運動部活動の地域移行に関する検討会議(第4回) 議事録

1.日時

令和4年2月28日(月曜日)15時00分~18時00分

2.議題

  1. (1)大会の在り方について
  2. (2)地域スポーツにおける会費の在り方について
  3. (3)保険の在り方について

3.議事録

【友添座長】  
定刻を少し過ぎましたけれども、ただいまから第4回運動部活動の地域移行に関する検討会議を開会いたします。皆様、大変お忙しい中、御出席をいただき誠にありがとうございます。
本日の会議については、新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえまして、報道関係者を含む傍聴の方は、ユーチューブによるオンライン配信を御覧いただく形になってございます。
委員の出欠でございますが、池田委員が御欠席となります。また、事前に御希望いただきました遠藤委員、大川委員、金沢委員、西委員、吉田委員、渡邊委員の6名におかれましては、ウェブ会議形式で御参加をいただいております。なお、室伏スポーツ庁長官におかれては、公務の御都合により途中で御退席される予定でございます。
今回の会議も前回に引き続き、皆様からの御発言時間については、1人1回当たり3分以内とさせていただければと思います。2分経過したタイミングでベルを1回、3分を経過したタイミングでベルを2回鳴らしますので、円滑な会議運営に御理解、御協力をいただきますようお願い申し上げます。また、今回オンラインで参加される委員の皆様も多いことから、前回も申し上げましたように、マイクを口元に近づけていただき、御発言の際はゆっくりはっきり御発言いただきますようお願い申し上げます。
本日の議事は、次第にありますとおり、1、大会の在り方について、2、地域スポーツにおける会費の在り方について、3、保険の在り方についての三つとなっております。
事務局から本日の資料の確認をお願いいたします。
 
【事務局】  
失礼いたします。それでは、資料の確認をいたします。
本日の議事に関する資料としまして、資料1から3をお配りしております。資料1から3については、座長から御提出いただいた資料となります。次に、委員提供資料として、それぞれの議題に関連して委員の皆様から御提出いただいた事例などを事務局においてまとめております。
次に、参考資料として、それぞれの議題に関して、基礎データ、また、現状が分かる資料などを事務局においてまとめております。
また、最後に、部活動改革に関する新聞記事を机上にお配りしております。
以上が本日の配付資料です。不備などございましたら事務局までお声がけください。
 
【友添座長】  
ありがとうございます。
議事に入ります前に、まず、私のほうから事務局に確認をさせていただきたい点がございます。
お配りしました新聞記事の資料を御覧ください。記事の内容を簡単に申し上げますと、政府内において運動部活動の地域移行に係る経費に充てるため、スポーツベッティング、いわゆるスポーツ賭博でありますけれども、これを解禁する検討が行われているというものでございます。
地域のスポーツ団体等の支援方策については前回の会議で御議論いただいたところですし、また、本日の議題として、会費の在り方も議論していただくところでもありますので、まず、本件に係る事実関係につきまして、事務局のスポーツ庁及び経済産業省から説明をしていただければと思います。よろしくお願いします。
 
【事務局】  
記事におきまして、運動部活動の地域移行を進めるための経費に充てるため、スポーツを対象としたスポーツベッティング――スポーツ賭博の検討が進められているとの趣旨のことが書かれておりますが、スポーツ庁において、地域移行に要する経費に充てるためにスポーツを対象としたベッティングを解禁する検討を行っている事実はございません。
地域のスポーツ団体等を支援するための経費などについては前回の検討会議で御議論いただいたところであり、スポーツ庁といたしましては、本年5月に予定されております本検討会議での提言などを踏まえ、地域のスポーツ団体等の支援方策について考えてまいりたいと思っております。
以上でございます。
 
【友添座長】  
ありがとうございます。経産省の浅野室長、よろしくお願いします。
 
【経済産業省浅野商務・サービスグループスポーツ産業室長】  
毎日新聞の報道では、我々の経済産業省地域×スポーツクラブ産業研究会の提言が、今、藤岡室長からもありましたように、部活動の費用を見るためにスポーツベッドを解禁する検討が進んでいるという内容でございましたけれども、萩生田経産大臣からも、先日、会見で明確に否定させていただきましたとおり、その点は正しくございません。
一方、スポーツのお金の生み出し方は世界的にも多様でございます。社会として、税金ですとかギャンブルですとか公営競技といったものを通じてスポーツ環境、子供の環境が支援されるというのは世界的に見てもよくある話であり、日本ではtotoがスポーツの基盤である、そういった現実を研究会の提言の中で書かせていただきました。
ただ、今後、民間移行をする上では、家計所得格差による子供のスポーツ機会格差ができるだけ生まれない資金還流をつくる必要はございます。その考えの一助として、こういった実例を世界のスポーツ界の動向としてしっかりお示しをした、今後の議論の材料を御提供したまででございます。
研究会は4月に最終提言を取りまとめます。今回話題になってしまいましたけれども、第1次提言も御覧いただき、また、この検討会での議論にもお役立ていただけましたら大変幸甚でございます。
以上でございます。
 
【友添座長】  
ありがとうございました。
それでは、議事に移りたいと思いますが、具体的な議論に入ります前に、室伏スポーツ庁長官より一言御挨拶をいただければと思います。
 
【室伏スポーツ庁長官】  
スポーツ庁の室伏です。
本日はお忙しいところ、運動部活動の地域移行に関する検討会議に御出席いただきまして誠にありがとうございます。
また、これまで検討会議では、大変熱心に、また、前向きに御議論していただいております。感謝申し上げます。ありがとうございます。
本日の検討会議においては、大会の在り方、会費、保険について御議論いただくことになっておりまして、それぞれ大変重要な課題になっているかと思います。特に大会の参加資格については、運動部活動の地域への移行の成否を左右する特に重要な課題でありまして、私からも一言申し上げさせていただきたいと思っております。
先週、私自身、石塚委員ともお会いしましたけれども、沖縄県を訪問させていただきました。報道で見るところは皆さん御存じかもしれませんが、うるま市、そして糸満市の中学校に行きまして、部活の地域移行を実践されている学校を視察させていただきました。子供たちは地域のスポーツ指導者の指導の下、とても熱心に活動に取り組まれており、一方はバレーボール、もう一方はソフトテニスとバドミントンを中心に見させていただきました。子供たちが中学校の自分たちと同じ年の子たちと活動するだけではなく、地域の大人とも一緒にスポーツを楽しんでいる姿も見まして、生涯にわたってスポーツに親しむ姿勢を育む上でとてもよい効果があるのではないかと思います。
学校の運動部に所属していようと、地域のスポーツ団体に所属していようと、スポーツに親しむ子供であることには変わりないと思います。地域のスポーツ団体で活動している子供たちが、今まで目標としてきた大会に出場できなくなってしまうことがないよう、また、子供たちのスポーツへの意欲や熱意を大きく損なわないように、十分に気をつけていく必要があると思います。
大会の参加資格については、平成30年にスポーツ庁が策定しました運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン等において、その見直しを繰り返し要請させていただいておりましたけれども、具体的な取組が見られませんでした。この検討会議で皆様には熱心に御議論いただいておりますけれども、こういったものを踏まえて、各地域において地域スポーツの環境整備を進めていただいたとしても、大会の参加資格についてこれまでのように具体的な見直しが実施されないと、子供自身や保護者の理解を得られず、運動部活動の地域への移行は進めにくくなってしまうかと思います。
令和5年度から休日の運動部活動の段階的な地域への移行を着実に実現していく目標を持っておりますので、そのためには、大会の参加資格の見直しが不可欠ではないかと思います。子供たちのことを第一に考え、大会の在り方などについてどのような見直しをすべきなのか、そして、見直しが確実に実施されるためにはどのような取組が必要なのかについて、ぜひ前向きな議論をいただければ大変ありがたく思います。
スポーツ庁としましては、皆様で御議論いただいたことを踏まえて、大会の在り方をはじめ様々な課題に対してしっかり取り組んでいきたいと思います。
今回、沖縄に行かせていただきましたが、やはり現場を見みないと分からないこともあります。たまたま沖縄ですけども二つの学校を見せていただいて、本当に地域移行の大切さ、また、問題や課題は当然あるかと思います。指導者をどう確保するか、そういうことも含めてあるとは思いますが、できるだけ柔軟に大会資格のところは考えてなければいけなくて、出口のところが一番大切になると思います。
昨年も、小学生陸上の大会を見させていただきました。陸上は私の出身の母体であるんですけれども、電光掲示板を見ると、学校の名前があったりクラブの名前があったり、実際に小学生ではできているところを見ました。地域でやっている子もいれば、学校から大会に出ている子たちもいますので、成り立っているところもあるかと思います。
また、指導者に関しても、勉強では塾とか、スポーツでも今、塾だったり地域のクラブで習ったり、そういうことも増えてきている現状がありますので、指導者という新しい職というか、そういうものが出てきてもおかしくないと思います。
親の負担ももちろんあると思いますが、次長とも一緒に、toto助成だったりスポーツ庁として支援させていただいたり、推進するためにどうやったら本当に実現できるか、ぜひ皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 
【友添座長】  
ありがとうございました。今日、久しぶりに熱い長官を見た気がします。横に居ながら熱量を感じておりました。
 
【室伏スポーツ庁長官】  
スポーツ庁の職員も、どうやって進めていくかと毎日一生懸命取り組んでいるところでございます。今、本当に一番重要なときであって、先生にも第3期のスポーツ基本計画の御指導をいただいていますけれども、その政策はスポーツ庁として今、重要な局面にございまして、そういったのが自然と出たのかもしれません。よろしくお願いいたします。
 
【友添座長】  
ありがとうございます。長官からは重要な論点を示唆いただいたと思います。
議題の1に移りたいと思います。
大会の在り方についてでございます。資料1は、私が内田座長代理と御相談の上、事務局の協力の下、作成した資料です。流れといたしましては、まず、事務局より資料1について御説明いただき、続けて各委員より順番に、資料に記載してあります取組事例について、4分から5分程度で御説明いただきたいと思います。その後、前回会議の最後に、市川委員にお願いをしておりました少子化等の社会情勢の変化を踏まえたこれまでの取組や今後の在り方に関して、日本中学校体育連盟としてのお考えを御発表いただきたいと思っています。最初の資料の説明や発表が終わりましたら、各委員の皆様からの質疑や御意見を頂戴できればと思います。
それでは、まず事務局より説明をお願いいたします。
 
【事務局】  
資料の1番、大会の在り方の見直しについてと題する資料です。
まず、1ページ目ですが、1番、今後の大会の在り方についてです。現状について記載がされてところですが、中学校等の生徒を対象とする大会としては、中体連、競技団体、その他スポーツ団体の主催する大会などがあります。そのような大会については、規模、水準は様々であり、また、参加資格としては、学校の運動部に限るものや地域のスポーツ団体に限るもの、制限を設けていないものなどがあります。これらの大会については、生徒のスポーツへの意欲を高め、技能の向上に寄与してきました。
一方で、大会の在り方については、平成30年にスポーツ庁から示されたガイドライン、また、平成31年に中央教育審議会から示された答申などにおいて、その参加資格などの見直しが指摘されているところですが、残念ながら、こうした指摘を踏まえた具体的な取組は見られません。
本検討会議での議論においては、上記のような指摘を踏まえた大会の在り方の見直しにつながる好機であると言えます。なお、本検討会議は、公立の中学校等の運動部活動の改革を主な対象としていますので、大会についても同様に中学校等の生徒が参加する大会について扱うこととしております。
続いて、課題です。
(1)地域のスポーツ団体等に所属する生徒の大会参加機会の確保について、生徒のスポーツ等の機会を確保するため、地域においてスポーツができる環境を速やかに整備していく必要があります。一方で、大会については、参加資格が学校単位に限定され、地域のスポーツ団体等の参加が認められていないものもあります。そのため、地域のスポーツ団体などに所属する生徒はこのような大会には参加できず、練習の成果を発揮する場が確保できない状況が生じることになります。
(2)全国大会をはじめとする大会の在り方について、都道府県などを範囲とする大会から、全国規模の大会まで様々なものがあります。なお、中体連が主催する全国大会の競技種目については、それぞれ競技団体主催の大会もあり、並存している状況です。全国大会では、限られた期間で全国1位を決めることになりますので、トーナメント方式が主流となっております。このような大会は高いレベルの生徒が切磋琢磨する機会となっており、優れた才能を有する者の早期発掘、競技力向上等に寄与してきました。
一方で、以下のような課題が指摘されています。
丸1 として、生徒や保護者、指導者がより上を目指そうとして練習の長時間化、過熱化、また、けがや故障を招くこと。また、中には勝利至上主義による暴言や体罰、行き過ぎた指導等が生じる一因となっていること。
丸2 として、生徒は試合を通じてスポーツの楽しさを経験したり、意欲を高めたり、技能を向上させたりすることになりますが、トーナメント方式では約半数のチームが1回戦で敗退することから、多くのチームにとって、試合を通じて得られる貴重な成長の機会を確保できなくなっていること。また、レギュラーが固定されて、多くの生徒が補欠として試合に出場できないことなどの課題があります。
丸3 として、大会への出場に際しては、移動や宿泊による心身の負担、また、交通費等の金銭的な負担も重くなります。
今後、地域でのスポーツ環境としては、生涯にわたって心身の健康を保持増進し、豊かなスポーツライフを実現するための基盤となる資質・能力を継続して育成できるものが望まれます。そういった活動にふさわしい成果発表の場の確保が必要となります。一方で、中には高い水準の技能や記録に挑むことを重視する生徒もおりますので、そのような生徒が日頃の練習の成果を発表する場の確保も必要です。
(3)大会に参加する生徒の安全確保について、夏季休業の期間に開催される大会が多く、そのような大会においては酷暑の中でのタイトな試合日程となり、発育発達途上にある生徒の心身への著しい負担が生じています。
対応策として、(1)大会参加の機会が確保されるよう、国から中体連や各競技団体等の大会主催者に対して、学校単位だけではなく、地域のスポーツ団体等の参加を認めることを改めて要請することが必要ではないか。令和5年度からは休日の部活動の段階的な地域移行が進むことになるため、国は令和5年度以降の中学校等の生徒を対象とする全国大会について、支援の在り方を見直し、地域のスポーツ団体等も参加できる大会に対して開催経費の補助や後援名義、杯・賞の授与等を支援することが必要ではないか。
次のページに参りまして、ガイドラインを改訂して、中体連や各競技団体等の大会主催者は、参加資格として、地域のスポーツ団体等も参加できるようにすること。都道府県や市町村は大会に対する支援の在り方を見直して、地域のスポーツ団体等も参加できる大会に対して、補助、後援名義、学校や公共の体育スポーツ施設の貸与等の支援を行うことを規定することが必要ではないのか、です。
(2)全国大会をはじめとする大会の在り方については、国から日本スポーツ協会、各競技団体等に対して都道府県や市町村単位での大会の開催を要請すること。また、そのような大会を新たに開催する場合は国から補助するなどの支援をすることが必要ではないか。
また、大会、特に全国大会については、様々な課題の指摘があります。生徒にとってどのような意義があるのか、改めて議論する必要があるのではないか。また、意義が認められる場合には、その意義を踏まえて、どのような全国大会がふさわしいのかなどについて検討する必要があるのではないか。また、全国大会の開催回数について、競技種目ごとに適正な回数に精選するべきではないか。国から各団体に対して、今後の全国大会の在り方の検討を要請することが必要ではないのか。
大会の将来的な在り方として、多様な大会が開催され、生徒や地域のスポーツ団体等が自分たちにとってふさわしい場を選択できるようにしていくことが考えられるのではないか。今後の大会の在り方について、国から各団体に対して検討を要請することが必要ではないのか。
5ページ目、生徒の安全確保です。
中学校等の生徒向けの大会の開催時期について、夏季であれば空調設備の整った施設を会場として確保すること。また、確保できない場合は、夏の時期を避ける要請する必要があるのではないか。また、中学校等の生徒向けの大会開催が可能な環境基準として、具体的、客観的な数値を示すよう要請する必要があるのではないのか。
6ページ目、大会引率や運営に係る教員の負担軽減です。
大会参加の引率ですが、熱意を持って指導している教員もいる一方で、引率に対して負担を感じている教員もおります。部活動指導員が配置されている運動部においても、教員が同行していることがあります。
(2)大会運営の従事ですが、中学校等の生徒が参加する大会においては、準備・運営の大半を教員が担っているものもあり、これらについて負担を感じている教員もおります。大会運営については、大会主催者である団体等の責任で行われるものであり、大会運営への参画は中学校等の教員の本来の職務ではないものの、実態として多くの教員が大会運営に従事しています。そのため、課題を整理し、教員の関与の在り方などを見直していく必要がある。
続いて対応策です。生徒の引率ですが、部活動指導員を配置している部においては、原則として部活動指導員が単独で行うことなど、できるだけ教員が引率しない体制を整える旨を規定する必要があるのではないか。また、中体連主催の大会においても、規定を見直し、外部指導者による引率を可能とすることなどを要請する必要があるのではないか。
(2)運営への従事ですが、人員が足りない場合は、教員ではなく、大会主催者が外部委託をしたり、アルバイト等を雇用したりして補充すべきではないか。また、大会運営に従事することについては、教育委員会や校長において、教員が服務上の扱いが曖昧なままで大会運営に従事することがないよう服務監督を行うべきではないか。また、教員の中には、日頃から競技団体等の活動に意欲を持って従事している者もおります。そのような方が適切な報酬を得て運営に従事することを希望する場合は、兼職兼業の許可を得る必要があり、国はガイドラインを改定して、兼職兼業の許可を判断すべきことを示す必要があるのではないか。
8ページ以降は、ガイドラインや中教審答申、また、令和2年9月の学校の働き方改革を踏まえた部活動改革の大会の参加資格に関する抜粋です。
参考データ集として、参考資料3をお配りしております。そちらを御覧ください。
2ページは中体連以外の全国大会の状況です。3ページが参加資格の状況です。
7ページは、自治体、都道府県に対してアンケートのうち、参加資格の見直しについての回答状況です。92%が必要であると回答しています。
続いて8ページが、参加資格の見直しについてのメリットとデメリットです。メリットとしては、機会の確保につながるということが挙げられています。デメリットとしては、中体連や学校部活動の存在意義が薄れるのではないか。また、勝利至上主義の助長につながるのではないのかということが挙げられています。
続いて9ページは生徒自身がどう思っているかですが、18%の生徒が反対しているものの、一方で39%の生徒は賛成しています。
17ページですが、大会運営に教員が関わっているケースが約7割でして、それに対して、22ページですが、負担に思っている教員、特に役員となっている教員は負担に思っている状況があります。
最後に34ページですが、これまでも大会の在り方に関しては様々な委員から御意見をいただいておりそれをまとめております。34ページから37ページまでが大会の参加資格についてで、多くの委員から、大会参加資格について緩和が必要ではないのかという問題提起をいただいております。
38ページが、全国大会をはじめとする大会の在り方について見直しが必要という御意見です。
40ページ、41ページが、教員の引率、そして大会運営への従事についての御意見です。
 
【友添座長】  
ありがとうございました。
続きまして、各団体における取組事例の紹介をお願いしたいと思います。
初めに、西委員から、奈良県生駒市における事例紹介をお願いいたします。
 
【西委員】  
奈良県生駒市スポーツ振興課の西でございます。
それでは、大会の在り方などについて、生駒市の取組などを御説明いたします。
まず、地域の状況ですが、生駒市では、市民体育大会は、市と市教育委員会、市スポーツ協会の3者で主催しており、中学生の部は、スポーツ協会の加盟競技団体である市の中学校体育連盟に大会の運営をお願いしています。この大会は市の主催事業であるため、市教育委員会から市中体連に申出を行い、中学校の部活動チームと地域のスポーツ団体が共に出場できるオープンな大会として開催しています。なお、この大会で、プレー中などにけががあった場合の保険は市が加入しています。
続いて、課題と考えておりますのは、中学校の種目別競技大会については、ほとんどの競技で教員から成る都道府県や市町村の中体連が事前準備から当日の運営、事務処理などを行っているため、部活動を地域に移行した場合、大会運営を誰が担うのかというとても大きな課題が残ると思われます。その課題に対する今後の対応策や展望としましては、まず、優勝者などを決める大会とするのか、または、たくさんの生徒の経験となる形とするのかは慎重に検討し、進める必要がありますが、大前提として、室伏長官も冒頭におっしゃったとおり、部活動に参加している生徒の日頃の練習の成果の発表の場は必要であると感じています。
全国やブロック規模の大会などは、開催地域の種目別競技団体が審判などで運営に携わっているケースがあります。そういったことからも、大会運営を地域が担う場合は、参加費などによる大会運営経費の捻出などの問題はありますが、市町村スポーツ協会や総合型地域スポーツクラブなどが部分的にビジネスベースで大会運営を請け負うことができるのではないかと考えています。
なお、現在も、種目によっては教員が種目別競技団体の役員として地域のスポーツ大会の運営に関わっているケースもあるため、教員の地域人材としての活躍は外せないと思われます。また、公共施設よりも民間施設のほうが環境が充実している競技種目、例えば水泳、ボウリング、ゴルフなどでは、ここでも大会運営経費の捻出が最大の課題とはなりますが、民間事業者に大会運営を委託することも考えられます。
また、これからは大会出場を目的とするのではなく、その学校の生徒が中心となり、総合型クラブなどと連携し、保護者や兄弟姉妹、障害を持つ人などの地域住民を巻き込んで、様々なスポーツや文化活動をわいわい楽しむことを目的とした多種目・多世代・多志向の部活動、ここでは「3T部活動」と名づけましたが、そういった部活動の設置も必要ではないかと考えています。
説明は以上です。よろしくお願いします。
 
【友添座長】  
ありがとうございました。
それでは、金沢委員、日本スポーツ協会のほうからお願いいたします。
 
【金沢委員】  
日本スポーツ協会の金沢です。
私のほうからは、加盟団体であります都道府県体育・スポーツ協会主催の大会について御報告をさせていただきます。
都道府県体育・スポーツ協会の事業計画などについて数県へ聞き取り調査を実施いたしまして、このような結果が出ております。
まず、結論としましては、都道府県体育・スポーツ協会主催の中学校、高校生を対象とした親睦や交流が目的の大会は残念ながら確認できませんでした。県にヒアリングしたところ、やはり中学生、高校生については中体連や高体連の大会があり、または、それぞれの競技団体が実施している大会があるということでした。都道府県スポーツ協会としては、高校生以上の年齢層を対象とした方々の大会を企画しており、市区町村からの代表が出場する県民スポーツ大会ですとか、中高年齢層対象の親睦・交流目的の県スポーツレクリエーション祭等、こういったものを年齢ごとに位置づけて大会を実施しているとお聞きしております。
今回の調査で確認できた範囲では、繰り返しになりますが、中学生、高校生を対象とした親睦や交流が目的の大会は実施していないと。聞き取り調査の県に、近県、周囲の県で実施している情報がないかも聞きましたが、そういったものはなかなか確認できないのが実情でございます。
一方で、一部の都道府県においては、現行の大会の在り方、参加対象の見直しに着手しており、中学生、高校生まで対象を広げることを検討しています。また、実力に関係なく、スポーツを通じて親睦、交流を図ることができる大会の開催を検討しているところもあることを確認しております。一部の県ではございますが、こういった動きや今回の部活動改革を契機といたしまして、今後、ほかの県に大会の見直しが広がっていくことも想定されます。
資料の下段には、参考ということで、総合型スポーツクラブで主催している大会の事例を二つほど挙げさせていただいております。
事例1では、地域のクラブが大会で試合に出られない生徒の活躍の場を創出しようということで、中学生対象のジュニアソフトテニス大会を開催しております。そして、同じソフトテニスですが、普及事業、交流大会として、指導者研修ですとか中学生の実技研修会を行って、中学校で初めて競技に触れる生徒へのサポートも総合型クラブのほうでされているという事例をお聞きしております。
事例2の対象は小学生でありますけれども、参考としてお伝えさせていただきます。総合型クラブで活動する仲間との交流を目的としたミニバスケットの交流大会を実施されているそうです。対象は、県内の総合型クラブで活動する小学校3年生から6年生ということで幅広く、男女混合でチーム編成を行って参加しております。そして、子供たちが楽しくできるように、トラベリングですとかダブルドリブル等の競技ルールも緩やかな適用をするなど、ゲームを楽しむことを重視した大会を企画されているという事例をお聞きしております。
説明は以上となります。
 
【友添座長】  
ありがとうございました。
それでは、山本委員、日本バスケットボール協会の御紹介をお願いいたします。
 
【山本委員】  
日本バスケットボール協会の山本です。
資料は6ページとなります。お願いいたします。
東京オリンピックに向けて、強化・育成の在り方を再検討してまいりました。具体的に、2017年ぐらいから2022年、5年間にわたり継続的に検討している事項について報告をいたします。
資料にあるように、まず、中学生の特徴のところでは、小学生や中学生、高校生といった各年代の特徴を踏まえた競技会設計、そういったことを考えてもう1回見直すということで、トップ層の強化及び、それ以外の九十数%を占めるエンジョイ層や普及層の在り方も同時に検討してきました。
成長期または思春期ということを踏まえながら考え、リーグ戦化という在り方を考えております。中体連の大会がトーナメント戦であることは紹介されているとおりでございます。この在り方については非常に深い議論が必要でありました。長いこと中学校の年代の先生方とも意見交換をしてまいりました。
とにかく、まずは生徒主体で考えてみよう、選手主体で考えてみようということで、いかに楽しく競技ができるか、我々でいうとバスケットボールができるか、そういう形式であるべきか、それが方法論としてのリーグ戦かということで、三つございます。負けても試合ができる。最低試合数を確保する。これは補欠の解消も狙っています。
二つ目に、能力別に試合をする。得点差をつけすぎない。残念ながら、バスケットボールにトーナメント戦の1回戦では200対1桁というゲームが存在している現状があります。これは勝者にも敗者にも終わった後にいいものが残らないので、とにかく解消したいなと。それはどうしたらいいか。能力別の試合をしようじゃないかと。これは理想ということで、運用はなかなか難しい部分があるんですけれども、知恵を出していただいて各都道府県でやり方を考えていただくと、やっていただける都道府県もあったという事例がございます。
次に、PDCAサイクルを学ぶ。ちょっと難しく言っておりますが、トライをして、負けたにせよ勝ったにせよ、自分たちのチームの中だけではなくて、他校との試合をしたときに生じた課題について解決すべく練習を考えようじゃないか。これを指導者主体だけじゃなくて選手も一緒になって考えるということは、非常に取組に対してやる気が出ますし、PDCAサイクルとは一体何かということをとにかく実感できる、体験できる仕組みですね。これがリーグ戦だとたやすいんですが、トーナメント戦だとどこに当たるか分からないので準備がしにくい。決まった試合が定期的に組まれているわけではない。こういったところはサッカーさんと同じ考え方でございます。
この課題は大人の事情であり、考えると、会場確保、運営者確保、日程調整というのは非常に難しいです。ですが、大人が知恵を絞って、やれるところからやっていきましょうということで、都道府県単位の実情に合わせて、また、市町村とか、そういったところで工夫をして、2017年に説明をしまして、2019年にやりましょうといってトライをしたんですが、今、コロナ禍で中止になっています。
それで、バスケットボールの事例というのが7ページの下のほうに書いてございます。
あと、全国大会で、U15選手権というものをこの1月に2回目を実施いたしました。この大会は、部活動チーム、クラブチーム、Bユース――Bリーグのプロチームのユースチームですね、この3種が出られる大会です。こういった都道府県のリーグ戦も同様の参加資格を持っているということなので、今、検討されている参加資格の話はこういった形がいいのかなというところです。
最後に、記載がないことですが、少人数でやるスリー・エックス・スリーという競技がございます。オリンピックでももう少しでメダルというところまで行ったんですけども、ボールに触れる機会が多く、しかも短時間で強度が高いゲームです。1面でやると10人しかできないんですけれども、12人できる。多くの選手がプレーできる。また、コーチがつけられないということは、逆に言えば、主体的に活動ができてバスケットを楽しめるということで、どんどん楽しんでもらうといいなと。こういった方向でやりたいと思っております。
以上です。
 
【友添座長】  
ありがとうございました。
それでは、影山委員から、日本サッカー協会の御紹介をお願いいたします。
 
【影山委員】  
皆さん、こんにちは。日本サッカー協会、影山と申します。
まず初めに、我々サッカーは、様々な競技団体の中でも恵まれている競技団体であると認識しています。プロリーグが1993年に始まりました。そして、女子だけのプロリーグというものも昨年スタートしました。そして、ワールドカップをはじめとして日本代表も人気があり、ある意味スポンサーなどの獲得にも役に立ちまして、強化・育成に対して、そのような資金を使うことができています。ですので、我々サッカーの事例としての発表、そして例が、全ての競技団体の皆様に本当に参考になるのかどうか、正直私どもでは想像がつかないところありますけれども、そんなところからやり方によってここまで来れたんだなというサンプルとして御認識いただければいいのかなと思っております。ぜひよろしくお願いいたします。
ここに書いてあるように、実はまだまだ資金もなかったときに、どうしたら日本サッカーが勝てるのか。それから、全てのサッカーに関わる人、特にプレーヤーがハッピーになれるのか。それは勝つためだけではなくて、誰もが能力に応じて楽しめる環境をつくれるかどうかにかかっているということで、大変長い間、勝利至上主義が問題になっておりますけれども、それだけではなくて、実力のない子供たちがサッカーを楽しむことができる、そんな環境をつくり出すのにはトーナメントではいけない、リーグ戦でこそ勝っても負けても次の試合があると。
そして、先ほどバスケットボールの山本委員からもお話がありましたように、バスケットではPDCAという言い方をしていますけれども、我々はMTMという言い方をしています。これは我々指導者のコーチング法の中でも使うんですけれども、マッチ・トレーニング・マッチという言い方をしていて、試合をして、それによって勝っても負けても次の試合に向けていい準備をしようじゃないかと。選手だけではなくて、指導者もいろいろ考えて準備をする。そうするとMTMの最後Mはできたらベターマッチになっていたいよねということで、やはりリーグ戦は勝っても負けても続けることができる。トーナメントですと、弱いチームこそたくさん試合をしたいのに、1試合負けると終わってしまう。そして、試合内容としても、負けないための試合になってしまう。そうすると、どうしても成長ではなくて、チームの勝利だけを考えてしまうということで、リーグ戦を創出してきました。
ここに関連の連盟がずらっと書いてありまして、ここは各種連盟なんですけれども、関連団体として、日本障がい者サッカー連盟というものも我々は持っていまして、そちらでは7種の障がいの様々なサッカーに対してもサポートを行っています。
中学校年代のゲーム環境は大きく二つありまして、リーグ戦、それから(2)で書いてある高円宮杯です。これは全国1位をトップまで決める、地域からずっと上がってくるトーナメントの大会なんですけれども、長い期間のリーグ戦、それからノックアウトのトーナメント、この大きな二つを行っております。
日本サッカー協会に登録するんですが、都道府県サッカー協会がありますので、そちらを通して登録をしてもらえれば、どんなチームでも参加していいというのが我々のリーグ戦、それから大会になります。
それ以外にも、日本クラブユース連盟という長い歴史を持つ連盟があります。クラブユース連盟さんも独自の大会を行っていますけれども、我々が持っている高円宮杯というのは、クラブユースさんであっても、中学校のチームであっても、Jリーグのアカデミーであっても、どなたでも参加できますよというふうに、ある意味、門戸を開いていることになるかと思います。
課題もたくさんあります。リーグ戦においては、特に都市圏などを見ますと、中学校の部活動のチームの参加が少ないです。ハードルが高いと言われます。年間通しての移動を伴う費用などはなかなか捻出できない。ですので、もっと小さな地域で移動があまり伴わないような、そんなリーグもどんどん行うことが必要だと思っています。
スケジュールの過密化も問題になっています。連盟ごとの大会をそれぞれに行っておりますので、重なっていないんですね。ですから、年間のスケジュールが本当に過密になって、いっぱいいっぱいになっています。
様々な課題がありますけども、我々としましては、まず足を踏み入れてもらう。6対6でも8対8でも、できるなら我々はサポートしますよということで、やれる人たちにどんどん場を提供してあげるという姿勢で今後さらに進めていければなと思っています。
私のほうからは以上です。ありがとうございました。
 
【友添座長】  
ありがとうございました。
続いて、石井委員からは日本陸上競技連盟の御紹介をお願いいたします。
 
【石井委員】  
日本陸上競技連盟の石井でございます。
私どもでも、勝利至上主義に関わることの検討などは当然必要だと認識しておりまして、また、競技者育成指針などでそこに関しての記述もしておりますけれども、今日の私の御報告では、大会の制度に関するお話にとどめさせていただきたいと思います。
私どもでは、会員登録の区分として、中学生については二つの登録が可能となっております。一つが中学生登録です。これは中体連を通じて登録をしていただくもので、学校名の所属となります。もう一つは大人の方と同じ制度になりますが、クラブを通じた団体のメンバーとしての登録、あるいは個人で直接各県の協会や私ども陸連に登録する個人登録があります。こちらはクラブの名前を名のることができます。
この二つの登録、二重登録ですが、別々の都道府県で二つの登録をすることが可能です。クラブから大会に出る場合は団体登録が必要になりますが、クラブの会員でもクラブの所属では大会に出ない、大会に出るときはいつも学校名で出る場合は中学生登録だけで構いません。大体中学生のうち2%程度が、このクラブを通じた登録も併せた二重登録をしておられるようです。
クラブの所属で出場できる大会としては、私ども日本陸連主催の全国大会であるU18、U16の陸上競技大会がございます。昨年の例でいきますとU16、これは年代別のカテゴリーですので、早生まれの高校1年生まで入りますが、出場者のうちの5.5%がクラブの所属で出場しておりました。
出場資格を得た大会、都道府県での大会などと全国大会では所属が違っても構わないことにしておりまして、特に昨年の場合はコロナの影響もあって、県内の大会は学校から出場したんだけれども、全国大会には、禁止はできないけれども、学校長として出場を認めることができないというようなケースは、クラブから出場する例も見られました。
また、このほかにも日本陸連の主催大会として、大阪城ホールの中に仮設のトラック競技施設をつくって行う日本室内陸上大会ですとか、あとは国体や都道府県対抗駅伝なども、学校、クラブのどちらからでも出られます。また、判断が県によって違いますけれども、県によってはクラブの所属でも中学生の大会に出場できる事例もあるようです。
クラブでも大会に出場ができるメリットとしては、生徒にとって選択肢が増える、それから、今日御提示いただいた資料の中にもありましたけれども、部員数が少ない学校で駅伝やリレーのチームが自分の学校では組めない場合も、クラブであればほかの学校の生徒と一緒に組んで出場することができるというメリットがあります。また、教員の方の引率の負担が軽減するという例もあって、クラブから出ればクラブを運営されている方、あるいは親御さんが引率することもできます。
一方、課題としては、どちらから出るのかがもめごとになるケースが少なからずあって、特にリレーなんかで強い選手がどっちが先に申し込むかというのは早い者勝ちみたいになっているところがあって、すごくもめるケースがあると聞いています。
あとはどちらから出場するにしても引率は誰がするのか。クラブから出たいんだけど引率は学校で行ってくれませんかみたいな話もあって、この辺り、コミュニケーションがきちんと取れていないところでは、なかなか御苦労があるとも聞いております。
また、登録制度とか登録料に関して、これは私どものシステムの問題もあるんですけれども、もうちょっと解決すべき点があるという御指摘をいただいていまして、地域移行が進むとこういった事例が増えてくると思いますので、何かいい方法がないか検討しております。
それから大会運営に関して、今日、御提示いただいた資料1にもありましたように、教員の方が運営に関わっていただいていることが多いんですが、これを自分たちで何とかしなさいというふうに言われると、ただでさえ経費的にも苦しい大会が多いので、外部委託やアルバイト等という事例も挙げていただきましたけども、その経費は一体誰が出すのか。参加者の受益者負担のようになると、次のテーマにも関わってくると思いますが、なかなか難しいなと感じながら読んでおりました。
以上でございます。
 
【友添座長】  
ありがとうございました。
続きまして、市川委員から、日本中学校体育連盟としてのこれまでの取組や今後の在り方について、御説明をお願いいたします。
 
【市川委員】  
中体連の市川でございます。よろしくお願いします。
まず、資料の1にございましたとおり、中体連は様々な提言を受けているけど具体的な取組が見られないと。確かに皆さんにお見せするまで至っていないところですけれども、令和2年からプロジェクト会議を立ち上げまして、準備を進めているところです。前回の会議でも申しましたが、御承知おきいただければと思います。
では、お話しします。
戦後75年間、健全育成、健康・体力の維持・増進、心の育成、非認知能力を高めるなど、中学校教育の教科、道徳、特別活動、総合的な学習の時間を補う役割を、部活動を通して当時の先生方から今日に至るまで、ほぼ手弁当で郡市町村中体連、都道府県中体連、日本中体連が関わってきたと考えております。
しかしながら、少子化が進む中で、体罰問題、強制的な顧問依頼、顧問教師の過酷な勤務状況など、多くの課題が表面化してまいりました。その折々手だては講じてきたものの、これまでどおりが通用しないことを強く捉え、持続可能な部活動として抜本的な改革が必要であるとの認識に立ち、本連盟としましては、先ほど申しましたプロジェクト会議を立ち上げ対策を進め始めたところでした。
しかしながら、そのさなかに働き方改革を含む部活動改革としまして、文部科学省、スポーツ庁が着手してくださることにつきましては、私どもとしては大変ありがたく感じているところでございます。私どもが申せる立場ではないかもしれませんが、教員の働き方改革は、教育のための社会づくりに向かうプロセスのひとつと考えております。当たり前に取り組んできた部活動を、よりよい中学校教育のために社会基盤をしっかりと整備しながら段階的に移行していくことに、私どもは賛成の立場でございまして、スポーツ庁や関連種々の取組と同じ方向に向いているということを御理解いただければありがたいと存じます。
働き方改革を推進する観点から、マクロの視点、総論で見たときには、地域移行について賛成をさせていただいています。しかしながら、心配なこともございまして、ミクロの視点で現状を見たときに、解決すべき課題が多々あると捉えております。地域の受け皿などをはじめ、その課題が解決できなければ、これまで申し上げさせていただいたとおり、子供たちのスポーツ機会が衰退してしまわないか、不安を抱いている部分もございます。
以前の取組のように、地域スポーツへの移行がうまく進まないのではないかというふうに、これまでの経験から危惧してしまう職員がいるのも事実でございます。学校でしか活動ができない子供、または学校だから活動できている子供も存在しておりまして、その子供たちのためには部活動指導員のさらなる拡充を強く希望したいと考えています。部活動指導員の拡充が地域移行へスムーズに進む一つであると捉えている学校現場もあります。
きちんと環境、条件整備がなされないままに進めた場合には、多くの子供たちに影響が及んでしまうのではないかと懸念している学校現場が現状では多いと私どもでは捉えているところでございます。
地域移行に関連しまして、日本中体連としてこれまで取り組んでいることは二つございまして、一つ目は全中大会への参加の条件として複数の合同チーム参加を既に認めていることです。ただ、都道府県によってその条件が違いますので、先ほどの御紹介にもありましたけれども、そこのところで参加の制約がかかってしまうと。しかしながら、日本中体連としましては都道府県での条件、また、ブロックでの条件をクリアしていれば参加を認めています。
二つ目としましては、拠点化校の参加についてです。市区町村の自治体教育委員会が推し進められているところもありまして、全中大会への参加について協議を始めたところでございます。また、全中大会への出場実績は承知しておりませんが、市区町村都道府県段階では、総合型地域スポーツクラブと学校が連携をして、母体である総合型スポーツクラブが連携該当校名で、いわゆる融合型というんでしょうか、中体連大会に参加しているという複数の実績や情報を伺っているところでございます。
現状では、御存じのとおり、学校単位での出場という形になっておりまして、それがベースではありますが、先ほどの拠点確保、または地域部活動同様、自治体教育委員会が推進する事業を受け、積極的に大会参加に向けて協力していくという考えでございます。スポーツ庁が取り組んでおられる地域運動部活動推進事業のモデル地域等を含め、子供たちの出場機会を確保すべく、地域部活動を含めた大会準備を進めていこうと考えております。子供たちが活動している現状や実態を把握し、検討をさせていただきたいと思います。今後は条件を整えた上で、クラブチーム等の参加も検討させていきたいと考えているところでございます。
以上でございます。
 
【友添座長】  
ありがとうございました。
議論のために確認をさせてください。中体連としては、いわゆる学校別大会から年齢別大会へ移る予定はおありなのか、いつからそれを実施する予定で動いておられるのでしょうか。
 
【市川委員】  
年齢別大会という明確な名称、呼称というんですかね、そういう考え方を示しているわけではありませんけれども、学校だけで大会をやってきたこれまでとは違うステージ、地域の活動も行っている子供たちの出場機会を閉ざさないでありますとか、拠点校の部活動についても、現実に様々な地域で始まっておりますので、そういう子たちが出場機会を確保できるような取組を進めていこうという話を始めているところです。令和5年に向けてということですけれども、そのような取組で、年齢カテゴリーの大会をというところまでは至っていませんが、出場機会については確保しましょうという方向で進めさせていただいているところです。
 
【友添座長】  
分かりました。ありがとうございました。ということは、具体的に来年4月からいわゆる地域のスポーツクラブも、中体連主催の大会に予選も含めて参加可能だということでよろしいでしょうか。
 
【市川委員】  
私ども組織でございまして、来月に会議がございます。そこでどのような判断になるかは分かりませんけど、執行部原案としましては、そのような方向での進め方をさせていただこうというふうに先日の会議の中で確認して、今日の発表をさせていただいている状況でございます。
来年度につきましては、大会の準備が進んでおりますので、令和5年に向けてというところで線を引かせていただいているところですけども、活動がある場合についてはそれぞれ地方大会であるとか都道府県大会については個別に対応されていくんだろうと思います。私どもは全国大会だけしか所管をしていませんので、それを受けた都道府県中体連や市町村の中体連がその辺のところをアイデアを出しながら進めていただければありがたく、働きかけをさせていただきたいと思っています。
 
【友添座長】  
ありがとうございます。と申しますのも、今日の資料の中に、いわゆる地域のスポーツクラブの参加を認めない大会には、国はバックアップしないという文言が入っていますので、ここのところを最終的に検討会議で可とするのか、否とするのかという問題とも関連してくると思います。今の御発表の中にはなかったものですから、そこの姿勢について明確にしておきたくてお尋ねした次第であります。
それでは、資料1の説明やただいま御発表いただいた各事例、また、今、市川委員のほうから御発表いただきました中体連のお考えについて、御質問、御意見などを頂戴できればと思います。
議論の方向は、大まかには大会の参加資格の問題、それから、大会の引率と運営をどうするのかという大きな二つの方向性があると思います。御意見をいただければと思います。いかがでしょうか。
末冨委員、どうぞ。
 
【末冨委員】  
まず、本日御報告いただきました地域や競技団体での実践事例、それから、ビジョン等につきましては大変勉強になりました。部活動地域移行がどのような未来に向かっていくかと申しますと、学校と中体連が中心になるというところから、競技団体と地域の生徒が所属する地域スポーツクラブに移行していくことがはっきり見えました。
ただ、その中でクリアしなければならない課題は多いと思います。費用負担は次のセクションでの話とさせていただき、やはり大会運営の負担をどうするかと。先ほど市川委員がおっしゃいましたが、まさに指導員、支援者の確保は必須ですので、その点の人員を確保するための予算措置スポーツ庁にぜひお願いいたしたく存じます。
その上で、私自身のお願いといたしましては、住んでいる地域ですとか自治体によって参加資格に差が生じてしまっているのが現状だと思いますので、その状態を早急に、令和5年度と言わず見直していただきたいと思います。特に今の御報告と、それから座長とのやり取りを聞いていて、私から確認させていただきたいことが幾つかございます。
一つは、令和5年度以前に、中体連としてどんどん参加資格を認めましょうという方向性を、明確に各都道府県の団体に対して打ち出していただけるのかどうかについては、全国の関係者が固唾をのんで見守っておられるのではないかと思いますので、その点を明確にしていただきたいと存じます。
併せまして、まさに戦後75年、部活動という形で日本のスポーツ文化を担ってこられた中体連として、各都道府県ですとか先進的な自治体の取組を調査し、共有していくことも必要ではないかと思っております。もちろんスポーツ庁とか文科省の働き方改革の事例集などでは紹介されていますが、部活動についてはそれだけでは不足で、やはり中体連としてのアクションというものがあればこそ動きが加速していく面があろうかと思いますので、以上の点について、どうか前向きな取組を引き続きお願いいたしたく存じます。
 
【友添座長】  
ありがとうございます。
市川委員、いかがでしょうか。
 
【市川委員】  
前段の参加資格の打出しにつきましては先ほど申し上げさせていただいたとおりで、そちらの方向で進めたいと考えております。先ほども申しましたとおり、機関決定が必要となっていますので、今ここで私の一存ではなかなか難しいところでありまして、お含みいただければというふうに思います。
二つ目の調査や協議につきましてですが、私ども小ぢんまりしたものなんですけれども、日本中体連研究大会というのを毎年実施させていただき、そこで部活動の運営等のセクションをつくっておりまして、可能な範囲で共有しています。今年度1月に実施した山口大会はウェブの開催になりましたけれども、その中では静岡市の拠点校部活動の話題であったり、宮城県の中体連の組織改革、スリム化であったり、地域の再分割であったりという情報提供がございました。
それを受けて、参加者、各都道府県の中体連の役員が情報交換、情報共有をしていくと。ただし、外に向けての発信はなかなか今までできていませんでしたし、そこの中で意見をいただくという部分はございませんでしたので、委員の御指摘のように今後進めさせていただければ、検討させていただければありがたいと思います。
以上です。
 
【友添座長】  
ありがとうございます。
教員が関わらない運営の在り方については、議論を重ねながら進めていければというふうに思います。ほかに御意見をいただけますでしょうか。
石川委員、どうぞお願いします。
 
【石川委員】  
長岡市の石川です。
1点、先ほどの中体連の話の中で、日本中体連は全国大会を所管している、なので、市町村については都道府県連盟、あるいは市町村体育連盟がというお話だったんですが、結局現場では、市町村体育連盟や都道府県連盟は、全国大会の基準に沿ってやっているから全国大会が認めなければ下は変えられないというふうなお話がどこからも聞こえてきますので、都道府県連盟、市町村連盟で認める必要な者は全て全国大会に出場できるという捉え方でいいでしょうか。実は市町村、都道府県によって、離島があるところなど全く条件が違う中で、先ほど来お話にあった、合同チームの編成規定は大きく違っております。ただ、それは教育的に、現在でも強化につながらないところで何とか多くの子を救おうということでやっていらっしゃいます。ただ、それが全国の規定と合わないから駄目ですということで、実際に私どものところでも、県ブロックは出られるけど全国大会には出られないというチームがまだあったりします。やはりそこの規定が本当に上から下まで同じようになるよう、ぜひお願いします。
あと、これもお願いになるんですけど、やはり切替えのときに子供たちが混乱しないようにということで、クラブチームの参加は当然あるべきだとは思いますが、一概にどのクラブでも出られるという感覚だと、子供たちにとってクラブという、どちらかというと選抜的な強いチームが一気に来るという不公平感もあると思います。そこは慎重に、市町村中体連の組織があるので、そこで子供たちの状況を踏まえ、確認しながら進めていただきたいという意見でございます。
 
【友添座長】  
ありがとうございます。市川委員ばかりになりますが、市川委員、何か御意見ございますか。
 
【市川委員】  
ございません。
 
【友添座長】  
渡邊委員、お願いできますか。
 
【渡邊委員】  
総合型地域スポーツクラブ全国協議会の渡辺です。
今年度から休日の地域移行をしているクラブとして実際動いてみて、学校名でなければ参加できない場合は学校管理下、クラブチームで出られる場合は運営主体管理下ということで、使い分けをしながら土曜日の活動をしているのが実態です。大会の内容、大会の参加資格等が変わらなければ、休日の完全移行は難しいかと思います。
あと、バスケットボール協会主催の大会の場合だとダブルエントリーができないので、学校部活動の引退後、クラブチームで出る場合は移籍をして大会に出るというようなことを今はやっております。
全体が変わるまではこの形で何とか参加機会をつくっていくということで、今、動いているというが、実際に土曜日、休日等移行してみてのまず感想です。ただ、競技団体等は柔軟にこれから対応していくということも聞いておりますので、今後大会の参加資格等が変わっていけばまた違うのかなと思いますし、競技団体主催の競技会についても、先ほどから話が出ているように、教員が大会運営をしているという実態があって、兼職兼業の部分を整えていかないと、大会運営が難しいというふうに感じています。
以上です。
 
【友添座長】  
ありがとうございます。兼職兼業についてはここで議論をいただいて、その方向でということを考えています。
石塚委員、お願いします。
 
【石塚委員】  
石塚でございます。
大会の在り方に関しては、先ほど委員の皆様の御提供資料の中にもありましたとおり、大会の運営というポイントと参加者との2点に絞ってお話しできればと思います。
運営に関しては、西委員からお話しいただいたように、部分的に運営の委託をできる可能性は大いにあると私たちも考えております。これはいろんな民間事業者もそうですし、総合型や様々な立場の皆さんは、大小あるものの地域の中で大会の運営に携わってきた経験があると思いますし、地域の在り方を理解した大会運営を既になさっていらっしゃる民間事業者含めた団体は多いので、大会自体の運営をオープンにすることによって様々な課題に向けた解決策を出していただけると思います。そのほか、山本委員からもありましたけども、多様なニーズに応えるという大会の在り方などに関しても、様々な大会の運営などに参加していく方向性はあると思いますので、課題をオープンにするというところから進めていただけるといいのではないのかと思います。
一方、大会の参加資格に関しては、私たちはいろんな地域移行のお手伝いをサポートさせていただきましたけれども、よく聞く話として、石川委員もお話しされていましたけども、市町村の教育委員会においては都道府県がという声がよく出てまいりますし、そこにお話しすると全国がというお話もよく出てきますので、この課題というのは一歩一歩、各カテゴリーの皆さんに同じ理解度で理解していただくための大きな方針が必要なのではないかなと思っております。
一方、現場に下りて、市町村の教育委員会をはじめ学校単位の皆さんからすると、そもそもその種目によって大会の在り方などが、先ほどのように、一度引退して登録し直すというのは、そこまで専門の先生じゃない部活動が多い実態からすると、理解しきれない部分がたくさんあるのではないかと思います。そういった意味でも、ここら辺を明確にする必要があると思います。
さらに、地域移行を推進する市町村の教育委員会の立場からすると、いつから大会参加者が緩和されるのか、明確な時期というものを必ず聞かれて、私の立場でも耳に入ってまいります。各教育委員会の現場の皆さんも、熱量と大きな決断をして地域移行に踏み切るという現状があると思いますので、そういった意味でも、大会の在り方、大会参加資格の在り方というのは、かなりリンクする内容だと思っております。地域移行を積極的に進めている教育委員会さんがある中、明確に時期と方向性が定まらないと、地域移行がなかなか進まないと思いますので、ぜひその辺も加味しながら、明確なスケジュール感をお示しいただけるとありがたいです。
以上でございます。
 
【友添座長】  
ありがとうございます。
貴重な御示唆をいただいたと思います。地域レベルでも、県レベルでも、国レベルでも、大会の参加資格が現状のままでは地域移行はなかなか実現しないというふうに感じることが多いんですね。だから、大会への門戸をどう開くのか、いつから開くのか、どのような開き方があるのか、これについて議論を重ねる必要があるし、ただ重ねる時間があまりありません。まさに今日の会議で実は決断いただくつもりだったわけですけれども、これは私が勝手に思っていたことではあります。
遠藤委員、よろしくお願いします。
 
【遠藤委員】  
遠藤です。
今、令和5年度以降における休日の地域移行について話されていますが、将来的には全ての部活動が地域に移行するという考え方で発言したいと思います。
今、皆さんがおっしゃるように、生徒の成果の発表の場がある程度必要だと我々はいつも感じています。でも、いわゆる競技力を高めたいと思う生徒と、スポーツに親しむ、または交流を目的とした活動を求めている生徒たちでは、組織体として求める大会レベルが違うのではないかと私は感じます。当然、競技力を高めたいと思う生徒は全国大会を目指して頑張って練習したいわけで、そういう子たちについては、競技団体が主体となって考えて、国としての競技レベルの向上を目指した大会が必要なのかなと。
それと、各団体のチーム登録の問題もありますので、いろんな地域のスポーツクラブがあっても登録しなければ出れないわけで、逆に言うと、スポーツに親しむこと、あとは交流が目的の子供たちが活動している団体というのは、そこまで求めるかと。そういった方々は地域の市町村とか都道府県とかの地域レベルの大会で十分満足するのかなと考えるところでして、そういったものであれば、地域のスポーツ体育協会とか、クラブもそうでしょうけども、一体となった地域の中で大会運営をやっていけないかなというふうに考えています。
我々スポーツ少年団も、本来はスポーツによる青少年の健全育成という目的で出発しましたけども、御存じのように、実態として競技力向上を目指している少年団も実際としてあるわけです。だけども、いろんな問題があってやばいよねということで、現在、スポーツ少年団としても少年団活動の在り方について、いろいろと検討を重ねている最中です。
競技力向上、種目によっては若年層からでなければ駄目なところもあるでしょうし、そういったものについては地域の中ではなかなか難しいので、NF辺りを中心として大会運営していくような考え方と分けて考えることも必要ではないかと考えているんですけど、いかがでしょうか。
 
【友添座長】  
ありがとうございます。
フォー・ビクトリーとフォー・エンジョイメント、リーグ戦とトーナメント戦、これは先ほど山本委員から御提案があったかと思います。そういう大会の方向性は、この検討会議では皆さん了承されているというふうに理解をしているところです。
長官、どうぞ。
 
【室伏スポーツ庁長官】  
今、遠藤委員がおっしゃられましたように、競技力向上について中学生でどこまで本格的にやるのかという問題もあって、そこに差が生まれてしまって、日本では特に若年層でやらせ過ぎていて、ジュニア期はいいけども、競技力で言えば、そこからシニアとして活躍できる選手がほとんどいないと。私、選手村で聞いたんですけど、世界的に見てもユースオリンピックに出ている選手のうちどのぐらいの人が将来オリンピックに出るかというと、ほとんど出ないというんですね。
なので、競技力向上というよりは、遠藤委員がおっしゃったように、まずレクリエーショナルな様々なスポーツを体験することをベースに置いて、しかし、発表の場がいろいろあるということで、これはクラブが自由に参加できるというだけでは駄目な話だと思います。そこに焦点が当たり過ぎないように、むしろスポーツをエンジョイしてできるように、友添委員がおっしゃったように、生涯スポーツとして心と体の健康に寄与するというところをベースにする。
本格的にやる人はやってもいいんですけど、いろんな取捨選択があると思いますし、運動だけじゃなくて文化部もやっていただいたほうがいいと思いますし、様々な体験をするチャンスだと思います。地域にもそういった根差したものがあると思うので、参加資格のところは柔軟なほうがよりいいということはありますけども、レクリエーションですね、運動の得意な人だけを対象にした議論にならないように、ぜひ皆様方のアドバイス等をお願いしたいというふうに思います。
 
【友添座長】  
ありがとうございます。今の長官のお話を含めて言いますと、全国大会が中学校レベルで本当に必要かという議論もしていかなければいけないんですね。現状では大会数があまりにも多いように感じますが、その精選をどうするのか、そこの御意見ももしあればいただきたいと思います。
齊藤委員、どうぞ。
 
【齊藤委員】  
全日中の齊藤でございます。
今、座長のお話にもありましたけれども、学校の部活動を実際にやっている立場からしますと、生徒の日常の活動成果を発表する機会というのは大会だけではなくて、練習試合等もございます。その練習試合では、基本的にメンバーを固定するということではなくて、多くの生徒を出場させて、日頃の成果、また課題を見つけさせて、その次につなげていくという取組を各中学校が実際にはやっています。ただ、これまで起こってしまった問題として、体罰の問題とか行き過ぎた指導とかがございますので、どうしてもそこに特化されてしまうところがありますけれども、我々現場の人間としても相当意識を変えています。
それから、大会の参加については、参加できる範囲を広げていくための取組、もちろん私もそれに賛成ではありますけれども、仮に登録が二重、三重にできるようになって大会が重なると、参加する生徒は1人しかいないけれども、大会は二つも三つも同じ日にある、これをどうするかということもありますし、実際の指導者の負担もかさんできてしまうこともございます。
先ほど中体連の市川委員の話もありましたけれども、全国から指示を出しても、区市町村、各学校まできちんと伝わるにはそれなりの時間等が必要です。ですので、そこについては、多少の猶予を与えていただければ、全日中としても責任を持って中体連の取組を各学校まで伝えることへの協力、支援をしてまいりたいと思います。
ですので、大会の運営については、参加資格も含めて、今、お話をいただいている中でまた課題が見えてきたんですけれども、まずは資格については緩和をしていく。それから、運営については、お金の面など運営面で必要なものがあると思いますけれども、人と、それからお金をどうにかやりくりして、運営の負担を減らしていく取組を進めていくしかないかと思います。
以上です。
 
【友添座長】  
ありがとうございます。
急な座長提案で申し訳ありませんが、市川委員、中体連として、次回の会議でいわゆる大会の参加資格について具体的にこれからの計画等をどうお考えになられているのか、組織として一度お話しいただくことがもし可能であればお願いできないでしょうか。ここはやはり運動部活動改革の肝になるところかと思いますので、もし委員の皆さんがよろしければ1時間ぐらいをそれに充てたいと思います。プレゼン、質疑応答含めて1時間程度というイメージですが、よろしいでしょうか。御検討いただくようにお願いいたします。
ほかに御意見、御質問ございますでしょうか。
どうぞ、内田座長代理。
 
【内田座長代理】  
内田でございます。
先生方の議論をお伺いさせていただきまして、勉強になることが多いなと思っております。1点だけ、ぜひ様々な大会、在り方を考えていくときに、ダイバーシティを確保していくと。いろんな子供たちが出られる、障害のある子たちもそこにはいるんだということ、その子供たちを考えたときに、その種目をやっている子供たちの中にはいろんな障害のある子もいることをぜひ考えていただきたいと思います。もちろん参加資格で区切るわけではないことはよく分かっていますけれども、現場ではそういった子供たちの指導は難しいであるとか、そういった点が漏れてしまうことがないようにぜひお願いしたいのと同時に、ダイバーシティという点で言いますと、するというだけでなく、見る、支えるということで、プレーを一緒に見ていたり応援したりする。長岡市さんの掲げられている目指す姿としての5つのGには、サポーターも入っていました。または先ほど生駒市さんの3T部活動の取組もありましたけれども、いろんな形のプレーの場面があったり、支えるとか見るといった支え方、関わり方で、障害のある子たちが関われるような大会の在り方を考えてもらったらうれしいです。
以上です。
 
【友添座長】  
ありがとうございます。
ほかに御意見、御質問はございますでしょうか。
山本委員、どうぞ。
 
【山本委員】  
バスケットボール協会の山本です。
大会引率や運営に関わる教員の負担軽減という部分で一つお願いします。兼職兼業の話は、友添座長も前回のところでというお話あったんですが、資料を見せていただいて、7ページの記載の仕方は、非常にハードルが高くなることが懸念されます。我々現場からいただいているのは、今はあるのは知っているけれどもなかなか認めてもらえないんだ、ハードルが高いんだ、これを緩めてもらわないとやりたい先生ができないんだという意見があります。前回伝えさせていただきましたけれども、その方向であるんであれば大丈夫かなと思っておりますが、ちょっと気になりましたので改めて申し上げました。
もう一点は、先ほど石井委員のほうから、大会運営において教員はできるだけ参加せず、アルバイトなど外部委託という点はこの資料に記載されているとおりですが、バスケットボールに限らないんですけど、それを本当にやるとすると、本当にお金が必要になって、それを経費で落とすとなると、とんでもない額になります。我々は大会運営を実際にやっていますので、物すごい額になることが分かっていて、スポーツをやらなくなる子供さんがとんでもなく増えて、スポーツの衰退につながることを非常に懸念します。
ということで、教員に対する理屈はもちろん理解できますが、これを本当にやってしまうと、中学校世代のスポーツというのは非常に小さくなって、これは強化だけを言うのではありませんけれども、日本のスポーツ文化として大丈夫なのかと本当に心配する次第です。
以上です。
 
【友添座長】  
ありがとうございます。石川委員、どうぞ。
 
【石川委員】  
大会運営についてでありますが、私も中体連の全国大会で競技部長として毎年の大会運営をやってきた中で、本当に教員なしでは絶対できないと考えます。お金の面もそうですけれども、参加する生徒の立場とか背景を考えてできるかどうかという点で、かなり大きな意味があったというふうに思っていますし、一方で競技団体として私は今、都道府県軟式野球連盟の理事長もさせてもらっていて、昨年マクドナルド大会という小学生の全国大会を新潟で開催したんですが、競技団体も役員が今あまりにもおりません。その中で、アルバイトとか一般の人に手伝ってもらうことにしたんですが、お金の問題もありますけど、その方々に研修を受けてもらわないときちんとした運営ができません。お金と人と研修の時間ということで、本当にこれからの大会をどういうふうに運営していけばいいのかについて、今回、お金以外の部分についてもアドバイス、参考になるような話をいただけるとありがたいと思います。
以上です。
 
【友添座長】  
ありがとうございます。
石塚委員、民間事業者として、大会運営のノウハウを含めて、こういう大会の受託については相当ハードルが高いという感じでしょうか。先ほどのお話から、やろうと思えばそれは不可能ではないと理解したんですけど、もう一度お願いします。
 
【石塚委員】  
規模とやるべきことによると思いますけれども、もちろんいろんな人件費がかかることは事実だと思います。ただ、今までやっていた運営自体のコストをそのまま受け入れるという意味での負担だけで言えば増になるかもしれませんけれども、仮にオープンにすることができたときにもし収入を得られる環境が整うのであれば、そこに関わる民間事業者は大いにあり得ると思います。例えばいろんな大会でのスポンサーの収入でしたり、大会の参加費というより、そういった新しい財源の確保という意味も含めて、可能性は大いにあって、そこに手を挙げるような団体も大いにあり得ると思います。
 
【友添座長】  
ありがとうございます。
こちらからの御指名で申し訳ないのですが、吉田委員は恐らく様々な事例をよく御存じかと思います。教員に頼り切らない大会運営の可能性をどのようにお考えでしょうか。
 
【吉田委員】  
ありがとうございます。今まで皆さんの議論、それぞれの立場からの意見を拝聴いたしました。……ごめんなさい。インターネットの接続がちょっと悪いようです大丈夫ですか。
 
【友添座長】  
ちょっと悪いですけれども、聞こえるでしょうか。ちょっと厳しいですね。
では、また後ほどお伺いをするということで、進めてまいりたいと思います。すみません、こちらから御指名しておきながら、後でということで。
ちょうど今、時計を御覧いただいたらお分かりのように、会議全体の中間地点なんです。今、4時35分になろうとしていますが、5分間休憩して、40分からもう1回、次のテーマを含めて再度仕切り直したいと思います。この間に吉田委員にはもう一回トライしてもらうという形で、休憩を5分間入れたいと思います。よろしくお願いいたします。
 
( 休憩 )
 
【友添座長】  
次に、議題2の地域スポーツにおける会費の問題、会費の在り方についてに移りたいと思います。
資料2についても、私が内田座長代理と御相談の上、事務局の協力をいただきながら作成した資料となります。議題1と同様に、まず事務局より資料2について御説明をいただいた後、続けて各委員より順番に、資料に記載してあります事例につきまして、各5分程度で御説明いただきたいと思います。
その後、各委員の皆様からの質疑や御意見を頂戴できればと思います。それでは、まず事務局より御説明をお願いいたします。
 
【事務局】  
資料2、地域スポーツにおける会費の在り方についてと題する資料です。
1番、適正な額の会費の保障。課題ですが、現行の学校の運動部活動においても部費などとして一定の金額を生徒から集めていますが、地域においてスポーツ活動に参加する際には、学校の部費と比べて金額が上がることが想定されます。
自分が所属する地域のスポーツ団体等に対して会費を支払うことは、スポーツ団体等が継続的、安定的に活動の機会を提供するのに必要ですが、保護者にとって会費が大きな負担となる額となりますと、スポーツ活動に参加することをちゅうちょしたり、また諦めてしまったりするおそれがあります。また、家庭の経済状況にかかわらず、会費の負担自体や部費と比べて金額が上がることに強い抵抗感を示す保護者も想定され、保護者の理解を得る必要があります。
対応策としては、会費が保護者にとって大きな負担とならないよう、スポーツ活動を行う団体等に対する国や地方自治体からの支援、また、学校等の施設を低廉な額で利用できるよう求める必要があるのではないか。また、地元企業等の協力を得て支援を受けられる体制を整備することなども考えられるのではないか。
地域のスポーツ活動に参加する生徒や保護者、地域住民について、一方的にサービスを享受する消費者、受益者という立場ではなくて、地域において質の高いスポーツ活動を維持し、よりよい環境をつくっていく一員であるという意識を醸成していく必要があるのではないか。会費はサービスの対価という趣旨だけではなく、地域で活動するスポーツ団体等の運営を担う一員として分担するものであるという認識を醸成していく必要があるのではないか。
そのため、全体の会費収入も活用して、児童生徒の会費を低額なものにすることや、生徒や保護者の代表者も、所属するスポーツ団体等の運営に積極的に参加できるようにするなどの取組を進めることが考えられるのではないか。
2番、経済的に困窮する家庭の生徒への支援として、経済的に困窮する家庭において、会費を支払うことが難しく、スポーツ活動に参加できないことも想定されます。家庭の経済状況等にかかわらず、スポーツに親しむ機会を確保することは重要な課題です。
対応策として、2番目のポツですが、各地方自治体や地域において困窮する家庭に対するスポーツに係る費用の助成、地元企業からの寄附等による基金の創設などの取組を進めることが考えられるのではないか。また、このような取組に対し、国からも支援を行う必要があるのではないか。
参考資料3の26ページを御覧ください。総合型地域スポーツクラブの会費の実情、現状を示していますが、月当たりの平均会費は約1,030円です。
27ページですが、スポーツ庁で行っています実践事業において従来の部活動から追加で必要となった経費、費用は、平均すると合計で約1万7,000円程度です。実践事例では部活動に比べて大体これぐらいの金額がプラスになっています。
 
【友添座長】  
ありがとうございました。
続きまして、事例紹介として西委員から奈良県生駒市における事例について、御説明をお願いいたします。
 
【西委員】  
生駒市の西でございます。
それでは、会費軽減のための支援策などについて、生駒市の取組などを御説明いたします。
まず、学校部活動の地域移行に当たり、総合型地域スポーツクラブなどの地域団体がこの業務を行う上での必要経費や指導者謝金が保護者にとって大きな負担になると考えられます。なお、保険料については、しばらくは学校部活動分、地域部活動分の2本立てで加入することになりますが、全てを地域部活動に移行した場合、保険料は一本化することができます。一本化できれば、保険加入は原則年に一度であり、保護者の理解も得やすいのではないかと考えられます。
なお、生駒市の状況ですが、同一学校内に複数の部活があり、部活間の調整の中で社会体育施設を利用する場合、原則として部費などから利用料金を支払ってもらっています。
続いて、生駒市の現在の支援策などですが、市の中学校体育連盟を含む市のスポーツ協会加盟団体に対して、団体育成補助金や各団体が開催する大会運営等に係る経費の一部を補助しています。日本スポーツ少年団登録団体が親善交流大会などを開催する場合、大会運営に係る経費の一部を運営謝礼として支出しています。なお、これらの大会には中学生が出場しているケースもあります。
オリンピックなどの国際大会や、国スポや障スポなどの全国大会出場者に対して、出場に伴う経費の一部を補助しています。社会体育施設では、中学生以下の青少年団体や障害者団体が利用する場合は、市内一般利用者の施設利用料金の半額の料金設定を規定しています。
学校部活動の地域移行は、自治体にとって現時点では最重要施策と考えられます。それを踏まえた今後の展望としては、学校部活動に入部している部員に対しての直接支援ではなく、地域部活動を運営する団体に対して運営補助や運営委託などの形を取り、予算措置などの支援の検討が必要であると考えています。その際、スポーツ振興くじ助成金などの補助があれば、自治体として少しは予算措置がしやすくなるのではないかと思われます。
経済的な支援が必要と考えられる御家庭に対しては、就学援助費などの中で新たに部活動に要する経費を追加することや、現行で設置されている要保護児童生徒援助費補助金を充実させることができないかと考えています。
最後に、地域移行に伴い、校区にとらわれず現状よりも広域的な活動が期待されるため、中学校部活動ではあまり設置のない競技人口の少ない競技にとっては、小学校で行っていた競技を中学校でも続けることができる環境にできるチャンスだと思われますので、競技の普及啓発や競技力向上対策として、中央競技団体から都道府県や市町村の競技団体を通じて何らかの支援方法の御検討をいただけないかと考えています。
説明は以上となります。よろしくお願いします。
 
【友添座長】  
ありがとうございました。
続きまして、石川委員のほうから、新潟県長岡市の事例の御紹介をお願いいたします。
 
【石川委員】  
お願いします。2ページの資料になります。
当市では、今回のモデル事業をするに当たりまして、一部の学校やモデル校、モデル地域という形でなく、全市を対象とした形での実施を試みました。特に田舎のほうですと、学校を中心したコミュニティが根強く残っておりまして、統廃合を進めると様々なこういった問題をクリアできると思いますが、なかなかそれが進まず、地域差、それから学校の人数の差も大きいということで、それであれば全市で一斉にできるもの、また、令和5年度以降全市一斉に対応できるものということで、幾つかのモデルを行っています。
その中で、今年度、受益者負担、集合型ということで、希望する生徒、保護者の了解の下で、手を挙げて参加いただきました。特に市のほうでは用具に関するもの――学校部活動用具は、市費だけではなく、生徒会費、保護者会費でも買っているので、それを様々な人が使うということはちょっと問題があろうということで、市のほうで新たに購入、あと、公共施設は全て減免される公共施設及び学校施設を使いますので、参加者負担としては、スポーツ保険と指導者の報償金を負担いただくという形で実際にやってみました。
そのデータが3ページにあります。何回か催促しましたけれどもアンケートの回収率が低いので、今年度はさらに6種目増やして、アンケートの回収率を高める工夫をしています。
保護者の参加費に対するアンケートでは、「妥当」と「安い」を合わせると80%を超えるということで、保険料を含めて1回当たり平均500円から600円程度であれば親御さんとしては許せるようなところが少し見えまして、引き続き検討していきたいと思っています。
市のほうで現在、市内の中学生で運動部に加入している生徒、そして、市内にある運動部全てに2人の顧問をつけて毎週土日活動した場合の試算を行ってみました。指導者への謝金を3時間で5,000円程度、2人ずつという形にしたところ、全ての子供たちが入ったとしたら月1,700円程度の負担ということで、どうやら1回500円を下回りそうな感じです。そこに運営主体のための事務経費等を含めたり、若干の消耗品費等を含めると、月4回あったとして2,000円程度であることが1年やってみて分かりました。保護者としても1回ワンコインというのが、比較的やりやすい、なじみやすい感覚なのかなというところが1年目でちょっと見えました。
なお、最後になりますが、経済的支援については、生駒市さん同様、就学支援等々で今後考えていくことになっていますが、地方においては保護者の環境によって送迎の問題が出てきます。お金はあるけど親が送迎できないから行けないということで、すぐ近くでできる環境を整えたいんだけど、そうするには、数と指導者が必要になるということが今後の課題として上げられております。
以上です。
 
【友添座長】  
ありがとうございました。
続きまして、大川委員から岐阜県の事例の御説明をお願いいたします。
 
【大川委員】  
岐阜県地域スポーツ課の大川でございます。
それでは、地域スポーツにおける監視員の在り方ということで、岐阜県での主に総合型クラブでの状況について説明させていただきます。
岐阜県には64の総合型クラブがありまして、現在、中学校部活動と連携しているクラブが17クラブございます。保護者が負担している費用として、年会費と参加料の額、そして指導者への謝金がどうなっているか、下の表にクラブごとの金額を記しております。表が2つございまして、岐阜県が行っている総合型クラブへの補助を受けている6クラブと、それ以外に分けております。時間もありませんので一つ一つの説明は省略しますが、岐阜県一つとってみましても、クラブによって会費の考え方はまちまちであることが分かります。また、これは後ほど述べますが、表の中に米印で記してあるところについては、クラブではなく、各部の保護者会が徴収したり支払ったりしているケースで、会費問題と併せて事務局機能の問題が生じていることが分かってきております。
資料6ページの中段、現状と課題でございます。指導者謝金は少額か無償ということで、国や県の委託事業や補助を受けているところは高いケースがございます。上の表の一番下のQのクラブのように、年会費・参加料なしで指導者に1回5,000円の謝金を支払っているケースもございます。これは私の肌感覚ですが、地域スポーツ全体を見渡しますと、総合型地域スポーツクラブは比較的、指導者への謝金が払われているほうだと思います。
岐阜県においてはスポーツ少年団や各種目のクラブでは、お弁当ですとか交通費名目の少額によるボランティア指導が多いと感じております。資料にも記しましたが、ボランティアを美徳とする指導者やボランティアだから責任を感じずにやれている指導者が少なからずおられまして、今後、部活動が地域に移行されるに当たって指導者の確保が求められる中で、こうしたスポーツは無償という土壌を変えていく必要があると考えています。
また、会費を負担する保護者の側からの少額な部費から別途会費負担という値上がりへの抵抗も大変大きく、課題に記した指導の回数と質・レベルと謝金の額、参加料の額が理解を得られるよう、丁寧な説明と情報提供が必要と考えております。
資料7ページ、2の不十分な事務局機能のところです。先ほどの表の米印が入っている枠、これは、クラブは関知せず保護者会が行っているということですが、この下の表で、地域移行前と地域移行後のそれぞれの立場の方が担う役割を比較・整理しております。地域移行前では、学校の管理の下、顧問の先生が監督者として会計などを担っておられまして、また、岐阜県では世話役として各部の保護者会が顧問の先生をサポートしているケースが多いようです。
一方、地域移行後に今岐阜県で起きておりますのは、管理者としてクラブがその役割を担っておりますが、監督者として会計や日程調整、緊急事態への対応をされる方が空欄でございまして、抜け落ちてしまいがちであると。そして、その役割を、部活動としての事情をよく知っている保護者会が代わりに行っているという現象が起きていると思います。この保護者会はきちんと組織化されていないケースが多くて、お金を扱ったり緊急事態の対応などを受け持つには適切な状態とは言い難いと思われます。
部活動の地域移行に当たっては、会費の問題とセットで責任の所在や役割分担を明確にして進める必要があると考えており、岐阜県で起きている状況と課題として紹介させていただきました。私からは以上でございます。
 
【友添座長】  
大川委員、ありがとうございました。
続きまして、秋山委員のほうから茨城県の事例の御説明、御紹介をお願いいたします。
 
【秋山委員】  
茨城県の秋山です。よろしくお願いいたします。
資料は8ページ、9ページになります。資料に全体像を載せておりますが、主に会費の関係は2番、運営上の工夫のあたりかと思います。
まず、今年度、モデル校として水戸市とつくば市で行っております。水戸市のほうでは、今年からモデル校をお願いした関係もありまして、お金を支払うならそれに応じた指導をしていただきたいということとか、今まで無償でてきた部活動に対して費用を負担することに様々な御意見がありました。
資料で示したつくば市のほうは、4年目の地域部活動になります。地域部活動を始めるに当たりまして、保護者に対して受益者負担などを丁寧に説明したことで、保護者からの反対意見などはなく、現在も会費についての意見は特にありません。
金額としては月1,250円ということで、大体月に3回から4回の指導となっております。この1,250円になったいきさつを分かる者がちょっとおりませんで、保護者のほうで負担を感じない金額ということで、やはり1回につき500円以内というあたりでここに落ち着いたのではないかと推測しております。
運営団体としては、中ほどに事務局というものがありますが、総合型地域スポーツクラブのつくばFCに委託しております。ここでは、専門の指導者を各部活動に派遣するため、クラブの横のつながりを活用し、指導者を確保しました。指導者はつくばユナイテッドサンガイアというVリーグで頑張っているようなチームがあったり、卓球のつくば明光クラブなど、競技を指導することを職業にしている人が多く、生徒にとって魅力ある指導者になっております。
事務局を担っているつくばFCの代表者に聞いたところ、やはり指導者は、責任を確立するためにも時給2,000円はもらっていただきたいという考えでいます。で、土日は大体3時間と考えておりますので、多少時間が前後したとしても、6,000円と交通費で1回につき6,600円を支払っております。また、事務局に対して月に3万円を支払っております。それでも事務局としての運営は厳しいという話を聞いております。
つくば市ではほかに2つの学校で地域部活動を実践しております。生徒の減少がありまして、1,250円ではなく1,500円という会費でやっているところもありますが、この金額では運営が厳しいところがありまして、その2つのうち一つの学校では、クラウドファンディングを実施して運営資金に充てたということも聞いております。
ここに示しました1,250円という金額が適当であるかは今後検討が必要でありますが、専門的な指導者であれば、生徒・保護者も満足して活動しているという状況です。
受益者負担については、経済的に困窮する家庭への支援など国や自治体の補助が必要であると考えております。家庭の経済状況にかかわらず、生徒がスポーツを実施できるシステムを構築する必要があると考えております。
地域の関係から、近くに筑波大学がありますので指導者はいるのですが、事務局の支援が不可欠と考えております。
説明は以上です。
 
【友添座長】  
秋山委員、ありがとうございました。
それでは、資料2につきまして、また、今御発表いただいた内容等につきまして、御質問、御意見を賜りたいと思います。
末冨委員、どうぞ。
 
【末冨委員】  
地域移行するスポーツ活動の費用負担問題につきましては、私自身が教育費問題の専門家でございますので、大きなところからの申し上げたいと思います。
まず、部活動と違いまして活動の目的自体が大きく変化します。学校教育活動ではないが重要な体験活動をいかに支えるかということになります。先ほど室伏長官がおっしゃいましたが、全ての子供たちの心身の健康に寄与するという意味では、学校教育と並んで必要な活動であるというロジック立てが不可欠になります。なお、今までのケースの御報告から私も改めて理解しましたが、持続可能な活動であるためには費用負担は避けられないと思います。
一方で、実際に家庭が支出しております学校外学習の経費は、塾は、小学校から中学校にかけて、年間13万円費用負担が増加しますが、それ以外の習い事部分については、年に7万円減少しています。逆に言えば、年7万円分、各家庭が負担しているものを今全て教員がほぼ無償に近い形で負担しているというのは明らかにいびつな構造です。したがって、保護者の方には恐縮なんですが、やはり家計負担は避けられないと。ただ、その場合に、いかに特に低所得世帯を補助するかということにつきましては、就学援助以外の新たなスキームが原則として必要になります。就学援助は義務教育の経費を補償するものでございますので、子供たちの心身の健康な発達のための経費補助は、就学援助の外に置かれます。
ただし、子供の貧困対策を通じまして改めて把握されておりますのが、国の全国調査では、低所得世帯は25%程度が部活に加入しておりません。貧困でない世帯は13%程度なんですが、開きがございます。それは経済的な負担があるということですので、その補助の仕組みをどうするかを考える必要があります。現行、学校外教育活動につきましては、大阪市や福岡市――福岡市は来年度からですが、月1万円程度の経費補助がございますが、それ以外の自治体ではあまりにも進んでいません。
それから障害を持つ子供たちへの体験的活動の補償も経費補助という形はほとんどとられていないのではないでしょうか。体験機会の格差も認知・非認知能力の格差に結びつきますし、自尊感情や友人関係ができないということで、孤立にもつながる深刻な問題であることから、基本的には国庫負担を前提とした経費補助・財源負担に移行する必要性を個人的には感じております。
まず必要なのが、生活保護制度における教育扶助に体験的活動の経費を含めることが必須になってまいります。これにより準要保護世帯への補助も可能になるという設計がこの国の要保護・準要保護の仕組みでございますので、最も困難な家庭に対しての教育扶助に体験的活動を含めていただければ、その後は就学援助に準ずる仕組みもついてくることになります。
なお、強調しますけれども、地財措置で逃げるのではなく、国庫負担の仕組みを生活保護、それから新たな体験的活動の補助の仕組みを含めて前提としながら、今日の冒頭にtotoの収益の話もありましたけれども、totoの収益活動やスポンサーシップの活動も含めて改めて検討する必要があると申し上げておきます。
なお、冒頭で御紹介いただきました、こちらの毎日新聞の記事は、実は一番下の欄に私のコメントが載っておりますけれども、そこに書いたとおりで、特にそうした際に公費補助に値する運営の透明性、経費の透明性の確保は必須となってくることを申し上げたいと思います。
以上です。
 
【友添座長】  
貴重な御提案ありがとうございます。今、末冨委員から御指摘いただいた点は、これからの会費構築以上に、いわゆる部活の運営母体をどうつくっていくのかということと密接につながってくるテーマだと思います。
御意見、いかがでしょうか。齊藤委員。
 
【齊藤委員】  
全日中の齊藤でございます。
会費の負担につきましては、学校としても非常に頭を悩ませているところです。従来は部費等を集めているという実態もございます。一方で、公費で必要な物品を購入することもできている中で、これからはそれができないということで、経済面で部活動をどのように維持していくかという問題があります。
それで、前回のこの会議の中で末冨委員から、学校の部活動の費用の流れが透明化されていないという御指摘がございました。これについては、残念ながら過去にはそういった事例があったかもしれませんけれども、その反省に立って、各中学校で財務の健全化に努力しているところです。もちろん、公費だけでなく私費についてもしっかりとした監査体制をとりまして、お金の流れの透明化に取り組んでおります。学校の部活動はお金の流れが不透明ということについては、ちょっと違うぞというふうに学校現場を預かる校長としてこの場で申し上げたいと思います。
ただ、いかにしても、お金が関わってくることについては、負担を求めてしまう、受益者負担というのは私も避けられないと思います。今後、地域移行によって所得が低い家庭で生活をしている子供たちはスポーツができないという状況が絶対に生まれないようにということを、国だけでなく、地方自治体だけでなく、学校だけでなく、全ての大人が子供たちに対して保障しなければいけない体制だと思いますので、ここについては、しっかりと吟味をして体制づくりをしていきたいと考えております。
以上です。
 
【友添座長】  
ありがとうございました。ほかに御意見ございませんか。
佐藤委員、どうぞ。
 
【佐藤委員】  
日本PTAの佐藤です。今までお話を聞いている中で、保護者の理解というのは非常に大事な部分だと思います。特にお金ということになりますとかなりシビアに物事をお話しされる方も多いものですから、ここは丁寧な説明が必要だろうと思います。運動部活動を地域移行すると実質これぐらいかかりますという丁寧な説明があって、それを納得していただいてという形になるだろうと思います。ですので、幾らが妥当かというお話もありますけれども、実質的にこうなりますという透明な金額の提示も、まず大事かなというふうに感じたところです。
また、困窮している家庭についてという部分でますけれども、会費の問題はもちろんですが、例えばユニフォームであったり、道具であったり、先ほど出ましたけれども送迎に係る費用等をどうしていくのかも非常に大事な部分で、みんなと等しく、同じように扱うという部分でどういうふうにしていくのか、もっともっと議論をするべきだと感じています。
また、指導者に対する謝金を会費の中からという点でお話をされると、恐らく、お金を出したんだから口も出すよという保護者も……。これは推測で申し上げるのであれなんですけれども、例えば、もっといい指導者にしてほしいだとか、どうせやるんだったら越境通学でもっと強い、全国を目指しているようなところに子供を入れたいとか、恐らく何らかのひずみといいますか、そういったことも表れてくるのではないかと今までの御説明を聞きながら危惧したところです。
以上です。
 
【友添座長】  
ありがとうございました。
渡邊委員、よろしくお願いします。
 
【渡邊委員】  
うちのクラブの場合、来年度から月1,000円から3,000円という金額を設定させていただきました。月に8回ほど活動しておりまして、その金額設定で来年度動くんですが、その内訳として、指導謝金、大会参加費、チーム登録料、保険料、また、ユニフォームの購入代も全部含めて負担していただこうと考えています。
今後、学校部活動はお金が安い、タダというイメージが強い中で、持続可能な運営を考えていくということで、適切な受益者負担をいただきながら運営していきますよということを保護者や学校関係者にもしっかりと説明をしていく必要があることと、あと、残念ながら今の説明の中に、運営主体の事務経費とか、例えばコーディネーターを設置する場合のコーディネーターがお金といった間接的な費用が全く出てきていません。その部分は会費で負担できないと思います。そこを国や自治体からの補助金で何とかしていかないといけなくて、運営主体が責任を持った活動していくのであれば、単なる指導謝金だけでは済まないと思います。
以上です。
 
【友添座長】  
ありがとうございます。渡邊委員、お尋ねしてよろしいでしょうか。
今までは、例えば道具類は学校のものを使えたと思います。例えばバスケットボールのゴールは、これから完全に地域移行した場合、あるいはハンドボールのゴールなどの経費をどこから取るのかというと、会費から徴収するのが一番簡単な発想ですが、それは今のお話だとなかなか難しいと。つまりそれは公費での補助が必要だということも含んでいるのでしょうか。
 
【渡邊委員】  
そうですね。大きな備品については、今管理している体育施設のものを使わせていただいているので。
 
【友添座長】  
分かりました。ありがとうございます。
遠藤委員、どうぞお願いします。
 
【遠藤委員】  
スポーツ少年団の現状を御説明させていただきます。
まさにスポーツ少年団は、週2日から4日ぐらい、1日2時間程度の活動をやっているところが多いんですけれども、指導者はほとんどボランティアで行われているのが現状です。スポーツ少年団の登録料、それからスポーツ傷害保険なども含めてどの程度の経費がかかっているかについて実態を申し上げますと、ある県の調査によると、年間2万円以下というのが3割です。2万から5万円が3割。このほかに、いわゆる少年団で持っている備品、例えば野球少年団であればボール代とか防具代といったものが含まれます。剣道少年団だと、防具は多くが自己負担かもしれませんが、団体負担のところもあります。そういった備品も含めて年間2万から5万円で、そうすると大体月2,000円から4,000円ぐらいかかることになります。これが週2日から4日ぐらい、多いところで5日やっていて、ほとんどの指導者はボランティアです。
それから、補助ですけれども、市町村のスポーツ少年団の本部事務局は教育委員会にあることが多いので、青少年の保護ということで、市町村立の小学校の体育施設はほとんど減免になっています。それから、市町村立の体育館やグラウンドなども同じようにほとんどが減免されています。今後、中学校の部活が地域に移行して中学校の体育施設を使う場合も、減免という形で補助してもらえれば運営費がかなり抑えられるのではないかと思います。
今、休日の部活動についての謝金が1回500円程度というお話が出ていましたけれども、これが、今後、全面的に移行した場合の活動日数は今よりも若干多くなる可能性があります。それをどのぐらいの経費でやれるかと考えると、数万円というのはかなり厳しい感じがします。積算してみたんですが、1週間に1~2回練習をして、1か月間を4週間とすると、1人当たり6万から7万ぐらいの負担になって、それプラス備品や消耗品というふうに考えるとかなり厳しい状況が考えられます。
有償で指導者を確保することもあるところでは大事かもしれませんが、安価に活動し、いろんな子供たちがスポーツできることを考えると、ボランティア指導者で行うという道もあるのかなというふうに考えています。現にスポーツ少年団ではそのようにやっていますし、我々が参考としているドイツのスポーツクラブでは、私もスポーツ少年団で4回ほど行かせていただきましたけど、大きいクラブでは有償できちんと生活している人たちがいっぱいいましたけれども、ほとんどはボランティアでした。それで地域の中で活動している、しかも、ボランティアで地域貢献をしていることにステータスを感じて活動している方々が非常に多かったです。そういった道も考えないと、これから先、立ち行かなくなるのかなと、経費のことも含めて感じています。
以上です。
 
【友添座長】  
ありがとうございます。
今、いい御提案をいただきましたけれども、お示しをした資料の中にも、単にサービスを受ける、いわばスポーツの消費者ではなくて、むしろ主体的にクラブ運営にどう関わっていくのかを自覚してもらう、参画するという姿勢をしっかり持っていただかなければなかなか進まないということが1点です。
もう一つ、今御発表いただいた西委員から秋山委員までにお尋ねしたいのは、今取られている会費だけで謝金が純粋にペイできるのかということです。何の補助もないままで今の会費でやれるのかどうか、もしよろしければ一言、二言いただければありがたいと思います。これは、末冨委員がおっしゃった国庫補助を含めて検討していかなければいけない大きな論点だと思います。親の経済格差によって子供の部活選択権が左右されることがあってはならないということを含めて言うと、そこのしつらえをどうするのかということは非常に大事だと思います。いかがでしょうか。
秋山委員、お願いします。
 
【秋山委員】  
つくば市の例ですが、ぎりぎりのところでやっていて、先ほども言いましたが、事務局への支援を何とかしてあげたいということで、事務局の人数を減らしたり、場合によっては年間の活動時間で会費を取っていたりするので、月4回の指導を月3回に抑えたりというなかなか苦しい台所事情があります。
 
【友添座長】  
大川委員、どうでしょうか。
 
【大川委員】  
資料に挙げさせていただいたクラブで県から補助金を出しているところについては、現在の会費で成り立っていることが見て取れますので、今の会費のみで謝金を支払うのは困難ではないかと感じております。
 
【友添座長】  
ありがとうございます。石川委員、どうでしょうか。
 
【石川委員】  
1時間1,000円、3時間で3000円という形で実施しておりますけど、それは完全に会費負担のみで、補助なしで行っています。ただ、参加する人数によって、あてがう指導者の数を調整してマイナスにならないようにしています。人数が少なければ指導者の数を減らす対応をしています。
 
【友添座長】  
ありがとうございます。
西委員、いかがでしょうか。
 
【西委員】  
現在のところは県から委託されたモデル事業として受けさせていただいて、市内の総合型地域スポーツクラブと市内のスポーツ協会のほうに再委託をさせていただいています。ですので、事務局の運営経費も含めて現在は委託料を使わせていただいています。その分全てが保護者負担となりますと、部活動の大小によって異なるとは思いますけれども、ちょっと厳しいかと思います。なので、市町村自体も、この大きな問題に対する何らかの支援策が必要ではないかと思います。
以上です。
 
【友添座長】  
ありがとうございます。齊藤委員、どうぞ。
 
【齊藤委員】  
すいません、内情を言ってしまっていいのか分からないんですけれども、あえてこの場でお話をしますと、東京都の場合は、部活動の指導に土日に関わる場合は3時間という上限が決められております。特別勤務手当という名目で謝金が、謝金と言っていいか分かりませんが、支給されます。上限は2,700円、つまり時間当たり900円という金額になります。これは決して多いとは言えないですし、かといって何もないよりはいいというふうにも捉えられますけれども、やはり現場の教員からは、「その金額では……」ということで、部活動に従事する意欲に関してはその金額では厳しいかなと。先ほど石川委員から1,000円という金額がありましたけれども、1,000円でもつらいのではないかと考えられて、部活動指導員と同額の金額を指導者への謝金として与えてほしいという、これは個人的な希望です。
 
【友添座長】  
ありがとうございます。
一番懸念するのは、ハイグレード部活がでてくる可能性があることです。入会金や月会費を高くしてでもサービスをすごくよくすると。
こういうものが出てきても悪いわけではなくて、それを選択する消費者がいれば、それはそれでいいと思いますけれども、ただ、何度も言うように、もともとの現状として、法人格を持っているクラブは5割程度だという現実を考えたときに、法人化がなされていないところでお金などをうまくマネジメントしていくとか、具体的にやっていくこと自体はなかなか難しいというふうに思うところです。
石塚委員、どうでしょうか。
 
【石塚委員】  
少し事例を交えてお話しできればと思います。
今、私たちが中間支援組織として御支援させていただいている沖縄県うるま市の事例ですが、企業版ふるさと納税を今年度に始めました。実態としては、2月上旬現在で1,700万円程度のお金が集まっております。このような形で企業版ふるさと納税を活用するケースという方向性もあるかなと思っています。
さらには企業版ふるさと納税の特性として、市外もしくは県外という制約がありますので、市内企業の中での応援という意味では、地元商工会との連動の中でそういった支援がさらにできないか、様々な検討をしているところです。
実際、今、教員の皆様の負担軽減というポイントもありますし、充実したスポーツ環境の整備という意味合いでは、どうしても誰が指導するかというところにフォーカスされがちだと思いますけれども、財源の確保という意味合いでは、今後、部活動が地域移行されたときに、学校の体育施設をベースとして使うケースが多分に考えられると思います。現状、学校部活動の利用調整というのがあって、恐らく月末などは翌月以降の多分調整が入っていると思いますけれども、部活動が地域移行されて外部団体がクラブを管理するとなると、実は利用調整にも課題が出てくるのではないかと考えております。
そういった意味で、施設管理、利用調整についても、前回のお話でありましたけれども、外部委託が大いに考えられるのではないのかと思っております。学校の中の負担をできるだけ減らすことを考えていけると思います。
そういった中で、もちろん学校行事が優先だと思いますけれども、仮に外部委託──指定管理制度や利用調整の管理業務の委託などがあると思いますけれども、そうした場合には、よく市町村でやられている夜間開放も含めて、多種多様な利用の方法というのがさらに拡充できるのではないかと思っております。例えば、部活動が終わった後に、その団体が、地域の方たちへの健康教室やスポーツ教室、さらにはヘルスケアの従事者の皆さんを活用した地域住民サービスなどに活動を大きく広げていくことも考えられますし、そういう観点で、学校の体育施設のみならず教室ということも考えていくと、例えば、音楽室、家庭科室、調理室みたいなものを仮に外部に貸し出すことができれば、地域サービスとしては拡充していくと思っています。
その際に恐らくセキュリティの問題が大きく関わってくると思いますので、現状のスポーツ庁様の事業でも、セキュリティの問題はスマートロック――スマートフォンを使った鍵の開け閉めのようなこともやっていますので、そういったことを考えると、ソフト面だけではなくてハード部分の管理というものをかなり横断的に、一体的にやっていく必要があると思っています。
 
【友添座長】  
ありがとうございます。学校施設数のいわゆる営利団体への貸出しを大幅に認めていく必要があるという御提案でもあるというふうにお聞きしました。現状では、営利団体というのは一括的に駄目だという形の時代があったものですから、むしろ営利団体の営利とは何かということをもう少し再考しなければいけない時代が来ているのだろうなというふうに思いました。ありがとうございました。
それでは、最後の議題に入ります。議題3の保険の在り方です。今度は保険についてです。
資料3も同様に、内田座長代理と御相談の上、事務局の御協力をいただきつつ作成した資料となります。まず事務局から資料3の本文について御説明いただき、その後、各委員の皆様からの質疑や御意見を頂戴できればと思います。事務局、よろしくお願いいたします。
 
【事務局】  
資料3、保険の在り方についてです。
課題として、学校の運動部活動で生じたけが等については、現行は災害共済給付制度により補償されています。地域のスポーツ団体等における活動は災害共済給付制度の対象外となりますので、スポーツ保険などに加入する必要があります。また、自身のけがだけでなく、他人にけがをさせてしまう場合なども踏まえて個人賠償責任保険も必要となります。また、指導を受ける生徒だけでなく、指導者も自分がけがをする場合、もしくは自分の指導が原因で他人に損害を与えてしまう場合もありますので、保険加入が望まれます。
対応策としては、国は、指導者や会員の保険加入を強く促すべきではないのか、その際、個人賠償責任保険にも加入するよう促すべきではないのか。また、災害共済給付制度による補償と同程度の補償が受けられるスポーツ保険を整備する必要があるのではないか。また、各競技団体においては、指導者や参加者に対して指定する保険加入を義務づけるなど、けがや事故が生じても適切な補償が受けられるようにするべきではないか。
参考資料3の29ページを御覧ください。運動部活動、地域でのスポーツ活動における補償制度の概要を説明したものです。災害共済給付制度により、学校教育活動中、部活動も含めて補償されておりますが、地域でのスポーツ活動については、例えばスポーツ安全保険などのいわゆるスポーツ保険で補償していく必要があります。
30ページですが、スポーツ安全保険創設の経緯を説明しています。公益財団法人スポーツ安全協会が行っていますスポーツ安全保険については、この資料に記載している経緯の下でつくられています。なお、スポーツ安全保険については多くの団体が加入しておりますが、例えば、スポーツ少年団においては、この保険に加入している例が大変多いとスポーツ安全協会から聞いております。
31ページですが、災害共済給付制度とスポーツ安全保険の比較として、掛金や補償の内容、金額を比較しております。
33ページは現在の推進事業で保険の加入状況について調べた結果です。
 
【友添座長】  
ありがとうございました。それでは、今の御説明につきまして、御質問、御意見等ございますでしょうか。
金沢委員、どうぞお願いします。
 
【金沢委員】  
日本スポーツ協会の金沢です。私どもでは、指導者の方向けということで、公認スポーツ指導者個人の保険、あくまでもJSPO公認スポーツ指導者が対象ですけれども、御自身の怪我、それから他人への損害賠償責任といったことで個人で加入ができる保険を用意しております。
一方で、御説明いただきました安全協会の保険ですが、この立ち上げに我々、当時の日本体育協会も関わっていましたので一言意見を申し上げます。今お話を聞いている中で、学校管理下での補償であるJSCの災害共済給付制度ですか、この補償額と安全協会の設定している保険の補償額に差があることについては、保護者の方々の理解が得られにくい懸念が大きい気がしております。御説明いただきましたように、実践研究ですとか、令和5年度からの段階的な移行にしても、同じ学校敷地内で活動する生徒が万が一けがをしたときに補償額が大きく異なることは望ましくないと考えます。つまり、JSCの補償額は3,000万円、スポーツ安全保険の補償額は2,000万円ということですので、ここの補償額の差が大きいのは問題だと考えます。
生徒の皆さんが安心して部活動に参加できるように、地域移行の導入段階においても、保険補償額の基準、そういったものについての要望や指針をスポーツ庁において検討いただきたいと思いました。
以上です。
 
【友添座長】  
ありがとうございました。
事務局に確認をします。完全地域移行になった場合にはJSCの災害共済給付制度を外れるという理解でよろしいでしょうか。
 
【事務局】  
そうですね。まずは土日から移行ということでございますが、土日での活動が地域スポーツ団体での活動になりますと災害共済給付制度の対象とはなりませんので、まさに保険が必要になります。
 
【友添座長】  
今の金沢委員からの御提案を引き取って言えば、まだ地域に移行をしていない部活動でけがをした場合にはJSCの共済給付制度、地域移行した部の生徒さんはスポーツ安全保険の適用という違いが出てくることが移行期にはあるということですね。
 
【事務局】  
そのとおりです。
 
【友添座長】  
金沢委員、よろしいでしょうか。
 保険については、金沢委員がおっしゃったように、できるだけ平等かつ高度な補償が必要なわけで、ただ、これもまた事務局へのお尋ねになるかと思いますけど、加入者が増えて分母が大きくなると、もちろん入ってくる額が大きくなって補償も大きくなると理解します。多分、スポーツ安全保険はスポーツ庁の所管でないので明言は難しいと思いますが、単純な論理でそういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
 
【事務局】  
もちろん加入者もありますし、けがの発生率、もしくはどれぐらい重篤なけがが生じてしまうのかということもありますので、そのような様々なことを勘案して、保険料と補償額が決められていると承知しています。
 
【友添座長】  
ありがとうございました。いかがでしょうか。
齊藤委員、どうぞ。
 
【齊藤委員】  
今保険のことで議論しているところですけれども、私も33ページの地域移行に伴って保険に加入されていないケースが10%ある、これはどういうことなのかという。恐らくは、参加する保護者に同意を得て、保護者の自己負担になっていると推測します。逆に、指導している側もそういったリスクを負っていますので、所轄などいろんな問題があると思いますけれども、保険制度の統一とまでは言わないまでも、できるだけ均等にすることについては、行政の立場からいわゆる保険を取り扱う団体・組織に働きかけをしていただくことを含めて、できる限りの範囲で、制度についてぜひ改革を図っていただくようにお願いをしたいと思います。
実際に、地域移行ということではなくて、地域において、善意で実際に指導を始めてしまっている指導者が各地におります。私もそういう指導者を知っていますけれども、万が一のときにどうするのかについては、明確な回答をもらっていません。非常に危険な状況も既に始まっているので、ここについては何とかよい方向に向かうように取り組んでいただければと思います。
 
【友添座長】  
ありがとうございます。貴重な御意見かと思います。
末冨委員、どうぞお願いします。
 
【末冨委員】  
保険の話につきましては、恐らく広い意味での子供のセーフガーディング指針というものの一つに含まれるであろうと思います。こども家庭庁は設置法案が閣議決定されまして、令和5年4月から発足することが決定しておりますが、その目玉政策の一つが、指導者側に性犯罪の無犯罪証明を求める日本版DBSの導入です。私自身は、それらを含めて、子供を守るための保険の問題も含めて、子供や指導者自身の安全の確保をいかに担保するかが急務になっていると考えます。
なぜかと言われれば、学校の教員については、既にわいせつ教員排除法により、事実上、教職に就けなくなっているわけですが、学校外については現在野放しです。最悪、免職をされた教員がそうした地域スポーツ活動の場に入ることもあり得るわけですから、子供を守る仕組みは必要だと思います。
同様に保険につきましても、指導者側、それから受益者となる児童生徒の側を含めて必須にすることについて、トータルパッケージとして、このようなことを指導者側は気をつけましょう、このようなことを利用者側は気をつけましょうということを方針として出し、どの団体や個人にも前提としていただくと。直ちに義務化するのは難しいと思いますけれども、各競技団体、それから、全日中、中体連あわせて、こここそ団体の垣根を越えて、全ての指導者、それから地域スポーツクラブも含めて急ぐべきことの一つだろうと思います。
その中で保険加入は、たとえ個人指導の場合でもあっても義務づけをしなければいけない。お互いに、生涯にわたって後悔してもし切れないような事故だって起きるわけです。そういうことを含めると、トータルパッケージとしてのセーフガーディング指針の中で、保険について事実上の必須化を示していただくことが、スポーツ庁としても必要になるのではないかと思われます。
以上です。
 
【友添座長】  
ありがとうございます。貴重な御意見だと思います。スポーツ界でも、盗撮の問題を含めてその議論が随分盛んに行われてきたところです。今回、今御指摘いただいた点を配慮しながら入れていく必要があるだろうというふうに思います。
他にいかがでしょうか。石井委員、どうぞ。
 
【石井委員】  
日本陸上競技連盟の石井でございます。
資料3の中で「各競技団体においては」という対応策を書いていただいていますが、私どもでは、会員登録の制度をいろいろ見直しというか、検討している過程で、会員登録に保険の加入をくっつけてしまうことも考えています。正式な議論をしているわけではないんですが、幾つかの都道府県の陸上競技協会にその辺りを聞きましたら、今は学校部活動が多くて、災害共済給付制度とかいろいろ対応できるものがあるからということもあると思いますが、既にいろんな保険の対応をされているところも結構多くて、そこにさらに、日本陸連の登録に当たって強制的に保険に加入をされて、保険に入るのはいいんだけれども、その保険料が結局、会費として本人が負担することになると、負担が大きくなるばかりで、既に保険は十分あるからそこまでしてもらわなくてもいいという声もありました。
なので、競技団体でこういう対応ということであれば、ほかのところとの整理がなされないとなかなか難しいかというか……。皆さん、自分が事故に遭って保険を使う場面はそうないだろうと思っているからかもしれませんが、保険に入ることが過度な負担につながると思われているところもあるので、競技団体が当然そこは検討しますけれども、今、いろいろお話がありましたように、いろんなところ全体で制度化というか、整理・整備をしていく必要があるのではないかと思っています。
 
【友添座長】  
ありがとうございます。実は私もいろいろ考えてみたのですが、地域移行したからといって、JSCの災害共済給付制度から外れるわけではありません。授業中の事故だとか部活以外の事故に対応しなければいけないので、これは入っておかなければならない。かつ、地域に移行した段階で地域のクラブで受ける指導に対する保険加入が必要になってくる。つまり部活動をする子供さんたちにはダブルの保険が必要だということです。
これをどうするかということで、自動応諾条項のような形で、クラブに加入すると自動的に保険に加入することになって、それが会費に加算される方式もあるし、指導者の指導資格の中にこれを自動的に組み込むこともできる。車の自賠責のように強制保険にすることが可能かどうか、これも実は検討しなければいけませんが、強制保険というのは難しいところがあります。そういう意味でいうと、あくまでも任意なんだけれども、促すレベルで提言の中に書くのかどうかという具体的な話になってくると思います。
末冨委員、いいでしょうか。今の私の理解で大丈夫ですか。
 
【末冨委員】  
はい。
 
【友添座長】  
そういうことを検討していかなければいけない地点に実は私たちはいるということです。
内田座長代理、どうぞ。
 
【内田座長代理】  
障害のある子供たちの点なんですが、特別支援教育就学奨励費というのがございます。そちらで障害のある子供たちは、教育関係経費について家庭の経済状況に応じてお金が支払われているわけですけれども、こちらの奨励費のほうは、実は先ほど来、話題になっております日本スポーツ振興センターのほうの共済金に充ててはいけないという規定がございます。こういった点から考えましても、実は障害のある子たちは、そういった保険の制度にお金が使えていないという部分があると思います。教育課程内のものと課程外で、その辺りで充てていいもの・いけないものというのが分けられてしまっている実態がございますので、そういった点からも、就学奨励費をこういったものに充ててよいというところも一つクリアしていくべき話なのではないかと思います。ぜひ、障害のある子たちがスポーツに参加したときのけがなどにも手当が出るような制度が必要になってくると思います。
そういった点がございまして、私、特別支援学校の教員をしていて自分が部活動で道具を子供たちと一緒にそろえることがなかなかできなかったので、共用のものを随分準備したことを覚えています。こういう点もぜひ考えていただければと思います。
以上です。
 
【友添座長】  
ありがとうございます。
松村委員、いかがでしょうか。
 
【松村委員】  
フィットネス産業協会の松村でございます。保険の話から外れてもよろしいですか。
 
【友添座長】  
結構です。
 
【松村委員】  
そもそも、そぎ落としていくと、私は財源の話になると思っています。例えば、民間の話だけをさせていただきますと、民間フィットネスクラブが今、指定管理事業にかなり入っていて、各自治体の運動施設で、例えば地域包括支援事業なんかを一生懸命やっていて、すごく良い事業なのでずっと継続したいという利用者の声、指定管理者は4年に1回ぐらい替わるけれども、お願いだから替えてくれるなという声をたくさん聞きます。これは、民間は財源を確保した上で、しっかりと結果を出していかなければいけないというところで、トライ・アンド・エラーを真剣にやって質のいいサービスを提供しているからだと思います。
一方で、御存じのとおり今、民間のフィットネスクラブが運動特化型の介護予防事業にかなり参画しています。これでもかなりの成果が聞こえてきています。これは大げさではありません。要介護の人たちが普通のフィットネスクラブに返ることができたというぐらいで、要は民間が何かを請け負う場合は、責任を持って結果に関してコミットしなければいけないわけです。
だからお金を頂戴という話ではありません。ただ、今、介護予防事業や地域包括支援事業で置き換えましたけれども、これって結局、運動部活動につながってくるのかなと。エンジョイの部分でも子供たちにきちんと成果を出すということを、どこが請け負うにしてもしっかりと結果にコミットしていく。そのためには、やはりコストが必要であって、先ほど石塚委員からもお話があったように、例えば、学校がどんどん積極的に施設を一般にも開放して、夜も開放して、施設の使用料みたいなものをしっかり取って、それを財源にする。
それから、浅野課長から経済産業省としての地域スポーツの活性化という絵を見せていただいたときに、ようやく国はこういう形で具体的な財源に関して動き始めたんだなということで、私はわくわくしました。そこにスポーツ・ベッティングということが入っていて、私はここでスポーツ・ベッティングがいいと言おうとしているのでありませんけれども、例えば一つの方法としてはあり得ると思っていて、「こじつけ感が漂う奇策」だとは私は全然思いません。
国も、介護予防だって介護保険料を取ったりしてきちんと財源を確保したりを必要なことにはやっていて、今回の運動部活動の地域移行に関しても、スポーツ・ベッティングがどうということではありませんけれども、そういうことも含めてリアリティのあるしっかりとした財源の確保を大前提として、こんな方向性があるのですよというのが見えると、我々も、じゃあ、そこの中で、どういうことができるんだろうと考えていけます。ちょっと抽象的な話になってしまいましたけれども、そういうことを感じました。
以上です。
 
【友添座長】  
山本委員、お願いします。
 
【山本委員】  
バスケットボール協会の山本です。
前回もお尋ねして、今回の保険のところで取り扱おうというお話でありました。バスケ事例で申しますと、クラブ登録制度を2018年から始めまして、全国で急激に増えてきていることを前回も申し上げました。それについてはいいこともあるのですが、残念ながらやはり多くのトラブルも報告されています。我々のバスケットボールでいいます都道府県協会がその対応に当たっていて、規律案件、裁定案件という対応をせざるを得ないような事例もあります。暴言暴力、ハラスメント、お金の問題、けがへの対応と。今回の保険ということについては全く異論はなくて、この対応はいいかなと。
質問したい点は、この後ろ楯となる主体はどこかということで、前回もお尋ねをいたしました。これは行政になるのか、市町村のスポーツ課なのかというところを確認させてください。よろしくお願いします。
 
【友添座長】  
前回も同じ質問があって、私、藤岡学校体育室長に回答をお願いしたのですが、事務局のほう、いかがでしょうか。
 
【事務局】  
責任ということでしょうか。
 
【山本委員】  
対応ですね。
 
【事務局】  
基本的には、何かトラブルが起きれば、当然第一義的には組織――すなわち、地域のスポーツ団体や地域のスポーツチームが責任を負うことになると思っております。一般論として、当事者から行政に対して相談があれば、それに対して行政が対応することも、あり得ると思います。
 
【山本委員】  
今回の部活の地域移行に関しては数がものすごいことになると思います。これをチーム単位だけではやっていけなくてバスケットボール協会に来ていますし、Jスポさんにも行っているということだと思います。学校内で起こっていることは教育委員会で対応されていると思いますけれども、これが地域移行にあたって実際どういう道筋になるのか、バスケットボールでいうと都道府県協会に来ることを我々は心配していますし、そういう受皿がない競技、運動部活動についてはどこに行くのか、全部Jスポさんに行くのかなと本当に気にしているところです。
 
【友添座長】  
なかなか難しいテーマでありますし、山本委員、これについては議論をしなければいけないテーマだろうと思います。基本的には団体自治主義、つまりその組織なり団体なりが自治をしていくことが大原則であると理解しています。ただし、その中では明らかに団体の自治を超えるような問題ももちろん出てくるわけですから、これについては、もう一度、事務局のほうと検討させていただきながら、必要に応じて会議の中でお諮りしていくこともあるかと思います。よろしくお願いいたします。
渡邊委員、お願いします。
 
【渡邊委員】  
先日、実は総合型クラブ全国協議会の総会がありまして、そこで部活動の地域移行について情報共有、グループディスカッションを行いました。その中で、地域によって行政や学校側の理解にかなり温度差があるという意見が多数ありました。今回の会費も含めて保護者や学校関係者への丁寧な説明が必要であるとか、または、多様な立場の人が同じテーブルで部活動について協議する場がとても必要だという意見があった中で、総合型クラブ関係者間では、1年間通していろいろな研修機会がありましたので、周知が大分進んでいると感じました。課題はあるのですけれども、前向きに捉えていこうという気持ちが総合型クラブにある気持ちがあることをまずお伝えしたいです。
 総合型クラブからもこれからできることをいろいろ提案していくことになると思いますが、国からもぜひ県や市町村行政の状況の共有と、それから学校現場での理解促進をぜひ図ってください。それがないと地域における協議が進んでいかないと思いましたので、最後に発言させていただきました。よろしくお願いいたします。
 
【友添座長】  
貴重な御意見をありがとうございました。
石井委員、最後になります。よろしくお願いいたします。
 
【石井委員】  
先ほどの山本委員の御発言と、末冨委員のお話にもかかわるかと思いますが、山本委員がおっしゃったように、今、学校部活動で何かあったとき――ハラスメントなどの問題、あるいはもめごと的なことが起きたときの対応は、学校や教育委員会に対応いただいていて、競技団体まで上がってくることは、あるにしても少ないです。これが部活動ではなくて地域に移行していくと、どこに相談するんだ、どこに駆け込むんだということになったときに、競技団体に来るケースが非常に多くなると想像します。ですが、今の競技団体の運営の体力、組織力でいうと、物すごい数が来て、それに一つ一つ対応していくというキャパシティはほぼありません。
バスケットボールや私たち陸上のようにかなり大きなNFでもそういう状況だと思うので、比較的規模の小さいNFさんなんかはもっと大変だと思います。なので、そういったものに対応する体制――保険だと金銭的にはいいかもしれませんが、末冨委員がおっしゃったような広い意味での安全をきちんと確保するという意味でも、その辺の体制づくりを全体としてどうするのか考えていかないと、誰かがそこの負担をものすごく負うことになって、それが競技団体に来ると大変というか、負いきれないという話をしています。そこも今後、もし可能でしたら検討していただければと思います。
 
【友添座長】  
ありがとうございます。貴重な御提案だと思います。
トップアスリートについてはJSCの中に相談窓口をつくったということで、あのとき私が座長をしてつくったことをよく覚えています。ただ、そのときに部活や地域スポーツの問題をどうするのかは、あまりにも範囲が大きいので、JSPOの方でご対応頂くという裁定をしたというように思います。ただ、これについては、もう1回、事務局とも御相談しながら、資料をもう1回見てみて、どのような状況が想定されるのかを検討させていただくというお話に今日はとどめさせていただければと思います。
取りあえず今日予定しておりました議題はこの辺りで終了させていただければと思います。次回は、学習指導要領、あるいは高校入試など部活動に関連した諸制度のあり方について議題としたいと思います。
また、日本中体連さんがいいのであれば、大会参加についてご提案頂くことと、今回、吉田委員には機器の都合でご発言の機会が設けられませんでしたので、その折にまた御意見いただければと思います。本日は長い会議でありましたが、これで散会とさせていただきます。どうもありがとうございました。
 
―― 了 ――
 

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