競技力強化のための施策に関する評価検討会(第4回)議事要旨

1.日時

2021年12月2日(木曜日)14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省16階16F3会議室 及び オンライン

3.議題

  1. (1)競技力強化のための施策に関する評価検討会報告書(案)について
  2. (2)その他

4.出席者

委員

石野枝里子委員、境田正樹委員、杉田正明委員、田口亜希委員、田辺陽子座長、
三屋裕子委員、大槻洋也委員、尾縣貢委員、久木留毅委員、森岡裕策委員

文部科学省

室伏スポーツ庁長官、串田スポーツ庁次長、星野スポーツ庁審議官、
南野競技スポーツ課長、馬渡競技スポーツ課課長補佐

5. 議事要旨

(1)地域におけるスポーツ医・科学支援の在り方に関する検討会議提言(案)について

 

○地域におけるスポーツ医・科学支援機能向上に向けた基本的な方向性

※事務局からの説明のみ。


○地域におけるスポーツ医・科学支援機能の在り方について

・3ページ目の<今後の方向性>の部分にJISSが実施する8分野のうち、地域のスポーツ医・科学センターが実施すべき支援機能について、アセスメント系の2つがまず求められるということを書いていただいたことで非常に分かりやすくなったのではないか。その分、図1の主な支援機能の範囲の記載について、この二つを強調させるとより望ましいことが分かりやすくなるのではないか。同様に、図2のアセスメントの枠中に栄養アセスメントが含まれているが、提言案本文ではサポートの前段階でアセスメントの2つが望ましいことが記載されている。フィジカルチェックとメディカルチェックと同じように栄養アセスメントも求められるのであれば本文にも追記してはどうか。

・図1、図2と本文との対応関係については、改善し、分かりやすくしていきたい。

・心理アセスメントについては、メディカルチェックの中に心理のようなアセスメントが入っているため、栄養アセスメントのみ独立して記載されていることには違和感を感じる。

・スポーツ医・科学センターが実施すべき支援機能の栄養と心理に関するアセスメントと サポートについて、京都トレーニングセンターでは、心理担当スタッフと栄養担当スタッフがアセスメントを含めサポートを個別もしくは集団に行っている。栄養のサポートに関しては、管理栄養士が現在担っているところだが、、公認スポーツ栄養士の資格取得を目指している。実例として、スポーツ栄養の講演依頼を受けて、選手や保護者向けに話をする際は、専門的なスポーツ栄養の話から入るのではなく、小学校の給食だより等に記載されている赤、緑、黄色の食べ物等という表現で栄養や食について関連付けさせるアプローチをしている。文部科学省から刊行されている中学生用の食育教材にスポーツ栄養の項目があり、スポーツをしている、していないに関わらず、とても重要な点が記載されているため活用している。栄養や食については、現在は、小学校や中学校に、栄養教諭が配置されており、地域においては各学校の栄養教諭と連携を取りながら、スポーツ医・科学センターについては管理栄養士や公認スポーツ栄養士等が、アセスメントから実際のサポートという形で展開が期待できるステップを図1の考え方により明確にすることができた。

・パラアスリートについては障害の程度や種類に個人差があることから、体力測定等の方法が確立していないことが大きな課題である。が、今後の方向性としては、5ページの3つ目の文章の読み方について、パラアスリートも含め、国やJISSが主導して測定項目等の統一化を図ることが望まれるということでよいか。

・基本的にはパラアスリートも含まれている。ただし、パラアスリートについて書き分けるべきかについては、御意見をいただきたい。すなわち、パラアスリートの統一的な測定方法の可能性や示し方について専門的な立場の委員の先生方からもご意見をいただきたい。

・例えば、国と地域の一体化の評価項目・評価方法の検討についてであれば、「方法の検討」という言葉を入れると良いのではないか。

・パラでは、J-STARやJPCが実施しているフィジカルチェックは、測定項目が決まって動いている。しかし、あくまでもベースのところであり、これからメダルを獲得するため、もしくは競技力向上のための特定の測定項目の策定等は未発達であると認識している。その点のニュアンスを4ページの3つ目の丸ポツの文章内に反映できれば良いのではないか。国と地域が主体となりという一文の中で、オリに関しては、それがほぼ確立しているが、今後地域とのつながりの強化が求められることを落とし込んでいただいている。パラに関しては、ベースとなるような測定項目の策定は十分でないが、さらなる競技力向上に向けた特定項目の統一化等は、障害特性による部分があるので、これを含めて十分に検討をしていく必要があるという表現はいかがか。

・パラアスリートの測定方法等については、統一化の一歩手前の現状ということもあり、その内容を本文にうまく落とし込めないかと考えている。

・御趣旨は理解したので文案は検討したい。

・パラアスリートということで記載していただいているが、パラアスリートの定義として一般論として障害のある競技者を指すと思われる。そうであれば、ここではデフの選手やスペシャルオリンピックスの選手等も含まれているのか。東京オリンピック・パラリンピック競技大会を受けて、パラアスリートというとイメージがパラリンピックになるかもしれないが、アスリートに力点を置くと例えばデフの選手やスペシャルオリンピックスの選手等も入る。定義については決めるべきではないか。

・パラアスリートという表記には、基本的にはデフを含め障害者スポーツ全般を指すという整理。本文においても、同様に、デフの選手やスペシャルオリンピックスの選手を含めたパラアスリートということである。

・パラアスリートの範囲については、大きな論点であると考えている。2025年にデフリンピックの東京開催が決まっており、このことを我々は視野に入れていかなければいけないと考えている。また、4ページの1つ目の丸ポツの文中の「「予防」という考え方を浸透させていくことが重要である。」という一文が非常に重要である。地域のスポーツ医・科学センターを含め、それを受けてアセスメントの重要性が議論され、その後のアセスメントや問診票の話へと繋がっていく。あわせて、栄養アセスメントについては、JISSではメディカルチェックに栄養や心理を入れていくという考え方があった。図2のアセスメントについては、栄養のみを特出しする必要はないのではないか。

・図2について、混乱を生じているようであるが、図3はJISSで実施されているフルサポートに近い形になっているが、地方の事情によっては図3のイメージのとおり実施できない地域も多いのではないか。よって、図2の捉え方としては、アセスメントと、最低限のアセスメントサポートを循環させるという意味で、それぞれの地域のリソースに応じて実施してもらうということであり、ここで示しているすべてのサポートを実施できる施設、地域が多いとは言えない。地域においても柔軟にアセスメントとサポートが実施され、障害の有無や、性別、年齢関係なくこういう観点で実施するというものであるので、大きな項目が多いと実施が困難になってくるため、精査する必要があるのではいか。

・結局図2は図3でもう少し詳細なものということ。図2の(1)、(2)を循環させるというタイトルが、どこに(1)、(2)があるかというと、赤字だが、分かりにくいのでもう少しうまい表現があってもいいのではないか。検討してほしい。

 

○地域におけるスポーツ医・科学支援機能の活用の在り方について

・今後の方向性の4番目のポツのリカレント教育という言葉があまり聞き慣れない。この文脈ではどのような意味か。

・こちらについては、もともと会議でお出ししていた用語だと「研修の場」という表現だったが、リカレント教育は研修とは違って、もともと教育はある程度受けていて、あとで様々な知識のアップデートが必要、最新の医・科学知識を入れていくということを表現している。

・4番目の丸ポツの「国及びハイパフォーマンススポーツセンターが構築するオンラインプラットフォーム」とは、具体的にはどういうことであるか。

・女性アスリートの支援事業で開発を進めているコンテンツがあるが、そのコンテンツに誰もがアクセスできるようにという趣旨で全国展開を期して記載しており、分かりやすくなるよう注釈を入れる等の記載を工夫する。

・国はLiLi(女性アスリートのサポートシステム)の活用をイメージしているのではないか。本文で女性アスリートについて整理されている点は良いが、オンライン診療が一般的になってきつつある中で、オンラインプラットフォームについては、スポーツ医学において女性アスリート支援だけでなく全てに入ってくると考えている。このことに鑑み、新型コロナウイルスの状況下でのオンライン診療の普及状況も踏まえつつ、これを国として、地域で広めていくことが望ましいのではないか。

・オンライン診療については、女性アスリートへの活用という部分のみでは不十分ということであるか。

・地域においては、メディカルの診療の重要性がこれまで言われてきた。「メディカル全体の中でオンラインプラットフォームを構築していくことは必要である」という旨の表現が、パラアスリートにおいても重要であると考える。

・そうすると、ここでは例えば書きぶりとしては「女性アスリートの健康の問題に関する研修においても」というふうに書くべきか。

 

○地域におけるスポーツ医・科学支援の実施体制の在り方

・7ページの<今後の方向性>で、支援の質の向上という表現をされているが、具体的に  支援の質とは、どのようなものであるか。

・京都トレーニングセンターでは、必ずしもHPSC等でされている内容や状況がリアルタイ ムで入ってくる現状ではない。属人的な方法で、カンファレンス等に参加し各学会で情報収集等は行っているが、この地域の連携というところで、そのような情報共有について、このプラットフォームが活用できるような形になり、さらにJISSを高めていくようなものにしていくことができればよいと考えている。そのような形でネットワークが形成され、それが少しでも選手の手助けになればよい。

・支援の質という言葉は、人材含めたソフト面のことであるか、もしくは環境を踏まえたハード面のことであるか、提供するサービスのことであるか、その全てを統合させたもののことであるか、文脈で分かりにくいところがあるので、そこを明確にしたい。

・地域によって様々事情が異なるため、図4のようなコンソーシアムをつくり、地域間の差を少しでも埋めていくということになるのではないか。

・8ページの1番目の丸ポツについて、オールジャパン体制で、「地域のスポーツ医・科学センター、スポーツ団体、NTC競技別強化拠点、医療機関、大学、企業といった様々な機関が保有する資源(ヒト、モノ、カネ、情報等)を見える化して共有し」と記載されているが、これが質を向上させていくということに繋がっているのではないか。

・質の向上については、3ページの検討事項に係る今後の方向性の(1)地域におけるスポーツ医・科学支援機能の在り方についてにおいて記載しており、サポートの拡大については6ページの(2)地域におけるスポーツ医・科学支援機能の活用の在り方についてにおいて記載している。ハード、ソフト、サービスのなかだとサービス、ソフトのところに近い。当然全くハードとかセンターがなかったりとか、機材が全くないような地域についてはハード支援というところもかなり重要になってくるが、大きくこの検討会議で、(1)で特に議論している質の向上というところはソフト面、サービスの質の向上の話をしていると思っていただきたい。

・7ページから8ページにかかっている「ビジョン」というのは、支援の質を向上させ、かつ支援する対象者も拡大させていくが、実施主体の状況によっては、対象者を制限せざるを得ない状況がでてくることが考えられ、その点について共有するということが含まれるという考えでよいか。また、対象者を選定していく際に、対象によっては支援対象から外す等をここで協議するということも含まれると考えてよいか。

・対象の範囲を確定していくようなことが各地域のキャパシティーに応じてあると思うが、図1で示したような対象の範囲については、それぞれの地域によって線引きは異なってくるというニュアンスの「ビジョン」ということである。

 

○地域のスポーツ医・科学支援を担う人材育成・確保の在り方

※事務局からの説明のみ。
 

室伏スポーツ庁長官より

・座長はじめ、委員の皆様におかれましては、それぞれの専門的知見から貴重な御意見をいただきまして、誠にありがとうございました。提言(案)にも記載させていただいておりますが、アスリートがスポーツ外傷、疾病、障害を予防し、健康を維持しながら安全に競技を継続するためには、スポーツ医・科学支援を受ける際に、まずアセスメントを行い、その結果に基づいて適切なサポートにつなげていくことが重要です。これはトップアスリートのみならず、地域で活躍する都道府県大会レベルのアスリートに対しても同様に重要な観点であると思います。今回まとめていただきました御提言を活用し、このような考え方を地域の皆様にも広く共有させていただき、理解促進を図っていきたいと考えております。また、このような考えに基づくスポーツ医・科学支援の普及を図っていくためには、関係機関間の連携を主導するアドミニストレーターをはじめとした人材育成と確保が、不可欠になってきます。国としましても、今回の提言を踏まえて必要な予算を確保し、地域におけるスポーツ医・科学支援機能の向上に努めてまいりたいと考えております。平野座長はじめ、委員の皆様方には深く感謝申し上げますとともに、引き続き我が国のスポーツ振興のためにお力添えいただければ幸いです。