりさせないと,自治体がどこまで関わっていくべきなのか,どういうフォローが必要なのかという議論の終着点が見えないので,まずはそこをはっきりさせていただきたいなと思います。
 以上です。

【小路座長】 ありがとうございました。
 それでは,金﨑さん,お願いいたします。

【金﨑委員】 長与町教育長の金﨑です。
 先ほどは,ビデオを皆さんに見ていただきまして,本当にありがとうございます。現在先ほどありましたように,昨年度,令和5年度の4月から運動部活動が全部廃止をしまして,地域に休日全部移している状況です。その中で出てきた課題というのが,いいところはたくさんあります。ビデオの中で見ていただいたようなところで。また,その課題のほうだけ挙げさせていただきますと,やっぱり人材の質,指導者の質をどう上げるかということが課題で,今様々な取組で指導者の研修を行っておりますが,実際にやはり資格を取るというところに動いていただける方というのは全員ではございませんので,それをどう動かすかということが課題かなというふうに思っております。その課題を解決するために,できれば資格が取れるような環境が長崎県の中に身近に存在すればいいかなというふうなところを希望として持っております。
 続きまして,その財源の件ですが,今お話がございましたとおり,当町は1人当たり3,000円という月会費で動かしておりますが,全体の,それは6割程度しかやれておりません。4割は委託金や長からの補助金等で動かしておりますけれども,これを今年度その割合,7割を受益者負担で動かすように今実施をやっているところでありますが,これが10割全てをというようなところは今現在難しいところでございますので,何らかの財政の支援というのを国のほうもお考えいただくと大変ありがたいかなというふうに思っております。
先ほど平日への移行のところがありましたが,これも多分先行する我々は研究の課題だというふうに考えておりますけれども,今現状,指導者の確保というのがなかなか平日は難しゅうございますので,その点ではしばらく平日への移行はかかるかなというふうに思っています。
 今後学習指導要領につきましては,やはり部活動を学校教育の一環とするというようなところの文言がありますが,これについてはできれば削除等のほうで御検討いただければと思います。ただ,この活動を学校でやめるのではなくて,学校には残しつつ部活動をやるということが,学校の中の命題みたいになることを学習指導要領から除いていただく,非常に難しいことになるかもしれませんが,そこがお願いできると大変ありがたいかなというふうに思っております。
 全体として,いろんなところの方々の御協力をいただいて今進めているところで,何とか今回っているところですが,何よりも子供たちの環境が今,今後しばらくはいい形で続くかなというところが大きな成果だというふうに思っております。また今後ともいろんなことにチャレンジしながら発信をしていきたいと思っております。
 以上でございます。

【小路座長】 ありがとうございました。
 それでは,高橋さん,お願いいたします。

【高橋委員】 秋田県大館市の教育長の高橋でございます。
 大館市の人口はただいま6万6,000,冒頭小路座長からお話のあった744の消滅可能性都市の一つでございます。
 この部活動改革には,当初から困惑しながらも,社会進化過程における必然と受け止めて主体的に取り組んでおります。このたびは,論点2の(2)に関して申し述べます。ウェルビーイング,まちづくりに資するための地域スポーツ・文化芸術創造という設計理念は,これからの地域社会の望ましい方向性を明示している理念だと受け止めています。
 大館市では,14年前から「少数精鋭の街「大館」」の構築を期して,ふるさとキャリア教育を根幹として,地域社会と一体となって未来大館市民の育成に努めてきた経緯がありまして,現在ではキャリア教育の聖地とまで呼ばれています。そのコンセプトが「大館盆地を学舎(まなびや)に,市民一人一人を先生に」です。このたびの地域スポーツ・文化芸術創造の推進についても,これはふるさとキャリア教育の一環と位置づけておりまして,まさに「大館盆地を学舎(まなびや)に,市民一人一人を先生に」のコンセプトを生かして改革すべきと考えています。そのベクトル上に,市の商工会議所の主導による企業連携型地域総合スポーツ・文化倶楽部構想が検討されております。これは,地元企業連合体による社会貢献的な願いをベースにして,地域社会のスポーツや文化活動の活性化に寄与することを目的とし,併せて地域クラブに係る,先ほどから話題になっておりますけれども,運営経費負担とか人材派遣の支援も盛り込んだ構想であり,教育委員会としても全面的に共感し,協働して推進しているところであります。
 話題になっておりますいわゆる経費の負担につきまして,もちろん公的な負担,支援は必要で,不可欠でありますけれども,それだけでなくて,やっぱり何よりも民間とか市民とか,そういう方々の関わりが今後そういうふうな活動を続けていく上で,やっぱりそれを根づかせる観点からも極めて大切なポイントだと思っています。
 以上ですが,改革のスピードは早くはないですが,以上の理念に基づいて,1つずつ市民の理解と共感を得ながら,かつ未来の大館の姿を見据えながら改革を進めることが肝要であると考えて,進めているところでございます。
私からは以上です。

【小路座長】 ありがとうございました。
 すみません,終了時間がちょっと10分から15分ぐらい超過してしまうと思いますが,もしどうしても御用事のある方は御退出いただければと思いますけれども,御了承いただければと思います。
 それでは,長谷川さん,お願いいたします。

【長谷川委員】 それでは,私のほうからお話しさせていただきます。様々な問題点はたくさんございますが,それを踏まえて,これから文化,合唱に特化した部分を発表させていただきます。
 私ども全日本合唱連盟は,子供たち,小学校からシルバーまで,この方々を受け入れて合唱活動をしている一般社団法人ですけれども,特に合唱に特化して,私ども問題点はありますが,足元の働きを,その実践を御紹介したいというふうに思っています。
1つは,私どもの連盟では中学校地域合唱クラブ活動に関するガイドラインを作成いたしました。これはパブリックコメントをいただき,それもまた案でなく,一つの形として発表するのが来週ぐらいから始まるというふうに思って,関係各位いろいろな方々にこのガイドラインを作成して送っていきたいというふうに思っております。
 それからもう一つは,私どもが行っております全日本合唱連盟の小中高大,そして一般のコンクールにおいて,中学校への規約を新しく改善して,中学校でなく,中学生が参加できる組織に変えていくということで,かなり形が変わっていくのではないかというふうに思っています。要するに地域移行のもの,地域移行になって活動した方々もここに参加することができるという枠組みをつくっております。
 あと,指導者の育成ということがありましたけれども,指導者の育成に関しては,日本合唱指揮者協会というのがございまして,こちらがアカデミーというものをつくっておりまして,どなたでも,また学校の先生でも,また一般の方々でも合唱の指導者になれる,そういうアカデミーのクラスをつくって,向こう3年間のクラスと,1年単位のものといろいろ様々にやっておりまして,指導者が向上するスペースをつくっております。それで,そういうことで,全日本合唱連盟だけでなく,別な合唱の組織団体と連携していろいろなことを行っていくという活動をしております。
 それから,実例でございますが,私どもに入っているのはまだ数が少ないですけれども,教育委員会と連携して活動をしているというのが2件ございます。それから,連盟自体が行っている地域活動の少年少女たちを育成するというのも2件ございます。それからあともう2件は,一般の社会で活動している財団法人などと連携してやっている実例が2件ございます。どれも好実例でございまして,一つ一つ発表することはできませんけれども,これからそういう動きが活発になっていくのではないかという,とてもいいと感じておりますので,ちょっと発表させていただきました。それだけでございます。
 以上です。

【小路座長】 ありがとうございました。
 それでは続きまして,原さん,お願いいたします。

【原委員】 原でございます。
 青山学院大学の教員をさせていただいているのと,一番アマチュアスポーツで華やかな箱駅駅伝の運営を20年携わっている,現場レベルでの生の声を聞き取ることができるというような意味合いで委員にさせていただいているのかなというふうに思っております。
本学では,地域移行に移行する前から新しい指導者の養成というような名目で,教育カリキュラムの開発を本学の現学長とともに進めてまいりました。青山学院は体育学部を持っておりませんけれども,なぜその青山学院がやるのかというようなことをしばし質問を受けるわけなのですけれども,冒頭長官からもおっしゃられたように,スポーツというものは医学的な側面もありますし,アーティストというような側面も当然あるわけです。本学では体育学部は持っておりませんけれども,法学部,経済,経営,総合文化,社会情報,理工学部,10学部以上の学部から成る総合大学でございます。そうした幅広い知見者の下,新しい部活の在り方というものを検討し,体系的に教育プログラムを作成をしております。
 それを受けまして,今現在私が代表を務めておりますアスリートキャリアセンターのほうが音頭を取りまして,各現場に出向いて,その新しい教育の在り方を展開をしております。その一例としまして萩市,そして岡山の総社市,そして三重県の桑名市と連携をさせていただきまして,先ほどから論点ございました指導者の在り方について,質的向上というものが一つと,お金面の運営,この2点をサポートさせていただいております。おかげさまで,1泊2日程度の指導者研修プログラムということを体系的に整理させていただいて展開する中で, 昭和・平成でしか指導してこなかった私自身が新しい学生との向き合い方ができましたと,自信を持って教育できるというようなお声をいただいております。
 また,組織をつくる上でのつくり方が分からないというようなこともありましたので,クラブ活動のつくり方についてもサポートさせていただきました。また,資金的なものも,企業版ふるさと納税というような形の枠組みを利用しながら,そのクラブにお金が回る仕組みも提案させていただき,一定数,大変ありがたい御評価をいただいているというようなところでございます。
 最後に指導者研修プログラムですが,今JSPOさんがしっかりとした枠組みをつくっていらっしゃるのですけれども,やっぱりこれ物事大中小ございまして,松竹梅ございまして,立派な教育プログラムなのですけれども,やっぱり数日間に及ぶプログラムを受けるというのは現場レベルでは非常に抵抗感があるというお声もいただいているのです。ですから,私どもは青山学院教育活動の中でのプログラム,1泊2日程度なのですけれども,こういった教育プログラムも国からの認定と申しますか,認証と申しますか,そういうお墨つきがいただければ,より現場レベルに踏み込んだ教育活動ができるのかなというふうに思いますので,そういった民間企業,あるいは大学教育機関が認証というような,認定というような制度設計ができれば,より一層質的向上が図られるのかなというふうに思っております。
 以上でございます。

【小路座長】 ありがとうございました。
 それでは,続きまして水鳥さん,お願いいたします。

【水鳥委員】 私体操男子の日本代表の監督として,先日行われましたパリ五輪に帯同してまいりました。また,今回部活動の地域移行に関することで,会社のほうでもICT教材を活用した,そういった熟達化ということで支援をさせていただいていますので,そうした2点に関しましての視点からお話をさせていただければと思っております。
まず,パリ五輪では,本当に皆様のおかげさまで団体金メダルをはじめ,3つの金メダルを獲得することができました。日本選手の活躍や仲間,ライバルとの交流など様々報じられたと思いますが,そうした中でスポーツの価値というのが体現された場だったのかなというふうに感じております。
 また,オリンピックバリューというものを引用すると,選手の卓越した姿や他者をリスペクトする精神,仲間づくりや国際交流などの姿というのが,スポーツにおいて人間として成長できる場でもありますし,社会におけるスポーツの果たす役割というのがしっかりと価値としてあるということが示されたかなというふうに思っております。
体操においても,キャプテンの萱選手が,「諦めるな」ということで仲間をすごく鼓舞する姿が印象的で,教育的価値というのを非常に感じることができました。彼らは,学校の部活動でも活動していたのですけれども,地域クラブだったりとか民間クラブなど様々な場で育ってきている選手たちです。ですので,学校から離れたとしても,そういった教育的価値を持った地域での活動,民間クラブでの活動というのも見いだせるのではないかというふうに考えておりますので,そういった移行における環境下の中でもスポーツ活動の支援というのを推 進していくことが重要ではないかと考えています。
 また,論点の中の地域クラブの活動の在り方についてという部分で,指導者,指導面というところとICTの活用ということの2点をお話をさせていただければと思っております。まず,その指導の在り方なのですけれども,こちらの様々な委員の皆様がお話しされているように,過疎地や首都圏など人口が密集する地域など様々ありますので,一律に議論するというのはなかなか難しいかなと思っております。私トップスポーツという視点からのお話になると,比較的子供が多い地域でのお話になるかと思うのですが,これまで体操でも,非常に部活動において選手たちが育ってきたという実績がございます。ですので,教員もその部活動での指導ということも想定をして採用したり,本人も希望したりということもあることから,やはりその地域に移行したとしても,そういった希望する教員が関われる,双方で関われるような,そういった機会の推進というのも必要なのかなというふうに感じています。
また,部活動が地域に移行したときに,いわゆる競合の部活動で活動していた選手たちがそのギャップを非常に感じて,モチベーションだったりとか,将来的な日本の競技力の低下というのにもつながる懸念というのもあると思います。全体としては,やはり地域に移行していくということが必要かと思うのですが,民間クラブだったり事業者の指導など,そういった環境整備というのも一部必要になってくるのかなというふうには思っております。
 また,指導者がなかなか不足している,あるいはその質の課題として,やはりICTの教材を活用するということが一つ可能性としてあるのかなというふうに思っております。こちら私現在スポーツ庁の令和の日本型学校体育構築支援事業に参加をしておりまして,全国の学校でICTを活用した器械運動と水泳の授業に携わっております。こちら行っていく中で,主に2つ成果を感じているのですけれども,1つは事前,事後でしっかりと学習をすることでその理解促進につながるという,そういった有効性が見られております。これは,先生がそこで用意ドンで説明をしてお手本を見せるのではなくて,事前にそういったICT教材を活用して,動画で視聴して,そこで体を動かすということができることがその授業の効率化につながるのですけれども,例えば地域クラブで考えたときに,平日は自身の土日での活動の振り返りだったりとか事前学習に充てたり,あるいは自宅でできるトレーニングを行って週末は体を動かす,そういったことをすることで,なかなか指導が不足していたり,環境が不足していく中でも,うまくICT教材と絡めることで,一定の運動量だったりとか練習の効率性を確保できるのではないかなというふうに思っております。
 もう一つは,体系的に動画を並べたりとか教材を並べることによって,その課題を個別に子供たちに合わせた形でできているなというふうに感じています。なかなかそうしたICT教材を活用することがまだまだ課題もあると思うのですけれども,こういったものをデジタル教科書みたいな形で教材費の支援をしたりとか,活動の場でのWi-Fi環境の整備であるとか,学校のタブレットの有効活用,こういったことでそうしたICT教材の活用も推進することで,よりそうした地域での部活動に代わる活動になっていくのかなというふうに思っております。
 また引き続き議論させていただければと思います。ありがとうございました。

【小路座長】 ありがとうございました。
 それでは,柳沢さん,お願いいたします。

【柳沢委員】 全国スポーツ推進委員連合の柳沢でございます。よろしくお願いいたします。
 全国スポーツ推進委員連合は,人材,指導者という資源の協力という意味合いでこの会議に参加させていただいているかと思います。
御存じのように,スポーツ推進委員,旧体育指導委員は,昭和36年のスポーツ振興法によって制定されましたが,世界にもまれに見る指導者の仕組みで,現在全国で約5万人ほどの推進委員が委嘱され,地域のスポーツ振興のために活動していただいております。例えばゲートボールとかグラウンドゴルフといったようなニュースポーツの普及は,体育指導委員の皆さんが力を入れて広めていただいた活動でございます。そういった活動してきた団体ですが,部活の地域移行との関連からは,体育指導委員,スポーツ推進委員の制度上の問題や特徴を確認しておきたいと思います。
 現在はスポーツ基本法で位置づけられた市町村が委嘱する非常勤の公務員という位置づけで約5万人ほどの推進委員が活動しております。ほとんどボランティア的な活動で,例えば年額1万から4万円ぐらいの報酬をいただきながら,高齢者や障害者のため,あるいは子供のためのスポーツ推進に関わっている団体です。市町村が委嘱しますので自治体による格差がありまして,積極的な自治体もあれば,なかなか腰の重い自治体もあるというのが現状です。
そういった中で,部活の地域移行に関わるということなのですけれども,まずは推進委員の地域移行に関わる研修といいますか,認知というか,意識改革をしていく必要があろうかと思います。おそらく推進委員の皆さんは,地域移行といってもまだ他人事であって,自分たちの地域の問題という意識は高まっていない方も多くいらっしゃるかと思います。まずは意識改革が必要ですし,また早い段階から協議会に参画していただきたいと思っているところでございます。それが1点目です。
 2点目は,実技指導者として期待されているところなのでしょうけれども,推進委員の方々は非常に多様で,専門種目の指導に長けている人とそうではない方が混在しています。したがいまして,推進委員の皆さんが部活移行の指導者になれるということではないだろうと思います。ですから,地域移行したときに専門性のある指導者と,そうではなくてマルチな活動の支援をする指導者といったような構造になっていくのではないかなと思います。今後部活動は,学習指導要領の関係がございますけれども,どのような位置づけになるのか,どのような目的で部活動を展開するのかとの関連で,その指導者の活用の仕方が変わってくるのではないかと思います。
 3点目は,今のスポーツ推進委員には連絡調整という役割が求められておりますので,協議会等の参加も含めて,部活動のコーディネーターへの協力とか地域の人材の発掘,あるいは人材に関する情報提供をする,そういった連絡調整の役割をしてもらいたいなと思います。
それと最後に,推進委員は部活動の地域移行のためだけに委嘱されているわけでありません。高齢者の活動とか,障害者の活動のためにも活動しているわけでございまして,部活動支援とその他の推進委員の役割との調整が必要かと思います。したがいまして,適材適所という観点で組織運営をしていく必要がありますし,そういったことに耐え得る推進委員の資質向上,あるいは財政支援を含めた行政的な支援をこれからも期待したいというのが連合としてのお願いとして御紹介させていただきました。よろしくお願いいたします。

【小路座長】 ありがとうございました。
 それでは,最後に北山座長代理,また友添座長代理から一言お話をいただければと思います。
 北山さんからお願いいたします。

【北山座長代理】 座長代理を承りましたNPO法人しずおか音楽文化支援協議会の北山です。
 私は,長い間大学で音楽教員の養成に関わってまいりましたが,その原点は中学校の吹奏楽部の活動からでした。また,私は2022年,令和4年の「文化部活動の地域移行に関する検討会議」に参加しておりましたことから,この2年間は部活動地域移行における吹奏楽部の課題を中心にした様々な会合に参加して,部活動の指導に携わる人々と意見交換をしてまいりました。
 そうした会議等に参加するうちに,これは自分でも何か積極的な行動をしなければと思うようになりまして,1年半の準備を経て,今年の5月に地元企業とともに部活動の地域移行を支援しようという趣旨のNPO法人を設立したところです。
 この2年間を通して見ますと,部活動改革の必要性における教育現場あるいは社会の理解はかなり進んできたと感じる一方で,将来にわたって持続可能な活動を構築するための具体的な方策については,いまだに見通しがついていないと感じている人がほとんどのようです。
とりわけ吹奏楽部の地域移行につきましては,活動場所や指導者をはじめとする様々な課題が残されていることに加えて,そこに参加する子供たちの数の多さや活動に要する楽器の維持管理等を考えますと,経済的要因による子供たちの経験格差の解消といった大きな課題が存在しております。この部活動改革は,少子化や教員の働き方改革だけでなく,複雑な社会構造の変化の最前線にあると言っても過言ではありません。むしろこれは部活動だけの改革ではなく,今後の学校教育を維持可能なものにするための改革の一つとして,社会からの大きな期待を背負っているものと考えております。
 これから2026年度,令和8年度からの本格的な地域移行の実施に向けて,この実行会議に寄せられる期待は大きいものがあります。ここにおられる経験豊かな皆様とともに,本年度末の報告書をより実効性のあるものとして,地域移行推進期間の3年目に当たる来年度を迎えたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【友添座長代理】 友添秀則と申します。よろしくお願いします。スポーツ教育学,スポーツ倫理学-というのを専門にしています。
 私は,学生時代ずっと柔道をやっていまして,部活育ちできましたので,学校運動部大賛成派だったのですが,この10年間で地域移行派に変わる10年間だったと思っています。2013年の「運動部活動での指導のガイドライン」の作成に関わらせていただきました。これは部活やスポーツでの体罰や暴力問題が起きて緊急で作成ということで,急遽つくったガイドラインだったかと思うのですが,この後5年後には「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」の作成にも関わりました。この時には,10万人規模の運動部活動の実態調査を実施したのですが,持続可能性の点で限界に近いのではと感じましたまた,仕事柄,中学校へお伺いするたびに先生方の疲弊感は増していくし,それからせっかく学校にお伺いしたのだからと,部活の時間に柔道場をのぞくと,道場に3人ぐらいしか部員がいないのですね。少子化の現実が進んでいると強く感じるようになりました。
 問題意識だけ少しお話しさせて頂ければと思います。一昨年の「運動部活動の地域移行に関する検討会議」の提言では,教員の採用人事のあり方や高校入試における運動部活動の位置づけについても,子供たちに自身の部活のポートフォリオをつくって,自分の活動歴を自己評価して提出して入試を行うことも提言をしています。実際にこれでやり始めた都道府県もあると聞いていますし,教員採用の在り方も変更するようになった都道府県教育委員会もあるというふうにも聞いています。少しずつ前向きに変わり始めたと思っています。
 また,地域移行というように言ってきたのですが,これも実は2021年に地域移行の検討会議を立ち上げるときに,現実に一番ネーミングとしてふさわしいのは何かということで,いくらか議論したときに地域移行になったように記憶しています。改革推進期間を3年間に区切ったのも,実は子供たちが中学校に入ってから卒業するまでの3年間で答えを出してあげなければいけないだろうと。それから,自治体の担当者,学校の先生方が,3年間は多分異動しないだろう,つまり人事異動がないだろう期間,責任を持って地域移行を実施していただく期間としていいのではないかということだったと思います。部活の地域移行については当初は反対意見やハレーションがあったように思います。何で地域へ出すのだという意見も多くありましたので,明確にこれから実施する内容が分かるものをとの事情もあったと思います。
 地域移行というネーミングは,非常に大きな役割を果たしたと思うのですが,地域に移行するという言い方をしますと,地域と学校が二項対立的なイメージを与えるように思います。そうではなくて,地域の中に学校は包摂されているわけだから,むしろ地域包摂と言う方がいいのかなと思うのですが,これは表現として難しいです。地域展開という議論もしたのですが,展開にすると,今度は部活だけが地域で展開されるという独り歩きのイメージが先行してしまう。そういうネーミングも含めて,この会議で検討できればと思います。
もう一つ,スポーツというのはソーシャルキャピタル,社会関係資本として非常に重要だと思っています。人々が気軽に仲よくなったり話し合ったりする,そして例えば人口減少社会の中で,また地域が衰退する中では,今私たちはこれからの社会をいわば衰退社会にするのか,成熟社会にするのかの分水嶺に立っていると。地域スポーツが適切に行われれば地域の活性化に貢献できる可能性があるということは,研究ベースでも指摘されていますし,社会を監視カメラで渦巻く社会にして,監視社会,いわば衰退社会にするのか,あるいはそうではない社会にするかというのは,まさに地域スポーツと地域をどう活性化していくか,成熟社会をどうつくっていくのか,そしてその中で核になるのが,実は今私たちがやろうとしている部活の地域移行という,またこの言葉を使いましたが,地域移行だろうと思っています。
 少しマクロな視点で見ていく必要があるし,30年先,50年先の日本はどういう社会なのか,あるいは世界の中の日本はどうなのかという,こういう視点もグランドデザインを描きながらやっていく必要があるし,各論は多分ワーキンググループで議論していくべきだろうと思っていますが,そういった大きなグランドデザイン,総論のところがここの実行会議の大きな役割なのかなというふうに個人的には思っているところです。
 以上でございます。

【小路座長】 ありがとうございました。
 まず,初回ではありますけれども,大変時間が超過しまして申し訳ございません。様々な経験から大変幅広い貴重な御意見をいただいたと,こういうふうに感じております。いただいた御意見は事務局のほうでまとめまして,整理をいただきまして,ワーキンググループの議論につなげられるようにさせていただきたいというふうに思います。
 初回の本日の議題については以上でございます。
 では,次回以降の日程等について事務局からお願いをして,終了したいと思います。

【大川地域スポーツ課長】 ありがとうございます。
 本日は,たくさんの御意見をいただきましてありがとうございました。
 次回の実行会議につきましては,目安としまして11月頃開催で予定をしています。また具体的には皆様の日程を調整させていただいて,御相談し,決めたいと思います。
 以上でございます。

【小路座長】 ありがとうございました。
 長時間大変活発な御議論をいただきまして,ありがとうございました。
 それでは,本日第1回目の議事については終了させていただきます。
 ありがとうございました。