令和6年8月29日(木曜日)10時00分~12時00分
文部科学省「第二講堂」(ハイブリッド会議)
友添主査,金﨑主査代理,池田委員,石川委員,石塚委員,磯貝委員,浦野委員,影山委員,金沢委員,駒崎委員,酒井委員,新宮領委員,星川委員,松尾委員,三上委員,山本委員,渡邉委員
大杉スポーツ総括官,大川地域スポーツ課長,鴨志田地域スポーツ課課長補佐,小野障害者スポーツ振興室室長補佐,玉那覇参事官(地域振興担当)付参事官補佐,他
【友添主査】 おはようございます。それでは定刻になりましたので,ただいまから第1回地域スポーツクラブ活動ワーキンググループを始めたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
今日は,御多忙の中御出席をいただきまして,誠にありがとうございます。このワーキンググループですが,御存じのように先日23日に開催されました第1回地域スポーツ・文化芸術創造と部活動改革に関する実行会議におきまして設置をされたということでございます。
座長より私御指名をいただきまして,友添がこのワーキンググループの主査を務めさせていただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。
主査代理につきましては金﨑委員と,本日は御欠席でございますが,渡邊優子委員にお務めをいただくことになっております。どうぞよろしくお願いいたします。
本日の会議につきましては,対面とオンライン会議を併用したハイブリッド式で開催をさせていただきます。また,先日の実行会議で決定しました運営規則に基づいて,会議や会議資料は原則公開,会議の後には発言者の氏名を付した議事録を公開という形になります。この点御承知おきいただければと思います。なお,本日の会議の傍聴につきましては,ユーチューブにおいて現在ライブで配信しています。
それでは,冒頭私のほうから一言御挨拶をさせていただきます。部活の地域連携,地域移行も改革推進期間の2年目となって,多くの地方自治体では推進計画あるいは推進協議会もつくられて,休日の地域移行も大分進んできたように思います。また,平日の地域移行の進展はこれから本格的に進んでいくと思っておりますが,同時に多くの課題も生まれてきたように思っています。それらは,お手元に配付をしております,後で御説明があるかと思いますが,資料6の主な論点,たたき台と名づけられておりますが,ここに掲げられております。主なものだけ見ましても,指導者の質をどう担保するのか,つまり教育的資質・能力をどう担保していくのか,あるいは技術指導のいわゆる力量をどう担保していくのか,また量が決定的に不足をしています。この指導者の量をどのように確保するのかという課題もあります。運営団体や実施主体の体制をどのように構築し,発展させていくのかということも大きな課題であると思っています。
他方で,大会の在り方,これ今日の会議で,中体連から県またぎや市町村またぎの情報が提供されておりますけれども,こういった問題も含めて大会をどのようにしていくのかということも大きな問題であり課題と思っています。地域クラブを維持していく上での公的支援と受益者負担のバランスをどう取っていくのか,これは財源の問題でもあります。加えて,困窮家庭のお子さんの支援だとか,あるいは障害のある生徒の地域での受入れをどうしていくのかという問題,さらにこれも今まで検討する機会がありませんでしたが,次期学習指導要領の部活の記載をどうするのかというものまで,実に多岐にわたっていると思っています。
委員の皆様は,それぞれの領域のエキスパートですので,この会議を通して様々なアイデアを出し合って,少しでも部活の地域連携,地域移行が前進していくように御協力をいただければと思っております。どうぞよろしくお願いしたいと思います。
続きまして,事務局から委員の出席の状況と配付資料の確認をお願いします。
【鴨志田補佐】 ありがとうございます。それでは,事務局より出席状況等説明をさせていただきます。
本日は,17名の委員に御出席をいただいております。ありがとうございます。また,資料1として,ワーキンググループの設置要綱と名簿をお配りしております。本日の御出席の委員につきましては,お手元の座席表を御覧になっていただければと存じます。
また,本日は会場にいらっしゃる委員の先生方に加えまして,オンラインで5名の委員に御出席いただいております。
なお,稲垣委員,中山委員,渡邊優子委員,こちら3名の委員については御欠席でございます。
また,配付資料は議事次第に記載のとおりでございます。事前にメールでお送りしているものですが,文部科学省ホームページにも掲載しております。
以上です。
【友添主査】 ありがとうございました。
それでは,本日の審議事項に入ります。本日は論点に関する議論,先ほど申し上げましたたたき台をもとに御審議いただければと考えております。議論に先立ちまして,事務局から今回の実行会議あるいはワーキンググループの目的,スケジュール等についての御説明をお願いします。
【鴨志田補佐】 ありがとうございます。それでは, 資料3を御覧ください。1ページ目,この会議の設置目的について記載をしております。急激な少子化が進展する中,子供たちが将来にわたり継続的にスポーツ・文化芸術活動に親しむ機会を確保するためには,学校だけではなく,広く地域全体として希望する活動を主体的に選択できる環境の整備を図ることが非常に重要であり,またそのような環境の中で,多世代が参加,交流したり,またスポーツと文化芸術活動を融合した多様な活動機会を提供すること,体験格差を生まないために,対面とデジタルを最適に組み合わせるなどの新たな手段を活用した取組などを進める必要がございます。
また,質の高い公教育の再生などの観点からも,生徒のスポーツ・文化芸術活動の機会の確保のためには学校と地域が連携,協働していくことが求められており,このことは学校の働き方改革を推進し,学校教育の質の向上につながることも踏まえながら,新たなスポーツ・文化芸術創造と部活動改革を実行するために,公立の中学校の生徒の活動を対象とし,今後の方向性等を検討するために,この実行会議並びに地域スポーツクラブ活動ワーキンググループ,地域文化芸術活動ワーキンググループを文部科学省に設置をいたしました。
また,2ページ目には,検討体制について記載をしております。地域スポーツ・文化芸術創造と部活動改革に関する検討体制といたしましては,先週23日に開催いたしました実行会議に加えまして,本日のワーキンググループ,また同じく地域文化芸術活動に関するワーキンググループ,2つのワーキングの設置をしておりまして,実証事業の取組状況や,課題の整理,解決策の検討,またガイドラインの見直しに向けた論点整理などについて,ぜひ委員の先生方に御議論いただき,御知見賜れればというように考えております。
最後に,3ページ目を御覧ください。こちら実行会議とそれぞれのワーキンググループのスケジュールでございます。実行会議については全部で3回程度の開催,またそれぞれのワーキングについては4回程度の開催を予定しております。また,その中で,中間取りまとめや関係団体へのヒアリングなどを経て,春頃の取りまとめという形で検討を進めていただければと考えています。
スケジュール等については以上です。
【友添主査】 ありがとうございました。
続きまして,事務局から部活動改革の現状などにつきまして説明をお願いします。
【鴨志田補佐】 ありがとうございます。
部活動改革の現状につきまして,資料4を御覧ください。こちらは,令和4年12月にスポーツ庁,文化庁として策定いたしましたガイドラインに関するフォローアップ調査の結果になります。調査項目が多岐にわたりますので,主な調査結果について説明させていただきます。
まず,スライド3を御覧ください。こちらは,部活動改革のための協議会や推進計画の整備状況を示したものです。協議会については,設置予定も含めますと77パーセントと,4分の3以上の自治体のほうで設置済みもしくは設置予定という状況です。
また,右側,まる2は推進計画についてで,予定も含めますと半数以上の51パーセント,こちらが設置済みもしくは設置予定ということになっており,それぞれの割合につきましては,令和5年度よりも増えているという状況です。
続きまして,スライド5を御覧ください。こちらは,休日の部活動の地域連携,地域移行の動向を示したものでございます。令和7年度,令和8年度と地域連携や地域移行を予定している部活動が増加しております。この自治体数の観点で見ると,地域移行に取り組む予定の自治体というのが令和5から令和8年度において,かなり増えているという傾向が見て取れます。
一方,平日の部活動の地域連携,地域移行につきましてはスライド9からスライド12について示しておりまして,スライド9は,先ほどの資料と同じく部活動数で平日の地域連携,地域移行の動向を示したものです。数としてはそれぞれ増えているというところですが,従来の学校部活動の形式で行われるという活動のほうが多いのが現状となっております。
また,地域クラブ活動の課題につきましても,スライド22について示しておりまして,特に割合が多いところを赤囲いで示しておりますが,先ほど主査のほうからお話がございました,指導者の量の確保や,持続可能な収支構造の構築,また保護者,生徒への普及啓発・理解,自治体等や運営団体との連携体制の構築,こういったところが各自治体において課題と認識をされているところです。
続きまして,部活動の地域連携として,部活動指導員に関する資料について御紹介させていただきます。部活動指導員については,スライド27からスライド30について関連のデータを載せておりますが,スライド28を御覧ください。指導員の配置効果としては,技術的な指導の観点が最も回答が多かったところです。次に,教員の在校等時間の減少が多い回答となっておりまして,この2つについてかなり効果が見て取れるという状況です。
スライド34から37につきましては,地域クラブ活動の月会費,またスライド38から44につきましては大会への参加や引率等に関する調査結果を示しておりますので,こちらも御参照いただければと思います。
また,現状につきまして,資料5を御覧ください。先ほどのフォローアップ調査では,全国の自治体を対象として調査いたしましたが,こちらの資料5の調査結果につきましては,令和5年度にスポーツ庁が実施した地域クラブ活動への移行に向けた実証事業の対象地域の自治体に限って行った調査の結果となります。
スライド2を御覧ください。本会議の設置目的にもございますように,生徒が希望する活動に主体的に参加できる環境の整備ということにも関連しておりますが,実際に生徒に対する活動の希望調査をした自治体というのを左側のデータで示しておりまして,約4割の自治体がこういう調査をしていると。加えて,右のグラフのように,こういう調査結果を当該地域の活動に反映して,単に競技・大会志向の活動だけではなく,複数の競技種目を経験できるような活動,多様な地域クラブ活動に取り組む自治体も増えているという状況が見て取れるところです。
続きまして,スライド4を御覧ください。指導者の質の向上に向けた取組について調査をした項目です。日本スポーツ協会の公認スポーツ指導者資格の取得以外にも,独自に指導者研修の実施や指導者の資格創設などの取組を進めている自治体も一定数あることが見て取れます。
続きまして,スライド6ですが,地域クラブ活動における安全面の確保についてどのような取組をしているかということを調べたものです。自治体や地域クラブ活動の運営団体,実施主体のほうで行っている指導者研修,その中で安全対策に関するものを取り込んでいたり,自治体,地域クラブ活動の運営団体,実施主体,またスポーツ協会のほうで設置をしている相談窓口なども活用している自治体も多数見られるという状況です。
続きまして,スライド8を御覧ください。こちらは,活動場所の確保のために実施した取組をまとめているものです。学校教育の目的で公共施設を使う場合は,使用料の減免などの取組がされているところですが,地域クラブ活動を行う場合も学校教育と同様に使用料の減免をしているという自治体が多数見られているという状況です。
次に,スライド12から16のスライドですが,こちらは実証事業における地域クラブ活動に参加した生徒を対象とした調査の結果です。スライド13,15では,子供たちが地域クラブ活動にどういうお考えを持っているのかというところで,満足度や参加意向などについてはかなり肯定的な回答が多いということが見て取れます。
また,同じく保護者に対しても同様の調査をしており,スライド18,21では,先ほどの生徒と同じように,地域クラブ活動の受け止めや意向について聞いておりますが,こちらについても肯定的な回答が多いという状況です。
ただ,スライド20にございますように,こういった休日の部活動の地域移行を進める中で課題に感じていることとしては,平日の学校部活動の指導者との指導方針の連携や活動場所への移動手段などについて課題としてお考えになっている保護者が多いという状況です。
以上雑駁ではございますが,現状について,資料4,資料5について説明させていただきました。
【友添主査】 ありがとうございました。
部活の地域連携,地域移行の現状が非常によく分かるデータだと思います。
続きまして,本日皆様に御審議をいただきたい,先ほど来申し上げております論点案について御説明をお願いします。限られた時間での議論を効率的に行うために,あらかじめ事務局のほうで論点のたたき台を整理いただきましたので,事務局よりこれについて御説明をお願いいたします。
【鴨志田補佐】 資料6を御覧ください。
こちらについては,今主査から御説明していただいたとおり,事務局のほうでまとめさせていただいた論点でして,これまでスポーツ庁,文化庁において,令和3年度,4年度と実践研究を実施してきたこと,また令和5年度における実証事業,こういった取組における自治体の様々な工夫ある取組を踏まえまして,改革推進期間後に新たな地域スポーツ・文化芸術創造と部活動改革をするために必要な論点だと思われるところを整理させていただきました。
個別の論点について簡単に説明をさせていただきますと,まず1ポツ,これまでの取組と今後の対応につきましては,主に各論について整理をしております。例えば1ページ目の(3)のところでございますけれども,地域クラブ活動の在り方についは,地域クラブ活動における教育的意義,また子供の豊かな活動を保障するための対応に加えて,持続可能な形で多様な活動機会の確保をすること,また地域クラブ活動における生徒の自主的な学びを促すためのICTの活用,デジタル動画やオンラインの活用,こういったところについて御議論いただければと考えております。
また,同じく主な論点の各論の一つといたしましては,(4),地域スポーツ・文化芸術推進体制の構築についてでございます。こういった推進体制の構築につきましては,地方公共団体や各団体との関わり方,またコーディネーターの必要性などに加えて,地方公共団体間での連携,首長部局と教育委員会部局との連携,そういった観点でぜひ御議論いただければと考えております。
続きまして,資料6,4ページ目以降につきましては,今後の地域スポーツ・文化芸術創造と部活動改革の進め方として,総論的な観点について整理をしています。例えば,(1)の休日の部活動改革に関する達成目標につきましては,先ほどの資料でデータを説明させていただきましたが,休日の部活動改革に取り組む自治体がかなり増えている中で,次の改革期間についてもさらなる部活動改革をするために,国としてどういう達成目標が必要なのか。また,達成目標の設定に当たっては,部活動改革にさらに時間を有してしまうような地方公共団体もあるかと思いますので,そういった地方公共団体に対する一定の配慮などにつきましてぜひ御議論をいただければと考えています。
また,(2)の平日の部活動改革の取扱いにつきましては,現行ガイドラインにおいて,平日における環境整備についてはできるところから取り組むことが考えられると示しております。こういった平日の部活動改革についても,まだ従来型の部活動が多いという中で,今後この部分の取扱いについてどのように考えるか。ただ一方で,既に平日についても部活動改革に取り組んでいただいている先行自治体もございますので,こういったところに対する支援等についても,ぜひ御議論いただければと考えております。
(3)は,次期の改革期間についてです。現行の改革推進期間のように3年間とするのか,またより中長期的な視点から取組を進めるために,スポーツ基本計画や教育振興基本計画など文部科学省のほかの計画のように5年間にするのが適切なのか,こういったところについて御議論いただければと思います。その際に必要な観点としては,国や地方公共団体における計画の策定や,計画を踏まえた取組の実行,また取組の検証,こういった取組,対応を適切に実施するための期間について御議論いただければと思います。
最後に,今後の支援の在り方については,地域クラブ活動の活動内容の充実を図るとともに,支援対象を明確化するという観点から,地域クラブ活動の一定の基準や要件などについてもぜひ御議論いただければと思います。
以上,代表的な項目について説明いたしましたが,その他の項目も含めまして,委員の先生方からぜひ御知見をいただければと思います。
以上でございます。
【友添主査】 ありがとうございます。
先日23日に実行会議が行われましたが,この折に委員の皆様からいただいた御意見をまとめていただいております。これについても事務局のほうから御説明をお願いします。
【鴨志田補佐】 ありがとうございます。
最後,資料7を御覧いただければと思います。こちらは,8月23日に開催した実行会議において,各委員の先生方からいただいた意見を,先ほどの論点の項目ごとにまとめたものです。項目によっては多数意見をいただいたところや,そのときにはいただけなかったところがございますが,この資料の意見内容も御参照いただきながら,本日のワーキングの中で御意見いただければと思っております。
なお,先日の実行会議において御欠席された益子委員から追加の資料がございました。委員の皆様方には,議場配付という形で資料をお配りしておりますが,資料自体は第1回の実行会議の追加資料という形で文科省のホームページにも掲載しておりますので,ぜひ御参照いただければと存じます。
以上でございます。
【友添主査】 ありがとうございました。
ただいま御説明をいただきました内容や,あるいは議論すべき内容などにつきまして,委員の皆様から,今から自己紹介を含めて,忌憚のない御意見を頂戴できればと思います。
大変恐縮なのですが,本日は多くの委員の方々に御出席をいただいております。お時間の都合もありますので,1人3分程度でお願いをしたいと思います。2分半で一度鈴が入るということになっております。そこでやめろということではなくて,ぼつぼつですよというぐらいのイメージで捉えていただいて結構かと思います。その点お含みおきをいただければと思います。
なお,本日御欠席の稲垣委員,中山委員,渡邊優子委員には,事前に資料で御意見を提出していただいております。お目通しをいただければと思います。資料の8―1から資料8―3としてお配りをしております。そちらのほうを御参照いただければと思います。
それでは,まず対面で御出席の委員の皆様に,駒崎委員から時計回りに回って石川委員まで続けてお話をいただければと思います。その後,オンラインで御参加の池田委員,浦野委員,それから酒井委員,松尾委員に御意見をいただき,最後に金﨑主査代理にお話をいただくという形でお願いできればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【駒崎委員】 それでは,渋谷区立原宿外苑中学校校長の駒崎でございます。よろしくお願いいたします。学校現場代表ということで,今日私のほうからは,先ほどの論点,1の(1),(3)あたりお話できるかなと思います。
渋谷区は,部活動地域移行をモデル校の形で今進めております。全中学校,区内8校あるのですが,そのうち4校がモデル校として動き出している状況です。本校は,一歩踏み出す勇気を持って,一番最初にモデル校に取り組んだ学校ということです。
現状なのですが,現在,運動部活動だけですが,土日だけではなく平日も運営体制が完全にシフトされている状況になっております。具体的には,一般社団法人の渋谷ユナイテッド,今,一般財団法人渋谷区スポーツ協会という形に変わっておりますけれども,この団体が運営に当たっている状況になっております。
具体的に学校でどのようになっているかというところなのですが,技術指導に当たるユナイテッドコーチが各部活動に配置をされております。このコーチの動きを統括するクラブマネジャーも学校に常に来ている状況,そして全体の調整に当たるスーパーバイザーが学校を回っているような状況になっております。一応学校登録という形で大会等にも参加しておりますので,顧問教員も配置している状況であります。コーチとの連携をしながら進めているという状況です。
最初の論点1,(1)の成果と課題なのですけれども,まず成果,子供の変容として,運動部活動への入部者数が劇的に増えています。倍近くになっておりますので,やっぱり専門家が指導に入っているというところで魅力的な部活動になってきているのかなと。イコール保護者との連携というところでも,保護者にこの取組というのが周知できているのかなというところで捉えております。
それから,競技力についても本当に驚くべき成果が出てきておりまして,これまでど素人の教員が顧問をやっていたという状況から,完全な専門家が入ってきていますので,明確に練習の状況が変わってきています。この夏には,陸上競技部が全国中学校体育大会出場しました。単に出場だけではなくて,男子100メートルと4×100メートルで東京都新記録をひっ提げて全国中学校体育大会に出られたという状況が生まれています。これは,まさに成果だと思っています。専門家が入ってというところで動き出したというところです。
それから,教員の負担減に関しても顕著なところ,本当にゆとりが出てきたなというところです。教員の表情が変わってきています。土日に丸々部活やって,本当につらい表情で月曜日に来るというのがなくなりましたので,今,授業改革に取り組んでいるのですけれども,そちらの教育面での充実ということが,とても広がってきています。
時間がなくなってきてしまいましたので,課題のほうなのですが,やってみると課題はたくさん出てきます。一つ一つ渋谷区,それから教育委員会事務局と連携をしながら課題解決を進めているというところです。
よく聞かれるのが,教員とコーチのコミュニケーションの部分なのですけれども,ここら辺に関しては,職員室と同じフロアにこのスタッフの部屋を設けたのですけれども,学校の職員として組織に入ってもらうことで,とてもいいコミュニケーションが生まれています。全然問題なく動いているような状況になっています。
最後にもう一つ,(3)のクラブ活動の在り方についてというところで,私自身,文部科学省の学校DX戦略アドバイザーの活動をさせていただいております。今子供たちは,GIGA端末1人1台持って,この端末を使いこなすことも十分にできております。それ以上に,子供たちは今スマホを持って,教員よりも情報機器を扱うのがうまくなっておりますので,こういったネットワークを使うともっと面白いことがたくさん起こるのではないかなと思っています。
専門家,本物の意見をいただいて,こういった活動が広がっていくと,とても面白いことが起こるのではないかなというところを感じているところです。
ちょっと時間オーバーしました。よろしくお願いします。以上です。
【友添主査】 ありがとうございました。
では,続いてお願いします。
【新宮領委員】 失礼いたします。公益財団法人日本中学校体育連盟専務理事の新宮領と申します。よろしくお願いいたします。
私のほうは,参考資料の6,一番最後の2枚というところで御覧いただきたいと思います。日本中体連といたしましては,大会の運営の在り方ということで取り組んでまいりました。そのデータとして,これまだ昨年度の,令和5年度の地域クラブがどれぐらい全国中学校体育大会に参加したのかという数値でございます。御覧のような数値になっておりまして,チームスポーツのところでもほとんど,昨年度はハンドボールの男子のハンドボール,女子のハンドボール,チームスポーツのところ,バレーボール,男子のバレーボール,女子のバレーボール,男子のソフトテニス,この辺は個人競技になってまいりますので,あとソフトボールの男子のソフトボールと女子のソフトボールに参加のところがございます。
今年,少し私も陸上のほうを担当しておりましたので,陸上のほうがどうなったのかと申しますと,昨年度はこの数字を御覧いただきますと,チーム参加数というのはリレーということになります。4×100,47都道府県と開催地域の1チーム,48チーム中,昨年度はクラブチームの参加はございませんでした。女子は1チームのみということになります。昨年度の個人参加については,総数888の男子について,26名が個人クラブチームとして参加したということでございます。そして,女子のほうは15名の参加を見たということになります。
さて,今年になりましたけれども,今年の福井県で行われました全国中学校体育大会におきましては,チーム数は2チームということでございます。個人参加が66名と増えております。女子のリレーの参加チームも3チーム,そして個人参加が40名というふうに増えております。
こういった数字を御覧いただいたときに,なぜクラブチームがこれだけしかいないのかということになるのですけれども,大きな課題は,学校で参加すると都道府県のそれぞれの補助が下りるということになります。交通費,旅費,少なくとも3分の1。全額出している都道府県もございます。というようなことで,クラブでも出たいのだけれども,補助がまだ出ていないというようなことで,少しクラブチームから出るのはやめよう,学校で出ようというような課題があるということになります。
もう一点,次のページ,最終ページになりますけれども,先ほど座長の友添先生のほうからお話いただきましたが,まだぎの件になります。都道府県のまたぎになります。現在北海道,関東,北信越,この3つの地域においては県またぎは許可しておりますが,ほかのブロックについては県またぎは許可していないという状況になっております。今後その辺につきましては,この規制緩和につきましてはスポーツ庁のほうからも御指導いただきまして,私どもの会長名で各都道府県のほうに,中体連のほうに,県またぎ等を許可するようにというようなことで伝えているところでございます。そのようなことで,今後もさらに令和9年から大会の在り方も変わってまいりますので,そういったことでまた進めてまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
以上です。
【友添主査】 ありがとうございました。
続いてお願いします。
【星川委員】 私ソフトバンク株式会社サービス企画本部の星川と申します。よろしくお願いいたします。
私は,「3のICTの活用やデジタル部活動」このパートかと思います。私どもは,今スマホ一つで,いろんな競技を先生に教わることなく,自分自身である程度技術が学べる「AIスマートコーチ」というサービスを2年前に開始。3年目になるのですけれども,実際に使っていただきながら今推進を進めております。
1つ,ICTというか,デジタルが部活動でつかえるものなのか?と,そこから入るかなと思います。私がやっているからかもしれませんが,「できる」と思います。駒崎委員のお話でもちょっとそんなような振りもありましたが。私は学校出身というのではなく,企業で20年ずっと来て,実はこの2年前からこの教育界,部活動界に入りました。ルーツとしてはスポーツやっていたのですけれども,ずっと離れました。この機会で,部活動でICTを使うサービスを推進しているのですが,子供たちは我々が思っている以上にデジタルの機器をすごく使いこなすのです。使い方どうしようと言っていたのですけれども,2年前の例ですけれども,「では皆さん集まって,これやってください」と,使い方覚えるかなと思って子供たちに渡し,先生たちに「使い方ってこうなのですよ」と説明しはじめると,これは大げさですけれども,電源の入れ方からと基本から入っていって,教えている間に,子供たちは説明をすることなう我々が教えたいこと以上に勝手に使いこなしていました。これが僕の最初の体験であり,これが真髄かなと思いまして,子供たちにこのデジタルを使わせることはすごく有意義だなと思って,進めております。
我々は,子供達が今自主的に進められること,それによって先生から教わる必要がありません。指導者の軽減であったりもできると思います。私はそれよりも,自分自身で実は何が違っているかなというのを気づくことができるのです。教えてもらうのではなくて,自分で気づけるようなサービスをデジタルで定義することによって,自主性だったり自分で探求する,何か課題を解決するというよりは,新しい学びを教えられることができているのではないかなというふうに思います。
要望というよりは,もうこれチャンスだと思うのですけれども,先ほどありましたこういうものにはデジタルの機器が必要なのですけれども,日本にはGIGAスクール端末という物すごく有益な財産があります。これがなぜ運動で使われないの,部活動で使われないのか物すごく不思議で,これを少し突破するだけで一気に行くのではないかなというふうに私は思っております。
以上でございます。
【友添主査】 ありがとうございます。
続きまして,よろしくお願いします。
【三上委員】 皆さんこんにちは。日本パラスポーツ協会の三上でございます。
まず,このワーキングにおきまして,障害のある子供たちについても検討いただけるということで,こういう場をつくっていただきまして,本当にありがとうございます。論点の1の13でも,特別支援学校等における部活動改革ということで項目出しをしていただいております。特に障害のある生徒が学校を含めた地域においてスポーツ・文化芸術活動に参加するに当たって,体制整備等で考慮する特有の事情はあるかということ,ここが本当に課題になるかと考えております。私は,学校の教員ではありませんので,部活動についてはあまり詳しくはないのですが,障害といってもいわゆる視覚障害,耳の不自由な聴覚障害,あとは肢体不自由の子供たち,知的障害,病弱と,いろいろな学校種があります。その中で,部活動も様々な形がございます。全国大会があるような部活動もありますし,シーズンによっていろんな スポーツをやる,球技部みたいな部活動もあるというふうに聞いております。いわゆる一般校の障害のない子供たちの部活動と障害のある子供たちの部活動,若干違うところが,環境の違いがあるかなというふうにも考えておりますので,今後地域活動に移していくときに何らかの新しい課題というのが出てくるかなと。それを解消していかなければいけないなというふうには考えております。
仮に学校施設を使って,土日に外部の先生方がスポーツを教えていただくという環境の中でも,その日はスクールバスがなければ,どうしても親御さんが車で送迎をしなければいけないという課題,これはもう障害のないお子さんも同じかもしれませんが,障害のあるお子様,特にそういう事情がございますし,地域スポーツクラブでの障害のあるお子さんの受入れとか,いわゆる競技団体,中央競技団体,NFさんパラスポーツもあるのですが,地域レベルの都道府県競技団体,いわゆるPFってほとんどございませんので,地域でのスポーツを教える環境をどうしていくかということ,またいわゆる公認のパラスポーツ指導員,まだまだ2万7,000人しかいらっしゃいませんので,その数を増やしていく,また力量も高めていくことが必要でございます。御自身がスポーツ指導をやったことがない方々も我々の資格は取れますので,そういう方々をどうやって指導まで高めていくかということも課題になってくるかと思いますし,いわゆる障害者スポーツセンターというものが全部の県にはないのですが,一部ございます。そういうところは,今でも授業の後に子供たちが通ってスポーツを楽しむ,土日も朝から来て楽しんでいるという環境があります。そういう障害者スポーツセンターの充実というのもこの地域でのスポーツ活動への一つの大事な要素になるかなというふうに考えております。
以上でございます。ありがとうございました。
【友添主査】 続いてお願いします。
【山本委員】 日本バスケットボール協会育成テクニカル推進シニアマネージャーの山本です。よろしくお願いします。
バスケットボール界の現状の声でありますが,まだまだ多くの混乱があります。というのは,例えば地域クラブ化を進める,これは部活動がなくなるというところの自治体の場所,もう一方は部活動があるという,そういう中で地域の方々に入っていただきながらやると。この2つがまだまだ混乱をしているという形になっているというところです。
論点として,JBAで行ってきた取組の成果,課題,解決策というところでちょっとお話をいたします。主な取組としまして,運動部活動地域移行検討委員会というところの特別委員会を設置いたしました。また,競技会委員会においてU15世代の競技環境の検討を具体的に行っています。また,都道府県協会47ありますが,そこに向けて実施したアンケートがあります。それに基づいたお話です。
成果といたしまして,都道府県協会に対して課題,認識が深まってきています。
2つ目に,登録制度の整理が必要だということが上がってきております。都道府県において,対応はまだまだ進んでいないということが現状明らかになっております。
課題といたしまして競技環境の未整備,これは二重活動というのはサッカーとは違って,まだクラブと部活と,Bユースというプロクラブのユースチームがありますけれども,この辺の登録区分けができていないという現状がありますので,現場では混乱をしていると。整備ができない。これは,どこのチームの生徒なのだと,どこの選手なのだというのが分からないというようなことが起こっています。同時に,それが登録,移籍の問題です。
3つ目が,中体連加盟チームのJBA未登録,これは管理ができないことにつながっています。
4つ目が,そのチームが運営をしていく,特にクラブチームなんかそうなのですけれども,いろんな問題が寄せられます。もめごとです。お金の処理が不透明であるとか保護者間のもめごととかも上がってきたりします。こういったところの運営基本指針の管理というものの整備が必要だろうと。これが未整備であると。学校の場合は,校長先生,教頭先生が管理をしながら部活動を見ていくというところでありますが,クラブチームはそこがないという現状であります。
また,部活動地域移行への具体的な方策の,理解がばらばらであるということは先ほど申し上げましたが,地域移行のクラブの定義が地域ごとに違うので,なかなか難しいという現状です。バスケットボールにおいて,やはり学校単位を外すということは様々な問題が発生する,これは町クラブと区別がつかないということになって,先ほど申し上げた登録の問題になってきます。移籍の問題もしかりです。そういったことと,今回地域移行クラブを認めるところがある都道府県で問題が出ました。それは,認める部署が都道府県中体連細則では決められているのですが,これが市区町村の教育委員会が決めたり,校長先生が認めるといったものを覆すことが難しく,上位大会まで上がってきているという現状,この辺を整理しなければいけないということが上がっている現状です。
推進体制の構築というところで,大きな競技団体は担えるのですけれども,小さな競技団体は心配だと。これは人の心配なのですけれども,そういったことで,小さくなっていく競技があるのはスポーツ界の縮小につながるという話も出ているということ。
都道府県の役割としてお願いしたいと言っていることは,U15世代に会場管理というもの,これは一般の方も体育館使いたいといって,申し込みが来るわけですけれども,これをしっかり整理するという部署がどこがやるのかというのが非常に大切だというところ。財源サポートは,当然無限にはあるわけではない。有限的なものなので,これはお金を払ってやっぱりやるものですよという意識を保護者の皆さんにも伝えていかなければいけないのではないかということでした。
あとは,実施主体というところでは,我々バスケットボールでは都道府県協会の中にU15部会という部署を設置して,これに対して対応するという部署はあります。これで管理組織をつくって大会運営等をやっていく。問題は,今までの問題はクラブチームの方々は運営に携わってこなかった。要するに教員の方々が運営してくるところに,試合だけしてきたということが多くあります。この意識を変えなければいけないということが現実の課題として,すごく大きな声として上がってきています。
以上でございます。
【友添主査】 続いてお願いします。
【渡邉委員】 よろしくお願いします。長野県南佐久郡佐久穂町教育長の渡邉秀二と申します。
南佐久郡は,佐久穂町を含む6町村から構成され,小さな4つの公立中学校があり,生徒数は4中合わせて500人程度であります。このような中,入りたい部活動がない,人数が少なくて大会に参加できない,来年は休部か廃部になりそうだという実態があり,これを解決することが急務でした。そこで,部活の存続のために,郡の教育長会や校長会で検討を進め,休日の合同部活の練習を地域クラブの活動として同時進行することができないのかということで検討してきました。R5年4月に南佐久郡中学校部活動運営委員会を設置し,コーディネーターを置いて移行の推進に当たっています。
必要となる予算については,郡内6町村の負担金から成っています。昨年度ですけれども,夏の大会に向けて6つの合同部活動で休日における地域クラブ移行を始めました。中には,団体戦として初めて参加できた部活だとか,県大会まで駒を進めた部活もあり,大健闘でした。新人戦では,さらに2つ増えて8部活で活動できました。本年度も同規模で活動しています。
成果は,何といっても生徒のやりたいスポーツのできる環境ができたということだと思います。アンケートを取ったときに,小学校6年生の中に,入りたい部活はないから部活動をやらないという子供たちが一定数いたのですが,その子たちが中学校1年生になったときにアンケート取ったら,部活動をやらないという数が減っていました。集団で行う部活動にその分は振り分けられて,そこが増えていました。
(2)の複数自治体の連携に当たってなのですが,私たち南佐久郡の場合は町村に1つしかない中学校同士の合同部活を進めているので,必然的に複数自治体の連携による運営になります。それが進められたのは,中学校の部活動の現場の危機を各町村長や教育委員会と共有できたことにあります。各町村の首長からは,気持ちよくお金を出していただきました。また運営委員会の委員でもあり,現場に精通する4中学校の校長先生方から大きな力をいただきました。その都度運営委員会長とコーディネーターと4中学校長との会議を開き,施策を講じてきました。これは,現在も月1回ペースで続いていて,南佐久郡の取組の推進力になっています。
(9)の移動手段については,JR小海線の駅のそばに各学校や施設があるので,できるだけ時刻表にそれに合わせた練習時間にしています。本年度,平日の合同部活を5回試行する予定でいて,今3回行っているのですが,それにはちょっと小海線の時間が合わないので,町村のバスだとかバス会社のバスを使っています。平日の部活動は,広域にわたり移動に時間がかかってしまうので,まず4中学校の年間の暦をそろえました。テストがばらばらにならないようにとか,文化祭がばらばらにならないようにとか,それから5時間目が終わる時間をきちんとして,そこからバスが動けるようにして,今3回行って,非常にうまくいっているかなと思います。
課題なのですけれども,先ほどから出ていますけれども,移動手段や時間,練習の回数や指導者の確保,活動費の確保等があります。特に南佐久郡にはスポーツクラブがなくて,クラブ費用を払うという文化がないので,保護者負担への理解は段階的に慎重に進める必要があると思います。それから,平日の移行を考えると,保護者の経験による部活動,つまり毎日何時間もやるという部活動ですね。これからのスポーツ文化や地域スポーツコミュニティとしての地域クラブ活動の考え方と大きな乖離があり,その考え方の違いを埋めていくことも課題だなと思っています。
以上です。
【友添主査】 ありがとうございました。
それでは,金沢委員,お願いします。
【金沢委員】 日本スポーツ協会の事務局長代理の金沢と申します。よろしくお願いいたします。
私ども日本スポーツ協会は,国民スポーツ大会の開催など諸事業を行っておりますけれども,まさにこの部活動に関わるところとしましてスポーツ少年団,それから総合型地域スポーツクラブといった地域のスポーツ活動の受け皿となる組織・団体の育成,それから適切な指導能力を身につけたスポーツ指導者の育成などを通じまして,取り組んでおります。
それでは,早速いただいた論点に関する意見を幾つか述べさせていただきます。まず,1のこれまでの取組と今後の対応のところで,(5)の地域クラブ活動を担う運営団体,実施主体の体制についてですが,総合型地域スポーツクラブの観点では,総合型地域スポーツクラブの登録制度を現在進めております。行政には,この登録制度により一定の質が担保されている登録クラブを部活動の検討会議のメンバーですとか運営団体・実施主体として活用してもらえると,担い手の確保が今後進んでいくのではないかというふうに考えております。
また,運営団体を担う資質を備えた登録クラブを認証する仕組みとして総合型地域スポーツクラブの認証制度の構築に取り組んでおり,「部活動・学校連携タイプ」の制度を検討中です。このタイプに認証された総合型地域スポーツクラブは、地域クラブ活動の中心的な存在として,指導体制整備に寄与できると考えております。
一方で,スポーツ少年団の観点でいきますと,スポーツ少年団をより信頼に足る組織として整備すべく,今年度から指導者登録の要件として,私どものJSPO公認スポーツ指導者資格の保有を指導者には義務づけたり,各単位団のガバナンスコードの公表状況といったものも調査するといった取組を行っておりますが,運営団体・実施主体を担うにはこのような取組が必要ではないかと考えております。
次に,(6)の指導者の質と量についてですが,スポーツ指導者については量の確保が課題として挙がっております。先ほどの調査結果からも質の確保よりも量の確保が求められているかと思います。しかし,やはり子供や保護者の安全・安心の確保はこれまでも重要視されてきたことであり,しっかりと学習して,知識,技能を身につけた指導者が不可欠であると考えております。
なお,受講日数の長さから資格を取得しづらいという指摘がありますが,JSPOとしてはスタートコーチまたはスポーツコーチングリーダーなど,基礎的な内容を1日で学習できる資格やオンラインのみで資格取得できる資格も設定しております。こういった形で講習形態の多様化も図っております。
(10)の大会の在り方の見直しについてですが,令和5年度に中央競技団体を対象に行ったアンケートでは,志向や技能に応じた大会の開催など,既に幾つかの団体では幅広い対象に向けた大会の開催に取り組んでいる,または開催を検討しているということを確認しております。日頃の練習の成果を発揮する機会や競技の楽しさに触れる大切な機会である大会の開催を,引き続き中央競技団体をはじめ,都道府県・市区町村競技団体が積極的に取り組んでいただけることを期待しておりますし,併せて行政の支援も期待したいと考えております。
最後,2の今後についてです。(4)今後の支援の在り方について,ここも総合型地域スポーツクラブの観点で,冒頭に申し上げました認証制度の「部活動・学校連携タイプ」では,地域クラブ活動移行の重要なポイントとなるガイドラインの遵守など,活動の質,活動の継続性,連絡・連携体制,保険への加入など,リスクマネジメントに関する基準の設定を検討しております。子供や保護者,学校等と新たな地域クラブ活動環境を築いていくためには,登録制度や認証制度のこの基準や要件が参考になるのではないかというふうに考えております。
以上です。
【友添主査】 続いてお願いします。
【影山委員】 日本サッカー協会の技術委員長をしております影山と申します。よろしくお願いいたします。
我々サッカー協会は,大胆にも2050年までにワールドカップのチャンピオンになりたいという目標を掲げているのですけれども,そこに向かって,2年前にジャパンズウェイという我々日本サッカーが進むべき道というものを発信いたしました。ぜひジャパンズウェイで調べると出てきますので,御覧になっていただけると幸いです。
その中で,世界の我々先進国だと思われる国々を分析したところ,強化育成だけでは世界一になれないということが分かりました。日常の中でどれだけの子供たちがサッカーを,男子も女子も楽しんでいるか,そんな環境をつくれるかどうかが大きな鍵になるということでして,我々としては今回の部活動の地域移行は,そういった未来に向かって絶好の機会である,チャンスであるというふうに捉えています。
そんな中で,我々の2つの目標としては,すごくシンプルなのですけれども,やりたい子供たちがやれる環境,それから教えたい指導者が教えられる環境,この2つです。そういった意味では,我々47都道府県にFA,フットボールアソシエーション,サッカー協会があるのですけれども,難しさは当然あるのですけれども,それぞれに環境に合った形でどうやってこの2つを達成できるかということに対してアクションを起こしてくださっている指導者の方々が非常に多いNFの中の一つであるというふうに認識をしています。
垣根を取り去ること,3種年代と我々言うのですけれども,U15の中学生年代では現在中体連,学校のほうでプレーしている子供たちと,それからクラブ,サッカーではリーグ戦が発達しておりますので,そちらでクラブでプレーする選手の数はフィフティー・フィフティーになってきています。そういう意味では,部活動だけではなくてクラブでもという,これは進んではいるのですけれども,実は都会において公立中学の学校のチームがプレーしているのは新人戦の1回戦で負け,それから全国中学校体育大会の1回戦で負け,公式戦は2試合で終わってしまうという子供が実は多いのです。ですので,我々としてはさらに近場で負担のかからない中でリーグ戦を楽しんでもらう,年間6試合でも10試合でも構わないです。そういった日常がある世の中,いわゆるゆるゆるリーグをどのように広めていくかというのが現在の課題になっています。
指導者の確保は,我々サッカー界では進んでいるほうだと思います。昨年からC級,D級は15歳から,高校生から取れるように変更しました。ですので,高校生のお兄ちゃんコーチが中学生に教える,そんな状況が増えてくるといいなと思います。
様々活動はしているのですけれども,一NFとしての限界も感じています。ですので,さらに子供たちがサッカーを楽しんで,そして教えることができる指導者が増える,そんな日本になっていくといいなと思っています。
以上です。
【友添主査】 続いてお願いします。
【磯貝委員】 日本陸上競技連盟強化部の磯貝と申します。よろしくお願いいたします。
陸上については,過去より学校部活動の設置率も非常に高く,学校部活動に支えられて,部活動の発展とともに広がってきた競技種目です。そんな中でのこの部活動の地域移行ということで,やはり様々な課題,問題が出てきている状況です。実際に地域のクラブチームもたくさんできておりますし,年々増えてきているという状況もありますので,よい面もたくさんあるのですけが,やはり今ほかの方々がおっしゃっていたことも含めて,たくさんの課題があるというところです。陸上競技の場合は子ども達も含めとても幅広い方が様々な環境で行っているという状況もありますので,地域による違いや差なども大きくなっています。陸連では,地域の方々との連絡協議会を行って,情報や意見をいただいたり,また,陸連の中では部活動地域移行に対するプロジェクトを立ち上げて,中学校の先生,管理職,現場の先生, それから高校の先生,また地域クラブの方々というような様々な方をメンバーとして協議を行っている最中です。まだ始まったばかりで,結論まで至ってはいないのですが,そういった中でもやはり地域によっての差が非常に大きいと感じています。
実証事業を行っているところについては,やはりいい結果が出ているのですが,それが本当に全ての地域,全ての場所において成立していくのか。いかない部分も大きいのではなかろうかというような問題もありますので,情報収集,そして私たちとしてはそれら情報の中で,各地に還元できるような内容を整理し,還元していきたいと思っています。
具体的には,指導者問題,活動場所の問題,それから大会における競技運営,これは教員が審判をしてきたという歴史もありますので,その3つが非常に大きな課題として挙げられています。日本陸連ではその中の指導者養成に関しては2019年から特に注力しており,この地域移行に伴って,その養成をさらに加速するというような形です。先ほど日本スポーツ協会のほうからもお話がありましたように,日本スポーツ協会と連動した指導者養成を行っており,非常に力を入れています。
日常の活動場所が確保できないという声をたくさん聞いております。学校での部活動ができなくなり,それをクラブが請け負って,地域が請け負って行う際に,学校の校庭を使わせてもらえないのだろうかということなども含めて,例えば陸上競技場や公園なども使えなかったりする状況も多々聞いておりますので,この活動場所の問題については,喫緊の問題,課題として捉え,私たちのほうから地域,自治体,省庁などにお申出を上げていく。今回のプロジェクトなどでも皆さんの御意見をいただきながら,活動場所,活動環境をどうやって確保していくのかというところを皆さんと一緒に声を上げていけたらと考えております。
3つ出させていただいた中の競技運営という点も,私たちの競技団体としては協議会のやり方,在り方,それから教員の方々のご活躍・ご協力をどのように,地域移行,地域連携という形で,日常の活動と併せてうまく連携をしながら,効率よく進められるかを考えて行っていきたいと思っているところです。
時間長くなってしまいました。途中にはなってしまうのですが,以上でございます。
【友添主査】 では,続いてお願いします。
【石塚委員】 ありがとうございます。スポーツデータバンクの石塚でございます。よろしくお願いいたします。
私は,現在自治体向けに部活動の地域連携や地域移行における制度設計などの支援をさせていただいている立場でございます。さらには,令和5年度より沖縄県の部活動の地域移行総括コーディネーターを務めておりまして,今年度は沖縄県に加え,北海道,山形,徳島など多数の地域の地域移行に関するアドバイザー等を務めさせていただいております。今日は,そんな立場で各地域の皆さんの声を聞く中で,今後地域移行を進めていく上での必要な要素について,2点コメントさせていただければと思います。
まず,1点目ですけれども,この地域クラブの活動の推進状況によって,その活動の状況の段階に応じた支援策の構築というのが具体的に必要になってくる段階がこの後あるのかなというふうに思っております。具体的には,改革推進期間が2年目に入りまして,各地域では地域の特性や実情に合わせた実証や検討がなされていると思いますが,他の地域に参考になるような事例が多数出ている中で,こうした地域では次のステップの課題を抱えているなんていうことをよく伺います。その多くが,例えば自走化,自立化する上での財源の確保ですとか,特に施設の管理や活用方法,地域クラブの認証制度の構築,コンセプトやビジョンなど,さらには地域住民への理解促進,協力体制などの構築が挙がると思います。こうした地域では,次のステップに進むために,より具体的な目的を特化した支援メニューを示すことで, その部分に資するような使い勝手のいいような形を取っていけるといいのではないかなというふうに思っています。この具体的な解決事例の手法の部分にも着目して,どういった形でその解決がなされていたというプロセスも共有できるといいのではないかなというふうに考えております。
一方,様々な状況によって,推進がなかなか難しい地域でもあるのも事実かと思います。そういった地域では,まず何から始めるべきか,また地域クラブと部活動の考え方の整理など,一歩目を踏み出す団体での課題を伺います。このような場合では,生徒,保護者,先生方,指導団体なども含めた実態調査の実施を行うということは現状の把握につながると思いますが,その際には特に5年後や10年後,少子化が進んでいく中で,地域ごとのみならず,校区ごとの人口推移など,そういったものを鑑みる必要があるかと思いますし,一部こういったものはフォーマット化できるというふうに考えております。
それを踏まえて,2点目でございますが,地域移行を推進する上で必要な要素である部分が人材の確保や財源の確保もありますけれども,先ほど申し上げた活動場所やその施設の管理について少し言及したいと思います。以前スポーツ庁の学校体育施設の有効活用促進事業や経済産業省の未来の部活事業などを活用して,施設の管理に関する実証,検証を行ってまいりました。地域移行の動きとしては,体育施設を活用することが大半ではあると思いますが,なかなか学校関係者が不在になるところでの鍵の管理や安全面の考慮というところに不安が残ると伺います。そういう中では,ICTの導入をしていきながら,一つは実際の鍵を活用せずに,スマートフォンを活用したロックの解除ができるようなスマートロックの設置や活動場所の安心安全を担保する,特に施設の破損や備品の紛失など,そういったものを考慮する上でのクラウドカメラの設置ですとか,こういったICTの活用というのも重要になってくるかなというふうに思います。学校の先生方の負担にもあるように,施設の調整ですとか利用予約のような部分もありますので,こういったことをスマート化したり予約システムを導入することによって,運営全体の管理やコストを削減できるという点もあるというふうに思っております。
このような形で,この流れを加速するためには,学校施設の管理手法の見直しですとか指定管理制度の導入や運営管理の外部委託など,こんなところも検討していけるといいのではないのかなというふうに考えております。今後将来的には,地域クラブの運営の部分でもICTを活用することによって,運営全体が簡素化できる部分も大いにあるというふうに思っています。
最後に,活動拠点についても,学校体育施設以外にも使える場所はあるというふうに思っていまして,社会体育施設も同様かと思いますが,例えば運営主体になり得る団体が保有している施設ですとか,民間の施設というところも検討の材料になるのではないかなというふうに思っております。民間施設ですと,施設料の課題などが出てくると思いますけれども,この辺に関しては経済団体等,企業との連携によって様々な解決策を用いて,モデルをつくることによって可能性は大いに今後も秘めているのではないかなというふうに考えております。
私からは以上でございます。
【友添主査】 ありがとうございました。
続いてお願いします。
【石川委員】 お願いいたします。新潟県長岡市の学校教育課の部活動地域移行室の石川と申します。よろしくお願いします。
当市は重点地域にも指定していただいているのですけれども,まだ部活動地域移行自体の正式なスタートは来年9月に一斉に全て,文化も含めて実施する計画を練っているところでございますが,これまでの取組の中で,幾つかの成果と考えられる点であったり,課題を含め,コーディネーターとして様々な都道府県を回らせていただいてはいるのですが,本日は自分のところの状況をお伝えしたいというふうに思っております。
とはいっても,やはり自治体によってできることというのは様々限られた資源の中でしかできないという現状がありますので,どうやっていろんな市町村と,隣の隣接する市町村と情報交換しても,なかなか制度の違いの中で,子供たちがその隣接する地域と一緒になってやっ ていくということの難しさもちょっと感じているところでありますけれども,当市では令和3年からこのような検討を進めた中で,現時点でニーズに応じた制度設計を様々な立場の御意見をいただきながらできたかなというふうに思っております。
具体的には,部活動が求める教育的意義を継承した地域クラブだけでなく,もっと上へと目指したい子たちのための活動を,これは競技団体と連携した別の形での組織をするということ,あるいは学校単位でない中で,地域の方を巻き込むような形の中でやりたい種目ができるだけではなくて,幾つかの種目も体験できる制度というものを今制度設計としてできたのではないかなというふうに考えております。
その中の課題として,今後地域クラブ化を進めていく中で,やはり一番の課題になっているのは,これは多くの自治体が同様だと思うのですけれども,次期学習指導要領の中における部活動の扱い,これによって平日の進め方も含めて,最終的に見える姿がはっきりするということが自治体として取り組むためには非常に大きな課題というか,必要な要素になってくるというふうに考えております。
また,活動を実施する上においては,やはり様々なニーズが一つのクラブに応じて,親御さんにニーズとか指導者のニーズがありますけれども,ぜひ中学生にとってのスポーツがどういう姿であるべきかということのPRというものがやはり全国的になされていかないと,それぞれの思惑で,大人の思惑で子供たちが結局いろんな方向に動かせるというふうなことのないようにしていくことが必要でないかなというふうに思っています。
当市のほうとしての特有の課題にもなるかもしれませんけれども,冬場だったりの自転車が使えないとか,特に雪国なんか多くあるのですけれども,やはり移動に関係するところの支援,方策というのは非常に大きな課題があると思っています。
また,環境推進体制として,長岡市は部活等地域移行室というものを学校教育課の中に設置しておりますけれども,この地域移行室というのがスポーツ推進課と文化振興課と全て併任を含めた6名体制で,いわゆる行政の壁と言われるものをなくして,一緒になって進めていこうという体制ができていることは非常に大きいかなと思っておりますし,プラススポーツだけではなくて,文化も学校に取ってみると同じような課題を抱えているので,同時に進めるために,市と教育委員会とスポーツ協会,それから芸術文化振興財団というのがございますが,そちらで4者協定を結んだ中で,1つの運営団体が全ての事務的な作業を担うということで,スポーツ協会のほうが総合的な運営主体をすることによって,全ての種目の参加費の統一,指導者の謝金を全ての地域クラブの統一,そしてガバナンスを統一していくというふうな体制を講じていくと。こういったところが現在取り組んでおり,課題でもあり,制度でもある,今後のポイントになってくるかなと思っております。
以上です。
【友添主査】 ありがとうございました。
それでは,オンラインで御参加をいただいている池田委員,浦野委員,酒井委員,松尾委員の順番でお願いします。
【池田委員】 池田でございます。大学スポーツ協会,UNIVASで専務理事を務めさせていただいております。
ここ2年間,UNIVASですけれども,まず今回の取組自体が地域の実情を踏まえた地域ならではの推進ということになっておりますので,まずは先行して走っている大学の事例の見える化を図ろうというようなこともございます。スポーツ庁から事業を受託をいたしまして,地域振興モデルというものをつくる中で,いかにこの地域の部活動の移行に大学が絡めるのかというモデル事業も展開をしてきております。
特に本年度は大学生指導員の養成・確保にする実証事業というテーマで,6大学程度ですが,今モデルを推進しているというところもございます。また,本年度の当初,大学及び大学生において,どのように運動部の地域移行活動に取り組んでいるのかという実態調査というところも図って,課題の抽出を行ってきているというところであります。
論点の5のところになりますが,運営団体,実施主体の体制というところに関してコメントさせていただきますと,私どもで調べた大学の取組ということでいけば,既に何かしらの形で本地域移行に取り組んでいるという大学がほぼ3分の1です。3分の1はもう走り出しているというところもございますが,3分の2がまだ進んでいないというようなところもあったりして,課題を掘り下げていきますと大きくは2点あります。1つは,やはり情報不足ということでありまして,地域ならではの,地域独自の取組というところから,その地域における実施主体者,それから取組条件といったところの情報が不明確であるということであって,なかなかマッチングがうまくいっていないというようなところの課題があります。
それから,もう一つが大学の内的な体制における新たなリソース確保ということです。学生を集めて送り出すという機能というところを大学として図らなければいけないというところのリソース配分がまだ十分にできていないといったような点が課題として挙げられております。やはり地域の取組の中で大学の役割を明確にし,連携体制をきっちりつくっていくと。この仕組み化を図るということが必要であるというふうに感じるところもあります。
それから,6番の指導者の質と量の確保といったところに関しましてですが,大学生にアンケート調査をした結果でいきますと,部活動の指導に興味があるというポジティブな学生が約45パーセント,ほぼ半分ぐらいいるというところもございます。しかしながら,実際に指導経験があるかということで,あるというふうに答えた学生は6パーセント程度にとどまるというような実態でございました。指導経験がある学生においても,大学1年生,2年生といったところが大半を占めているというような状態でございます。
そのギャップにおける課題というところでいきますと,3点ぐらい挙げられておりまして,1つはまずは時間的な制約,自分も部活動をやっているというところからの時間の捻出が難しいという点,それから2つ目は指導における指導の知識に自信がないといったスキルの問題がございます。それから,3点目がこの行為自体が果たして経済的な利点があるのかといった,どのような条件になっているのかといったところがよく理解できていないといった問題もございました。
そういったところも踏まえまして,この指導する行為自体を学生のキャリア形成においてどう位置づけていくのかといったところが今後必要になってくることだと思いますし,現状先行事例とかモデルといったところの推進を行ってきておりますけれども,そろそろこの標準パターンというところをつくっていくことが必要になってきている時期ではないかというふうに考えているところでございます。
以上でございます。
【友添主査】 ありがとうございました。
浦野委員,お願いします。
【浦野委員】 岐阜県教育委員会体育健康課長の浦野でございます。よろしくお願いします。
県行政として参加させていただくという観点から,これまでの県の取組について御紹介させていただきたいなと思うのが1つと,論点でいきますと(1),(4),(5)に主になるかと思いますので,よろしくお願いしたいと思います。
まず,岐阜県には42の市町村があって,各市町村において今移行について進めていただいているところであります。まず,県としましては,地域移行を進めるために当たって,42市町村へ県の方針をやはりしっかりと示す必要があったために,令和4年度に県のガイドラインを策定して周知したところです。それを踏まえて,令和5年度,昨年度ですが,改革推進期間の1年目として実証事業を行いました。その実証事業の岐阜県の制度としましては,まずは休日の移行に関しては運動,文化合わせて43.2パーセントが移行しました。そして,運動部活動だけに限って見ますと,47.9パーセントが移行しました。また,地域スポーツの活動,指導者の確保につきましては785名を確保しております。
そして,今年度,4月から運用しています人材バンクについては,5か月で300人に登録していただきまして,マッチングができているという例もあります。岐阜県としましては,この数字が多いかどうかというのはちょっと他県さんと比べてもよく分からないのですけれども,大きな成果であると岐阜県としては捉えています。
そして,その具体的な取組として何をしてきたかということなのですけれども,様々あるのですが,大きく2つと捉えています。1つ目は,推進体制の構築なのですけれども,部活動改革係を設置しました。先ほど新潟県の石川委員の発言にも,新潟県にもあるという話でしたが,岐阜県も同じように県庁内に部活動改革係というものをまず設置しました。まず,このことで,もちろん県の方針伝えることは当たり前なのですけれども,スピード感を持って対応が可能になったということ,そして様々な他県の状況であったり,各競技団体,関連団体等と連携を進められるようになってきたということは非常に大きなことであると思います。
それに加えて,その体制の中で県のコーディネーターを配置しました。42市町村あるわけなのですけれども,大きく岐阜県は6地区に分かれております。その6地区に県のコーディネーターを1名ずつ配置しまして,市町村が実施する会議等に出席していただいて,指導,助言または進捗状況や課題を短時間で容易に把握できた,そして係のほうで対応が可能になったということは非常に大きなことです。さらに,今年度,県へのアドバイザーとして総括コーディネーターを起用しております。いわゆる我々教育委員会ではどうしても学校の考え方に偏るものですから,我々に対してアドバイスをする総括コーディネーターを配置しました。その結果,専門的な知見から課題に対して細部にわたって我々にアドバイスをくださることで,これからの施策に非常にうまいことつなげられるのではないかというふうに感じております。
もう一つは,先ほど申しましたシステム化ということです。これは,地域指導者の確保と質のシステム化です。指導者養成に当然実績のあります岐阜県スポーツ協会さんと連携させていただいて,地域指導者育成研修会というものを実施しています。受講者に対しては,独自の認定証を発行しています。その中で,令和4年度から実施しているわけで,毎年受講者が増えて,3年間で1,800名を確保することを目標としております。
さて,課題ですが,移行数は多いものの,やっぱりクラブの中にはガバナンスが効いていないクラブがありまして,安心安定し,信頼されるクラブということが必要となっておりますので,今年度重点の一つとして取り組んでいます。
2つ目は,やっぱり地域クラブの運営に対する,財政に対する運営の件です。やっぱり受益者負担の考え方,行政からの補助の整理ということは今後必要になると考えています。市町村への財政支援については,やはり今後地域クラブ活動を持続可能なものにしていく観点,または県の財政の持続可能性を確保する観点から,財政支援を慎重に検討していかなければならないと考えています。
最後に,昨年度,今年度とスポーツ庁さんにおいて実証事業を展開していただきました。岐阜県としては,昨年24市町村,今年度は30市町村が活用させていただいた結果,非常に進んでいると思っております。そういう意味をもちましても感謝を申し上げます。また今後ともよろしくお願いします。
以上です。
【友添主査】 ありがとうございました。
それでは,続いてお願いします。
【酒井委員】 コナミスポーツ株式会社の地域スポーツ事業部の酒井と申します。よろしくお願いいたします。
我々民間事業者として,ビジネスとしてはまだ本格参入しているわけではないのですけれども,幾つかの実証事業に参加経験したことで,部活指導現場における学校側の事情,教育委員会の事情,民間事業者の事情,そういったものを肌で感じながら,多くの自治体,特に教育委員会の意見をお伺いする機会を重ねながら,幾つかの課題を認識しております。
まず,私ども民間事業者の目線で課題を大別すると,1つは指導員の調達,あと場所の確保,財源,こういった3つの課題解決というのを非常に必要性を感じております。指導員の調達につきましては,経験者とか有資格者以前の問題で,部活動という限られた時間に労働提供可能な人材確保が非常に困難であるという実態と,あとは指導員の調達というのは最終的には公平に,全競技種目,全校に確保,配置できて初めてこれは課題解決となると思いますので,課題解決の方向性としては,部活動指導は実態としては今ボランティアに近い形になっているのですけれども,それを生計が成り立つ新たな職業として成立させる必要があるというふうに思っております。
あと,場所の確保につきましては,一番いいのは学校施設の利活用ということで,ただ一方ではセキュリティの問題,先ほどもどなたかがおっしゃっていましたけれども,鍵の管理であるとか備品管理であるとか,あるいは安全管理といったところが課題として挙がりますので,ここは学校施設を指定管理者制度というものを適用して,ちょうど学校が終わった時間以降は学校施設の管理を民間事業者に委託するというような形がいいのではというふうに思っております。
最後,財源につきましては,受益者負担というのは極力抑えたいというところで,できればないにこしたことはないと思いますが,自治体の予算には限りがございますので,こちらも学校施設の指定管理の制度適用によって,部活終了後の体育館とかグラウンドというものを夜間は地域のスポーツパークとしてサービス提供することで,その利用料というのを委託事業者の指定管理料に充てることで,少しでも部活動の地域移行のそれに関わるコストの財源,全体的な金額の圧縮につながればという形でと考えておりました。
以上です。
【友添主査】 ありがとうございました。
続いてお願いします。
【松尾委員】 よろしくお願いします。立教大学の松尾でございます。
私は,全ての人にとってスポーツを通したウェルビーイングはいかにして可能なのだろうかと考えている人間でございます。その中で,地域スポーツという観点ではスポーツ庁さんや,幾つかの都道府県さんや団体と関わらせていただいております。
私のほうからは,大きく3点,総論に関わるところかと思います。1点目は,まず今回期間をどうするかという話がありますが,5年でも結構かと思いますが,3年で刻みながら,やっぱりホップ,ステップ,ジャンプの形で進めていくということが重要かと考えます。と申しますのは,やっぱり地域に最終的に落ちていくのは5,6年かかりますので,やっぱりそういった意味でも,今回の3年をスタートアップとするならば,次の拡大のフェーズ,そして定着のフェーズという形で,きちっと3年間ずつでも結構ですので,分かりやすいような形で進めていく必要があろうかと思います。
その折に,やはり一つは,支援をするときに単年度助成方式が取られていますけれども,複数年の形でできる形が取れないかということが一つの御提案と,2つ目は最終的にどういう姿を導こうとするのですかという目指すべき姿の見える化といいましょうか,イラストと動画でも結構かと思いますが,未来はこうなるということをちゃんと示しながら進めていけるような形はどうかと考えます。
2つ目は,同時に進める連携といいますか,組織的,制度的連携の重要性です。先ほどからありましたようにスポーツ基本計画や学習指導要領,そして教育推進基本計画というものとの関係を明確にしながら,そこにきちっと生かしていくということが重要だということと,同時に学校との連携という意味では,学校の正課と正課外という2つの両輪になっていますが,正課外がなくなるという方向は,やはり弱くなるというのは非常によろしくないというふうに思うのです。そういった意味では,学校の部活動の地域移行ということをしたと同時に,やっぱり学校教育における正課外をどういうふうにしていったら豊かになるのか,地域スポーツの側からきっちりと発信していくという,そういう姿をきちっと見せるというようなガイドラインになるといいなというふうにも思った次第です。
最後に,どうもやっぱり周知徹底,共に進めていくというのが弱いような状況が今あるような気がしております。例えばスポーツ推進委員さんもそうですし,総合型地域スポーツクラブの方もそうですし,あるいは学校の先生方もほとんどまだよく分からぬという状況がある場面があっては,なかなか進みが弱くなります。そういった意味では,やはり情報の提供を徹底していく,共有する。問題意識の共有から,他人事から自分事化できるような仕組み,あるいはそういう方法をきちっと明確にしながらこのガイドラインを進めていくことで,みんなが関わりながら自分事化してきて進めていくというガイドラインになっていくといいなという希望を持つところでございます。
以上でございます。ありがとうございました。
【友添主査】 ありがとうございました。
最後になりましたが,金﨑主査代理,お願いします。
【金﨑主査代理】 皆様,こんにちは。長崎県長与町の教育長を拝命しております金﨑でございます。今回,先日の会議でこの会議の主査代理も拝命いたしました。皆様どうぞよろしくお願いをいたします。
私のほうからは,まず1点目のこれまでの取組と今後の対応についての論点の中の,この移行の成果や課題というところですが,先ほどのデータから考えますと,これだけ地域移行に対する推進会議とか,あるいは推進計画をつくろうというふうにされている自治体が多くなったというところは,よりその点では成果があるのではないかというふうに思います。また,この理念につきましても,先ほど資料3のところの冒頭に,急激な少子化の進展に伴ってということ,そして子供たちが将来にわたって継続的にスポーツ・文化芸術活動に親しむ機会を確保するというところは浸透していっているのではないかというふうに思います。先ほど松尾委員さんのほうから,ここを全て含めて周知をしていく,徹底していくということが重要だというふうなことがありましたけれども,まさにこのこともさらに深めていくことが必要かなというふうに思っています。
地域移行をした経験から申し上げますと,課題は毎日のように様々出てまいります,小さな課題が。ただ,そこから何をその解決をしていくかというと,やっぱり人が解決をしていくということになり,その人を説得するためには方向性,理念というのが必要で,私どもは少子化ということと,子供たちにとっていい機会をつくろうという,まさに先ほど書いてありましたそこをずっと訴えているところです。かなりその点で解決していく,あるいは解決の方向にいっているところがありますので,そこの周知徹底というのは重要かなというふうに思っています。
今課題の中で出てきていますのは,部活動の位置づけとか在り方,これ論点の(11)のところにありますが,ここが学校のほうから,ここどうなるのですか,あるいは保護者の方からも部活動の位置づけ,在り方ということが今後どうなっていくかということの御質問がかなり寄せられています。この点は,今後学習指導要領等も含めて,しっかりとメッセージとして伝わっていくようなことがあるといいなというふうに考えています。
最後に,やっぱり運営をしていく,あるいは実施をしていく上では,ガバナンスというのが非常に重要だというふうに思います。中には,地域クラブというふうなことがガバナンス,そういったことではなくて,いわゆる勝利に向かうために集めるといいのだというふうなことの考えの下に,保護者と,あるいは指導者の方々がそういうクラブをつくるような方向も,本当にごく一部ですが見えられます。非常にその点は,勝ってしまうためにメッセージが違う方向に行っているかなということでかなり危惧をしています。重要な,地域クラブというのは何ぞやというふうなところをこの会議の中である程度示して,それもまた周知の方向に向かっていくといいのかなというふうに思っているところです。皆様方のお知恵を拝借しながら,この会議がいい方向になることを期待をしたいと思います。
以上でございます。
【友添主査】 ありがとうございました。
皆様のお陰で,予定時間を少しだけ超過した形ですが,うまく進んでおります。
後ろ側に時計がありますが,あともう20分程度時間があります。これからはブレーンストーミング的に,少し自由に御発言をいただきたいと思っています。ただ,御発言といってもなかなか難しいので,私のほうから少し方向性について提案させていただきます。
メモを取っていただければありがたいのですけれども,1つ目は,最後に金﨑主査代理がお話になられました件でありますが,地域クラブ活動の理念とか在り方というのはどのようなものかを考えてみたいと思います。少し大きなテーマですが,現行のガイドラインの中に教育的な意義だとか新たな価値について書いていますけれども,地域クラブ活動でなければできないという新しい教育的な価値とか意味とか意義,そういうものがもしあるのだったら,それは何かということについてのお考えの一端をお示しいただければありがたいと思います。
2つ目ですが,何かクラブが実施主体になったら,もうそれだけで地域スポーツクラブとして今までの状況では来たわけですが,地域スポーツクラブが地域スポーツクラブたる要件って何だとお考えになられるでしょうか。つまり,地域スポーツクラブとそうでないクラブを分かつ基準は一体何でしょうか。ここのところは,あまり議論せずに来たのです。ここについて,もしお考えがあればお示しをいただければと思います。例えば指導者の教育的な資質が担保されなければいけないとか,様々なやっぱり基準が必要であるというような。先ほど金沢委員がおっしゃっていましたが,学校連携の総合型地域スポーツクラブの認証基準などは随分参考になるのではないかと思っています。
3つ目です。国の教育課程の基準に学習指導要領というのがありますが,この学習指導要領の中に部活が教育課程外なのだけれども,学校教育の一環という形で書き込みがあって,非常にそれが大きく今まで影響してきました。この学習指導要領が新たに地域移行した段階で,これからどのように書き込んでいくべきか,どのように書き込む必要があるのかということについて御意見賜れればと思います。
個人的には,学校の部活動と同じように地域クラブ活動も学校と地域が連携,協働することについて,学習指導要領上で整理する必要があるのではないかと思っているところでもあります。あまり難しいテーマと考えないで,日常思っておられること,ブレーンストーミング的にオンラインでご参加の皆様方も御意見いただければありがたいです。よろしくお願いします。
駒崎委員,どうでしょう,学校現場の立場から,学習指導要領について何かお考えがあればお願いします。
【駒崎委員】 これからの学校では,教育活動全体で地域連携がとても重要だと思いますので,そういった意味では完全に切り離すのではなくて,しっかり地域と連携したという形でこの動きもできるといいのかなと思います。教育課程にやっぱり関連づけていろいろできると,いろんな学びが生まれると思っていますので,ぜひ連携を重視していけたらなというのがとても感じているところです。
【友添主査】 今3つお願いをしましたけれども,どれでもアトランダムで結構です。思うところがあれば挙手でお願いしたいと思いますし,オンラインの方はその旨お伝えていただければと思います。いかがでしょうか。
山本委員,どうでしょう,競技団体側から見たときに,地域のクラブ活動,実は学校の運動部よりもこんなにすばらしい点があると思う,ネガティブではなくてポジティブなところで,こういう意味と意義があるのではないかというのがもしあればお願いしたいと思います。その後,磯貝委員にもそういう観点からお話をいただければと思います。よろしく,お願いします。
【山本委員】 地域のクラブというのを町クラブとどう区別するかというところが1つ。私は,地域クラブというのは部活動の一環というふうに捉えているので,町クラブというのは町の人たちがいろんなところから子供たちを集めてという部分,その部分も教育的な意義は,当然年代が中学生ですので,必要だと思っています。1ついいことは,町クラブでもニーズに合わせてというところがありますけれども,課題としては勝利至上に走ってしまうというようなところも多くあるというところです。地域移行クラブが,これは部活ではなくてクラブとしたときに,いいことは本当にレベルやニーズに応じてというところが実現できていくといいのかなということとか,今やっぱり1種目しかやれないスポーツ環境のところを,他種目やるのが当たり前だよという日本のスポーツ文化とちょっと違う新たなスポーツ文化創出というような在り方もやっていけるのかなというところだと思っています。
【友添主査】 ありがとうございます。先ほど来お話にありましたように,様々なデータを見てみると,学校という場で正規の先生方が部活を指導するということに保護者の皆さんはもう絶対的な信頼を置いているわけなのです。ところが,その地域のクラブで育ってきた競技者の方にお話を伺うと,いやいや,そんなことはない,つまり地域のクラブですごく自分は様々な教育的な指導を受けて,自分の血となり肉となっているという声も多くあるわけなのですが,磯貝委員,どうでしょうか。
【磯貝委員】 陸上は専門化が遅くて良い種目です。今山本委員もおっしゃったように,特に子供たち,育成期においてはいろいろな種目,いろいろな競技,スポーツというくくりでいろいろなことを楽しく体験することがとても良いことだというのは,私たちも競技者育成指針の中で強く言っているところです。そんな中,小学生では小学生期,中学生では中学生期,どうしても実際その時期の中で活躍したい,指導者としては活躍させたいという思いが出てしまうというところが一部あり,やり過ぎてしまうという状況も見られます。それが将来的に良いのか悪いのかという議論もありますので,今回の地域移行(および地域連携)によって,学校の世代区切りではなく年代を通して育成していく,地域として育成していく,指導者としても将来的なところを見ながら育成をしていくような形がつくりやすくなるという部分が よい点として挙げられるのではないかと思っています。
【友添主査】 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。御意見,自由に御発言いただければありがたいのですけれども。
どうぞ,金沢委員。
【金沢委員】 友添主査からありました2点目のクラブの要件とか基準というところについて,繰り返しの部分もあろうかと思いますが,お話をさせていただければと思います。
私どもが今現在進めています総合型地域スポーツクラブの登録・認証制度は,皆様御承知のとおり国の第3期のスポーツ基本計画に盛り込まれているもので,これに沿った形で進めております。総合型地域スポーツクラブにつきましては,当初からやはりいかに持続可能なクラブをつくるかとか,クラブの社会的な位置づけをしっかりとしたものにしていくといったところが課題だったかと思います。同時に行政とのコミュニケーションがうまく取れていない,認知がされていないといった点も大きな課題だったかと思います。それは,やはりいろいろなクラブがある中で,そのクラブの基準が不明確であったということから,日本スポーツ協会でまずは登録制度,ガバナンス,活動,運営の実態,そういったものの基準を作成して,各都道府県で,それぞれ県の実情に応じて要件等を付け加えていただいております。それをクリアしたクラブを現在登録クラブとして認定しております。全国で3,500ぐらいのクラブがありますが,現状では基準をクリアしたクラブがまだ1,087です。登録のハードルが高いというような声もあろうかと思いますが,途中,浦野委員だったでしょうか,クラブのガバナンスがうまく効いていないというお話があったかと思いますが,そういったところ見ていく一つの指標としては,やはりこういった要件をクリアしたクラブについては,行政のほうでも登録クラブという形でしっかりと連携を取っていただくことによって活動が本当に広まっていくのではないかと考えます。さらに私どもは,その登録クラブの中から部活動に特化した要件を備えたクラブを現在認証制度という形で進めておりますので,こういったところもぜひ参考にしながら進めていただければと思っております。
以上です。
【友添主査】 ありがとうございます。
池田委員,オンラインのほう,いかがでしょうか。
【池田委員】 ありがとうございます。座長から非常に深いテーマをいただきまして,理念とか,それから学習指導要綱みたいなところもあったと思うのですけれども,そもそもこの移行を始めるときに幾つかの前提があったと思うのです。教員の働き方を変えるという話もあったのと,それから若年層のスポーツをする機会,それを奪ってはいけないというスポーツ基本法に定められている権利の擁護みたいなこともあったと思いました。
そうすると,やっぱりこれ教育ということではなくて,まさに自主的に若い生徒たちがスポーツを通じて学んでいく場を提供するということなのではないのかなというふうに思えてきまして,そうすると若干教育という,どちらかというと上から下へ流れのイメージではなくなってくるのではないかなという気がしています。
そういったことは理念とか,結果として学習指導要領にどう表現するのかというところに関わってくるのかなというふうにも思っておりまして,ちょうど私ども行っている大学における運動部の位置づけというところも,実は大学設置基準には明確には示されておりませんですし,課外活動であることも間違いありませんし,したがいまして大学の自主性によって,濃い取組のところとそうではない取組のところが出てきているというのが今の大学ですので,そこにちょっと近しい形になっていくのではないかなという感じを覚えております。
すみません,取り留めない話になりましたが,以上です。
【友添主査】 ありがとうございました。貴重な御指摘だと感じています。
松尾委員,お願いします。
【松尾委員】 ありがとうございます。3点について,それぞれコメントをさせてください。
1つ目は,やっぱり地域クラブである理由って何かというと,成人はもとより,幼少期から青少年期まで一気通貫で地域の力によって子供たちを育てていく,そういう場になるというところの意味が一番大きいのではないかなと思います。
2つ目なのですが,実施主体が地域スポーツクラブたる要因というのが,いろんなアクターの人たちがきちっと参画していく,ただしそれについては責任体制を明確にしていくということだろうというふうに思います。
最後に,学習指導要領をどうするかといったときに,先ほど申し上げましたけれども,正課と正課外,今池田委員もおっしゃったのですけれども,正課外の活動をどうやって支えていくのかというのがやはり教育においてはとても重要になります。そういった意味では,地域の活動を積極的に学校教育の中の一つとしてきちっと位置づけながら,価値づけていくということもあろうかと思います。また,活動も部活動に限らず,大学におきますところのサークルですとか,そういう自主的に行うような活動なんかも積極的に行動できるような,そういうようなものになっていくとよいのではないかという印象を持ちます。最終的に,この地域移行については,学校から地域への切離しではなくて,学校と地域が一体化になって,連携をしながら,よってたかってという表現はおかしいですけれども,子供を中心としてみんなで支えていくような世界観を持って進めていくというのがとても重要なのではないかと感じるところでございました。
以上でございます。
【友添主査】 貴重な御意見,ありがとうございます。
学校と地域は二項対立的な関係ではなくて,地域の中に今学校が包摂されていく,逆に言うと,そういう意味でいうと本来的な在り方にこれから変わっていく,変えていくというふうに捉えたほうがいいというふうにも御意見を聞きながら感じでいたところです。
新宮領委員,どうでしょう。中体連というお立場を離れて,個人的に先生としての御経験も踏まえて,御意見いただければありがたいです。
【新宮領委員】 ありがとうございます。
学校現場,今とても教員の皆さん,全部とは言いませんけれども,もう部活動やらなくていいのですねという極端な捉え方をされています。ですから,簡単に言うと,部活動離れの教員ということになります。したがいまして,校長が協力を願っても,いや,やらなくてもいいのですよね,社会教育ですよねというふうな捉え方を強くされている方がかなり多く出てきておりまして,大変心配しております。その意味からも,学習指導要領は中教審のほうでお決めいただくわけですけれども,ぜひぜひ適切に,文言等も含めてなのですが,やっていただけると助かるなというふうに考えております。
以上です。
【友添主査】 ありがとうございました。
渡邉委員,どうでしょう。教育長というお立場ではなくて,個人的にでも結構ですので,御意見賜れればありがたいです。
【渡邉委員】 2つ思っています。1つは,学習指導要領の中に大事な一文が,多分文言で,自主的なという言葉がありますよね。やっぱりそこが地域クラブであろうがどこであろうが,どこであろうが,大事にしていかないといけないことだと思います。先ほども子供たちのスポーツを通じた学びというお話がありましたけれども,私どもも合同部活をやっている中で,土日は指導者がいるのですが,平日は指導者がいない中で,自分たちでメニューをつくって,練習プログラムをつくってやっている部活もあります。ICTも使いたいという声も出ていますけれども,そういったところは大事にしたいと思います。
それからもう一つは,こういう考え方は違うなというのは,今まで学校で部活やっていてくれたものを,地域で今度は部活やるのだねと。全く違うものだと思うのですよね,地域クラブ移行されたスポーツ活動というのは。そこのところをどうやってみんなで納得していったらいいのかなということを思っています。
【友添主査】 ありがとうございます。
地域のいわゆるクラブ,地域クラブ活動が教育的な活動か否かという発議もありましたけれども,中学生年代のお子さんがいわゆる部活に代わって地域でやる以上は,やはりこれ教育的な活動でなければならないだろうということについて,ある程度合意をしておく必要があるのではないかということが1点と,あとたしか今大杉政策課長が座られていますけれども,教育課程企画室長時代に私学習指導要領の総則作成を有識者会議の委員として,実は部活について書き込むのに協力した一人でもありました。今渡邉教育長がおっしゃった主体的という言葉に非常にこだわりを持ったところでもあります。学習指導要領の中に新たな地域スポーツクラブ活動が全く記載されないという状態も,やはりこれも中学校の生徒さんを地域で受け入れているということを考えると,少し極論かなというところも個人的には感じるところです。こういうことも含めて,次回以降議論をして深めていければと思います。議論のバトル大会をやりたいと思っていますので,あまり緊張しないで,肩の力を抜いて,何でも御意見を自由に闊達にお話をいただければと思っています。
残念ながら,今日は予定した時間が来たということで,議題はトゥー・ビー・コンティニュード,次回に続くということで,終わりにさせていただこうと思います。
次回以降の日程等について,事務局からお願いします。
【鴨志田補佐】 ありがとうございます。
本日は,各先生方におかれしても活発な御議論をいただいて,本当にありがとうございました。
次回第2回の地域スポーツクラブ活動ワーキンググループの予定につきましては,9月18日水曜日15時からの開催を予定しております。それぞれの委員の方々におかれましては,本日時間の都合上,まだお話できなかった部分多数あったかと思いますが,そういった内容につきましては追って事務局のほうに御連絡いただければと思いますので,引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
事務方からは以上でございます。
【友添主査】 ありがとうございました。
それでは,本日の議事を終了させていただこうと思います。今日は活発な議論をいただきましてありがとうございました。次回以降もまたよろしくお願いいたします。
事務局のほう,もし何かあれば,よろしいでしょうか。
【鴨志田補佐】 大丈夫でございます。ありがとうございます。
【友添主査】 それでは,散会としたいと思います。
ありがとうございました。