地域におけるスポーツ医・科学支援の在り方に関する検討会議(第2回)議事要旨

1.日時

令和4年7月7日(木曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省16階16F3会議室 及び オンライン

3.議題

  1. 地域におけるスポーツ医・科学支援の在り方について

4.出席者

委員

岩渕健輔委員、片寄正樹委員、久木留毅委員、久保潤二郎委員、鈴木岳委員、田口亜希委員、竹内章委員、角田正史委員、鶴英樹委員、土肥美智子委員、平野裕一座長、細川由梨委員、
増田和伯委員、馬渕博行委員、三井利仁委員、森岡裕策委員

文部科学省

室伏スポーツ庁長官、角田スポーツ庁次長、星野スポーツ庁審議官、西川競技スポーツ課長、筒井競技スポーツ課課長補佐

オブザーバー

独立行政法人日本スポーツ振興センター 窪康之氏、白井克佳氏

5. 議事要旨

(1)地域におけるスポーツ医・科学支援の在り方について

 地域におけるスポーツ医・科学支援機能や活用の在り方に関して、片寄委員、馬渕委員、三井委員から、資料2~4に基づき、それぞれの取組事例について説明があった。
 その後、事務局から資料1に基づき、地域におけるスポーツ医・科学支援機能の在り方に係る論点等について説明があった。また、室伏長官から、自身の経験を基にしたスポーツ医・科学支援の在り方について説明があった。
 すべての説明の後、議題に基づき意見交換がなされた。

○地域におけるスポーツ医・科学支援機能の在り方について
・地域の医・科学支援機能の活用にあたっては、それぞれの地域の人材、ハード、ソフト、情報をどう組み合わせるかが重要である。その上で、これまで徹底されていなかった怪我をさせないための「予防」の観点を入れていくことにも重きを置くべき。

・地域のスポーツ医・科学センターの取組でキーポイントとなるのが「予防」の観点。かつては、経験値の高いトレーナーや理学療法士だけが予防に対してのプログラムを実施していたが、現在は予防とリハビリテーション(リハビリ)の違いや、予防とパフォーマンスのためのトレーニングの違いが認識され、一定のシステムに基づいて予防がプログラム化、展開されるようになってきている。本検討会議において予防に関する取組内容についてコンセンサスを得ることで、地域のスポーツ医・科学センターにも予防の観点が浸透していくのではないか。

・地域のスポーツ医・科学センターを構築していくためのプロセスの可視化という観点から、具体的な支援内容を挙げるほかにも、大会やイベントなどで行われている医・科学支援をうまく活用ながら、中央からその必要性を発信していくことも重要。

・メディカルサポートにあたり、地域のスポーツ医・科学センターに医師が常駐することは難しいため、日本スポーツ協会が認定しているスポーツドクターの協力を得ることや、オンライン診療のような遠隔医療を活用していくことが重要。
 現在のスポーツ医学はリハビリやコンディショニングが主となっており、医師が関わる部分は非常に少ないが、誰がやってもある程度一定のレベルでできるスクリーニングを実施することで、怪我の兆候を早期発見し予防につなげていくことが重要。例えば、問診票で月経調整に関する質問を投げかけることにより、選手は、月経を調整できることを知ることができる。問診票を工夫することにより、選手への教育的なツールとして活用でき、医師に知識の差があっても同じ回答を得ることができる。スクリーニング方法もいろいろ考えながらやれば、医学の部分で医師が適度に関与できるし、本当に治療が必要な場合はバックアップの病院で治療をしていく、その後リハビリ・コンディショニングに移行すると、医師の手を離れトレーナーや理学療法士のいる現場に返していく、というような流れができる。

・地域にはスポーツドクターの資格をお持ちの方や現場で活躍されている方、大規模イベントで経験を積まれた方のような様々な人材がいる。ただ、個人で活動している方は組織との情報交換の接点がないためうまく活動できないという問題がある。人材はいるのにうまくつながらないため、地域に効率的に情報が展開されない。先ほど室伏長官から説明のあった予防のためのセルフチェックという考え方はスポーツ医学の中でも展開されるべきだが、重要な情報をどういうルートで現場に展開していくか(正確な情報の体系化)、適切なタイミングでどのようなルートで流すか(情報の集積)、それを上手く使う(情報の活用)といった展開のシステムが地域には絶対的に必要。おそらく、地域のスポーツ医・科学の専門家の中にはハイパフォーマンススポーツセンター(HPSC)が行っていることを御存知ない方も多いのでは。場所ありきではなく、それらのノウハウや運用が重要。
 競技力向上の大前提となるのは選手のコンディションが良いということであるが、実はコンディショニングがよい選手ばかりではないと感じる。コーチやトレーニングスペシャリストが考えたトレーニングを効果的に実施するためにも、地域のスポーツ医・科学の在り方においては「予防」が大きなポイントである。

・フランスではトレーニングセンターの中で引退したアスリートをうまく活用している事例があり、引退したオリンピアン・パラリンピアンをコーディネーターとして地域に配置することも考えられる。また、引退したオリンピアン・パラリンピアンの活用にあたり、オーストラリアのAISの取組も参考に、地域にいる人材も含め引退したトップアスリートのメンタルヘルス等の調査を行うべき。

・障害者のスポーツ実施率が低く、パラアスリートは母数が少ないということに加えて、パラアスリートの中でも障害の程度や種類に個人差があることから、地域のスポーツ医・科学センターがその知見を持つことは難しい。センターが連携し、情報を集約し問合せが可能となるようなシステムづくりが必要。また、パラアスリートの病気本来の主治医との連携も必要。
 

○地域におけるスポーツ医・科学支援機能の活用の在り方について
・HPSCで行われているスポーツ医・科学支援については、元々あった「メンタル」「フィットネス」「スキル」「栄養」に少しずつ改変を重ね、現在は8分野にまとまっている。
 パラアスリートの測定についても、基本的に定型化されていくべきだと考えるが、障害の程度や種類に個人差があることから、測定の仕方を幅広に用意しなければならないという準備の大変さがある。測定機器も健常者用の機器だけでは賄い切れず、例えば下肢のない選手が安定して力を発揮できるような固定方法の準備に時間とエネルギーが必要。

・地域ではHPSCが行う程密着した支援はできず、場合によってそこまでやるべきでないと考える。コーチと選手の間で混乱が起きないよう、ある程度支援の範囲や頻度、支援する側がどのようなスタンスで支援するかということについて共通認識を持つことが望ましい。

・京都府の場合、競技力向上に係る医・科学支援には主管課である京都府教育委員会が補助金を出しており、予算が限られている中、府内のスポーツコースを有する学校6校や全国大会上位入賞経験がある団体に対し、支援項目ごと選手一人に対して3回までという上限を設けている。支援の期間は、トレーニングセンターを活用しているそれ以外のチーム・個人に関しては、ニーズによって様々ではあるが、学校の年度単位や目安となる大会までが一つの区切りになっている。

・トップアスリートとジュニアアスリートのそれぞれのキャパシティを考慮し、支援頻度や内容は同等ではないと認識している。

・支援内容や頻度はそれぞれの地域特性やスタッフの人数にもよると思う。トップアスリートであればすべての支援が求められるが、例えば高校生への栄養サポートであれば、講習会の実施でも十分行き届くのではないか。

・地域ではジュニアアスリートを対象の中心とし、健康で安全なスポーツ活動を推進するために支援を行うべき。

・パラアスリートの場合は、先天性の障害を持ち、幼少期から学校でスポーツを経験する中でトップを目指していく選手の他にも、健常者としての生活を送る中で障害を持った選手もいることから、ジュニア層を対象とする考え方をそのまま適用することは難しい。

・例えば、医学的には、選手を日本代表レベル、全国大会レベル、地方大会レベル、その他のアスリートとレベル分けして検討することがあるので、支援の対象を考える際に、年齢ではなく、どのレベルで競技を行っているかという観点があっても良い。

・京都府では、ジュニアアスリートという言い方を変えていっており、「次の」、「ネクスト」という意味合いを込めて、色々な世代を含む言葉として、「次世代アスリート」という言い方をしている。

・HPSCが開発した日本版FTEMは、年代ではなく競技レベルごとに区分している。競技レベルが上がるにつれ、トレーニング内容やそのやり方も変わってくるのではないか。また、コロナ禍を踏まえ、トップアスリートが必ずしもHPSCに来て体力測定やトレーニングを行うという状況ではなくなってきており、地域のスポーツ医・科学センターや大学等にある様々なリソースを活用しながらアスリートを支援できるような環境を今後整えていく必要がある。