地域におけるスポーツ医・科学支援の在り方に関する検討会議(第4回)議事要旨

1.日時

令和4年9月15日(木曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省16階16F3会議室 及び オンライン

3.議題

  1. 検討事項(1)(2)の総括
  2. 連携体制の在り方について
  3. 地域のスポーツ医・科学支援を担う人材育成・確保の在り方について

4.出席者

委員

岩渕健輔委員、片寄正樹委員、久木留毅委員、久保潤二郎委員、鈴木岳委員、田口亜希委員、竹内章委員、角田正史委員、鶴英樹委員、土肥美智子委員、平野裕一座長、細川由梨委員、
増田和伯委員、馬渕博行委員、三井利仁委員、森岡裕策委員

文部科学省

室伏スポーツ庁長官、角田スポーツ庁次長、星野スポーツ庁審議官、西川競技スポーツ課長、筒井競技スポーツ課課長補佐

5. 議事要旨

(1)検討事項(1)(2)の総括

 議論に入る前に、参考資料1のとおり、事務局からスポーツ庁に関連する令和5年度概算要求事項について説明がされた。前回までの会議で挙げられた意見をもとに、資料1のとおり、事務局により検討事項(1)(2)に関して整理され、それに基づき意見交換がなされた。

検討事項(1)及び検討事項(2)について

※検討事項(1):地域におけるスポーツ医・科学支援機能の在り方
 検討事項(2):地域におけるスポーツ医・科学支援機能の活用の在り方

・これまでの議論を踏まえ、医・科学支援のフローに関して、アセスメントをした上でサポートをしていくという順番が大変重要であると感じる。アセスメントは、サポートの目的を担当者と競技団体のメンバーが話し合い、その目的を明確にして行っていく。つまり、アセスメントの中でフィジカルチェックやメディカルチェックをやっていくということであり、アセスメントがなされたあとにサポートがあるという順番がとても重要であると感じている。
 
・地域で測定をする際に、ナショナルチームに入るための方策をアセスメントし検証していくが、リファレンスとしてナショナルチームのデータがないというのは、フィードバックが困難である。基本的な体力測定やメディカルチェックの項目・方法が統一化されることの恩恵として、高校生の選手を測定した際に、一つの項目が周りより秀でている選手について、競技力を向上させていく際の一つのヒントになりうるという点があるのではないか。難しいと思うが、地方としては、そのデータを用いてトレーニングを考えていくことにとても役立つものになるので、ある程度統一化されるとありがたい。
 
・統一化しなければいけないもののそれを妨げている地方における最大の理由、ネックとなっているものは何であるか。
 
・実情では、都道府県レベルに関して、なかなか予算がつかないという課題がある。一例挙げると、等速性の筋力測定器のバイオデックスというものがあるが、京都府では等速性の筋力測定器としてサイベックスという機械が入っており、高額のため、いつ更新されるかの見通しが立っていない。統一化を図っていく点では、やはり等速性の筋力測定であればプロトコールを同じにして、同じような数字を目指していくというところになるのかと感じる。
 
・機材を揃えるというより、何を目的として測定をするのかを明らかにすることが重要。アスリート共通の体の機能に関して、怪我の予防のためのデータ、アスリート共通のそれぞれの体力、瞬発系のデータ等様々あると思うが、体力に応じたものを測定するのか、競技特有の必要な筋力を測定するのか、また、何を使うかということを記載しないといけないのではないか。多くのデータを取ることで傾向は分かると思うが、データを超えれば金メダルを獲ることができるということではない。バイオデックスに関しても、機材がないというのであれば、その目的を明らかにし、怪我を予防する観点で、年に1回、左右差をバイオテックスで等速での筋力を測定する必要があるのであれば、機関の連携によって補うことができると思われる。また、どのようなものをアセンスメントに併せて、機材がなくてもできるのか、機材を使わなければいけないのか、身長や体重をなんのために図るのかということで、必要な機材を明らかにすることや、測定項目を明らかにする以外の方法が必要ではないか。
 
・アセンスメントの項目・方法の具体例において、様々な機械を示していただいているが、障害によっては示されてある機械を使えなかったり、測定ができなかったりという部分があるので、示し方について障害者の多様な障害の部分も含めて方法等を検討いただきたい。
 

(2)連携体制の在り方について

事務局から資料1に基づき、検討事項(3)「地域におけるスポーツ医・科学支援の実施体制の在り方」について基本的考え方(案)が示され、また各地のスポーツ医・科学支援実施体制の事例の説明がなされ、意見交換が行われた。
 

○福岡県立スポーツ科学情報センターについて

・福岡県において量的な拡大という点では、現体制の中でも平成16年度からタレント発掘事業というものを全国に先駆けておこなっている。現在までに、小中学生5万人に参加をいただいているので、量的な拡大については、方法の検討次第では対応できるのではないか。ただし、測定について裾野を広げるということであれば、各競技団体もしくは、部活動を担当している学校体育団体、中体連、高体連、こういう方々の医・科学サポートセンターへの理解、あるいは協力というものが必要になるだろうと考えている。また、予算について、新規予算ということで、国に現在考えていただいている。体制の中での人的な配置というものも予算計上にあったので、人的な配置があれば、より一層量的な拡大はスムーズになるだろうと感じる。福岡県は教育委員会から業務委託ということで現在4名の教員を派遣し、かつ測定業務の費用をいただいたうえで運営をしている。現体制においてさらに質を高める、あるいは量を拡大するということであれば、やはり予算というのは非常に重要になるので、県教育委員会とは別に新規予算や、あるいはタレント発掘事業のような助成のようなものなどで予算が獲得できると、よりスムーズに、現体制でも十分に対応できるのではないかと考えている。
 

 ○岐阜県スポーツ科学センターについて

・スポーツ医・科学センターを中心としたコンソーシアムとまではいかないまでも、センターが中心となって様々な外部の関係団体と連携し、内部に常設の委員会などを設けながらサポートを進めている。特に、自前で倫理審査委員会を設けることで、私どもが研究員という言い方をしている大学院を出た資格を持った職員が、自身のキャリアアップのための研究論文提出について、スピード感をもって様々な発表ができるということも行っており、様々なサポート内容の質の向上という面で効果を発揮しているのではないかと感じている。
  

○高知県スポーツ医・科学センターについて

※事務局からの説明のみ。
  

○京都トレーニングセンターについて

・京都トレーニングセンターが中心となり、必要に応じて京都府立医科大学等、必要大学の教員にアウトソーシングという形で御協力いただき体制を整えている。京都府の建設交通部、文化スポーツ部等々、いわゆる行政の縦割りであるが、スポーツという切り口を基にして、いろいろ巻き込んでいくなど、横の連携を深くしていくという動きを現在行っている。着目できる点として京都府の政策企画部の地域プラットフォームというエリアで元気にしていこうという取組であるが、様々な企業なども含めて取組も行っているところである。関西経済連合会が主導する関西広域での取組について、京都トレーニングセンターを中心に現在行っているところである。特徴として、少数であるが、他の領域、多くの領域のサポート体制を構築して、必要に応じてディレクションという形でヘルプをいただき、なるべくアウトソーシングをしないような形を取っている。予算の規模が限られているので、なるべく内製化で県の職員にサポートの実績を上げるために頑張ってもらっている。ただし、それではどうしてもレベルに応じられない、人数に対応できないという場合に、大学の先生等にも御協力いただきながら取り組んでいるというのが一つの特徴であると思われる。
  

○とちぎスポーツ医科学センターについて

・とちぎスポーツ医科学センターについては、まさに現在開催している国体に向けて設立された施設で、これまでの2年間の測定データやサポートの実績に基づいて、まさに今、国体選手に様々な支援を実施しているところで、10月1日から始まる国体開催期間でもフル稼働していただく予定。運営委員会において、センターの目的等を明確にしながらこれまで運営を行ってきたが、これまではどうしても国体がメインであったところで、国体終了後の次年度に向けて、この医科学センターがどうあるべきかということを主管課である教育委員会のスポーツ振興課でも検討を始めているところである。大まかなところで、オリンピアンやパラアスリートを栃木県から1人でも多く出せるような支援をしていきたいというところから、運営委員会に部活動関係の中体連、高体連は入っていただいているが高野連がこの運営委員会に入っていないので、高校野球も視野に入れて支援していくことで、いろいろなアスリートにアジャストできるような施設になっていくことを理想とし、次年度以降のセンターの在り方を考えている。そのような意味では、この運営委員会についても目的に応じた方々を新しく招き入れて組織していく必要があり、本会議にて議論されているコンソーシアムに近づけていければよいと考えている。
  

○横浜市スポーツ医科学センターについて

※事務局からの説明のみ。
 

○埼玉県スポーツ協会について

・埼玉県は、古くは国体選手の体力測定をスポーツ科学委員会が担い行ってきた。その後、タレント発掘事業が始まって育成も含めてやっていこうということで、資料に示されているような体制になりつつある。県内に新たにスポーツ科学拠点施設ができることを見越して、体制の見直しを図っているが、小規模で行っていたものが、今後取組の規模が大きくなることで、支援体制における質の確保していくことが課題となっているように感じる。
  

○NTC大倉山について

・NTCの事例ということで、特殊事例かもしれないが、スキージャンプという単一種目でジュニアからハイパフォーマンスまで対象としているということでは、地域のバージョンを凝縮したようなものとして参考例としてとらえていただければと思う。中心にいるアドミニストレーターがいろいろ調整役を担っているということで、同じ絵を見て動けるように情報を共有するように努力しているというのがポイントの連携システムであると考えている。
  

○コンソーシアムの機能・要件、アドミニストレーターに求められる能力・役割について

・コンソーシアムに求める機能・要件というところで、サポートの質の向上と対象の拡大という二兎を追えるような組織を目指すのが国の理想のモデルとして掲げさせていただきたい。アドミニストレーターが中心となってその役割を担い、各専門家から構成されているコンソーシアム協議会のようなものを置き、質の向上とサポート対象の拡大などを含めた地域のアスリートサポートに関するビジョンが共有されていて、地域のリソースに応じた方法でビジョンを具現化、実装され、実装へ向けた計画もできているというような組織を指すかと考えている。アドミニストレーターは役職的にセンター長や副センター長等の役職の方が対象になるかと思われるが、コンソーシアムの中心として、求められるスキルには、様々なステークホルダーを巻き込む調整力や、センターのマネジメントということで組織を統括する力、一定以上の医科学の知見というものが必要になってくるものと思われる。しかし、アドミニストレーターありきというよりは、コンソーシアムをうまく回していくためにどういう人材が必要なのかということ。
 
・資料で示されているアドミニストレーターに求められる能力・役割については、スーパーマンのような能力という印象を受ける。示されている能力・役割を一人で担うというのはなかなか難しいのではないか。アドミニストレーターの立場の方は1人でいいと思われるが、機能については多少、役割分担やその他のスタッフが複数あってもいいのではないか。特にチェックやサポートについて、コーディネーターがいるかいないかが、とても重要になってくるので、その点についても重視していただきたい。
 
・埼玉県では純粋なコーディネーターのような方が、競技団体との調整を行い、研究分野に精通されてある方が競技団体とどういう項目で、どういう支援をしていくかという話合いをしてきた。資料に示されているような能力・役割を備えているアドミニストレーターであれは、その両方を担えるのかもしれないが、埼玉県では、コーディネーターと研究もできるスタッフ、その2人が対応していた。また、アドミニストレーターの調整力という点では、競技団体とのコーディネートをする方が専門に行っていた。
 
・今回、地域のスポーツ医・科学支援の在り方についてまとめていただいたことで、大変見える化できたかと感じている。地域におけるスポーツ医・科学支援の実施体制の在り方に係る基本的な考え方として示されている周辺地域ブロックの拠点としての役割を果たすということと、パラアスリートのサポート実績・機能を有するセンターについては、パラアスリート支援の広域連携の中核となることが期待されるとあるが、京都府の事例紹介をうけて、京都トレーニングセンターでは、スポーツウェルネスでいえば府内かと思われるが、例えば関経連のようなブロックと連携していることが伺える。国の予算取りのところでコンソーシアムを5か所指定すると思われるが、あくまでもこれは都道府県の中のコンソーシアムというイメージであるのか。あるいはタイプ別としてのものか。都道府県単位で完結するコンソーシアムなのか、広域をまたぐようなコンソーシアムであるのか、その点を含めた整理についてはいかがか。
 
・広域的な、つまり都道府県の境界を越えるようなコンソーシアムのモデルというのもあっていいのではないかと考えている。この会議において指摘いただいたことをうけて、そういう設計にしていく必要があるだろうと考えている。また5か所のモデルというのも、指摘いただいたように広域であることやパラ競技への支援に力を入れているというような、地域のバランスという点も含めて、どのようなモデルをつくることが全国的な横展開に資するかという点については、引き続き議論いただき、最終的にそこに予算がつけばというところであり、事業の仕様書など入れ込んでいきたいころであるため、引き続き様々ご意見をいただきたいと考えている。
 
・アドミニストレーターやコーディネーターという方が一番苦労するのは、コンソーシアムを形成したときに、そのスタッフが同じ情報をベースに話が展開されているかどうかという点だと考えている。できるだけ同じ情報をベースに話せるような環境を担保するということは、連携やこのようなコンソーシアムをうまく展開していくポイントではないか。ある意味その情報をどのように共有していくのかという点について、それぞれのモデル5か所ができたとしても、それぞれのモデルの中で一つの情報共有の在り方みたいなものをしっかりと構築していき、それを全国レベルに横展開していくというのは、非常に大きなポイントになるのではないか。そのためにはITというのは非常に使えるものであり、情報ポータルのようなものが考えられる。いわゆるレファレンスデータと言われている統計的なデータのような医科学のアセスメントの上で絶対的に必要な情報にアクセスできる何らかの情報ポータル、あるいはそのような同じ絵を見て議論ができるといった環境整備という点について何らかの工夫が必要ではないか。アドミニストレーターとしてもちろん情報共有能力が必要であると思うが、やはり環境として全員で協力してそういったものをつくるというような姿勢、もしくは体制、仕組み、強制力等の何らかがないと難しいのではないか。そういう意味では、まさにJISSから発信しているような情報ポータルの標準化みたいなものを共有して見れるという環境といったものは非常に魅力的であると感じている。
 
・全国の事例を紹介していただき、非常にすごいことをやっていると思うが、これを全国に広げた場合に、まだこういうものが未設置であることや、非常に遅れているところをどうしていくのかということが議論されなければ、ジュニア層をどう開拓していくかというところにはつながってこないのではないかという危惧をもっている。コンソーシアム協議会については、しっかりと契約なり、業務委託なり、提携なりというところを定めて行っていくことも一つの方法ではないか。情報の共有が非常に曖昧になっていくと今後、規模が大きくなっていったときに非常に不明確になっていくことが懸念されるため、やはり金銭的にはっきりさせるべきところがあると感じている。アドミニストレーターという職業についても、生計を立てられるような職業でなければいけないのではないか。
 

(3)地域のスポーツ医・科学支援を担う人材育成・確保の在り方について

 事務局から資料1に基づき、地域におけるスポーツ医・科学支援を担う人材育成・確保の在り方に係る論点等について説明があった。説明の後、課題に基づき意見交換がなされた。
 

○ハイパフォーマンススポーツセンターのこれまでの構築事業について

・まず、2018年から「HPSCネットワークの構築」事業が開始された背景の共有を図りたい。2018年に課題になっていたことは、東京オリパラ開催前であり、HPSC以外の地域でもトップアスリートの測定をしてほしいということである。特に、パラアスリートはアクセシビリティーという点で、東京に行かなくても、例えば福岡で測れるのであれば福岡で測ってほしい、大阪で測れるのであれば大阪で測りたいという意見があったことを受け、地域でもトップアスリートが測定を行えるような環境を整備しようということが、この事業の始まりである。そのときに課題になってきたことが、実際にトップアスリートを測れる施設は、どこがあるのということである。特に測定が重要であるということで、そこをまず明らかにしていった。そして重要なのはパッケージであり、HPSCで実施してきた知見・方法等をしっかりとパッケージ化して展開することが必要であると考えた。そして、支援できるスタッフは誰がいるのか、HPSC/JISSのOB・OGや、大学の教員の方々、また、地域の医・科学センターの方々がいる。では、誰がどこにいるのかわかるデータベースも必要であるという話に至った。整理をしていき、連携機関としてJISSが行っている測定を実施できる機関が全国に9か所あるということが分かった。実際に手を挙げていただいて、測定機器も揃えながらこの9か所を連携機関として指定させていただいた。ただし、ただ指定するだけではなく、それらの機関に対して研修をしっかり行わなければいけないので、研修体制をHPSCの中に整えた。この9か所の機関は地域にパッケージを展開することができる。また、人材データベースについては、科学技術振興機構が運用するリサーチマップと連動させている。昨今の個人情報保護法の関係で、これまでのHPSCのOB・OGの名簿はなかったため、登録の働きかけをしている。現在は約250名が登録されている。人材データベースのデータが揃ってくると、「このようなサポートスタッフが欲しい」という要望に対し、HPSCのOB、OGで、例えば、「ボートのサポートをやっていて、バイオメカニクスが得意で、学位も持っている」という方を探すことができる。そうすると、データベースを活用して適切な人材を見つけてもらうことができる。現在の方向として、このような取組を行っている。
 
・地域におけるスポーツ医・科学支援の実施体制の在り方に関して、地域のスポーツ医・科学センターが存在しない地域におけるHPSCとの連携による人材育成について、HPSCは人材を斡旋、紹介はできないものの、このような方がいるということを人材データベースから知ることができるということであった。スポーツ医・科学センターがない都道府県にとっては、これから国体への支援、医・科学サポートをしなければならないが、どのようにスポーツ医・科学支援をおこなっていくとよいのかということについて、スポーツ庁から出された提言書の中に書き込んでいただくと、オールジャパンとしてのHPSCにおける人材育成、サポート人材育成ということにつながり、スポーツ医・科学センターの有無に関わらず全国的なものになるのではないか。
 
・数は、そこまで多くはないが、現在、ジュニアアスリートといわれる層にもサポートを展開することができている。
 
・福岡県の状況から人材の育成・確保に向けてJISSとの連携、あるいは大学、研究機関との連携の在り方ということで少し御意見をさせていただきたい。まず、JISSとの連携という点について、4名の教員を派遣しており、プロパーの職員はいません。期間については3年から5年であり、随時入れ替わっているため、常に継続的な人材の育成というものが課題となっている。そこで、様々な方法があるかと思われるが研修の受入れ等について、短期であっても4名しかいない職員を派遣するというのはなかなか厳しいところがあるので、可能であれば人事交流ということで例えば1年間、福岡県から国へ、国から福岡県にというような形で1名ずつを受け入れていただくような仕組みがあると、福岡県としては非常にありがたい。また、大学あるいは研究機関との連携という点について、福岡県では、この医・科学サポートについて4名の指導員を雇用している。4名の指導員については、将来教員を目指す体育系の大学を出ており、この指導員を経験した教員も、職員としてセンターに派遣されている。そういう意味において、この指導員を確保する点においては、県内の大学、あるいは研究機関との連携ということは非常に重要な視点ではなかろうかと考えている。
 
・それぞれの地域の課題に対応できるようにするため、様々な観点からトータルでみていかなければいけない。人材データベースも活用していただき、さらには人事交流の一環として大学院生を活用することが挙げられる。例えば福岡県内の大学院の博士課程に属している学生がHPSC/JISSに来ていただいて1年後に戻り、研究も指導ができ、修了後は、福岡県で活動するとHPSC/JISSのことを理解された人材が増える。これが他の九州の大学を含めて展開ができるといったような方向になるとよいと考えている。
 
・率直な感想として、JISSで研修なり、研究員をしていたなり、JISSを経て地方に帰ってきた方と仕事を一緒にしていくと様々な面で情報共有ができ、非常にやりやすいという面がある。少々脱線するかもしれないが、地域で支援するスタッフを確保するときに一つ難点なのが、各地域のスポーツ医・科学センターが研究機関としてみなされていないという点があるのではないか。もしそうであるならば、例えば非常に優秀な大学院を出た人材が、センターに就職してしまうと研究者としての道が断たれてしまう状況になってしまう。この点については、この会議においてあまり議論することではないかもしれないが、地域の受皿側の問題として非常に重要ではないかと感じている。
 
・研究という点においては、HPSC/JISSは様々な課題を抱えており、やはり支援にエフォートが割かれなかなか研究ができないというようなところがある。実際に、これまで研究について、少し量が足りなかったのが、現在はかなり盛り返してきている。やはり研究に力をいれる割合、エフォートをしっかりと分けていくことと同時に、マインドセットをしっかりしてもらう。研究員であるということは研究、論文を書くことも大事であり、エビデンス・ベーストということを踏まえしっかりと出し続けていくと、大学の理解も進んでいくのではないか。
 
・現在、HPSC/JISSに人材を送っていただいている自治体もある。実際に地域で国体がなくても、HPSCへ派遣したいという申出が増えてきているので、HPSCでの経験を積んだ方がその出身の自治体等に帰っていただき、それをしっかりと地域の医・科学センターに配置することができれば、もしくは循環するような形をつくれればその仕組みがうまく機能し始めると感じている。ぜひそういったところもあるということをご理解いただいた上で、大学院生の活用というものも効果的に実施していければ、HPSC/JISSのハード資源をうまくソフト化できるのではないか。